「ドキュメンタリー・フィードバック」シリーズより

- 75分
「ドキュメンタリー映画制作における倫理的側面(そしてある程度は映画全体における倫理)は、終わりのない議論や批評的な討論を生み出してきたテーマです。監督と被写体の権力関係、搾取や誤解を招く危険性(あるいはその不可避性)、客観性という幻想を助長する危うさ……しかし映画作家自身がこうした問題を作品の構造に織り込もうと試みてきたことは見過ごされがちです」(アンソロジー/ラプフォーゲル氏)
ドキュメンタリー映画制作に内在する倫理的な問いや権力関係を前景化し、それに対処する特異な方法を示す作品として、ウィリアム・グリーヴスの『シンバイオサイコタクシプラズム:テイク・ワン』を上映。大学在学中より黒人劇団で俳優として活動していたグリーヴスは、ハリウッドの製作体制に反発してカナダへ渡った後、帰国して実験的なドキュメンタリー映画作家となった。この作品は長らく劇場未公開だったが、1992年のサンダンス映画祭で上映されたのを機にスティーヴン・ソダーバーグらの尽力により配給された。哲学者アーサー・F・ベントリーが環境と人間の関係について提唱した概念「シンバイオサイコタクシプラズム」に基づき、セントラルパークで即興的に撮影される映画の制作風景を、分割画面を駆使しながら多層的に描き出している。
シンバイオサイコタクシプラズム:テイク・ワンSymbiopsychotaxiplasm: Take One
- 75分
- DCP・カラー
1968(監・製作・編集・出)ウィリアム・グリーヴス(製作)マニュエル・メラメッド(撮)テリー・フィルゲート、ステヴァン・ラーナー(出)パトリシア・リー・ギルバート、ドン・フェローズ、ジョナサン・ゴードン、ボブ・ローゼン

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長瀬記念ホール OZU
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長瀬記念ホール OZU
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長瀬記念ホール OZU
