◆太陽の王子 ホルスの大冒険
(1968年 東映動画 カラー シネマスコープ 82分)
メジャー・カンパニー=東映の参入は、わが国のアニメーションの製作に大きな変化をもたらした。長篇動画における初の色彩化、ワイド・スクリーンの導入などに連なるこの作品では、ゼログラフィ(原画をセルに直接転写するシステム)が全面的に採用された。もっとも、1965年頃から大量生産されたテレビ・アニメーションへと東映動画内における製作の比重が移りつつあるなかで、技術的な質の低下を懸念するスタッフの熱意もあり、企画から完成までに3年半が経過している。そのスタッフの一員である高畑勲(長篇初監督)宮崎駿(原画及び場面設計)は現在わが国を代表するアニメーション作家となっている。反体制的色彩の強いストーリー、少女ヒルダに見られる陰影あるキャラクターなど、このジャンルにおける物語の定型を大きく逸脱しており、ユーモアやギャグの希薄さをめぐる当時の批評からは、この作品が斬新な外観をまとって登場したことがうかがわれる。
[スタッフ]
(脚本) 深沢一夫
(演出) 高畑勲
(作画監督) 大塚康生
(美術) 浦田又治
(場面設計) 宮崎駿
(原画) 森康二
(音楽) 間宮芳生
[声の出演]
ホルス (大方斐紗子)
悪魔グルンワルド (平幹二朗)
悪魔の妹ヒルダ (市原悦子)
村の鍛冶屋ガンコ (東野英治郎)
村長 (三島雅夫)