◆白い巨塔
(1966年 大映[東京] 白黒 シネマスコープ 150分)
一人の医学部助教授の教授昇進をめぐって展開される、大学内部の権謀術数の世界を大胆に描いた、山崎豊子の同名小説の映画化作品。発表当時、医学界に波紋を投じた小説であり、近年テレビドラマ化もされ、ふたたび話題を集めた。この映画化では脚本を橋本忍が担当し、1950年代独立プロダクション運動などの活躍で社会派として知られる、山本薩夫が監督にあたっている。「白い巨塔」=「大学医学部」の欺瞞性が、山本監督一流の巧みな語り口で小気味よく暴かれ、痛快な作品となっている。野心に燃える助教授を演じた田宮二郎の魅力も、この作品の成功を支えており、俳優として記念すべき作品となった。山崎豊子原作、山本薩夫監督の同系列の作品に『華麗なる一族』(1974)、『不毛地帯』(1976)がある。
[スタッフ]
(原作) 山崎豊子
(脚本) 橋本忍
(監督) 山本薩夫
(製作) 永田雅一
(撮影) 宗川信夫
(照明) 柴田恒吉
(録音) 奥村幸雄
(音楽) 池野成
(美術) 間野重雄
[役名(キャスト)]
財前五郎 (田宮二郎)
東教授 (東野英治郎)
里見助教授 (田村高廣)
鵜飼教授 (小沢栄太郎)
菊川教授 (船越英二)
船尾教授 (滝沢修)
大河内教授 (加藤嘉)
今津教授 (下条正巳)
財前又一 (石山健二郎)
佐枝子 (藤村志保)
ケイ子 (小川真由美)