1サイレント短篇集/サタン狂想曲

  • 計82分

サイレント短篇集

  • 計39分

FCBが近年、単独ないしは国外の映画保存機関と共同で修復したサイレント短篇集。
スタッキー クランクの回転』は、ヴェネツィアの「製粉王」の息子でゴーモンの小型キャメラを手にしたジャンカルロ・スタッキー(1881-1941)が、自身のクランクを回す動きを真似る二人の少女を捉えた魅惑的なホームムービー。『花の妖精』では、ルイ15世の愛妾ジャンヌ=アントワネット・ポワソンに扮した女性が、手彩色を施された色鮮やかな花の中から登場する。『シチリアの荷馬車作り』は、極彩色と派手な装飾で知られるシチリア伝統の荷馬車の制作工程を記録している。『ボローニャの史跡巡り』では、世界遺産のポルティコ群(柱廊玄関)など、現在もその姿を留める歴史的建造物が紹介される。『赤とピンクのカーネーションを持つ女性』は、最初期のカラーシステムであるキネマカラーのテストフィルム。『骸骨』は、肉体を失い骸骨となった男の自己愛を滑稽に表現した初期映画。『アルメニア、文明の揺りかご アララト山周辺の悲劇』は、アルメニア・トルコ戦争(1920)前後に撮影された歴史的な記録映像。『トントリーニの悲しみ』では、イタリア無声映画の喜劇王フェルディナン・ギョーム扮するトントリーニが、失恋の慰めに見た映画の中で自身の分身(ポリドール)と出会う。フェデリコ・フェリーニは『カビリアの夜』(1957)や『甘い生活』(1960)で彼を起用し、往年の喜劇スターに敬意を表した。『オランダの頭巾とその種類』は、オランダの伝統的な帽子をかぶった女性達が、色鮮やかな衣装や装飾品によってひときわ輝いている。『テムズ河畔 オックスフォードからウィンザーまで』は、船上のキャメラが捉えた緑豊かなテムズ河畔の光景が目を惹く。『バーテルス姉妹』では、バーテルス姉妹が繰り広げる優雅なアクロバット芸が目を楽しませてくれる。本短篇集を締め括る『お花で、さようなら!』では、コマ撮りアニメーションによって花々が「BUONA SERA(さようなら)」の文字を形作る。

スタッキー クランクの回転Stucky: Giri di Manovella

  • 1分
  • DCP・無声・白黒

1900(伊)(撮)ジャンカルロ・スタッキー

花の妖精La Fée aux Fleurs

  • 2分
  • DCP・無声・ステンシルカラー

1905(仏:パテ)(監)ガストン・ヴェル

シチリアの荷馬車作りFabrication des Charrettes Siciliennes

  • 4分
  • DCP・無声・染色

1912(仏:パテ)

ボローニャの史跡巡りBologna Monumentale

  • 5分
  • DCP・無声・白黒

1912(伊:ラティウム)

赤とピンクのカーネーションを持つ女性Donna con Garofani Rossi e Rosa

  • 1分
  • DCP・無声・キネマカラー

1912頃(伊)(撮)ルカ・コメリオ

骸骨Lo Scheletro

  • 1分
  • DCP・無声・染色

製作年不詳(伊)

アルメニア、文明の揺りかご アララト山周辺の悲劇Armenia, the Cradle of Humanity under the Shadow of Mount Ararat

  • 3分
  • DCP・無声・白黒

1919-1923(不詳)

トントリーニの悲しみTontolini è Triste

  • 7分
  • DCP・無声・白黒

1911(伊:チネス)(出)フェルディナン・ギョーム

オランダの頭巾とその種類Coiffures et Types de Hollande

  • 4分
  • DCP・無声・ステンシルカラー

1910(仏:パテ)

テムズ河畔 オックスフォードからウィンザーまでLes Bords de la Tamise d’Oxford à Windsor

  • 5分
  • DCP・無声・ステンシルカラー

1914(仏:エクレクティック・フィルム)

バーテルス姉妹Le Sorelle Bartels

  • 5分
  • DCP・無声・白黒

1910(伊:チネス)

お花で、さようなら!Buona Sera, Fiori!

  • 1分
  • DCP・無声・白黒

1909(伊:アンブロジオ)(出)マリー・クレオ・タルラリーニ

サタン狂想曲Rapsodia Satanica

  • 43分
  • DCP・無声・染色/調色/ステンシルカラー

悪魔と契約を結んだ上流社会の老婦人が、束の間の若さを手に入れる代わりに恋愛を禁じられる。文学(ファウストの伝承)、絵画(象徴主義やラファエル前派)、建築(アール・ヌーヴォー)、音楽(ピエトロ・マスカーニによる映画伴奏用のオリジナル楽曲)などの諸芸術を総合したイタリア無声映画の傑作。ディーバ女優のリダ・ボレッリが悲劇のヒロインを演じた。2015年にシネマテーク・スイスが所蔵する可燃性ポジ等をもとにデジタル修復された。本作のみ伴奏音楽を収録したDCPでの上映。

1917(伊:チネス)(監)ニーノ・オシーリア(原・脚)アルベルト・ファッシーニ(原)ファウスト・マリア・マルティーニ(撮)ジョルジオ・リッチ(出)リダ・ボレッリ、アンドレア・ハベイ、ウーゴ・バッジーニ、ジョバンニ・チニ

1月9日(火) 6:00 PM
上映後に小松弘氏(早稲田大学文学学術院教授)と古賀太氏(日本大学芸術学部映画学科教授)による対談(約40分)があります。

Courtesy Cineteca di Bologna

  • 長瀬記念ホール OZU
  • 長瀬記念ホール OZU
    上映後トーク(約40分)
  • 長瀬記念ホール OZU