虹をわたって

- 89分
- 35mm・カラー
中村川に係留するだるま船にある日、家出娘のマリ(天地)がやって来た。ツキを呼び込むマリは、だるま船の住人たちの「白雪姫」となっていく。人気絶頂期にあった天地真理の初主演映画。沢田研二、萩原健一も共演するアイドル歌謡ものの体裁を借りながら、松竹喜劇の雄・前田陽一らしい「はみだし者たちの寄り合いのドラマ」が展開される。
【POINT】米軍住宅が並ぶ「エリア」、富裕層が住まう丘陵の住宅街、中村川沿いのバラックや不法係留船―前田は異なる階層の居住区がひしめき合う横浜の立地に着目。山手の丘の上から下りてきた娘と文字通りの低層に生きる水上生活者たちの交流に、低層からの上昇を試みるいまひとりの主人公・日色ともゑの人生を交差させて、この「地域階層」の構図を鮮やかに浮かび上がらせた。
1972(松竹大船)(監)前田陽一(脚)田波靖男、馬嶋満(撮)竹村博(美)佐藤公信(音)森岡賢一郎(出)天地真理、有島一郎、なべおさみ、谷村昌彦、岸部シロー、大前均、立原博、武智豊子、三井弘次、日色ともゑ、萩原健一、沢田研二、財津一郎