NFAJ Digital Gallery – No.18

公開日:2019年3月29日

第18回 無声期日本映画のスチル写真(8)─新興キネマ

「無声期日本映画のスチル写真」第8回は新興キネマを取り上げ、溝口健二、内田吐夢らの作品をご紹介します。いずれもフィルムが現存しないため、作品のイメージを知るうえで貴重な資料ばかりです。写真はすべて国会図書館旧蔵資料から選定しました。

※解説・あらすじは文献に基づく。

『何が彼女を殺したか』(1931年) Nani ga kanojo o koroshitaka

写真/Photo

1931年9月24日 浅草 常盤座 First release: Sep. 24, 1931

監督:鈴木重吉 Director: Shigeyoshi Suzuki

併映作品:『風雲長門城』(1931年、新興キネマ、監督:東隆史)

Released with: Fu’un Nagatojo (1931, Shinko Kinema, dir. Takashi Azuma)

「傾向映画」の代表作として知られる『何が彼女をそうさせたか』(1930年)の続篇。前作の結末で正気を失い教会に火を放ってしまったヒロインのすみ子(高津慶子)が、刑期を終えて出所するところから物語が始まる。市会議員の酒井(国城大輔)の女中となったすみ子だったが、過酷な運命が再び彼女を襲う。

高津慶子

高津慶子

高津慶子

『故郷』(1931年) Kokyo

写真/Photo

1931年11月8日公開 浅草 常盤座 First release: Nov. 8, 1931

監督:木村荘十二 Director: Shigeyoshi Suzuki

許嫁の津村(瀬良章太郎)との結婚に反発して家出した令嬢まち子(山路ふみ子)は、都会で知り合った本田(福田満州)と恋に落ちて妊娠するが捨てられる。8年後、まち子は新進舞踊家として故郷の舞台に立ち、津村のとりなしで父(松本泰輔)と和解する。しかし本田に未練があるまち子に憤った老体の父は彼女を殺そうとし、むしろ自らが倒れ絶命してしまう。まち子は墓前で自らの身勝手な行動を反省し泣く。

山路ふみ子(中央)

福田満州(左)、山路ふみ子(右)

福田満州(左)、山路ふみ子(右)

『祇園祭』(1933年) Gion Matsuri

写真/Photo

1933年8月31日公開 電気館、新宿帝国館 First release: Aug 31, 1933

監督:溝口健二 Director: Kenji Mizoguchi

併映作品:『磧の霧 滝の与平次』(1933年、製作:嵐寛プロ、監督:山本松男)、『関東大震災実写』(1923年)

Released with: Kawara no Kiri: Takino Yoheiji (1933, Arakan pro, dir. Matsuo Yamamoto), Kanto Daishinsai jissha(1923)

川口松太郎の原作を溝口健二が脚色。京都の豪商、呉服問屋銭屋の一人娘お民(森静子)と番頭の幾三郎(岡田時彦)は、親も許した相愛の仲であったが、破産した銭屋のために幾三郎は身を引く決意をする。一方、銭屋の主人(菅井一郎)の愛人で三味線の師匠(鈴木澄子)は幾三郎を誘惑する。

 

 

岡田時彦(左)、森静子(右)

鈴木澄子(左)、岡田時彦(右)

森静子(左)、岡田時彦(右)

『河の上の太陽』(1934年) Kawa no ue no Taiyo

写真/Photo

1934年5月17日公開 電気館、新宿帝国館 First release: May 17, 1934

監督:内田吐夢 Director: Tomu Uchida

併映作品:『銭形平次捕物控 紅蓮地獄』(1934年、嵐寛プロ、監督:山本松男)

Released with:Zenigataheijitorimonohikae: Kuren Jigoku, (1934, Arakan pro, dir. Matsuo Yamamoto)

隅田川の水上で沖売り生活を送っている父(小杉勇)、息子の健太郎(高田稔)、娘お千代(江川なほみ)が、反発と別離を経て、再び親子の愛情を取り戻す物語。

高田稔(左)、小杉勇(右)

江川なほみ(左)、小杉勇(右)

江川なほみ(左)、小杉勇(右)