過去の上映
- 2019.8.13-8.25
- 上映企画
シネマ・エッセンシャル 2019
The Essential Films 2019
11 八月の濡れた砂
真夏の湘南を背景に、暴力とセックスに耽溺する青春を目まぐるしいキャメラワークで瑞々しく描いた藤田の代表作。日活ニューアクションからロマンポルノへの転換期に作られた青春映画である。終盤、大海原のヨットでやり場のない怒りを爆発させる若者の姿と、それでも静かに海を浮遊し続けるヨットの克明な対比が、当時の若い世代の閉塞感を描き出している。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
藤田敏八監督による、若さゆえの鬱屈を描いた映画をもう一つ挙げるとすれば、中上健次原作の『十八歳、海へ』(1979)でしょうか。こちらではバイオレンスは影を潜めますが、自殺遊びにふける男女の予備校生を主人公に、破滅の香りを漂わせた一篇です。