国立映画アーカイブ開館記念 
生誕100年 映画美術監督 木村威夫
Inaugurating NFAJ:
Art Director Takeo Kimura at His Centenary [exhibition]

チラシ画像

概要

会場
国立映画アーカイブ 展示室(7階)
会期
2018年10月16日(火)-2019年1月27日(日)
*期間中に展示替えがございます。
開室時間
11:00am-6:30pm(入室は6:00pmまで)*毎月末金曜日は11:00am-8:00pm(入室は7:30pmまで)
休室日
月曜日、12月24日(月)~2019年1月3日(木)は休室です。
観覧料

一般250円(200円)/大学生130円(60円)/シニア・高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブ及び東京国立近代美術館のキャンパスメンバーズ、有効なMOMATパスポートをお持ちの方は無料

  • 料金は常設の「日本映画の歴史」の入場料を含みます。
  • ( )内は20名以上の団体料金です。
  • 学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方はそぞれ入室の際、証明できるものをご提示ください。
  • 国立映画アーカイブの上映観覧券(観覧後の半券可)をご提示いただくと、1回に限り団体料金が適用されます。
  • 2017年度までに入手されたMOMATパスポート(裏面にフィルムセンター展示室と記載のあるもの)は、期限の終了までは国立映画アーカイブ展示室においてもご使用になれます。
  • 2018年11月3日(土・祝)は、「文化の日」のため展示を無料でご覧いただけます。
主催
国立映画アーカイブ
特別協力
京都造形芸術大学芸術学部映画学科
協力
日本映画・テレビ美術監督協会

映画美術とは、人の情念を表現する仕事である――木村威夫

今年生誕100年を迎えた映画美術の巨匠木村威夫(1918-2010)は、1944年のデビュー以来60年以上にわたって第一線で活躍してきました。大手映画会社の大作から若手の自主製作作品まで、劇場公開された長篇だけでも240本を超える作品に参加し、豊田四郎、田坂具隆、鈴木清順、熊井啓、黒木和雄など、個性の異なる名監督たちとの仕事の中で、綿密な考証に裏付けられた大胆な発想力と、リアリズムと幻想の境界を自由に飛び越える柔軟性を発揮して、数々の名作誕生に貢献しました。また、大学や映画教育機関では後進の育成に積極的に携わり、晩年には監督としてもデビューするなど、最後まで旺盛に活動を続けました。

本展覧会では、木村威夫の遺品の多くを保管する京都造形芸術大学芸術学部映画学科のご協力をいただき、本人が描いた図面やデザイン画などの貴重な資料を通じて、美術監督として独自の世界を築き上げた木村威夫の思考の軌跡をたどります。

木村威夫略歴

1918年東京生まれ。1935年から舞台美術家伊藤熹朔に師事。1941年、日活多摩川撮影所入所。翌年日活は数社と合併して大映になり、1944年、伊賀山正徳監督『海の呼ぶ聲』の美術で一本立ち(公開は翌年)。以後も順調にキャリアを積み、1954年、製作再開した日活に移籍。幅広いジャンルで手腕を発揮し、戦後の日本映画黄金期を代表する美術監督のひとりとして活躍。1971年にフリーとなった後は独立系の作品でも才能を開花させる。毎日映画コンクール美術賞ほか受賞多数。2004年には監督デビューを果たした。

不忍池にて(2002年) 撮影:松尾正信
『本覺坊遺文 千利休』セットにて
撮影:大橋弘

映画美術について

映画は多彩な職能集団によって製作される総合芸術です。その中で映画美術は監督の演出方針に基づいて、シナリオに描かれた時代、場所、空間を具体的に示す役割を担っています。撮影がスタジオであれロケーションであれ、デザインを練って図面を引き、各美術パートに指示して演出プランを形にすべく精魂を傾けます。他方では予算の制約と理想の追求の狭間で現実的な解決を見出すバランス感覚も必要です。映画美術は鑑賞される《美術品》とは異なる実用的な《造形物》で、撮影が終われば解体される運命にあります。しかし、この《造形物》は、スクリーンの中でその《美術》としての輝きを保ち続けるのです。

『ピストルオペラ』より「野良猫」(2001年)
『父と暮せば』より「廃墟の中の家」(2003年)
『忍ぶ川』より「別れの道」(1972年)
『サンダカン八番娼館 望郷』より「サンダカン娼館街 [準]決定図面」(1974年)
『ツィゴイネルワイゼン』シナリオ
スクラップブック「新聞社」
『春琴物語』スケッチ帖(1954年)

出品リスト

凡例

  • 出品内容はやむを得ず変更される場合があります。
  • 所蔵者が特記された資料以外は京都造形芸術大学芸術学部映画学科の保管資料です。
  • 本リストの通番と会場内での配列順序は一致していない場合があります。
  • 一部展示替えがございます。
第1章 生い立ち─演劇活動から映画の世界へ(1918–1941)
1.写真:恵比寿帝國館(1910年代) 国立映画アーカイブ所蔵
2.写真:父・小松喜代子 山脇家所蔵
3.絵画作品:(無題) 小松喜代子画(制作年不明) 山脇家所蔵
4.写真:小松喜代子の東京美術学校卒業記念(1916年) 山脇家所蔵
5.雑誌:『小學生』(1913年) 小松喜代子表紙画 山脇家所蔵
6.写真:青山学院中学部時代の木村威夫 山脇家所蔵
7.写真:新歌舞伎座外観 早稲田大学演劇博物館所蔵
8.演劇資料:青年歌舞伎初春興行チラシ(1934年) 早稲田大学演劇博物館所蔵
9.写真:木村威夫(1941年頃) 山脇家所蔵
10.写真:伊藤熹朔 山脇家所蔵
11.演劇資料:テアトル・コメディ第27回公演番組(1936年) 早稲田大学演劇博物館所蔵
12.絵画作品:青春時代「彷徨の私」(1990年)
13.雑誌(2点):廻覧雑誌『栴檀』 山脇家所蔵
14.写真(2点):『絢爛たる復讐』(1946年、小石栄一・吉村廉共同監督) 株式会社KADOKAWA、国立映画アーカイブ所蔵
15.絵画作品:「トルストイ『復活』牢獄―カチューシャ―」(1946年)
16.写真(2点):「復活(カチューシャ)」明治座(1941年) 早稲田大学演劇博物館所蔵
第2章 大映時代(1942–1954)
17.平面図(2点):『海の呼ぶ聲』(1945年、伊賀山正徳監督)
18.写真(2点):『海の呼ぶ聲』
19.写真:「たらちね海」邦楽座(1943年) 早稲田大学演劇博物館所蔵
20.絵画作品:『夜のプラットホーム』(1948年、田口哲監督)より「地下酒場」(1972年頃)
21.写真:『夜のプラットホーム』
22.絵画作品:『情熱の人魚』(1948年、田口哲監督)より「ショーの場面」(1972年)
23.写真(2点):『情熱の人魚』
24.ポスター:『情熱の人魚』 国立映画アーカイブ所蔵
25.平面図(3点):『雁』(1953年、豊田四郎監督)
26.写真(3点):『雁』無縁坂セット
27.書籍:『日本之名勝』(1900年)
28.スクラップブック:「豊田班 雁 参考寫眞 明治風の建築」
29.シナリオ:『雁』 未訂稿
30.写真(4点):『雁』 国立映画アーカイブ所蔵
31.ビデオ:『雁』 協力 株式会社KADOKAWA
32.絵画作品:『或る女』(1954年、豊田四郎監督)より「鎌倉の隠れ家」(1954年)
33.絵画作品:『或る女』より「葉子後姿」(1954年)[複製] 木村荘八画 調布市武者小路実篤記念館所蔵
34.写真(2点):『或る女』
35.絵画作品(6点):『或る女』(1954年)より 木村荘八画 調布市武者小路実篤記念館所蔵
※3点ずつ展示替えあり 前期:2018年10月16日~12月2日/後期:2018年12月4日~2019年1月27日
36.写真(2点):霊南坂教会
37.ポスター:『或る女』 国立映画アーカイブ所蔵
38.絵画作品:『春琴物語』(1954年、伊藤大輔監督)より「春琴の歩く橋の一角」(1972年頃)
39.セットデザイン(3点):『春琴物語』
40.平面図(4点):『春琴物語』
41.平面図(2点):『春琴物語』 井上章整図 協力 高津装飾美術株式会社
42.写真(4点):『春琴物語』 国立映画アーカイブ所蔵
43.スケッチ帖(3点):『春琴物語』
44.スクラップブック:「春琴抄 京都街 片山 萩原 鶴ノ家」
45.ビデオ:『春琴物語』 協力 株式会社KADOKAWA
第3章 日活時代(1954–1971)
46.スクラップブック:「新聞社」
47.写真(3点):『黑い潮』(1954年、山村聰監督)
48.平面図:『雑居家族』(1956年、久松静児監督)
49.スクラップブック:「小住宅」
50.写真アルバム:『雑居家族』 日活株式会社所蔵
51.写真(2点):『雑居家族』
52.スクラップブック:「安アパート 引揚寮」
53.写真(9点):『陽のあたる坂道』(1958年、田坂具隆監督)ロケハン記録
54.写真(2点):『陽のあたる坂道』
55.ポスター:『陽のあたる坂道』 国立映画アーカイブ所蔵
56.ビデオ:『陽のあたる坂道』 協力 日活株式会社
57.図面(7点):『昭和のいのち』(1968年、舛田利雄監督) 日活株式会社所蔵
58.資料:「昭和のいのち―世相風俗資料」
59.写真:『昭和のいのち』(6点) 国立映画アーカイブ所蔵
60.ポスター:『昭和のいのち』 国立映画アーカイブ所蔵
61.絵画作品(2点):『花と怒涛』(1964年、鈴木清順監督)より(1963年)
62.写真(2点):『花と怒涛』 国立映画アーカイブ所蔵
63.ポスター:『花と怒涛』 国立映画アーカイブ所蔵
64.ビデオ:『花と怒涛』 協力 日活株式会社
65.絵画作品(3点):『肉体の門』(1964年、鈴木清順監督)より(1972年頃)
66.写真(11点):『肉体の門』
67.写真アルバム:『肉体の門』 日活株式会社所蔵
68.シナリオ:『肉体の門』
69.ポスター:『肉体の門』 国立映画アーカイブ所蔵
70.ビデオ:『肉体の門』 協力 日活株式会社
71.絵画作品:「東京哀詩」より「戦後の有楽町」(1948年)
72.絵画作品(2点):「焼けあと風景」「闇市風俗」(制作年不明)
73.図面(12点):『刺青一代』(1965年、鈴木清順監督) 日活株式会社所蔵
74.写真(2点):『刺青一代』 日活株式会社所蔵
75.ポスター:『刺青一代』 国立映画アーカイブ所蔵
76.ビデオ:『刺青一代』 協力 日活株式会社
77.絵画作品(2点):『東京流れ者』(1966年、鈴木清順監督)より(1972年頃)
78.ポスター:『東京流れ者』 国立映画アーカイブ所蔵
79.ビデオ:『東京流れ者』 協力 日活株式会社
80.シナリオ:「サラサーテの盤」 準備稿
81.シナリオ(2点):『ツィゴイネルワイゼン』(1980年、鈴木清順監督)
82.写真(8点):『ツィゴイネルワイゼン』ロケハン記録
83.ポスター:『ツィゴイネルワイゼン』 国立映画アーカイブ所蔵
84.絵画作品(2点):『ピストルオペラ』(2001年、鈴木清順監督)より(2001年)
85.ポスター:『ピストルオペラ』 国立映画アーカイブ所蔵
86.シナリオ:『花と怒涛』
87.自筆原稿:「カポネ大いに泣く。」シナリオ
88.シナリオ(3点):『カポネ大いに泣く』(1985年、鈴木清順監督)
第4章 フリーの時代(1971–2010)
89.絵画作品(2点):『忍ぶ川』(1972年、熊井啓監督)より(1972年)
90.図面(6点):『忍ぶ川』
91.スクラップブック:「米澤寺院 米澤住宅」
92.写真(3点):『忍ぶ川』 国立映画アーカイブ所蔵
93.絵画作品:『サンダカン八番娼館 望郷』より「 ボルネオの娼家」(1974年)
94.資料写真(2点):1940年代のサンダカン
95.平面図(2点):『サンダカン八番娼館 望郷』
96.写真(2点):『サンダカン八番娼館 望郷』撮影風景
97.写真(2点):『サンダカン八番娼館 望郷』 国立映画アーカイブ所蔵
98.写真(8点):『サンダカン八番娼館 望郷』セット建込記録
99.絵画作品:『本覺坊遺文 千利休』(1989年、熊井啓監督)より「本覚坊 草庵」(1989年頃)
100.平面図(2点):『本覺坊遺文 千利休』
101.写真(8点):『本覺坊遺文 千利休』セット建込記録
102.写真:『本覺坊遺文 千利休』セットの木村威夫 大橋弘撮影
103.写真(2点):『本覺坊遺文 千利休』 国立映画アーカイブ所蔵
104.ポスター:『本覺坊遺文 千利休』 国立映画アーカイブ所蔵
105.絵画作品(2点):「俊寛」(未映画化作品)より(制作年不明)
106.シナリオ:「平家物語」初稿
107.シナリオ:「(仮題)平家物語 俊寛」第七稿
108.セットデザイン(2点):「俊寛」
109.図面(2点):「俊寛」
110.絵画作品(2点):『ZIPANG』(1990年、林海象監督)より「回廊」(1989年)
111.セットデザイン:『ZIPANG』より「ラセン階段」 丸山裕司画 丸山裕司氏所蔵
112.写真(6点):『ZIPANG』撮影風景
113.ポスター:『ZIPANG』 国立映画アーカイブ所蔵
114.絵画作品:『父と暮せば』(2004年、黒木和雄監督)より「廃墟の中の家」(2003年頃)
115.図面(2点):『父と暮せば』
116.写真(8点):『父と暮せば』スタジオセット記録
第5章 監督作品と文筆活動
117.シナリオ:「87×26の瘤広場(仮題)」 初稿
118.シナリオ:「こぶ広場(仮題)」 決定稿
119.雑誌(3点):同人誌『ストイケイオン』 山脇家所蔵
120.ポスター:『夢のまにまに』 国立映画アーカイブ所蔵
121.ポスター:『黄金花 秘すれば花、死すれば蝶』 山脇家所蔵
122.絵画作品:自画像(1973年)
123.書籍(6点):木村威夫著書 山脇家所蔵
124.雑誌:『映畫美術』第1号(1947年) 山脇家所蔵
125.自筆原稿:「「ひかり」についての幼児よりの印象を記す。」(2010年) 山脇家所蔵
126.雑誌:『映像照明』第76号(2010年)
127.写真:書庫の木村威夫(1990年) 山脇家所蔵

イベント

トークイベント

木村威夫の映画美術の世界

日時
2018年12月15日(土)
講師
嵩村裕司(京都造形芸術大学芸術学部映画学科准教授)
時間
3:30pm-
場所
展示室ロビー(7F)

展示品解説

日時
2019年1月19日(土)
講師
紙屋牧子(国立映画アーカイブ特定研究員)
時間
3:30pm-
場所
展示室内(7F)
  • 申込不要、参加無料(展示室内で開催のトークは、観覧券が必要です)。
  • 国立映画アーカイブの上映観覧券(観覧後の半券可)をご提示いただくと、1回に限り団体料金が適用されます。

上映企画

上映企画「国立映画アーカイブ開館記念 生誕100年 映画美術監督 木村威夫」

国立映画アーカイブの開館記念上映企画として、「生誕100年 映画美術監督 木村威夫」を開催。美術監督第一作『海の呼ぶ聲』(1945年)を含む20作品を上映。

会期:2018年11月6日(火)~25日(日)
  • 会期中に木村威夫と仕事を共にした美術デザイナーによる座談会を予定しています。