23$s

二色式カラー映画『千人針』の復元

 

今回は、フィルム映画のデジタル復元に関する話題です。

 

フィルムセンターでは2002年以来、デジタル技術を活用した映画の復元について取り組んでいます。

フィルムの劣化によって生じる画面の揺れや傷を取り除き、激しい褪色を補正するなど、従来のアナログ的な手法では不可能であったことが、デジタル技術の進化により実現されるようになっています。

この技術進化はもちろん現在も続いており、ハードウェア・ソフトウェアの進化、さらにそれを扱う技術者の技の進化とも相まって、これまでは除去できなかった映像的な瑕疵にも対応できるようになっています。

 

さて、今回ご報告させていただくのは、国内では極めて稀な二色式カラーを採用した作品『千人針』(1937年)のデジタル復元事例になります。

続きを読む


デジタル上映のフォーマット

 

フォーマットに関する話題の2回目です。

 

現在、映画上映の大半はフィルムではなく、デジタルで行われています。

このデジタル上映で用いられるデータのフォーマットとしては、DCP(デジタルシネマパッケージ)と呼ばれる、画像、音声、字幕等のデータをひとまとめにしたものが標準的に用いられています。

デジタルシネマの黎明期には、メーカー毎に異なるフォーマットが乱立していましたが、このDCPの形でフォーマットが確定しスタンダードとなったことが、その後のデジタルシネマの大きな発展につながりました。

以前お伝えした通り、沢山あるフォーマットからどれか1つを選択することは容易ではないのですが、劇場での上映用フォーマットに関しては、このDCPというフォーマットで確定されており、これはアーカイブにとっては非常にありがたい状況とも言えます。

 

一方で、現在流通しているDCPはInteropDCPと呼ばれるもので、この仕様の一部は十分な標準化がなされていないということが指摘されています。

続きを読む


デジタル映画の制作・流通に用いられるファイルフォーマット

 

今回はファイルフォーマットに関する話題です。

 

デジタル映画の制作・流通の過程においては、どのようなフォーマットのファイルが発生しているのでしょうか。

例えば、撮影の段階で使用されるのは、汎用的なQuickTimeかもしれませんし、Canon Cinema RAWなど、カメラメーカー独自のRAWフォーマットかもしれません。

編集や特殊効果を加える段階では、MXFやOpenEXRが使われているかもしれませんし、完成データとしては、画はDPX、音はWAVといった、画と音がばらばらな形になっているかもしれません。

さらに流通の段階では、公開先に合わせてMXFやQuickTimeが作られたり、場合によってはそれらのファイルを作るために、TIFFやAVIが中間ファイルとして作られるかもしれません。

制作ワークフローの多様化だけでなく、劇場上映から種々のデバイスに向けたデジタル配信など、公開方法もまた多様化しており、1作品に対して作成されるファイルフォーマットは実に様々です。

(各ファイルフォーマットについては、記事最後にある報告書を参照下さい)

 

このような状況に対し、ワークフロー上のどのタイミングで発生したデータを、どういったスペックのどのようなフォーマットで保存しておくべきなのか、といった課題は、常に議論の的となっています。

続きを読む


デジタルデータ保存のためのメディア

 

デジタル技術の進歩は非常に速く、データを保存するメディアにおいても進展は著しいものがあります。

保存メディアとして、代表的なものには、光ディスク、磁気テープ、磁気ディスク、半導体の4種類があります。

これまで、フィルムに記録され、保存されてきた映像や画像はデジタル化され、前述の保存メディアに保存されるようになってきています。これら4種類の保存メディアにはそれぞれ特徴があるので。ここではその特徴について述べてみたいと思います。

詳細はレポートを参照してください。

 

1.記憶容量(1TB=約1,000GB=約1,000,000MB)

一般的な光ディスクの容量は以下のようになっています。

  • CD(Compact Disc)1枚で、700MB(メガバイト)
  • DVD(Digital Versatile Disc)1枚で、4.7GB(ギガバイト)
  • BD(Blue-ray Disc)1枚で25GB

最近、BDより高密度なアーカイバルディスク(AD)が発売され、1枚の容量としては、両面で300GBあります。

 

一方、磁気テープでは、LTO(Linear Tape Open)テープ1本に6TB(テラバイト)記録することができます。

将来的にはLTO1巻当たり150TBを超える記録容量が可能であると報告されています(注1)

続きを読む


23$s

「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究」は文化庁の美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業です。

23$s

BDCプロジェクトはNational Research Project
for the Sustainability of Born-Digital Cinema
の略称です。

事業名は「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究」です。