生誕120年 映画監督 中川信夫
Nobuo Nakagawa Retrospective

概要
今年生誕120年を迎える中川信夫(1905-1984)は、社会や境遇に囚われず自由でありたいと願う人間の性とその悲哀を、ユーモアと創意に満ちた演出を通して描き続けた映画監督です。
1905年に京都に生まれ、神戸の育英商業学校在学中から横光利一らの新感覚派文学に親しんだ中川は、次第に映画に傾倒し『キネマ旬報』寄書欄等の常連となります。1925年、帝国キネマ小阪撮影所で短いあいだ撮影助手をつとめた後、知人のつてを頼り、1929年にマキノプロダクションに助監督として入社します。マキノプロでは脚本家の山上伊太郎を師と仰ぎ多くのシナリオを執筆しますが、1931年に同社は解散、翌年に市川右太衛門プロダクションに入ります。同プロの第二部で初監督した『弓矢八幡剣』(1934)が評価され、『東海の顔役』(1935)で本格デビュー。1936年、右太プロが松竹キネマに吸収されたためマキノトーキー製作所へ入社、第1回作として手がけた『修羅八荒 第一篇』(1936)以降、多様な映画ジャンルの職人監督として研鑽を積みます。
1937年にはマキノトーキーが解散、J.O.スタヂオ系の今井映画製作所を経て、転機となる東宝映画入り。同社ではエノケン映画を多く監督し、文芸映画『虞美人草』(1941)の完成後に映画会社の戦時統合のあおりを受けて契約解除、1942年に中華電影公司(上海)に入って文化映画『浙贛鉄道建設』の撮影に携わります。
敗戦の翌年に帰国し、京都太秦の大同映画を経て、1948年に新東宝のエノケン主演作『馬車物語』で監督復帰します。以後、東映、東宝、宝塚映画など東西の撮影所で仕事をしながら、1961年の解散まで新東宝に腰を据えます。この時期に、怪談映画の集大成にして日本映画史に残る傑作『東海道四谷怪談』(1959)や、人間の業と魂の救済を描いた渾身の力作『地獄』(1960)など、無声映画期から一貫して培われてきた映画作りの資質が、最良の成果として結実します。1960年代は東映を中心に活躍し、1962年以降はテレビ映画の演出も手がけます。1982年にはATGで遺作『怪異談 生きてゐる小平次』を残しました。
本特集は、酒と豆腐をこよなく愛した中川監督の没後に発足した酒豆忌実行委員会と、国際放映株式会社の協力を得て、助監督時代の作品から、テレビ映画を含む計59本を53プログラムに組んだ過去最大規模の回顧特集となります。映画ジャンルにとらわれない中川作品の魅力は、私たち観客をいまも圧倒してやみません。国立映画アーカイブの大スクリーンでぜひお楽しみください。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
開催概要
- 会期
- 2025年5月13日(火)-7月6日(日)※会期中の休館日:月曜日
- 会場
- 長瀬記念ホール OZU(2階)
- 定員
- 310名(各回入替制・全席指定席)/各回の開映後の入場はできません。
- 主催
- 国立映画アーカイブ
- 協力
- 酒豆忌実行委員会、国際放映株式会社
[NFAJプログラムNo.64 | 上映会番号 484]
プログラム
懷古二十五年 草に祈る 他計85分 日本一の岡っ引/伊太八縞計105分 エノケンの頑張り戰術74分・1939・中川信夫 新篇 丹下左膳 隻眼の巻62分・1939・中川信夫 金語樓のむすめ物語67分・1940・中川信夫 エノケンの譽れの土俵入57分・1940・中川信夫 虞美人草88分・1941・中川信夫 馬車物語69分・1948・中川信夫 エノケンのとび助冒險旅行76分・1949・中川信夫 私刑(リンチ)88分・1949・中川信夫 當り矢金八捕物帖 千里の虎79分・1950・中川信夫 若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷86分・1950・中川信夫 疾風鬼姫街道[鬼姫しぐれ 改題短縮版]86分 ・1951・中川信夫 高原の駅よさようなら71分・1951・中川信夫 さすらいの旅路82分・1951・中川信夫 犬姫様72分・1952・中川信夫 金さん捕物帖 謎の人形師92分・1953・中川信夫 草を刈る娘[思春の泉 改題]88分・1953・中川信夫 若き日の啄木 雲は天才である100分・1954・中川信夫 石中先生行狀記 青春無錢旅行89分・1954・中川信夫 番場の忠太郎86分・1955・中川信夫 青ヶ島の子供たち 女教師の記録96分・1955・中川信夫 人形佐七捕物帖 妖艶六死美人75分・1956・中川信夫 人形佐七捕物帖 大江戸の丑満刻72分・1957・中川信夫 怪談かさねが渕[怪談累が渕 改題]66分・1957・中川信夫 ひばりが丘の対決74分・1957・中川信夫 将軍家光と天下の彦左66分・1957・中川信夫 毒婦高橋お伝74分・1958・中川信夫 亡霊怪猫屋敷67分・1958・中川信夫 憲兵と幽霊75分・1958・中川信夫 俠艶小判鮫/続 俠艶小判鮫計143分 女吸血鬼78分・1959・中川信夫 影法師捕物帖85分・1959・中川信夫 東海道四谷怪談77分・1959・中川信夫 雷電/続 雷電計160分 女死刑囚の脱獄78分・1960・中川信夫 地獄101分・1960・中川信夫 旗本喧嘩鷹81分・1961・中川信夫 かあちゃん88分・1961・中川信夫 八百万石に挑む男95分・1961・中川信夫 旗本退屈男 謎の珊瑚屋敷88分・1962・中川信夫 悲しみはいつも母に83分・1962・中川信夫 まぼろし天狗90分・1962・中川信夫 紀州の暴れん坊83分・1962・中川信夫 稲妻峠の決斗91分・1962・中川信夫 日本殘酷物語100分・1963・中川信夫 男の嵐80分・1963・中川信夫 コメットさん/無宿侍計73分 怪談 蛇女85分・1968・中川信夫 さくら盃 義兄弟83分・1969・中川信夫 妖艶毒婦伝 人斬りお勝89分・1969・中川信夫 妖艶毒婦伝 お勝兇状旅84分・1969・中川信夫 怪異談 生きてゐる小平次78分・1982・中川信夫
■ (監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演
■ スタッフ、キャスト欄の人名は原則として公開当時の表記を記載しています。
■ 上映分数は当日のものと多少異なることがあります。
■ 不完全なプリントや状態の悪いプリントが含まれていることがあります。
■ NEWとある作品はニュープリントでの上映です。
■ ♪の回は伴奏付上映です。★の回は講演がございます。
上映カレンダー
5/13(火) | |
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5/14(水) | |
5/15(木) | |
5/16(金) | |
5/17(土) | |
5/18(日) | |
5/19(月) | 休館日 |
5/20(火) | |
5/21(水) | |
5/22(木) | |
5/23(金) | |
5/24(土) | |
5/25(日) | |
5/26(月) | 休館日 |
5/27(火) | |
5/28(水) | |
5/29(木) | |
5/30(金) | |
5/31(土) | |
6/1(日) | |
6/2(月) | 休館日 |
6/3(火) | |
6/4(水) | |
6/5(木) | |
6/6(金) | |
6/7(土) | |
6/8(日) | |
6/9(月) | 休館日 |
6/10(火) | |
6/11(水) | |
6/12(木) | |
6/13(金) | |
6/14(土) | |
6/15(日) | |
6/16(月) | 休館日 |
6/17(火) | |
6/18(水) | |
6/19(木) | |
6/20(金) | |
6/21(土) | |
6/22(日) | |
6/23(月) | 休館日 |
6/24(火) | |
6/25(水) | |
6/26(木) | |
6/27(金) | |
6/28(土) | |
6/29(日) | |
6/30(月) | 休館日 |
7/1(火) | |
7/2(水) | |
7/3(木) | |
7/4(金) | |
7/5(土) | |
7/6(日) |
■ チケットのオンライン発売は各上映日の3日前正午からとなります。
■ チケットのオンライン完売情報は、公式チケットサイトにてご確認ください。
■ 各回の開映後の入場はできません。予告篇はなく、本篇から上映します。
伴奏付上映出演者
♪5月31日(土) 14:00 『懷古二十五年 草に祈る』
神﨑えり(こうざき・えり)/作曲、ピアノ
国立音楽大学作曲学科、パリ国立高等音楽院ピアノ即興演奏科卒業。作曲家・即興演奏家・ピアニストとして国内外で活躍し、即興演奏による映画伴奏にも力を入れている。ポルデノーネ無声映画祭、東京国際映画祭などの国際映画祭にて招待演奏を行い、高い評価を得ている。
トークのお知らせ
- ゲストは予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。
- トークイベントのみの参加はできません。
チケット案内
- 通常料金
-
- 520円
- 一般
- 310円
- 高校・大学生・65歳以上
- 100円
- 小・中学生
- 無料
- 障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)
キャンパスメンバーズ(教職員)
キャンパスメンバーズ(学生)
- 特別料金
(♪印の回) -
- 1,050円
- 一般
- 840円
- 高校・大学生・65歳以上
- 600円
- 小・中学生
- 500円
- キャンパスメンバーズ(教職員)
- 400円
- キャンパスメンバーズ(学生)
- 無料
- 障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)
- オンライン販売
- 各上映日の3日前正午から各上映回の開映15分前まで
- 窓口販売(1F)
- 各上映回の開映1時間前から5分前まで若干数販売
電子チケット購入方法
- 本ホームページの上映カレンダーからご覧になりたい上映日時の「チケット購入」ボタンを選択。
- 座席と券種を選択。
- メールアドレスやクレジットカードまたはd払いの情報等必要事項を入力。
- 申込が完了しますと、3. で入力したメールアドレスにQRコード付きのチケットが届きます。
入場方法
- チケットのQRコードをスマホ画面、または印刷紙面でご提示ください。
- 学生、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方、国立美術館のキャンパスメンバーズ、優待の方は証明できるものをご提示ください。ご提示のない方はご入場できません。
- 料金区分の違うチケットでは入場できません。差額のお支払で観覧することはできません。
- 各回の開映後の入場はできません。予告篇はございません。
- 開場は開映30分前です。
注意事項
- 特集名、作品名は電子チケットに表示されませんので、お間違いないようご購入、ご提示ください。
- 窓口でご購入いただける当日券は各回1名につき1枚のみです。
- チケットのオンライン完売情報は、公式チケットサイトにてご確認ください。