博物館実習 実習生のことば

令和5年度 実習生のことば

・上映前の検査を行う検査室を見せていただいた中では、「Film Shrinkage Gauge」の実物を見られたこととこれを見せてくださったスタッフの方の嬉しそうな姿が記憶に残っています。

・映画のプログラムを構成する中で、国立映画アーカイブにとって「映画=(美術館での)作品」で、「プログラムの一言=キャプション」であるという意識が見え、映画をエンターテイメントコンテンツだと思っていた私にとって新鮮なものでした。

・フィルムは保存の面から見ても重要な役割を担っている。しかし、それだけで無く、監督が作ったオリジナルの作品であるというのも魅力の一つであり、また映写機にかけることで、当時の人々が見たそのままの映像を鑑賞することができる。

・相模原分館では、様々な大きさのフィルムに対応した映写機があり感動した。建物にもこだわりがあり、歩くだけでも面白かった。

・国立映画アーカイブには2次元に留まらない圧倒的な物質としての映画がありました。

・フィルムをこの手で動かすことが出来たのも嬉しいことでした。今までは、ディスプレイや画面に表示されている電子の番号を見るのがせいぜいだった映画の時間が、巻き取られてゆく時間として分かるのは本当に面白いことです。

・どんな質問であっても、どんな映画作品の話であっても丁寧に一つ深めたお話を返してくださるので、実習が終わった後に家で調べる材質であったり、監督名であったり興味の幅が広がりました。

・フィルムの味=劣化ではないということを理解でき、オリジナルのフィルムがしっかりと保管されていれば傷もゴミもほとんど認識できないくらいの美しい映像を観ることができるのだと知ることができた。

・特に印象に残ったのは「観る人を育てる」「守る人を育てる」という言葉でした。石川県で催された優秀映画鑑賞推進事業の上映会で初めてフィルム上映に触れた私は、国立映画アーカイブに育てられた「観る人」の人なのだと思います。そして今回、博物館実習に参加して「守る人」になりたいと思うようになりました。

・私は普段から学校にて自主的に映画の上映会を開催しており、上映プログラムを企画しています。しかし、いつもは自分の好きな作品や見たことのあるものなどから選ぶため、全く見たことのない作品群からキュレーションするというのは、初めての経験でした。

・私たちが見ている「映画」というものの背後には収集、保存上映等を行っている方々がいて成り立っています。その大きな広がりを知ることができたのが大きな収穫でした。

・名画とされているから受け入れる、そうでないから退けるということでなく、全ての映画に平等に愛が注がれている。このポリシーに「ロマン」を感じるとともに、ただ感傷的な言葉で片づけてはならないとも感じます。

・映画館におもむき、映写機の動く音が聞こえながら映画を観るということが素晴らしい体験であるということを改めて感じ、沸々と映画熱がわき上がってきました。

・私たちが友達や家族に伝えることや国立映画アーカイブに行くことが小さい規模ではあるが大切なのではないかと思いました。またその輪が広がっていくと未来に残していくことに繋がるもではないかと思いました。

・実際手にとってみると、フィルムは薄く見えるけれども思った以上に重く、質感があるものでした。検査機にかけるときに、指と指の間でフィルムが滑っていく感触も格別なものでした。この5日間は、知識のみならず、身体的レベルの実習のおかげで、フィルムをめぐる様々な活動を肌で感じることができました。

・(映画フィルムを)壊すのは簡単なんだと思い知らされました。そして、フィルムを壊すこということは、作り手である監督や脚本家の心も踏みにじることになるのだとずっしりした気持ちになりました。

・スチル写真に番号を書く作業では、今後何百年も残っていくであろう資料に、自分の文字を刻むことにやりがいを感じました。

・講義で可燃性フィルムの貴重性や、『紅葉狩』の映画史における重要性、1900年代前半のフィルムがほぼ失われてしまっていることを知ったうえで『紅葉狩』のフィルム缶に触れたため手が震えるほどの体験でした。

令和4年度 実習生のことば

・今回の実習は、百年以上前から続く映像の歴史を未来に繋げていくための具体的な仕事を目で見て、そして体験することを通して、映像史は今まさに、ここでつくられつつあるのだということを実感させてくれるものでした。

・”フィルムアーカイブ”だからといって“フィルム”だけでは成立しないということを理解することができました。

・映画館で撮った人たちが意図した設備で見ることや、フィルムの上映について、上映後も適切な場所に保存し後世につないでいくということなど、新たな意識が生まれました。

・フィルムに対する理解をより少しでも増やしていく、フィルムに触れたことのないような子供たちに知ってもらうということも大切な仕事なのだと分かりました。

・今までは完全に映画を享受する立場にいたが、それだけではなく、映画を後世に残していくために何ができるのか、自ら考えていくようにしたい。

・パンフレットやフライヤー等を収集するなどの簡単な取り組みだけでなく、自ら技術者になることも今後の選択肢として増えたのが最大の収穫かもしれない。

・フィルムで映画をもっと見たいと思うようになった。

・テレビなどのデジタル視聴に幼少期から慣れ親しんできた私たちの世代は、フィルム上映経験が浅いのでその違いが分からないという話を聞いて驚くと同時に、気づけるようになりたいと思いました。

・今まで「おまけ」感覚でポスター・パンフレット・スチル写真を見てきましたが、ノンフィルム資料こそが映画をひも解く大切な材料であるとわかりました。

・相模原での建物の構造や検査員の方々による丁寧な検査を通じて、”何を見るか“ではなく映画を”どう見るか“という点にも注目して映画を鑑賞していきたいと考えました。

・相模原では、フィルムを切断し、テープで結ぶという手作業を体験しましたが、むろん微に入り細を穿つような視聴覚情報の確認を伴いながらこうした工芸的作業に従事できることは、現代社会にあってどれほど幸福なことだろうかと思わずにはいられませんでした。

・相模原で実際にフィルムに触れ、保存庫を見学し、デジタルジレンマについて講義を受けた今、私はフィルムに猛烈に惹かれ始めている。デジタル上映とフィルム上映が同作で行われるならば迷わずフィルム上映を選ぶ。フィルム上映が行われている館の近くに引っ越したいとまで思う。趣味としてもフィルムカメラから始めてみようかと心が湧いている。

・フィルムアーカイブはそれ自体が歴史の創造に関わっている、そしてフィルムアーカイブに勤める人々の一人一人がその創造事業に携わっているのだという自負をひしひしとこの「歴史」という語に感じ、さしあたりはフィルムアーカイブの利用者の一人としてこの歴史に貢献してゆきたいと思いました。

・世の中にはまだまだ知らない映画が多くあること、これらを観られるのはあくまでも映画の「情報」であって、フィルムのオリジナル版ではないこと、それらに簡単にはアクセスできない現状など、これまで映画ひとつとっても考えてこなかったことに思いを巡らせました。

・全国でたくさんの映画好きがいることを保ち続け、そして民間の収集団体や組織がたくさんできれば、映画の伝承にもっと良い環境が生まれるのではないかと思います。映画がいつまでも死なないことを祈ります。

・実習で取り扱ったスチル写真やポスターのほとんどが自分の知らない映画や俳優達であり、自分の見ていた映画が氷山の一角にすぎなかった事を痛感しました。

・人々がフィルムでの映画上映に親しみを持てるように、なおかつ文化遺産としてのフィルム映画の価値の高さを理解してもらうために何をどのように伝えていくべきか、頭と体を使って作業をした1日は悩みながらも充実した1日となりました。

・フィルムとデジタル双方が共存して映画を支えていく事ができる道を探していきたいと考えました。

・普段見ることができないフィルム/ノンフィルム資料を見せてもらうことで、これらを後世まで保存していくことの意義を考えさせられました。

・そもそも私が観てきた映画も誰かの手によって長い間守られてきたのだと今更気づき、守らないと映画はどんどん失われていくという現実を知ることができました。

・これまでの自分を支えてくれて、自分の一部となった映画芸術をこれからも愛するために映画を「守る」立場として今後何かしら行動していきたいと強く感じました。

令和3年度 実習生のことば

・フィルムを保存・継承するには、非常に多くの財力、労力、さらに時間が永続的に必要で、映画に興味のない人やサブスクリプションで満足しているという人たちをどうやって説得し、その重要性を理解してもらうか。そのために国立映画アーカイブで働く方々がそれぞれ苦心して、上映のみでなく展示、教育普及、資料収集されているのを知ることができて自分のフィルムに対する姿勢は変わったと思います。

・具体的に学んだことはたくさんありますが、映画をもっと好きになれたこと、映画への視野が広がったことを考えると、ここで実習できてよかったなと思います。

・デジタルに移行する行為から得られるメリットばかりに目が向いていて、フィルムが消えることで失われるもの、忘却されていくものへの配慮がなかった。しかし五日間の実習及び講義を終えた現在となっては、「アーカイブ」、フィルムの「アーカイブ」に関しての知識を得た今となっては、フィルムの「アーカイブ」は未来に向けて為されねばならないと強く思う。

・フィルムの修復、ステインベックの操作の体験はもとより、実際に現像所など現場で働かれていた方々から大変興味深いお話を聞けたことは、得がたい経験でした。

・映画をフィルムという実体のあるものとして捉えることを学び、映画をものとして収集し、保存し、伝えることの意義を学ぶことができました。

・初めてフィルム作品を見たり、自分で簡単なフィルムを補修したり、様々な体験をしましたが、1番忘れられないのは収蔵庫見学です。徹底的に管理された空間の中で8万本以上のフィルムが並ぶ様子を見て、鳥肌が立ちました。

・一番心に残っているのは「“観る人”と“守る人”を育てる」という言葉です。正直国立映画アーカイブでこの5日間を過ごしたからにはもう観る人で終わってはいけないなと強く思います。

・単にフィルムを長持ちさせるだけでなく、資料として最良の状態で収集・復元・保存・活用して未来につなげる難しさと熱意・使命感を感じました。

・「デジタル」を切り捨てるのではなく、保存方法の確立やマイグレーションなどの様々な問題を抱えながらも、それをどうやって「残す」「活かす」か考え、尽力されている方々がいると知り、感動するとともに安心しました。

・120年という時の中で愛され利用されてきた映画をどのように後世に伝えていくか、理解ある人々や技術の継承など映画を文化としてとらえ課題を考えることが出来ました。

・お話を伺って、アーカイブの機能として重要なのは、フィルムをただ綺麗に補修・復元するのではなく、出来る限りオリジナルを保ったまま保存することであると実感しました。

・5日間で感じた思いを忘れず今後に生かしていきたいという気持ちです。熱心な姿勢で実習に取り組むほかの学生の方々、そして丁寧に教えてくださった職員の方から得たものや五感を通じて感じたもの(フィルムの匂いや質感)という貴重な財産を自分のコミュニティにしっかり持ち帰ります。

令和2年度 実習生のことば

・NFAJの理念はただ単に映像を次世代に継承するだけでなく、公開当初の状態を維持し続けることなのだと知り、衝撃を受けました。

・アーカイブ化に当たって重要な作業を体験させていただき、私たちが関わったことが未来につながっていくことを感じることができました。

・実際に、国立映画アーカイブの実習に参加し、具体的な保存・保管・修繕の方法を学ぶと同時に、映画という文化が守り伝えられていくことの価値と重要性を強く感じ、国立映画アーカイブの意義と理念をとても詳細に知ることができたと思います。

・フィルムの本当の良さや、フィルム映画をフィルム映写機で見る、オリジナルで見る価値というものを知ることができたのは、今回の実習があったからこそだと思います。私が得ることのできた学びと感動の気持ちが、映画を好きな方だけでなく、映画にあまり興味のない人たちにも届き、映画を守り、盛り立てていくことへと繋がればいいなと思いました。

・映画は集団での制作物だが、その映画を未来のために、保存・維持してゆく活動もまた大勢の人たちの地道で着実な作業によって成り立っているのだと身をもって知ることができた。

・この5日間で得られた経験はわたしの人生にとって間違いなく大事なものになるなと思いました。映画を見る/聴くことがこれまでとは決定的に変わるほど、貴重な体験だったと思います。

・こちらで働く方々の映画へのこだわりや想いに触れられたことが、本当に嬉しかった。それと同時に、今まで作る側としての視点ばかりだった私に、映画を人々に観てもらうこと、そのために収集し、保管し、守るということ、そしてそれを後世へとつなげていくということ、そのような視点を気付かせてもらえました。

・国立映画アーカイブの博物館実習に参加することができて、講義と実習をとおしてたくさんの体験や知識を身に着けることができました。

・継続して国立映画アーカイブを機能させていくための貴重な人材を守り、育てていくことの難しさと大切さを知りました。特に技師の方々の専門的な技術を後世に伝えることもアーカイブの重要な役割の一つというお話が強く心に残っています。

・5日間の実習で、自分が今まで知らなかった映画フィルムを保存、修復して後世に残していくことの大切さを学べて本当に良かったです。

・相模原分館では、日々寄贈される膨大な数のフィルムをたったの数人で検査していると聞き、映画フィルムの歴史の重さを感じました。

・ノンフィルム資料や上映企画の作業を通して映画史の厚みに触れることができたのも大きな収穫でした。

・映写技師の方は一回きりの上映のためにフィルムに油を塗ったり、フィルムのフチにV字型の小さな切れ込みを入れたりすることがあり、検査士や保存を担当する方との攻防があるという話が、「フィルムは大事にするもの」という大前提が必ずしも当てはまらない現場のリアリティを感じさせてくれるもので、とても新鮮かつ印象的でした。

・地道な作業が多くて本当に疲れたと同時になぜか誇らしい気持ちになりました。それは、こうしたコツコツ積み上げていく作業が、国立映画アーカイブの意味なのだと身にしみて伝わったからだと思います。

令和元年度 実習生のことば

・5日間の実習を終えて、全て理念という大きな柱のもと、それぞれの分野のプロフェッショナルが情熱を持って取り組んでいるということを痛感しました。特にどの方も講義中に「何故フィルムが重要なのか」ということを、口をそろえておっしゃっていたのが印象的で、全員が共通認識のもと、それぞれの役割をまっとうしている事に感銘を受けました。

・今回、収蔵庫内や修復作業を見学させて頂き、古いフィルムが最上級の扱いを受けて大切に保管されているのを知り、何としてもこの方法と技術を後世に伝えていかなければという思いに駆られた。

・フィルムの映写室や収蔵庫の見学、修復や検査作業、学芸員の仕事内容など、実際に見たり体験しないと感じることのできない経験をたくさんさせていただきました。

・スチル写真のナンバリングやポスターのリスト化作業のアーカイブなど、手間と時間のかかるアーカイブ作業を実際に行えたことも本当によかったです。

・相模原分館でフィルム一本一本の検品作業やスプライサー体験、修復・復元についてのお話を聞き、当時の姿を残すことの大変さと重要性を強く感じました。

・機材やフィルムだけではなく、宣伝用のチラシやポスターまで、普段私たちが何気なく手にとったり目にしていた物もあった。それらがカタロギングされて「資料」となっていく過程を見たり体験したりしてみて、こうした身近にある品は資料となり得ることに気づかなければ散逸してしまう危機にあることがわかった。

・一番大変だったのは、上映企画のための作品選出実習でした、有名な作品を単純に選べばよいわけではないので「何故その作品を選ぶのか」という基準が難しかったです。

・「見る人、守る人を育てる」など、これから学芸員課程やアーカイブス学を学んでいくにあたり念頭に置いておきたいと思うようなお話がたくさんあった。

・幅広い年代や異なる学問を学ぶ他の実習生と5日間を過ごせたことも、今回国立映画アーカイブが実習先でよかったと感じた点でした。

・元々映画やフィルムについて興味はあるものの、知識が豊富にあったわけではなかったので、今回主に実習を通して、フィルムの構造など初めて知ったことも多く、とても面白くて新しい関心を持つきっかけになりました。

・実習では知識としては知っていても実際に体験してみて考えを改めさせられたことや、そもそも初めて知ったこと、考えもしなかったことなど様々な体験をしたので、5日間という期間はあっという間でした。

平成30年度 実習生のことば

・フィルムをただ保存していくのではなく、上映や関係する資料の展示によって伝えていくことが最も大切だということが感じられました。

・実習では、実際にフィルムの修復が体験出来たり、私も見たことのあるポスターをリスト化したりなどどれも本当に楽しく、貴重な経験となりました。特にフィルムの梱包のヒモの結び方はずっと忘れられません。

・普段交流が少ない分野の方と一緒に作業することが出来たこと自体も、貴重であったし、映画研究をしている私は、他分野の方の意見とか見方がものすごく興味深かったです。

・ただ映画を好んで見る・見せるだけではなく、長い目で『映画について』考える力が付きました。

・映画は失われていくものだということを知る若者はほとんどいないし、アーカイブも少ない日本なので、経験を活かして将来貢献していけるような人物になりたりたいし、理解者が増え、より豊かな資金と人材がこの映画を含む芸術文化を守る機関に集まるような未来があるといいなと思いました。

・これからの世代は(アナログとデジタル)どちらの技術も兼ね備えていかなければならないことに気づかされました。

・実習では写真のナンバリングやポスター名の入力をしたのですが、100年以上も前の写真に触れることが出来たのはとても感動しました。

・自分がナンバリングしたスチール写真がいつか、展示されているのを見てみたいです。

・最終日の実習では5日間全体を通して学んだことの応用編だったので、初日と比べてたくさん意見が自分の口から出てくることに驚きました。

・作り手の立場として、作り手が見せたかったそのままの姿を守っていくという言葉は感激しましたし、私自身もそうありたいと強く思いました。

・フィルムは再生機がなくとも物理的に目視することができる。その重要性に改めて気づかせていただくことができました。

・様々な大学から実習に来た学生の方と交流が持てたのも楽しかったです。アーカイブとは関係のない職種でもこの5日間の経験を思い出して、映画の文化を盛り上げ、継承していければいいと思います。

平成29年度 実習生のことば

・私が国や年代に関わらず様々な映画を観ることができるのは、今まで映画を愛し、その文化を残そうと努力してきた方々がいて初めて成立していたということに気づかされました。そして私も映画を愛する身として、決して個人が楽しむという目的だけでなく、多くの人たちにその魅力を伝えられるよう、今後活動していきたいと思いました。

・一番難しかったのは上映企画の準備です。解説に何を書けばいいのかわからず大変でした。解説がどこまで内容を明かしていいのか何と言って伝えればいいのか、すごく私には難しかったです。今後私はデジタルに関する仕事に多く携わると思いますが、アナログが抱えている問題をどうにかしてデジタルを使って解決できないかと模索していきたいと博物館実習を行うことで考えるようになりました。

・大学での講義で最低限の知識を学んでいたこともあり、実習中に行われた講義の内容は「物足りない」と感じることもあれば、「さらに詳しく知ることができた」と感じることができた。しかし何よりも、国立のフィルム・アーカイブで働く現役の職員の方々が自らの言葉によって語ってくださったことに私は喜びを感じていた。それだけで、この博物館実習に参加した甲斐があった。

・実習作業も、普段の大学生活では体験することのできないことを体験できる充実したものだった。特に情報資料室の仕事における目録入力の作業は自身でも想像していなかった程に集中して取り組むことができた。相模原分館でのフィルム補修の作業も、以前大学で行ったフィルム作業では学ぶことができなかったテクニックを知ることができた。

・私たちが見やすくするために過度にフィルムを修復するのではなく、当時の観客が観ていた映像や、作者の意図したものを復元することが貴館の理念だと理解した。

・一つ一つの講義が分かりやすく、しっかり内容が理解できた。特にフィルムの構造は解説を受けなければ、一生知ることができなかったことであると思う。

・スチル写真のナンバリング作業やポスター情報の入力作業の体験により、こうした地道な作業が映画文化やそれを守る基礎となるのを考えさせられた。

・実習を通して、何気なく読んでいたNFCカレンダーの解説にもたくさんの工夫が詰め込まれているのだと思いました。

・フィルムを映写している所や機械がどうなっているのかさえ知らなかった私は、初日から驚きの連続でした。

・人々がフィルムを体感しない限り、人々の映画フィルムに対する概念は変わらないと思いました。この現状を変えることができるのは、やはり出会いでしかなく、そのために事業推進室はとても大きく重大な役割を担っていると感じました。

・実習を通して、フィルムを映画館で観ることの価値を改めて考え直したので、上手く周りに伝えていける努力をしたいと思います。

・今回の実習でフィルムの歴史を総体的に学び、今後のデジタル時代の問題などが明確にわかりました。この経験は絶対に今後の強みになると思います。

平成28年度 実習生のことば

・ノンフィルム資料(台本やスチール写真、チラシ)の整理をし、知らない映画との出会いや知っている映画の印象的なシーンと再会しました。現場で働く学芸員の方々だけでなく、映写技師やフィルムを調査する専門職の方々から直接話を聞ける貴重な機会でした。

・フィルムやノンフィルムと言った物理的な資料だけでなく、映画館と空間、そして映画を作り見せる技術があってこそ、映画を見ることができるということを学び、映画に対する認識が大きく変わりました。

・図書室には、書店で販売されていない冊子も収蔵していたのが印象的でした。そこにも網羅的な収集という姿勢が表れていると感じました。

・資料を長く安全に保存するためには、地道な作業が必要であることを学びました。

・保存庫はとても寒く、フィルムを守るためにはここまでの工夫や努力が必要であることを知りました。

・先のことも現状の事もちゃんと考え、資料などを収集、保存し、どうやって未来へのこしていくかなど改めて一から考えることができました。

・今までなんとなく好きでフィルム映画を観ていましたが、フィルムへの理解、デジタルとアナログの違いなどを学んでフィルムがなぜ素晴らしいか、自らの理解につながりました。

・白黒とカラーのフィルム上映があり、普段映画館で観ている”色味”や”光沢”、”色彩の豊かさ”とは全く異なり、粒子の細かさや色味の深さに心を奪われ、フィルムの持つ素晴らしさを改めて理解することができました。

・博物館学を学ぶ者として実習に参加しましたが、どのような思考でアーカイブに関わっていくのか、貴重な体験を通して学ぶことができました。