5無声映画脚本家集

  • 計105分

無声映画成熟期の1920-30年代には女性たちが様々なジャンルの脚本を書いていた。1924年2月に日活入社第1作が公開された林義子は、日活で尾上松之助の晩年の監督兼出演作で新機軸を打ち出し、大作『鞍馬天狗』(1925、高橋寿康)などを手がけたが、当館所蔵の現存フィルムは宮本武蔵を初めて主人公にした片岡千恵蔵主演作の断片のみ。1924年11月に脚本家デビューした水島あやめは松竹で母ものや少女ものを手がけ、高尾光子主演によるコンビで人気を博した。社喜久江は帝国キネマ、マキノ御室、東亜キネマなどを渡り歩いて剣戟時代劇を多作したが、唯一現存するのは現代劇『辻占賣の少女』である。日活太秦での鈴木紀子の脚本作として唯一現存する作品『母の微笑』(全6巻のうち2巻分のみ)は、簡易保険局とのタイアップによるメロドラマ。令嬢(山路)との恋愛が岐路を迎えている青年技師(中田)は、危篤の母(伊藤)から簡易保険による蓄えを受け取り、令嬢の窮地を救う。『お父さんの歌時計』は、病身の父に尽くす娘の優しさを叙情豊かに描く。『制服の処女』(1931、レオンティーネ・ザーガン)を翻案した『嫁入り前の娘達』(1936、吉村廉)で好評を得た鈴木が、同作でデビューした橘公子の初主演のためにオリジナル脚本を書いた。トーキー作品から無声短縮版として再編集された16mm版だが、日活多摩川で鈴木が書いた劇映画13本のうち上映可能な唯一の現存フィルムである。

*上映前に当館研究員による解説(約5分)があります。

宮本武藏[玩具フィルム]

  • 1分
  • 16fps・35mm・無声・調色・部分

1929(片岡千恵蔵プロ)(原・脚)林義子(監)井上金太郎(撮)石本秀雄(出)片岡千恵蔵、瀧口光、露野文子、香川良介

  • 41分
  • 20fps・35mm・無声・白黒

1929(松竹蒲田)(脚)水島あやめ(監)大久保忠素、清水宏(原)簡易保險局(撮)杉本正次郎(出)新井淳、高松榮子、高尾光子、水島亮太郎、堺一二

辻占賣の少女

  • 7分
  • 24fps・35mm・無声・白黒・部分

1933(宝塚キネマ)(原・脚)社喜久江(監)鈴木日出男(撮)松本喜太郎(出)ミドリ雅子、都賀淸司、藤井榮、星小萬樂、大海原一誠

母の微笑

  • 23分
  • 18fps・35mm・無声・白黒・部分

1934(日活太秦)(脚)鈴木紀子(監)渡邊邦男(原)簡易保險局(撮)碧川道夫(美)梶芳郎(出)山本嘉一、中田弘二、廣瀨恒美、山路ふみ子、深水藤子、伊藤すゑ

お父さんの歌時計[無声短縮版]

  • 33分
  • 24fps・35mm・無声・白黒

1937(日活多摩川)(原・脚)鈴木紀子(監)吉村廉(撮)永塚一栄(出)橘公子、山本礼三郎、星玲子

  • 小ホール
    上映前解説あり
  • 小ホール
    上映前解説あり