逝ける映画人を偲んで2017-2018
In Memory of Film Figures We Lost in 2017-2018
概要
日本映画の輝かしい歴史を築き、惜しまれながら逝去された映画人の方々を、それぞれの代表的作品を上映することで追悼する企画「逝ける映画人を偲んで」を2年ぶりに開催します。この2年のうちにも、日本映画は多くのかけがえのない人々を失いました。
本企画では、2017年1月1日から2018年12月31日の間に逝去された方々へのオマージュとして、62作品(55プログラム)を上映し、70名以上の映画人の業績を回顧・顕彰します。
縁の方々、そして映画ファンの皆様のご来場をお待ち申し上げます。
- 本上映会の歴史を概説した記事「企画上映「逝ける映画人を偲んで」の歴史」をアップしました(7/18)
上映前舞台挨拶のお知らせ(8/14更新)
▶7月17日(水)3:00pm 『NAGISA なぎさ』上映前
ゲスト:松田まどかさん、佐々木和徳さん、小沼勝監督
▶8月20日(火)7:00pm 『NAGISA なぎさ』上映前
ゲスト:松田まどかさん、片桐夕子さん
当館研究員による上映前解説(約5分)のお知らせ(7/12更新)
▶7月13日(土)4:00pm、8月27日(火)7:00pm 『お葬式』[再タイミング版]上映
▶8月20日(火)3:00pm 『天までとどけ』&『白蛇伝』[デジタル復元版]上映前
- 舞台挨拶、上映前解説のみの参加はできません。
プログラム
■(監)=監督・演出 (製)=企画・製作 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (照)=照明 (美)=美術 (録)=録音 (音)=音楽 (出)=出演 (解)=解説・朗読・ナレーション (声)=声の出演
■スタッフ、キャスト欄の人名は原則として公開当時の表記を記載しています。
■上映をもって追悼する方々の名前は、青色で表示しています(出演者の場合、カッコ内は映画中の役名です)。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■特集には不完全なプリントや状態の悪いプリントが含まれていることがあります。
■タイトルの横に*印が付いている作品は、公開当時成人指定を受けた作品です。当該の上映回に女性専用席を設けます。
新雪84分・1942・(出)月丘夢路(千代)(監)五所平之助 近松物語102分・1954・(録)大谷巖(監)溝口健二 処刑の部屋95分・1956・(製)永田秀雅(監)市川崑 海は狂っている88分・1959・(監・脚)古川卓巳(出)川地民夫(牧夫) 嵐を呼ぶ楽団108分・1960・(出)朝丘雪路(緒方セツコ)(監・脚)井上梅次 乾いた湖87分・1960・(出)三上真一郎(下条卓也)(監)篠田正浩 ガス人間㐧1号91分・1960・(照)髙島利雄(出)土屋嘉男(ガス人間水野)、大前亘(記者)(監)本多猪四郎 若い狼83分・1961・(出)夏木陽介(川本信夫)、星由里子(広瀬道子)、菅井きん(川本好子)(監・脚)恩地日出夫 モンローのような女96分・1964・(出)真理明美(いち子)、三上真一郎(吉村)(監・脚)渋谷実 どろ犬92分・1964・(監)佐伯孚治(美)中村修一郎 さよならはダンスの後に91分・1965・(音)小川寛興(出)穂積隆信(バーの客)(監・脚)八木美津雄 女の賭場84分・1966・(出)江波杏子(沢井アキ)(監)田中重雄 上意討ち 拝領妻始末121分・1967・(脚)橋本忍(出)加藤剛(笹原与五郎)、神山繁(高橋外記)(監)小林正樹 十一人の侍100分・1967・(撮)吉田貞次(監)工藤栄一 爽春95分・1968・(出)生田悦子(木川亜矢子)(監・脚)中村登 燃えつきた地図 THE MAN WITHOUT A MAP115分・1968・(撮)上原明(監)勅使河原宏 狙撃86分・1968・(製)貝山知弘(出)大前亘(尾行者A)(監)堀川弘通 コント55号と水前寺清子の神様の恋人89分・1968・(製)浅井良二(脚・監督助手)吉田剛(出)悠木千帆(山上愛子)、生田悦子(女学生)(監・脚)野村芳太郎 ゆけゆけ二度目の処女*65分・1969・(出)秋山未痴汚(少年)(監)若松孝二 高校生番長 深夜放送81分・1970・(出)八並映子(倉本京子)、住吉正博(古賀みちひろ)(監)帯盛迪彦 三里塚 第二砦の人々140分・1971・(撮)田村正毅(監)小川紳介 ゴジラ対ヘドラ85分・1971・(監・脚) 坂野義光(出) 中島春雄(ゴジラ)、大前亘(巡査) 団地妻 昼下りの情事*
団地妻 ニュータウン禁猟区*計135分告白的女優論124分・1971・(撮)長谷川元吉(出)月丘夢路(万紀子の母)(監・脚)吉田喜重 鉄砲玉の美学97分・1973・(出)渡瀬恒彦(小池清)(監)中島貞夫 日本妖怪伝 サトリ100分・1973・(製)高木隆太郎(撮)田村正毅(監・脚)東陽一 青春の蹉跌84分・1974・(音)井上堯之(出)上月左知子(田中君子)(監)神代辰巳 脱獄・広島殺人囚97分・1974・(出)松方弘樹(植田)、渡瀬恒彦(田上)、神山繁(堂本)、名和広(朝井)(監)中島貞夫 宵待草96分・1974・(美)横尾嘉良(監)神代辰巳 メカゴジラの逆襲83分・1975・(照)高島利雄(特殊美術)青木利郎(監)本多猪四郎 華麗なる追跡83分・1975・(出)石橋雅史(尾野沢)(監)鈴木則文 実録三億円事件 時効成立89分・1975・(脚)小野竜之助(監・脚)石井輝男 女高生 夏ひらく唇*69分・1980・(撮)米田実(監)加藤彰 お葬式 [再タイミング版]124分・1984・(出)菅井きん(雨宮きく江)、津川雅彦(木村先生)(監・脚)伊丹十三 あなたはシルック
アリサ ヒトから人間への記録計103分宙ぶらりん*
未亡人セックス─熟れ盛り─*計127分弾丸ランナー81分・1996・(製)中村雅哉(出)大杉漣(黒木)(監・脚・出)サブ 脳と潰瘍
伝説の舞姫・崔承喜 金梅子が追う民族の心計118分犬 走る DOG RACE110分・1998・(製)黒澤満(出)大杉漣(秀吉)(監・脚)崔洋一 ホーホケキョ となりの山田くん103分・1999・(監・脚)高畑勲(声)朝丘雪路(まつ子) NAGISA なぎさ89分・2000・(製)半沢浩(出)出光元(電器屋の主人)、深水三章(おミズ)(監)小沼勝 私は猫ストーカー103分・2009・(撮)たむらまさき(音)蓮実重臣(出)麻生美代子(大家)(監)鈴木卓爾 ペコロスの母に会いに行く113分・2013・(出)赤木春恵(岡野みつえ)、穂積隆信(洋次郎)(監)森﨑東
◆木下忠司(1916-2018)
浜松市生まれ。兄に木下惠介監督、妹に脚本家の楠田芳子がいる。木下惠介の『わが恋せし乙女』(1946)で映画音楽家としてデビュー。以降、松竹や東映作品をはじめ、膨大かつ多岐にわたるジャンルで480本以上の映画音楽を手がけた。2016年には当館にて特集上映「生誕100年 木下忠司の映画音楽」を開催した。
◆橋本忍(1918-2018)
兵庫県神崎郡鶴居村(現・神崎郡市川町)生まれ。伊丹万作に弟子入りし、『羅生門』(1950、黒澤明)で脚本家デビュー。以後、黒澤作品をはじめ、数々の名作のシナリオを執筆する。1973年には橋本プロダクションを設立し、『砂の器』(1974、野村芳太郎)を製作するなど映画界に新風を送り込んだ。監督としても3本の作品を撮った。
◆鈴木清順(1923-2017)
東京生まれ。本名は鈴木清太郎。1948年、松竹大船撮影所に助監督として入社後、1954年に日活移籍。1956年に監督デビューを果たし、『けんかえれじい』(1966)など個性的な作品を次々に監督。1967年の『殺しの烙印』の奇抜さが当時の日活社長の逆鱗に触れ解雇されるが、その後もフリーとして『ツィゴイネルワイゼン』(1980)などを発表。独特の映像表現は海外でも名高い。
◆沢島忠(1926-2018)
滋賀県愛知郡湖東町(現・東近江市)生まれ。1950年、東横映画に入社。1957年の『忍術御前試合』で監督デビュー。美空ひばり主演のミュージカルなど、モダンな感性を東映時代劇に導入した。任俠映画の嚆矢とされる『人生劇場 飛車角』(1963)の監督としても知られる。舞台の脚本・演出家としても大きな足跡を残した。
◆松本俊夫(1932-2017)
名古屋市生まれ。1950年代中頃より新理研映画などで記録映画を撮る一方、精力的に映画理論活動を展開し、映画人たちに多大な影響を与えた。その後もPR映画や実験映画、またビデオアートやTV、演劇等で多彩に活躍し、海外映画祭でも多くの賞を獲得した。1969年には『薔薇の葬列』で長篇劇映画にも進出。大学において多くの後進映像作家を育てた功績も大きい。
◆津川雅彦(1940-2018)
京都市生まれ。父は澤村国太郎、母はマキノ省三の娘・恵美子(女優・マキノ智子)、兄は長門裕之。幼少時より澤村マサヒコ、加藤雅彦の名で映画出演。『狂った果実』(1956、中平康)以後、津川雅彦として本格的に俳優活動を開始。マキノ雅彦名義で『寝ずの番』(2006)など3本の監督作がある。
上映日時(チケット購入)
■作品によって開映時間が異なりますのでご注意ください。
■*印は当該の上映回に女性専用席を設けます。
6/29(土) | |
---|---|
6/30(日) | |
7/1(月) | 休館日 |
7/2(火) | |
7/3(水) | |
7/4(木) | |
7/5(金) | |
7/6(土) | |
7/7(日) | |
7/8(月) | 休館日 |
7/9(火) | |
7/10(水) | |
7/11(木) | |
7/12(金) | |
7/13(土) | |
7/14(日) | |
7/15(月) | 休館日 |
7/16(火) | |
7/17(水) | |
7/18(木) | |
7/19(金) | |
7/20(土) | |
7/21(日) | |
7/22(月) | 休館日 |
7/23(火) | |
7/24(水) | |
7/25(木) | |
7/26(金) | |
7/27(土) | |
7/28(日) | |
7/29(月) | 休館日 |
7/30(火) | |
7/31(水) | |
8/1(木) | |
8/2(金) | |
8/3(土) | |
8/4(日) | |
8/5(月) | 休館日 |
8/6(火) | |
8/7(水) | |
8/8(木) | |
8/9(金) | |
8/10(土) | |
8/11(日) | |
8/12(月) | 休館日 |
8/13(火) | |
8/14(水) | |
8/15(木) | |
8/16(金) | |
8/17(土) | |
8/18(日) | |
8/19(月) | 休館日 |
8/20(火) | |
8/21(水) | |
8/22(木) | |
8/23(金) | |
8/24(土) | |
8/25(日) | |
8/26(月) | 休館日 |
8/27(火) | |
8/28(水) | |
8/29(木) | |
8/30(金) | |
8/31(土) | |
9/1(日) |
当日券 入場方法
当日券(発券=2階受付)
- 料金
- 一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
◆当日券でご入場される方には、開館と同時に、当日上映される全ての回の入場整理券を1階ロビーにて発券します。
- 各回の開映後の入場はできません。
- 当日券の発券は、定員に達し次第締切ります。
- 学生、シニア(65歳以上)、障害者、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズの方は、証明できるものをご提示ください。
- 当日券の発券は各回1名につき1枚のみです。
入場方法
- 前売券をお持ちの方は、開場時(開映30分前)に、前売券に記載された整理番号順にご入場いただけます。
- その後は、当日券の整理券をお持ちの方が、整理番号順にご入場いただけます。前売券をお持ちの方は、随時ご入場いただけます。
- 前売券・当日券は当日・当該回のみ有効です。
前売券 入場方法
前売券
6月15日(土)10時より、チケットぴあにて全上映回の前売券(全席自由席・各100席分)を販売します。
[Pコード:550-012]
- 前売料金
- 一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円
- 別途発券手数料がかかります。
- 各回の開映後の入場はできません。
- 学生、シニア(65歳以上)の方は証明できるものをご提示下さい。
前売券の購入方法
[Pコード:550-012]
チケットぴあ店舗、セブン-イレブンで購入
6月15日(土)より各プログラムの前日まで
⇒前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円がかかります。
受付電話(0570-02-9999)で購入
6月15日(土)より各プログラムの4日前23:59まで購入可能
⇒前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円がかかります。
- 毎週火・水2時30分~5時30分はシステムメンテナンスのため受付休止となります。
チケットぴあのサイト(http://w.pia.jp/t/nfaj-yukeru/)で購入
購入時期によってご利用可能な決済方法が異なります。
⇒前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円、また決済方法によって1件につき決済手数料がかかる場合があります。
前売券の払い戻し、交換、再発行はいたしません。
7/21(日)1:00pm「天までとどけ」と『白蛇伝』[デジタル復元版]上映の回の前売券は完売しました。当日券(200枚ほど)をご利用ください。(7/20更新)
入場方法
- 前売券をお持ちの方は、開場時(開映30分前)に、前売券に記載された整理番号順にご入場いただけます。
- その後は、当日券の整理券をお持ちの方が、整理番号順にご入場いただけます。前売券をお持ちの方は、随時ご入場いただけます。
- 前売券・当日券は当日・当該回のみ有効です。
企画上映「逝ける映画人を偲んで」の歴史
「逝ける映画人を偲んで」は、当館で現在も続く上映企画としては最も古いものです。その最初の上映会「特集・逝ける映画人を偲んで」は、昭和49(1974)年6月20日から7月4日まで、のべ13日間開催され、ジョン・フォードやジャン=ピエール・メルヴィル、アンナ・マニャーニといった外国の映画人8名と、森雅之や坂本武ら日本の映画人5名の計13名を、13作品の上映で偲びました*。下に掲載したのは、その時のチラシです。

チラシ冒頭では、次のように趣旨を説明しています。
映画史に光彩を放った秀作の創造に大きく貢献し、近年(1973~74)惜しまれつつ逝去された内外の映画監督、ならびに俳優を偲んで、それぞれの代表的作品により生前の業績を回顧することとし、ここに「特集・逝ける映画人を偲んで」を企画開催いたします。
ひろく映画愛好者のかたがたの御鑑賞をおすすめします。
本上映会のこの趣旨は、現在も基本的に変わっていません。本上映会はその後、対象とする映画人を、監督や俳優のみならず製作の各パートのスタッフに拡大し、採り上げる人数も増やしていきますが、外国映画の上映プリントの多くを国内からの借用に頼っていたこと、また、当館のナショナル・フィルムアーカイブとしての役割の拡大に伴い、1986年からは日本の映画人だけを対象にするようになります。2007年以降は2年に1回の周期で開催しています。今年の「逝ける映画人を偲んで2017-2018」は通算で29回目の開催となり、今までに追悼した映画人(今年を含む)は計1,126名、上映作品は1,225作品にのぼります。







近年(2007~17年)の「逝ける映画人を偲んで」の上映会チラシ(NFCカレンダー)
*なお、前年の昭和48(1973)年10月2日に、その年の8月に逝去したジョン・フォード監督を偲び、臨時に「ジョン・フォード監督の回顧上映」を1日だけ開催している(上映作品は『アイアン・ホース』〔1924年〕)。
〈参考文献〉
岡島尚志「追悼の回顧 「特集・逝ける映画人を偲んで」とフィルムセンターの歴史」『NFCニューズレター』第122号(2015年8月-9月号)、2頁。
『東京国立近代美術館 年報』各号
『NFCニューズレター』各号
「NFCカレンダー」該当号
(2019年7月18日更新)