◆伊豆の踊子
(1974年 東宝映画=ホリプロ カラー シネマスコープ 82分)
青春小説の名作として知られる川端康成の同名作の映画化。田中絹代と大日方伝が主演した、五所平之助監督の松竹作品(1933)を第1回として、これまでに全部で6回映画化されている。踊り子を演じたのは、美空ひばり、鰐淵晴子、吉永小百合、内藤洋子らで、いずれもその時代の青春スターであった。本作の特徴は、五所作品と同じく、旅芸人たちの社会的な位置を明確にしている点にある。その視点はラストの印象的なストップモーションからも見てとることができるだろう。西河克己監督にとっては、1963年の吉永小百合主演作品に次いで2度目の映画化であった。山口百恵は1970年代のアイドル歌手で、絶大な人気を誇っていた。相手役となる一高生役は公募され、まだ無名だった三浦友和が抜擢された。この後二人は「百恵=友和」のゴールデンコンビとして12本の作品で共演し数々のヒット作を放ち、1970年代青春映画に大きな足跡を残すが、1980年に結婚。山口百恵は芸能界を引退した。
[スタッフ]
(原作)川端康成
(脚本)若杉光夫
(監督)西河克己
(製作)堀威夫
( 〃 )笹井英男
(撮影)萩原憲治
(照明)高島正博
(録音)木村暎二
(音楽)高田弘
(美術)佐谷晃能
(ナレーター)宇野重吉
[役名(キャスト)]
かおる(山口百恵)
川島(三浦友和)
栄吉(中山仁)
千代子(佐藤友美)
のぶ(一の宮敦子)
百合子(四方正美)
おきみ(石川さゆり)
よし子(宗方奈美)
島屋(江戸家猫八)
福田屋の板前(鈴木ヒロミツ)
茶屋の老婆(浦辺粂子)