◆喜劇・女は男のふるさとヨ
(1971年 松竹 カラー シネマスコープ 90分)
松竹の喜劇「女シリーズ」の第1作。東京新宿でストリッパーを斡旋する芸能事務所には、身寄りがなく、貧しいけれども逞しいダンサーたちが、人情に厚い経営者夫婦の「家族」として住んでいた。ふとしたトラブルから旅回りを決意したダンサーと、彼女を真面目に慕うひとりのファンが、改造した自動車で日本列島を南へと向かう。この作品を演出した森崎東は、庶民の生活からにじみ出る人間臭いエネルギーを笑いとともに描くことに優れた監督で、この映画の脚本は、松竹大船撮影所の先輩である山田洋次と組んで執筆した。このシリーズは、逆境にめげない逞しい女性像と不器用な生き方しかできない男性たちを対比させながら、こうした新しい「家族」の形を示すことで松竹ホームドラマの伝統を引き継いだとも言えるだろう。この映画のヒットに続いて『喜劇・女生きてます』(1971)や『喜劇・女売り出します』(1972)などの力作を送り出している。
[スタッフ]
(原作)藤原審爾
(脚本)山田洋次
(脚本・監督)森崎東
(製作)小角恒雄
(撮影)吉川憲一
(照明)津吹正
(録音)小林英男
(音楽)山本直純
(美術)梅田千代夫
[役名(キャスト)]
金沢(森繁久弥)
竜子(中村メイコ)
笠子(倍賞美津子)
星子(緑魔子)
照夫(河原崎長一郎)
徳田刑事(花沢徳衛)
ケチ権(伴淳三郎)
大学生(佐藤蛾次郎)