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平成22年度
Vプログラム

純情と獰猛さが入り混じった青春の一瞬を、気鋭の監督たちが鮮やかに捉えた青春映画の秀作を紹介いたします。
◆けんかえれじい
 (1966年 日活 白黒 シネマスコープ 86分)


昭和初期、岡山から会津若松に移り住んだ暴れ者の硬派学生が、喧嘩に明け暮れながらも成長してゆく様を活写したおおらかな青春映画。若き高橋英樹が主人公を熱演しているが、爽快なアクションや乾いたユーモアの中に、ふと恋愛感情を覚えた主人公を通して豊かな叙情性が表現されている。山本直純による硬軟のメリハリが効いた音楽も、主人公の揺れ動く心理を的確に表していると言えるだろう。近年、白い髭の老人役で映画やテレビへの出演も多い鈴木清順監督は、もともと日活撮影所に属し、低予算、短い撮影期間による娯楽作品の量産体制、いわゆる「プログラム・ピクチャー」の中で独特のシャープな作風を完成させていった監督である。ラストシーン近くに、やがて2・26事件で処刑される国家主義者北一輝が登場し、戦争に突き進む日本の姿を暗示しているが、原作にはなかったこの設定は鈴木監督が発案したものだという。

[スタッフ]
(原作) 鈴木隆
(脚本) 新藤兼人
(監督) 鈴木清順
(企画) 大塚和
(撮影) 萩原憲治
(照明) 熊谷秀夫
(録音) 秋野能伸
(音楽) 山本直純
(美術) 木村威夫

[役名(キャスト)]
南部麒六 (高橋英樹)
道子 (浅野順子)
スッポン (川津祐介)
カフェーの女給 (松尾嘉代)
団長 タクアン (片岡光雄)
金田 (野呂圭介)
麒六の父 (恩田清二郎)
道子の母 ヨシノ (宮城千賀子)
マンモス先生 (加藤武)
アヒル先生 (浜村純)
近藤大尉 (佐野浅夫)

◆めぐりあい
 (1968年・恩地日出夫・東宝・91分)

解説、スタッフ、役名[キャスト]は、後日アップいたします。

◆八月の濡れた砂
 (1971年 日活 カラー シネマスコープ 91分)


揺れ動く若者の行動と心理を硬質なタッチで瑞々しく描いた青春映画の名作であり、藤田敏八監督の初期の代表作である。主人公たちの〈大人〉に対する不信と反抗の姿勢は、この種の映画に特有なものであると同時に、学生運動などで大きく揺れ動いた1960年代後半の時代の気分を色濃く宿したものと言えるだろう。ただその描写が反抗礼讃、青春万歳の紋切り型ではなく、優しさと残酷さの入り混じった、青春という名の一季節を、静かに見つめている点にこの監督の特徴がある。1950年代の『太陽の季節』とはまた別の、湘南の眩しく気怠い夏がスクリーンに溢れている。製作会社の日活はこの年をもって一般劇映画の製作を中止し、ロマンポルノへと移行したが、本作は青春映画を看板としてきた同社の光芒を放つ一本として「キネマ旬報」ベストテン第10位に選ばれた。

[スタッフ]
(脚本) 峰尾基三
(〃) 大和屋竺
(脚本・監督) 藤田敏八
(企画) 大塚和
(撮影) 萩原憲治
(照明) 大西美津男
(録音) 古山恒夫
(音楽) むつひろし
(〃) ペペ
(美術) 千葉和彦

[役名(キャスト)]
野上健一郎 (村野武範)
西本清 (広瀬昌助)
川西修司 (中沢治夫)
稲垣和子 (隅田和世)
三原早苗 (テレサ野田)
  真紀 (藤田みどり)
亀井 (渡辺文雄)
井手 (地井武男)
五郎 (山谷初男)
神父 (原田芳雄)

◆約束
 (1972年・斎藤耕一・斎藤耕一プロダクション・88分)

解説、スタッフ、役名[キャスト]は、後日アップいたします。

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