日本の女性映画人(3)――1990年代
Women Who Made Japanese Cinema [Part 3]: 1990s

概要
日本映画の歴史において、監督・製作・脚本・美術・衣裳デザイン・編集・結髪・スクリプターなど多様な領域で女性映画人たちが手腕を発揮してきました。2022年度の「日本の女性映画人(1)―無声映画期から1960年代まで」、2023年度の「日本の女性映画人(2)―1970-1980年代」に続き、その功績を回顧する特集上映を開催します。
1980年代以前の日本の映画界では、俳優出身の女性監督が台頭し、また記録映画やピンク映画の分野では多くの作品を発表する女性監督の活躍も見られた一方で、一般劇映画の作り手として女性監督がキャリアを築いていくのは困難であり、1990年代にようやく継続的に作品を発表する監督が目立つようになりました。つまり、1990年代は、日本映画史において女性が監督を「職業」とし始めた最初の時代であったといえます。
米国留学中に手がけた短篇映画で評価を得た後、角川春樹製作の『ぼくらの七日間戦争2』(1991)で長篇監督デビューを果たした山﨑博子、英国留学を経て日英合作で長篇第1作を監督した佐藤嗣麻子、CMディレクターを経て松竹配給作品『人でなしの恋』(1995)の監督・脚本を手がけた松浦雅子らは、いずれも大手映画会社のもとで拡大公開される映画を送り出した女性監督の先駆として特筆すべき存在です。一方、ぴあフィルムフェスティバル(PFF)で頭角を現し、『冬の河童』(1995)でロッテルダム国際映画祭タイガーアワードを受賞した風間志織、個人映画で注目を浴びた後の長篇デビュー作『萌の朱雀』(1997)でカンヌ国際映画祭カメラドールを受賞した河瀨直美などはインディーズ的才覚を持った新世代の女性映画作家として国内外で高く評価されました。個人映画・実験映画の作り手としては、小口詩子、和田淳子、寺嶋真里、歌川恵子らの登場も重要なトピックです。また、椎井友紀子、佐藤美由紀、松田広子ら女性の映画プロデューサーの台頭もこれらの潮流に寄与しました。
本特集では、1990年代前後の作品を含め、劇映画、ドキュメンタリー、実験映画、アニメーションなど計52作品(37プログラム)を上映し、それぞれの女性映画人を顕彰するとともに、日本映画史を見据える新たな視点を提示します。
開催概要
- 会期
- 2025年2月11日(火)-3月23日(日)※会期中の休館日:月曜日
- 会場
- 長瀬記念ホール OZU(2階)
- 定員
- 310名(各回入替制・全席指定席)/各回の開映後の入場はできません。
- 主催
- 国立映画アーカイブ
- 企画協力
- 森宗厚子
[NFAJプログラムNo.61 | 上映会番号 481]
プログラム
監督
ぼくらの七日間戦争288分・1991・(監・脚)山崎博子 エコエコアザラク Wizard of Darkness80分・1995・(監・原)佐藤嗣麻子 (c)2008「K-20」製作委員会K-20 怪人二十面相・伝137分・2008・(監・脚)佐藤嗣麻子 人でなしの恋87分・1995・(監・脚)松浦雅子 PLATONIC SEX104分・2001・(監)松浦雅子 (c)風間志織冬の河童113分・1995・(監・脚・編集)風間志織 火星のカノン121分・2002・(監)風間志織 せかいのおわり111分・2004・(監)風間志織 WINDS OF GOD97分・1995・(監)奈良橋陽子 風のかたみ99分・1996・(監・脚)髙山由紀子 萌の朱雀94分・1997・(監・脚)河瀬直美 ユキエ94分・1998・(監・製作・編集)松井久子 落下する夕方106分・1998・(監・プロデューサー・脚)合津直枝 (c)旦々舎第七官界彷徨 尾崎翠を探して108分・1998・(監)浜野佐知 吉行由実/小谷内郁代計123分・(監)吉行由実(監)小谷内郁代
監督(ドキュメンタリー)
栗原奈名子/山上千恵子/瀬山紀子計114分・(監)栗原奈名子(監)山上千恵子、瀬山紀子 女たちの証言―労働運動のなかの先駆的な女性たち93分・1996・(監・構成)羽田澄子 映画をつくる女性たち103分・2004・(監)熊谷博子
監督(アニメーション)
監督(自主映画/個人映画/実験映画)
脚本
夢の女98分・1993・(脚)吉村元希 ナースコール109分・1993・(脚)信本敬子 (c)1995 TOHO CO., LTD.学校の怪談101分・1995・(脚)奥寺佐渡子 (c)1997 TOHO CO., LTD.誘拐109分・1997・(脚)森下直 (c)光和インターナショナルOL忠臣蔵113分・1997・(脚)神山由美子 西田直子計126分・(脚)西田直子 blue116分・2003・(脚)本調有香
製作
その他
ケルベロス 地獄の番犬99分・1991・(録音演出)浅梨なおこ まあだだよ134分・1993・(衣裳)黒澤和子(プロダクションマネージャー)野上照代 Unloved117分・2002・(脚)万田珠実(撮)芦澤明子
■ (監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演 (声)=声の出演 (解)=解説・ナレーション
■スタッフ、キャスト欄の人名は、原則として公開当時の表記を記載しています。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■不完全なプリントや状態の悪いプリントが含まれていることがあります。
■タイトルの横に*印が付いている作品は、公開当時成人指定を受けた作品です。当該の上映回には女性専用席を
設けます。
■NEWとある作品は、ニュープリントでの上映です。
上映日時(チケット購入)
2/11(火・祝) | |
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2/12(水) | |
2/13(木) | |
2/14(金) | |
2/15(土) | |
2/16(日) | |
2/17(月) | 休館日 |
2/18(火) | |
2/19(水) | |
2/20(木) | |
2/21(金) | |
2/22(土) | |
2/23(日・祝) | |
2/24(月・祝) | 休館日 |
2/25(火) | |
2/26(水) | |
2/27(木) | |
2/28(金) | |
3/1(土) | |
3/2(日) | |
3/3(月) | 休館日 |
3/4(火) | |
3/5(水) | |
3/6(木) | |
3/7(金) | |
3/8(土) | |
3/9(日) | |
3/10(月) | 休館日 |
3/11(火) | |
3/12(水) | |
3/13(木) | |
3/14(金) | |
3/15(土) | |
3/16(日) | |
3/17(月) | 休館日 |
3/18(火) | |
3/19(水) | |
3/20(木・祝) | |
3/21(金) | |
3/22(土) | |
3/23(日) |
■ チケットのオンライン発売は各上映日の3日前正午からとなります。
■ チケットのオンライン完売情報は、公式チケットサイトにてご確認ください。
■ 各回の開映後の入場はできません。予告篇はなく、本篇から上映します。
トークイベント登壇者
2月22日(土)
『エコエコアザラク Wizard of Darkness』
- ゲスト
- 佐藤嗣麻子監督
★16:30の回上映後に約30分
3月1日(土)
『ぼくらの七日間戦争2』
- ゲスト
- 山﨑博子監督
- 聞き手
- 森宗厚子氏(広島市映像文化ライブラリー 映像文化専門官)
★13:00の回上映後に約30分
バリアフリー上映のお知らせ
『20世紀ノスタルジア』バリアフリー上映
3月15日(土)13:00の回は、聴覚障害の方向けの日本語字幕と、映画の音声を増幅するヒアリングループシステム座席をご用意しています。また、視覚障害の方向けの音声ガイドをFM配信し、ラジオ貸出もいたします。
予約について
ヒアリングループ座席と音声ガイドラジオ貸出はメールまたはFAXによる事前予約制です。
また、聴覚・視覚障害の方で、字幕でご覧になる方やラジオとイヤホンを持参される方も、お席の予約をお勧めしますので、3月12日(水)までにご連絡ください。席数や貸出ラジオ台数には限りがございます。お早めにお申し込みください。
- ※ヒアリングループご希望の方は磁気コイル付補聴器(“T”マーク付補聴器)をご持参ください。
メールおよびFAX予約方法
件名:字幕/ヒアリングループ/音声ガイド(いずれかをご記入ください)
記入事項:
①来場者全員のお名前(付添者は人数だけでも可)
②希望席数/ラジオ希望台数
③返信用連絡先(当日も連絡がとれる電話番号またはメールアドレス)
- ※日曜・月曜に予約申込された場合、予約受付の返信は後日お送りします。
- ※個人情報は上記の目的にのみ使用し、使用後は適切に破棄します。
申込期間:2月25日(火)―3月12日(水) *定員に達し次第、締め切ります。
申込先:assist@nfaj.go.jp FAX: 03-3561-0830
協力:Palabra株式会社、社会福祉法人聴力障害者情報文化センター
チケット購入方法
- 通常料金
-
- 520円
- 一般
- 310円
- 高校・大学生・65歳以上
- 100円
- 小・中学生
- 無料
- 障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)
キャンパスメンバーズ(教職員)
キャンパスメンバーズ(学生)
- オンライン販売
- 各上映日の3日前正午から各上映回の開映15分前まで
- 窓口販売(1F)
- 各上映回の開映1時間前から5分前まで若干数販売(座席選択不可)
オンライン販売
- 各上映日の3日前正午から各上映回の開映15分前までオンライン販売します。
窓口販売
- 各上映回の開映1時間前から5分前まで若干数を販売します。オンライン完売となった場合も、当日の窓口販売はございますが、枚数は限定数となります。
電子チケット購入方法
- 本ホームページの上映日時(チケット購入)からご覧になりたい上映日時の「チケット購入」ボタンを選択。
- 座席と券種を選択。
- メールアドレスやクレジットカードまたはd払いの情報等必要事項を入力。
- 申込が完了しますと、3. で入力したメールアドレスにQRコード付きのチケットが届きます。
入場方法
- チケットのQRコードをスマホ画面、または印刷紙面でご提示ください。
- 学生、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方、国立美術館のキャンパスメンバーズ、優待の方は証明できるものをご提示ください。ご提示のない方はご入場できません。
- 料金区分の違うチケットでは入場できません。差額のお支払で観覧することはできません。
- 各回の開映後の入場はできません。予告篇はございません。
- 開場は開映30分前です。
ご注意ください!
- 特集名、作品名は電子チケットに表示されませんので、お間違いないようご購入、ご提示ください。
- 窓口でご購入いただける当日券は各回1名につき1枚のみです。
- チケットのオンライン完売情報は、公式チケットサイトにてご確認ください。