講演:「無声映画の美しさ La Bellezza del Cinema Muto」
小松弘(早稲田大学文学学術院教授)

『ダイヤの王國』のフィルムコマ

無声映画がもし現代において、もはや不在の映画の美を回復する契機を与えてくれるのだとしたら、それは単に無声映画が無言であるからだけではなく、現代の映画においてはもはや復元が不可能な―いや復元される必要もないのだが―、別種の次元の映像が展開するからに違いない。そこには如何なる秘儀が存在するのか?

小松弘
早稲田大学文学学術院教授。無声映画の代表的な研究者として世界的に知られ、主な著作に『起源の映画』(青土社、1991)、『ベルイマン』(清水書院、2000)、共訳書にサドゥール『世界映画全史』(国書刊行会、全12巻)などがある。2002年にジャン・ミトリ賞受賞。
ジャン・ミトリ賞
映画遺産の保護や復元を支援・促進してきたポルデノーネ無声映画祭が、1986年に制定した国際的な賞。無声映画の発掘や評価に際立った貢献を果たした個人・団体に贈られる。ジャン・ミトリはフランスを代表する映画批評家・理論家で、ポルデノーネ無声映画祭の初代名誉会長を務めた。