今回は、技術セミナーに関する話題の第3回、セミナーのタイトルは「デジタル映画のカラーマネージメント」です。
今回は、当プロジェクトで実施しました技術セミナーについての話題です。
このブログでもこれまで多くの技術的なトピックを取り上げておりますが、映画・映像を長期的に保存していくために求められる技術的な知識の範囲は、デジタル化の影響を受けて、どんどん広がっています。
一方で、これを系統立てて学習できる機会はあまり多くありません。
そこで当プロジェクトにおいて昨年度より試験的に技術セミナーを実施してきましたので、ここでそのテキストを順次公開していきたいと思います。
業務用のビデオテープには、ケースの内部に「記録票」と呼ばれる紙が同梱されています。
この記録票には、収録時間、タイトルといった作品に関する情報、さらにフレームレートや使用機材といった技術的な情報など、収録されている映像を理解する上で役に立つ、様々な情報が記載されています。
一方で、HDDやLTOなど、昨今利用が進んでいるデジタルメディアには、これに相当する紙が同梱されていない場合があり、また同梱されていたとしても、その記載内容には大きなばらつきがあるような状況です。
先日から、このブログでもご案内していた「日本アニメーション映画クラシックス」ウェブサイト、本日公開いたしました。
(画像クリックで「日本アニメーション映画クラシックス」http://animation.filmarchives.jp/に移動します)
「美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業」として行っております、「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究」(通称、BDCプロジェクト)について、これまでの取り組みを紹介するとともに、関係する方々のご講演を併せ、デジタル映画のこれからの保存と活用について考える機会とするため、2017年1月26日および27日に、「NFCシンポジウム:映画におけるデジタル保存と活用のためのシンポジウム」を開催しました。
来場者は第一日243名、第二日254名でした。
両日ともに大変多くの方にご来場いただきお礼申し上げます。
BDCプロジェクトでは、デジタル化や保存技術に関わる実践的な調査研究と並行して、コレクション公開の新たな方法を試みるための調査研究を行っています。その一環として、「日本アニメーション映画クラシックス」ウェブサイトの開設を予定しています。
このウェブサイトは、国立情報学研究所(NII)と共同で開発したもので 、日本でアニメーション映画が誕生したとされる1917年から100年目に当たる2017年を記念し、1年間を目途に試験的に運用されます。
BDCプロジェクトレポート第5回:映画の長期保存と活用を目的としたシステムの可能性とコミュニティの重要性、を更新致しました。
今回のプロジェクトレポートは、BDCプロジェクトにて「持続可能なデジタルアーカイブシステム」の構築にむけた調査研究を実施し、見えてきた課題と「コミュニティ」の重要性をご報告するものになります。
関連するご報告として以下のブログ記事もご覧ください。
『映画に関する映像データの長期保存と活用を目的とした自由度の高い持続可能なシステム構築のための調査研究』について
今回は、長期に情報を維持する仕組みとして考えられた概念モデルについてお話したいと思います。
デジタル情報はビット情報を維持するだけでは不十分であり「将来にわたって保存対象の意味を理解できること」を保証してこそ長期的な保存が実現します。
1.OAIS参照モデル
OAIS参照モデル(註1)をご存じでしょうか?
OAIS参照モデル(Reference Model for an Open Archival Information System)とは情報の長期保存システムの構築に対して有力なモデルとされ、国際標準規格(ISO 14271:2003、改訂版はISO 14721:2012)になっている仕組みです。