NFAJ Digital Gallery – No.17

公開日:2019年1月9日

第17回 無声期日本映画のスチル写真(7)─帝国キネマ②

「無声期日本映画のスチル写真」第7回は、前回に引き続き、帝国キネマを取り上げます。今回は、全盛期の鈴木重吉、監督や作家として大成する以前の豊田四郎や川口松太郎らの作品をご紹介いたします。写真は全て、国会図書館旧蔵資料から選定しました。

※解説・あらすじは文献に基づく。

『籠の鳥』(1924年) Kago no Tori

写真/Photo

1924年8月14日公開 大阪芦辺劇場 First release: Aug. 14, 1924

監督:松本英一 Director: Eiichi Matsumoto

併映作品:『潮田主水』(1924年、帝国キネマ、監督:廣瀬五郎)、『倫敦の秘密』第十篇、第十一篇(1923年、イギリス、監督:A・E・コールビー)

Released with: Ushioda Mondo (1924, Teikoku Kinema, dir. Goro Hirose), The Fiery Hand (1923, dir. A.E. Coleby) and The Man with the Limp (1923, dir. A.E. Coleby)

劇中でお光(歌川八重子)が小唄「籠の鳥」を歌う“小唄映画”として記録的大ヒットとなった作品で、後篇もつくられた。大学生の上山文雄(里見明)は、夏期休暇に訪れた海岸で出合った娘、お糸(澤蘭子)と恋に落ちる。お糸の父(伊藤敦兆)は、無理やりお糸を別の男性と結婚させようとするが、祝言の晩、お糸は家出し、上山もまた、お糸に強引に会おうと彼女の家に向かう。しかし、二人はすれ違い、お糸は悲嘆にくれる。

澤蘭子(左)、里見明(右)

『踊る幻影』(1930年) Odoru Gen’ei

写真/Photo

1930年3月28日公開 大阪 松竹座 First release: Mar. 28, 1930

監督:鈴木重吉 Director: Shigeyoshi Suzuki

併映作品:『幸運の星』(1929年、アメリカ、監督:フランク・ボゼーギ)

Released with: Lucky Star, (1929, USA, dir. Frank Borzage)

大阪朝日新聞の創刊五十周年記念の募集で当選した「映画小説」(内田虎之助)の映画化。一般公開に先立ち、大阪朝日会館で1930年3月25日に、監督とカメラマン(三木茂)の講演付き試写会がおこなわれた。原作の「映画小説」は大阪朝日新聞・東京朝日新聞紙で連載され、鈴木重吉が「スチル構成」を担当した。道化師の三太郎(杉狂児)はある日、不思議な映画を見る。それは自分たちサーカスの団員たちが登場し、今まさに現実にある花形の曲芸師メリー花子(高津慶子)と、彼女に心を寄せ策略をめぐらせる洋行帰りの奇術師ヘンリー秋山(若葉聲)との恋愛サスペンスが展開するというもので、映画を見ているうちに、三太郎は現実と非現実の区別がつかなくなっていくのであった。

 

高津慶子(左)、杉狂児(右)

杉狂児(左)、高津慶子(右)

高津慶子(左)、杉狂児(右)

『友愛結婚』(1930年) Yuai Kekkon

写真/Photo

1930年6月7日公開 浅草 常盤座 First release: Jun 7, 1930

監督:豊田四郎 Director: Shiro Toyoda

併映作品:『女賊お澄』(1930年、製作:帝国キネマ、監督:山下秀一)、『日本アルプス 黒部峡谷と立山(黒部峡谷探検)』(1927年、製作:文部省)

Released with: Jozoku Osumi, (1930, Teikoku Kinema, dir. Shuichi Yamashita), Kurobe Kyokoku Tanken, (1927, Ministry of Education)

松竹に在籍していた豊田四郎が、松竹傘下の帝キネへ出向して監督した作品。牧童の和夫(牧野勇)は田舎で静養していた女学生の安江に恋をするが、病から快復した安江は都会へ戻る。卒業した安江は、港町でタイピストとして働くようになり、偶然出会った船乗りの時岡(星英府)と将来を誓う仲となる。しかし、船を降りる決意ができない時岡は、置手紙を残して安江から去る。時岡を追う為アパートを飛び出した安江は、偶然、和夫の乗った自動車に轢かれる。安江の友人ユカリ(秩父令子)と結婚していた和夫は、片思いしていた安江に再会し、妻との間で心が揺れる。

 

 

星英府(左)、上村節子(右)

星英府(左)、上村節子(右)

牧野勇(左)、秩父令子(右)

『心驕れる女』(1930年) Kokoro Ogoreru Onna

写真/Photo

1930年12月5日公開 浅草 常盤座 First release: Dec. 5, 1930

監督:豊田四郎 Director: Shiro Toyoda

併映作品:『劍客龍虎』(1930年、帝国キネマ、監督:山下秀一)

Released with:Kenkyaku Ryuko, (1930, Teikoku Kinema, dir. Shuichi Yamashita)

佐藤春夫の朝日新聞連載小説の映画化。森山(藤間林太郎)に貞操を奪われ捨てられた金子(香椎園子)は、父に言われるがまま、好きでもない男と結婚する。良き伴侶と子宝に恵まれながらも、金子は社会的名声を得た森山に対する復讐心を募らせ、自分に好意を寄せている若い男・村口(牧英勝)を手玉に取り、森山の社会的失墜のため陰謀を企てる。しかし金子の計画は失敗し、村口のピストルで金子は自殺する。

ポスターはこちら

香椎園子(前)

香椎園子(左)

牧英勝(左)、香椎園子(右)

『マダムKO』(1930年) Madam K’O

写真/Photo

1931年7月22日公開 浅草 常盤座 First release: July 22, 1931

監督:川口松太郎 Director: Matsutaro Kawaguchi

併映作品:『弥次喜多道中 東海道』(帝国キネマ、1931年7月15日公開、監督:曽根純三)、『生首供養』(帝国キネマ、1931年7月22日公開、監督:中島宝三)

Released with:Yajikita dochu Tokaido (1931, Teikoku Kinema, dir. Junzo Sone), Namakubi Kuyo (1931, Teikoku Kinema, dir. Hozo Nakajima)

雑誌『婦女界』1931年1月号に掲載された竹田敏彦の戯曲の映画化。慶応義塾大学出身の八島(瀬良章太郎)と、早稲田大学出身の片岡(草間実)が芸妓の千代菊(鈴木澄子)と三角関係になる。千代菊は父の会社を継ぎ社長となった八島と結ばれ子宝に恵まれるが、いつしか有閑マダムへ変貌する。しかし事業で失敗した八島が自ら命を絶ったことをきっかけに、千代菊は心を入れ替える。片岡は千代菊に求婚するが、彼を受け入れるか、又は未亡人として夫に操を立てるか迷った挙句、野球の「早慶戦」の勝敗で自らの運命を定めることを思い立つ。

瀬良章太郎(左)、鈴木澄子(右)

瀬良章太郎(左)、鈴木澄子(右)

草間実(左)、鈴木澄子(中央)、瀬良章太郎(右)

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