野良犬

- 104分
- 35mm・カラー
黒澤明の名作『野良犬』(1949)を換骨奪胎した再映画化。刑事の村上(渡)はある夜、素性の知れぬ若者グループと衝突し、拳銃を盗まれてしまう。先輩の佐藤(芦田)とともに犯人らの足取りを追う村上だったが、彼の拳銃によって次々に事件が発生。やがて捜査線上に浮かんできたのは沖縄から集団就職で本土へやって来た若者たちだった。
【POINT】森﨑東をはじめとする作り手たち(脚本の一色爆は、森﨑、掛札昌裕、中島信昭、梶浦政男のユニット名)は、「かつての時代が『野良犬』を産んだ如く、吾らの時代もまた『野良犬』を産める筈だ」という信念のもと、敗戦直後を時代背景とするオリジナル版に対して、沖縄の本土復帰がなされた当時の社会状況を反映。戦前からの沖縄人コミュニティが根づく横浜・川崎の京浜工業地帯を舞台に、沖縄人青年たちに注がれる本土の人間たちの「目」のイメージや沖縄の労働民謡を象徴的にもちいて「連帯と断絶」のドラマに仕立てた。タイトルバックの鶴見線、国鉄石川町駅前など往時の市内風景も見どころ。
1973(松竹大船)(監)森崎東(原)黒澤明、菊島隆三(脚)一色爆(撮)吉川憲一(美)佐藤之俊(音)佐藤勝(出)渡哲也、芦田伸介、松坂慶子、志垣太郎、田中邦衛、財津一郎、中丸忠雄、緑魔子、中島真智子、堀内正美、山本麟一、赤木春恵
★3/15(土)15:00の回は上映後に当館研究員・佐野亨による解説(約20分)があります。