11八月の濡れた砂

  • 91分
  • 35mm・カラー

真夏の湘南を背景に、暴力とセックスに耽溺する青春を目まぐるしいキャメラワークで瑞々しく描いた藤田の代表作。日活ニューアクションからロマンポルノへの転換期に作られた青春映画である。終盤、大海原のヨットでやり場のない怒りを爆発させる若者の姿と、それでも静かに海を浮遊し続けるヨットの克明な対比が、当時の若い世代の閉塞感を描き出している。

〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
藤田敏八監督による、若さゆえの鬱屈を描いた映画をもう一つ挙げるとすれば、中上健次原作の『十八歳、海へ』(1979)でしょうか。こちらではバイオレンスは影を潜めますが、自殺遊びにふける男女の予備校生を主人公に、破滅の香りを漂わせた一篇です。

1971(日活)(監・脚)藤田敏八(脚)峰尾基三、大和屋竺(撮)萩原憲治(美)千葉和彦(音)むつひろし、ぺぺ(出)村野武範、広瀬昌助、テレサ野田、藤田みどり、隅田和世、奈良あけみ、八木昌子、三田村元、山谷初男、中沢治夫、赤塚直人、原田千枝子、牧まさみ、原田芳雄、池井武男、渡辺文雄

  • 小ホール
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