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『映画に関する映像データの長期保存と活用を目的とした自由度の高い持続可能なシステム構築のための調査研究』について

 

今回は情報システムに関する内容です。

平成27年度に実施した「映画に関する映像データの長期保存と活用を目的とした自由度の高い持続可能なシステム構築のための調査研究」についてご紹介します。

 

1.調査研究の経緯

現在、映画業界では、デジタル技術により製作される作品が中心であり、その映像データには様々な特徴があります。それらは各種情報技術と密接に関連するとともに、その技術は多様性をもち、めまぐるしく変化しています。

また、近年の映画製作では製作委員会方式が一般化していますし、個人でも映画製作が可能となっています。

これらの状況下では「映像データの保存先の多様化」、「データ保存についての責任が曖昧になる」、「保存に対し十分な対応がなされていない」などから、データ滅失をはじめとする様々な問題が顕在化しているといえます。

 

2.調査研究の目的

映像データを100年以上にわたり後世に引き継いでいくためには、保存、活用の両方を考慮したサステナビリティ(持続可能性)が重要であると考えられています。

・保存の観点から

特定の企業・技術に依存せず、自由に拡張、組み換えが可能であり、映像データへのアクセスを維持しつつ新しい技術を能動的に取り入れることが可能な、自由度の高い持続可能な性質を持ったシステムであることが求められます。

・活用の観点から

蓄積した情報を再利用し、社会に対し新たな価値をもたらすことで継続的な運営のサイクルを構築することが求められます。

 

以上の状況を踏まえ、BDCプロジェクトでは、映像データの長期保存と活用を目的とした自由度の高い持続可能なシステム構築を見据えた各種調査及び課題の抽出を目的とした調査研究を株式会社三菱総合研究所と実施致しました。

調査研究では、映画関係者と情報技術関係者のそれぞれの専門的知見を得る情報共有や意見交換の場(『合同会議』と呼称)を設けています。これにより、多角的な観点からの各種調査及び課題の抽出を図りました。

 

bdcblog_07issu
参考:映像データの長期保存に係る論点(三菱総合研究所作成)

 

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参考:映像データの利活用に係る論点(三菱総合研究所作成)

 

3.調査研究の結果

調査研究の結果については、下記に掲載した報告書を参照ください。

また、報告書について補足を追記します。

 

「映画に関する映像データの長期保存と活用を目的とした自由度の高い持続可能なシステム構築のための調査研究」報告書

 

<補足>

1)   短期間のプロジェクトで、他分野且つ大人数に渡る関係者が一定の共通意識をもつことは非常に困難な作業でした。その理由としては、

①映画に関わる技術が近年の急激なデジタル化により高度化しており、関係者の技術や知識に差があること。

②種々のアーカイブにおいて、活用・利益確保が優先される機関と、後世に伝えるための保存に重点が置かれる機関とで目的や考え方に差があること。

③保存のための予算や人員の大小により、実施できることに差があること。

が挙げられます。

 

2)  上記状況ではありましたが、計二回の合同会議を通じて、アーカイブシステムの必要性や各種課題などについて関係者間に一定の共通認識を得ることができました。また、今回の合同会議に類する検討を継続していくことの重要性や、または、映画業界におけるアーカイブシステムの実現に向けた具体化の検討などの必要性も論じられました。

一方で、報告書の章7「今後に向けて」にもあるとおり、『誰が?』『何を?』保存するのかといった基本的な方針から、『どうコストを負担する?』『権利的な問題は?』などの検討も必要といえます。

 

いずれにしても、将来に向けたアーカイブシステム構築の議論を継続していくことは重要であると認識し、BDCプロジェクトの調査研究対象として、議論や対象とする関係者の範囲を限定し、より具体的な内容にテーマを絞った上で調査研究を継続していく必要があると言えるでしょう。

 

(TN)


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「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究」は文化庁の美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業です。

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BDCプロジェクトはNational Research Project
for the Sustainability of Born-Digital Cinema
の略称です。

事業名は「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究」です。