◆蜂の巣の子供たち
(1948年 蜂の巣映画部 白黒 スタンダード 84分)
清水宏監督は、自意識過剰なスター俳優を使ってメロドラマを撮っているよりは、子供や風景を自然のままに写しているほうがましだと考えていた。そんなこともあって、戦後、戦災孤児を引き取って自宅で面倒をみていたが、彼らを登場人物に何か作ろうと思いたち、蜂の巣プロを起こして、この作品を製作した。ひとりの復員兵が下関に降りたつ。帰る場所のない彼は、自分が育った非行少年の厚生施設「みかへりの塔」へ帰ろうと、広島、神戸と山陽道を歩いて行く。戦禍の後も生々しい街角や路上で、浮浪児たちや若い娘の引揚者、孤児を束ねている乱暴な男などと出会い、さらに旅を続けていく。全篇ロケーション撮影、俳優たちもすべて素人といった素朴さのうちに、朴訥としたこの監督特有の味わいと時代を見つめる目がある。
[スタッフ]
(脚本・監督・製作)清水宏
(製作同人)山本茂樹
( 〃 )関沢新一
( 〃 )林文三郎
(撮影)古山三郎
(録音)杉山政明
( 〃 )金谷常三郎
(音楽)伊藤宣二
[役名(キャスト)]
復員者(島村俊作)
引揚者(夏木雅子)
叔父貴という男(御庄正一)
医師(伊本紀洋史)
工場主(多島元)
戦災児 晋公( 久保田晋一郎)
〃 豊(岩本豊)
〃 義坊(千葉義勝)