◆嵐を呼ぶ男
(1957年 日活 カラー シネマスコープ 101分)
実兄、石原慎太郎の小説を映画化した『太陽の季節』(1956)でデビューした石原裕次郎は、中平康の『狂った果実』(1956)や田坂具隆の『乳母車』(1956)など新鋭、ベテラン監督の話題作に出演し、着実にスターの道を歩み始めた。港町を舞台にした『俺は待ってるぜ』(1957、蔵原惟繕監督)では、<ここではないどこか>を求める孤独な青年を甘い感傷をまじえて演じ、自らのイメージをスクリーン上に描き出した。また同名の主題歌もヒットさせ、歌う映画スターとしての出発とした。本作はその大スター、石原裕次郎のイメージを決定的にした記念碑的な作品である。1958年の正月映画として公開され、総配収3億5600万円(当時の平均入場料62円)を超える大ヒットとなり、1954年に製作を開始した日活のその後を決定づけた。監督の井上梅次は新東宝からの移籍組だが、裕次郎が指を負傷してドラムを叩くことができず、とっさにマイクを握って歌い始めるというツボを押さえた演出で観客を楽しませ、この一代の大スターの誕生を導きだした。
[スタッフ]
(原作・脚本・監督) 井上梅次
(脚本) 西島大
(製作) 児井英生
(撮影) 岩佐一泉
(照明) 藤林甲
(録音) 福島信雅
(音楽) 大森盛太郎
(美術) 中村公彦
[役名(キャスト)]
国分正一 (石原裕次郎)
福島美弥子 (北原三枝)
左京徹 (金子信雄)
島みどり (芦川いづみ)
メリー丘 (白木マリ)
正一の弟 英次 (青山恭二)
母 貞代 (小夜福子)
チャーリー梅田 (笈田敏夫)
福島慎介 (岡田真澄)
持永 (市村俊幸)