BDCプロジェクト
BDCプロジェクトについて(平成26年度~平成29年度)
2015.10.27
文化庁が平成26年度から実施している美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業の公募に際して、独立行政法人国立美術館(事業主体は東京国立近代美術館フィルムセンター)は「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究」をもって応募し、そのプランが採択されました。
事業名の英語訳「National Research Project for the Sustainability of Born-Digital Cinema」から、本プロジェクトの略称をBDCプロジェクトとし、平成27年度も引き続き採択を受けて、以下の4項目を軸に調査研究をおこなっています。
- デジタル映画の保存・活用に関する調査研究
- フィルム映画のデジタル保存・活用に関する調査研究
- 諸外国におけるデジタル映画の保存に関する技術や法制度等に関する調査研究
- 映画のデジタル保存・活用を担う人材育成
BDCプロジェクトの紹介
- BDCプロジェクトの開始(NFCニューズレター121号より)
- 映画のデジタル保存についての現状調査の必要性(NFCニューズレター121号より)
「デジタル・ジレンマ 2」日本語版を公開しています
BDCプロジェクトでは、米国の映画芸術科学アカデミー(The Academy of Motion Picture Arts and Sciences、AMPAS)が著した“The Digital Dilemma 2”の日本語版を公開しました。平成27年度ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」を記念し、ここに日本語版の公開に関する情報をお知らせいたします。(2015.10.27)
【公開中】平成28年4月1日
場所:国立映画アーカイブホームページ内
フォーマット:PDF(ダウンロード可)
2016.04.01
“The Digital Dilemma 2”に先立つ“The Digital Dilemma”(AMPAS、2007年、日本語版『ザ・デジタル・ジレンマ』、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構、2008年)は、ハリウッドのデジタル映画保存の状況を起点に、医療や軍事、地球科学といった様々な分野を横断しつつ、そこに通底するデジタル保存技術の問題、すなわち「デジタルテクノロジーは多大な恩恵をもたらしているものの、デジタルデータへの長期アクセスは保証されていない」ということを明るみに出すものでした。2012年に発表された“The Digital Dilemma 2”では、映画業界、なかでも独立系映画製作の現場と非営利視聴覚アーカイブの現状に的を絞って、この問題を再認識するとともに、データ消失の危険性や保存計画の必要性に対し、いかに関心が払われていないか、また、危機感を共有する場が少ないか、ということが示されています。
デジタルテクノロジーの進歩のスピードは速く、発表当時(2012年)の数値情報や状況は現在とは異なるかもしれません。しかしながら、日本の現状を省みるとき、ここで持ち上がった問題は、すでに古びているのでしょうか。
国立映画アーカイブが現在所蔵している1910年代までの国産映画は、総製作数に対してわずか0.2%にすぎません。映画の歴史がはじまって十数年の間に作られた映画作品がこれほどまでに残っていないのは、災害や戦争被害による消失ももちろん理由ではありますが、初期の映画フィルムが物として脆弱であったためというよりは、残念ながら、映画フィルムを保存する意識が高くなかったことが大きな要因のひとつであったと言えます[1]1。
上映を含む映画の製作・流通の工程はいまや、ほぼすべてがデジタルに変わりました。国立映画アーカイブは、劇場で日々公開されるこれらの作品の収集・保存には未だ着手していません。ボーンデジタル(デジタル生まれの)映画の保存には、どの段階の素材を保存対象とすべきかといった議論にはじまり、保存用のファイルフォーマット、媒体、管理システムなどをどう選択・構築するかといった技術についての検討、そして維持費の捻出や人材の確保といった課題が山積みです。これらの解決に向けて研究を行うわたしたちは、未来の観衆がボーンデジタル映画の最初の十数年を「暗黒時代」と呼ぶことのないよう、まずは“The Digital Dilemma 2”の開示する問題を広く共有することが急務であると考えます。
尚、オリジナルの“The Digital Dilemma 2”はAMPASのウェブサイトからダウンロードできます。
関連
- デジタル・ジレンマの行方(NFCニューズレター127号より)
BDCプロジェクトの報告書等
BDCプロジェクトに関する報告書等を掲載致します。
報告書に関連する説明等はBDCブログを参照ください。
BDCプロジェクトについて
- BDCプロジェクトの開始(NFCニューズレター121号より)
- 映画のデジタル保存についての現状調査の必要性(NFCニューズレター121号より)
BDCプロジェクト レポート(全5回)
- 第1回:2015年度の活動報告と課題(NFCニューズレター126号より)
- 第2回:デジタルによる映画保存と利活用に関する技術的な課題(NFCニューズレター127号より)
- 第3回:映画のデジタル保存と活用を支える法的基盤(NFCニューズレター128号より)
- 第4回:日本の映画界におけるデジタルデータの保存の現状(NFCニューズレター129号より)
- 第5回:映画の長期保存と活用を目的としたシステムの可能性とコミュニティの重要性(NFCニューズレター130号より)
報告書等
- デジタル時代のアクセスと法制度(第71回FIAF会議報告)(NFCニューズレター122号より)
- デジタル・ジレンマの行方(NFCニューズレター127号より)
- 羽田澄子監督作品のフィルム化とDCP化について(NFCニューズレター128号より)
- デジタル映像の制作・流通のファイルフォーマットに関する調査(株式会社IMAGICA)
- DCIにおけるデジタルシネマ技術の標準化動向に係る調査(慶應義塾大学DMC 研究センター)
- デジタル映像コンテンツのセキュリティ対策に関する調査(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)
- 映画に関する映像データの長期保存と活用を目的とした自由度の高い持続可能なシステム構築のための調査研究委託事業報告書
(株式会社三菱総合研究所) - 映画の孤児著作物のデジタル利用に関する法制度報告書(五常法律会計事務所) <2017/05/17 UPDATE>
BDC技術セミナー資料
- 映画・映像データの取り扱い、仕組みと実際(株式会社IMAGICA)
- ビッグデータ時代における光ディスクを用いたデジタルデータの長期保存の実際
(JIIMA:公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 アーカイブ委員会 光メディアWG) - デジタル映画のカラーマネジメント(株式会社IMAGICA)
「映画におけるデジタル保存と活用のためのシンポジウム」
Symposium on the Digital Preservation and Archival Use of Film Collections
主旨
2000年以降、映画の製作・上映におけるデジタル化が急速に進み、フィルムを使用しない撮影・編集・映写等が主流となり、保存メディアを含め、様々なデジタル機材・システムが用いられるようになりました。このような状況のもと、我が国の映画を適正に保存・管理し、映画文化の継承を図るため、フィルムセンターでは、「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業」を実施しています。本シンポジウムでは、これまでの事業の取り組みについて紹介するとともに、関係する方々の講演を併せ、デジタル化された映画のこれからの保存と活用について考えます。
- 主催
- 東京国立近代美術館フィルムセンター
- 開催日
- 平成29年1月26日(木)10:30(10:00 開場)ー17:10
1月27日(金)10:30(10:00 開場)ー18:00 - 会場
- 東京国立近代美術館フィルムセンター 2階大ホール(東京都中央区京橋 3-7-6)
- 定員
- 250名(先着順)
- 参加費
- 無料(事前申込制)
本シンポジウムは終了致しました。両日とも240名を超える多くの方にご参加いただきました、誠にありがとうございました。
プログラム詳細
1/26(木)現状と課題
10:30- | 開会挨拶 | 東京国立近代美術館長 馬渕 明子 |
10:35- | イントロダクション 「BDCプロジェクトの概要と本シンポジウムについて」 | フィルムセンター 大関 勝久 |
10:45- | 基調講演 「ポストアナログ時代のフィルムアーカイブ」 デジタル時代であり、かつ、ポストアナログ時代でもある今日、映画という文化的、歴史的、美学的実体を長期にわたって保存し、広く活用することを使命とするフィルムアーカイブには、どのような可能性と問題が生じつつあるのかを整理・分析し、2日間にわたるシンポジウムの大枠を示す。 | 東京国立近代美術館フィルムセンター 主幹 岡島 尚志 |
11:15- | 第一部:日本映画のデジタル化の変遷 本セッションでは、シンポジウムのテーマである“デジタル映画”の輪郭を捉えるための一つのきっかけとして、日本映画のデジタル化の歩みを映画技術史的な側面から検証する。発表では、日本映画テレビ技術協会への委託事業として行った関係者へのヒアリングを元に、撮影、VFX、上映、アニメーション、音声の各ジャンルにおける、日本映画のデジタル化の変遷について紹介する。 | |
「総論 ~撮影・VFX・上映を中心に~」 | フィルムセンター 佐崎 順昭・三浦 和己 | |
「アニメ・CG 編」 | 一般社団法人 日本映画テレビ技術協会 アニメーション部会 部会長 馬渡 貴志 | |
「音声 編」 | 協同組合 日本映画・テレビ録音協会 理事 港 郁雄 | |
休憩 | ||
13:40- | 第二部:映画におけるデジタル化の現状 | |
「デジタル映画の保存に対する警鐘とこれまでの動向」 20世紀末から本格化したデジタル化の波は映画の分野にも否応なく押し寄せたが、デジタル技術の弱点として長期保存の問題が指摘された。本セッションではデジタル化に対する、海外を中心としたこれまでの取り組みを概観する。 | フィルムセンター 大関 勝久 | |
「日本の映画界におけるデジタルデータの保存と活用の現状」 BDCプロジェクトではこれまで国内の製作会社や各関連団体、公共フィルムアーカイブに対して詳細なアンケートやヒアリング調査を行ってきた。その結果から見えてきたデジタルデータの保存と活用についての最新の現状を報告する。 | フィルムセンター 佐崎 順昭 | |
「デジタルアーカイブの取り組み、スキャンからMAMシステム導入まで」 新作はどこまでデジタル原版として保管し、そのコストをどのように負担するのか。また、旧作のフィルム原版はどうデジタル化し、マネタイズしていくのか。後世に映像作品を残していくうえで、松竹はフィルムスキャンからMAMシステム導入まで、資産の活性化を行い、コストの課題に取り組んでいる。 | 株式会社 松竹映像センター メディア・アセット・マネジメント部 部長 五十嵐 真 | |
「アニメーションにおけるデジタル保存の現況と先進的な取り組み・展望」 ・アニメーション業界におけるアーカイブとデジタル保存の現況と先進的な取組などを踏まえた課題を提起 ・アニメーションという産業モデルから考えるデジタル化の必要性と個社としての取組むべき範囲と業界団体として取組むべき施策 ・そして日本のアニメーション100周年というタイミングをいかした展望 | 一般社団法人 日本動画協会 副理事長 データベース・アーカイブ委員会 担当理事 吉田 力雄 | |
「存在の耐え難き軽さ ~デジタルメディアの命運~」 福岡市では、「アジアフォーカス・福岡国際映画祭」事務局と連携して、映画祭で上映されたアジア映画を、福岡市総合図書館内にあるフィルムアーカイブで収蔵・保存するという活動を20年来続けている。その活動の変遷を紹介するとともに、近年、収蔵対象がフィルムからDCPに移行したことによる、保存の困難さ、その局地的取り組みを報告する。 | 福岡市総合図書館 映像資料課 映像管理員 松本 圭二 | |
「フィルムセンターにおけるデジタル化の取り組み」 フィルムセンターでは、2003年度の「国立美術館映画フィルムデジタル活用推進事業」を契機として、館外からのアクセスに幅広く対応することを念頭に、著作権保護期間の満了した映画のデジタル化と、映画史的に重要な作品のデジタル復元の取り組みを実施してきた。その変遷を追いながら、現状と課題について報告する。 | フィルムセンター 主任研究員 大傍 正規 | |
休憩 | ||
15:40- | 第三部:映画におけるデジタル保存と活用の課題 | |
「技術的課題の整理 ~映画とデジタルを技術的側面から眺めて~」 『映画』と『デジタル』の関係は複雑化し、一般的な視点からではその概要がわかりづらくなっている状況といえる。映画をデジタル技術の側面から眺めた場合の捉え方や特性、および保存と活用のためにどのような課題があるかなどについて整理し紹介する。 ・映画のデジタル技術マップ ・映画のデジタル技術マップ課題一覧 | フィルムセンター 中西 智範 | |
「国立国会図書館におけるデジタルデータの長期保存」 国立国会図書館は、260万点を超えるデジタル化資料や30万点を超える電子書籍・電子雑誌を、OAISの考えも参考に開発したデジタルアーカイブシステムに保存し、「国立国会図書館デジタルコレクション」を通じて館内外に提供している。これまでの取組みや、長期保存に向けた今後の課題について紹介する。 | 国立国会図書館 関西館 電子図書館課 研究企画係 係長 本田 伸彰 | |
「デジタル社会とフィルムアーカイブの法的課題」 従来アナログフィルムを主として保存・活用してきたフィルムアーカイブも、デジタル社会への対応を余儀なくされるようになった。その一方で、社会の変化の進度は速く、さまざまなデジタルアーカイブ活動を促す法整備が追いついているとは言い難い。一足先に法整備に着手した諸外国の動きに触れつつ、国内ではいまだ解決を必要としているいくつかの法的課題について報告する。 | フィルムセンター 松山 ひとみ | |
「映画のデジタル保存と活用の法的課題」 デジタル保存と活用に関する法的論点を整理する。フィルムをめぐる各種権利処理について解説するとともに、今後の活用にむけて、裁定制 度、拡大集中許諾制度、著作権法第31条などの可能性と限界を検討する。 | 五常法律会計事務所 弁護士 数藤 雅彦 | |
「文化・記録映画の著作権情報に関する調査を担当して」 デジタルアーカイブの構築においては、著作権状況の把握が重要になってくる。フィルムセンターの所蔵する文化・記録映画約1万5000件について、映像文化製作者連盟が1959(昭和34)年に立ち上げ、書誌データとして保存する「作品登録」の原簿及びデータベースと照合を行い、著作権情報の検証を行った結果を報告する。 | 公益社団法人 映像文化製作者連盟 事務局長 中嶋 清美 |
1/27(金)対応と今後
10:30- | 第四部:映画におけるデジタルデータの保存対象 | |
「映画におけるデジタルデータの保存対象」 デジタル映画の製作と流通において発生する、多種多様なデータのうち、どの段階で発生するどのデータを、どのような状態で、どういったフォーマットで保存に充てるのか、といった選択は、デジタル映画の保存を考える上での主要な検討課題の一つである。本セッションでは、この課題に関する国内外の現状や技術動向について取り上げ、今後のデジタル原版の姿について考える。 | フィルムセンター 三浦 和己 | |
「デジタルマスターの考え方」 デジタル制作環境の充実とともに作業フローは複雑化し、フォーマットは増え、データは膨大になっている。また、技術の進歩により高解像度化や高輝度化が進み、映像を見る環境は多様化している。今後さらに種類が増えていくことが予想されるデジタルマスターに対する考え方を述べる。 | 株式会社IMAGICA メディア制作事業部 シニアテクニカルディレクター 清野 晶宏 | |
「シーンリニアワークフロー/ACESとアーカイブにおけるその展望」 デジタル映画保存を起点とした白書『デジタルジレンマ』と、ビデオ、フィルム、CG混在のVFX映画を実現する『ACES(Academy Color Encoding System)』規格はともに、AMPAS(映画芸術科学アカデミー)のAndy Maltz氏主導のもと推進されてきた。本講演では、ACES規格の技術概要とそのアーカイブ的側面について詳解した後、現在の映像製作・流通の規格(DCI、BT.2020など)との関わり及びその展望について考察する。 | 株式会社ロゴスコープ 代表取締役 亀村 文彦 | |
「映画音響制作の進化と将来(Dolby StereoからDolby Atmosへ)」 Dolbyサウンドコンサルタントとしてダビングステージでの映画音響制作に携わってきた立場から、フィルム音声トラックの進化と将来について解説し、制作当時の演出意図を損なわずに音声を保存していくための課題について解説する。 | コンチネンタルファーイースト株式会社 ドルビーフィルム制作室 課長 河東 努 | |
休憩 | ||
13:00- | 第五部:映画におけるデジタルデータの保存方法 | |
「デジタルにおける保存の基本とフィルムセンターの取り組み」 デジタル時代においてコンテンツの保存は、アナログ時代に比べて積極的に関与すべき事柄となっている。どのように保存し維持していくか、組織によって現実的な選択をしていく必要がある。デジタル保存戦略・ポリシーなどの基本的な考えを選択肢として示し、フィルムセンターの調査研究プロジェクトにおける取り組みを紹介する。 | フィルムセンター 岡本 直佐 | |
「映画アーカイブにおける映像データの長期保存システムの調査研究の成果について」 デジタル映像データの長期保存という課題に対して、映画アーカイブとしての情報システムの要件と、保存対象のデータに付与すべきメタデータ、およびその構成について検討と実装を行った。調査研究の概要と、摘出した課題について報告を行う。 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 第一公共事業本部 第三公共事業部 部長 杉野 博史 | |
「持続可能な『システム』と『コミュニティ』とは」 変化著しいデジタル化の波において、映画・映像資産を後世に伝えるためには、ひとを含めた『システム』の存在とともに、様々な課題を解決するための『コミュニティ』も重要となる。これまでに行った調査・研究の一端を紹介しながら、この2つのキーワードにどのように向き合ってきたのか、さらには今後の展望などについて紹介する。 | フィルムセンター 中西 智範 | |
「たゆまぬ発展と進化を続けるデジタルアーカイブを創るには」 デジタルアーカイブはデジタルデータを単に保管するシステムではない。保管したデータをいかに利活用するかが重要である。また、デジタル技術の日進月歩の進展を考慮する必要もある。本講演では、慶應義塾大学DMC研究センターにおけるデジタルアーカイブの具体化を通して得られた知見と、デジタルアーカイブの方向性について述べる。 | 慶應義塾大学 理工学部情報工学科 デジタルメディア・コンテンツ統合研究センター 専任講師 金子 晋丈 | |
休憩 | ||
14:40- | 第六部:映画におけるデジタルコレクションの公開と活用 | |
「公開のためのデジタル化とデジタル文化資源の活用」 ヨーロッパの事例(Europeana, EFG, EU Screen)のほか、米国、韓国の取り組みなど、デジタル化した視聴覚コレクションの活用について、先行する海外の事例を紹介する。 | フィルムセンター 松山 ひとみ | |
「デジタルアーカイブに関わる法政策の国際的動向」 多様な文化資源をデジタル・インターネット公開するデジタルアーカイブの施策が重視される中、国内外でデジタルアーカイブ構築を円滑化する著作権法改正や、利活用促進に関わる法的環境の整備が進められている。本講演では欧州や米国の状況を概観した上で、今後の我が国のデジタルアーカイブ法政策のあり方を論じる。 | 東京大学 大学院情報学環 客員准教授 生貝 直人 | |
「映画を語るLinked Data」 映画について語るという時、実はその対象は映画自身だったり出演者だったり舞台だったりと多様で、関係もさまざまである。映画をめぐる言説を一貫した形で記述し、他の分野の情報とも共有可能なモデルを、Linked Dataの手法で考える。 | ゼノン・リミテッド・パートナーズ 代表 神崎 正英 | |
「連想技術によるデータベース間の関連性の発見と活用」 主に所蔵資料を対象としたデータベースの連携をテーマに、技術的な課題と可能性について論じる。具体的には、横断的連想検索サービス「想-IMAGINE」を用いたデータベース間の関連性の見つけ方について説明し、同手法を参考にフィルモグラフィの構築方法を検討する。 | 国立民族学博物館 先端人類科学研究部 准教授 丸川 雄三 | |
休憩 | ||
16:20- | 第七部:今後に向けて | |
「フィルムアーキビストに<新たに>求められる知識と技術」 映画の製作と流通における急速なデジタル化の影響により、デジタルに関する広範な知識・技術が、映画・映像の保存・管理・活用を担う人材に対して新たに求められている。 この状況に対しBDCでは、系統立てた学習機会の提供を目標として技術セミナーを実施した。本発表では、それらの内容を中心に、海外事例も含めて紹介する。 | フィルムセンター 三浦 和己 | |
パネルディスカッション 「映画におけるデジタルシフトへの対応を誰が、どう担ってゆくか」 パネリスト: 谷本萌生(東映株式会社 映像本部 コンテンツ事業部 業務室 係長) 水戸遼平(株式会社IMAGICA 映画・CM制作事業部 アーカイブプロデュースグループ) 生貝直人(東京大学 大学院情報学環 客員准教授) 金子晋丈(慶応義塾大学 理工学部情報工学科 デジタルメディア・コンテンツ統合研究センター 専任講師) とちぎあきら(フィルムセンター 主任研究員) | 司会:大関 勝久(フィルムセンター) | |
閉会挨拶 | 東京国立近代美術館フィルムセンター 主幹 岡島 尚志 |