喜劇 家族同盟

- 87分
- 35mm・カラー
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『虹をわたって』(1972)から10年を経て、中村川上空にかかる首都高速道路の建設工事によって古き横浜が失われていくことを憂えた前田陽一が「愛する中村川に私なりのサヨナラを言いたい」との思いから撮り上げた擬似家族劇。戦災で家族を失い、山下公園で寝起きするホームレスの老人(有島)が、寿町で生まれ育った青年(中村)や売春宿のやり手婆(ミヤコ)を集めて、ニセモノの家族を拵える。
【POINT】横浜で生まれたフォークデュオ、ダ・カーポの歌声にのせて映し出される川沿いの風景、改築前の三吉演芸場、ゲリラ的にロケされた寿町の寄せ場など、当時、中村川から元町を抜けて山手隧道の向こうに住んでいた前田の生活動線にもとづくフィールドワークがみごとに結実。横浜大空襲や当時発生した横浜浮浪者襲撃事件なども参照しながら、集合→解体→再集合する家族とその外側にあるさらに巨大な解体を戯画的に描いてみせた。
1983(松竹)(監)前田陽一(脚)中島丈博(撮)長沼六男(美)芳野尹孝(音)田辺信一(出)中村雅俊、中原理恵、有島一郎、川谷拓三、佐藤B作、渋谷伸弘、中尾ミエ、高田純次、小松政夫、平田満、ミヤコ蝶々