返還映画コレクション(3)――第二次・劇映画篇
Repatriated Film Collection [Part 3]: Fiction Films, 1931-1944

概要
東京国立近代美術館が1968年に「返還映画」を冠した特集上映を組んで以来、およそ半世紀ぶりの開催となった2023年度の「第一次・劇映画篇」、2024年度の「第一次/二次・劇映画篇」に続き、「返還映画コレクション(3)――第二次・劇映画篇」を開催します。
アメリカ議会図書館に約1,400本におよぶ戦前・戦中期の日本映画が残存している事実が判明したのは、1964年のことです。日米双方による事前調査と折衝を経て、1967年11月8日に「交換協定文書」が調印され、日本側が返還を希望した可燃性フィルム群が里帰りを果たしました。その後の困難な整理・不燃化作業を経て、国立映画アーカイブの基盤となるコレクションを形成した「返還映画」の中には、戦時期に米国内の各地で日系人から接収されたものや、戦後に民間情報教育局(CIE)の覚書「非民主的映画の排除」によって上映を禁止された劇映画の一部等が含まれていました。このたび当館では、1967年の第一次から1984年の第四次にかけて返還された可燃性フィルムの収蔵時の経緯等について再調査を実施し、収蔵時期の明確になったコレクションから順次(再)公開する運びとなりました。
本企画は、社団法人・日本映画製作者連盟(当時)加盟の大手映画会社4社(松竹、東宝、大映、日活)と、東京国立近代美術館フィルム・ライブラリー運営委員(飯島正、池田義信、牛原虚彦、川喜多かしこ、島崎清彦、清水晶)らの選定により、1968年に第二希望としてアメリカ議会図書館から返還を受けた劇映画群を、29プログラム(31作品)に組んで上映する回顧特集です。これら第二次返還映画の多くは、フィルムセンター時代の3企画「収蔵映画未公開作品の上映」(1974)、「収蔵映画未公開作品の上映(戦前の時代劇を集めて)」(1975)、「映画に見る昭和十年代」(1977)や、監督特集などで個別に採りあげてきましたが、コレクションという形でまとめて上映するのは今回が初となります。無声映画『紅蝙蝠 第一篇』(1931)をはじめ、映画界が臨戦体制に入った1937年から太平洋戦争末期の1944年にいたる諸作まで、第二次返還映画の光と影に新たな視線を注ぐ機会となれば幸いです。皆様のご来場をお待ちしております。
開催概要
- 会期
- 2025年7月15日(火)-8月24日(日)※会期中の休館日:月曜日
- 会場
- 長瀬記念ホール OZU(2階)
- 定員
- 310名(各回入替制・全席指定席)/各回の開映後の入場はできません。
- 主催
- 国立映画アーカイブ
[NFAJプログラムNo.65 | 上映会番号 485]
プログラム
紅蝙蝠 第一篇101分・1931・田中都畄彦 召集令/進軍の歌計123分 怪奇 江戸川乱山62分・1937・下村健二 相馬の金さん55分・1938・稲葉蚊兒 心の太陽77分・1939・深田修造 エノケンの頑張り戰術74分・1939・中川信夫 無明有明 [後篇]59分・1939・松田定次 征戦愛馬譜 暁に祈る 105分・1940・佐々木康 美女桜[暴風篇・黎明篇]114分・1940・大曽根辰夫 舞台姿102分・1940・野村浩将 權三と助十78分・1940・古野栄作、堀内眞那夫 二本松少年隊72分・1940・秋山耕作 都会の奔流93分・1940・佐々木啓祐 美しき隣人84分・1940・大庭秀雄 姉の出征65分・1940・近藤勝彦 嵐に咲く花86分・1940・萩原遼 落花の舞/まごころの歌計62分 女の宿86分・1941・犬塚稔 愛國の花96分・1942・佐々木啓祐 海の母90分・1942・伊賀山正徳 家に三男二女あり72分・1943・瑞穂春海 秘話ノルマントン號事件 假面の舞踏95分・1943・佐々木啓祐 サヨンの鐘74分・1943・清水宏 愛機南へ飛ぶ94分・1943・佐々木康 宮本武藏 決鬪般若坂75分・1943・伊藤大輔 君こそ次の荒鷲だ74分・1944・穂積利昌 愉しき哉人生77分・1944・成瀨巳喜男 五重塔64分・1944・五所平之助 野戰軍樂隊67分・1944・マキノ正博
■ (監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演
■ スタッフ、キャスト欄の人名は原則として公開当時の表記を記載しています。
■ 上映分数は当日のものと多少異なることがあります。
■ 不完全なプリントや状態の悪いプリントが含まれていることがあります。
■ 返還された可燃性フィルムの状態や現像処理時の不具合等により、音声レベルが極端に変動するなど、音声の聞き取りづらい作品が多く含まれています。
■ ♪の回は弁士・伴奏付上映です。★の回は講演があります。
上映カレンダー
7/15(火) | |
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7/16(水) | |
7/17(木) | |
7/18(金) | |
7/19(土) | |
7/20(日) | |
7/21(月・祝) | 休館日 |
7/22(火) | |
7/23(水) | |
7/24(木) | |
7/25(金) | |
7/26(土) | |
7/27(日) | |
7/28(月) | 休館日 |
7/29(火) | |
7/30(水) | |
7/31(木) | |
8/1(金) | |
8/2(土) | |
8/3(日) | |
8/4(月) | 休館日 |
8/5(火) | |
8/6(水) | |
8/7(木) | |
8/8(金) | |
8/9(土) | |
8/10(日) | |
8/11(月・祝) | 休館日 |
8/12(火) | |
8/13(水) | |
8/14(木) | |
8/15(金) | |
8/16(土) | |
8/17(日) | |
8/18(月) | 休館日 |
8/19(火) | |
8/20(水) | |
8/21(木) | |
8/22(金) | |
8/23(土) | |
8/24(日) |
■ チケットのオンライン発売は各上映日の3日前正午からとなります。
■ チケットのオンライン完売情報は、公式チケットサイトにてご確認ください。
■ 各回の開映後の入場はできません。予告篇はなく、本篇から上映します。
弁士・伴奏付上映出演者
♪8月9日(土) 13:00 『紅蝙蝠 第一篇』
片岡一郎(かたおか・いちろう)/活動写真弁士
2002年に澤登翠に入門。22か国で公演。約400作品の弁士を務める。『春の雪』、『ゆきてかへらぬ』、『BAUS』ほか『いだてん』『ブギウギ』などの作品に弁士役で出演。周防正行監督『カツベン!』では出演、指導、時代考証で参加。2020年に弁士の歴史を詳述した単著『活動写真弁史』を上梓。
宮澤やすみ(みやざわ・やすみ)/三味線
2010年無声映画楽士デビュー。東京国際映画祭や伊・ポルデノーネ無声映画祭、独・ニッポンコネクションなど国内外で出演。小唄扇派師範。長唄三味線を八代目杵屋巳太郎師に師事。和洋問わず多彩なジャンルで作詞作曲、唄と三味線で活動中。2025年小唄アルバム『廓の夜』をリリース。
トークのお知らせ
- ゲストは予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。
- トークイベントのみの参加はできません。
チケット案内
- 通常料金
-
- 520円
- 一般
- 310円
- 高校・大学生・65歳以上
- 100円
- 小・中学生
- 無料
- 障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)
キャンパスメンバーズ(教職員)
キャンパスメンバーズ(学生)
- 特別料金
(♪印の回) -
- 1,050円
- 一般
- 840円
- 高校・大学生・65歳以上
- 600円
- 小・中学生
- 500円
- キャンパスメンバーズ(教職員)
- 400円
- キャンパスメンバーズ(学生)
- 無料
- 障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)
- オンライン販売
- 各上映日の3日前正午から各上映回の開映15分前まで
- 窓口販売(1F)
- 各上映回の開映1時間前から5分前まで若干数販売
電子チケット購入方法
- 本ホームページの上映カレンダーからご覧になりたい上映日時の「チケット購入」ボタンを選択。
- 座席と券種を選択。
- メールアドレスやクレジットカードまたはd払いの情報等必要事項を入力。
- 申込が完了しますと、3. で入力したメールアドレスにQRコード付きのチケットが届きます。
入場方法
- チケットのQRコードをスマホ画面、または印刷紙面でご提示ください。
- 学生、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方、国立美術館のキャンパスメンバーズ、優待の方は証明できるものをご提示ください。ご提示のない方はご入場できません。
- 料金区分の違うチケットでは入場できません。差額のお支払で観覧することはできません。
- 各回の開映後の入場はできません。予告篇はございません。
- 開場は開映30分前です。
注意事項
- 特集名、作品名は電子チケットに表示されませんので、お間違いないようご購入、ご提示ください。
- 窓口でご購入いただける当日券は各回1名につき1枚のみです。
- チケットのオンライン完売情報は、公式チケットサイトにてご確認ください。