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追悼特集 映画監督 今村昌平と黒木和雄

Retrospective in Memory of Shohei Imamura and Kazuo Kuroki
2007.4.17-5.9
2007.5.17-6.10

2007年4月17日(火)~5月9日(水)
2007年5月17日(木)~6月10日(日)

開催要領

定員=310名(各回入替制)
発券=2階受付
料金=一般500円/高校・大学生・シニア300円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)は無料
・観覧券は当日・当該回にのみ有効です。
・発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切となります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者の方は、証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。

★開映後の入場はできません。
★4-5月の休館日:月曜日

さる2006年、日本の近現代史とその中に生きる人間を鋭く見つめながら、既成の映画作りの枠を飛び出して映画芸術を革新した二人の映画作家、今村昌平監督と黒木和雄監督が逝去されました。
1926年、東京に生まれた今村監督は1951年に松竹大船撮影所に入社、その後の日活時代も含め、助監督として名匠・小津安二郎、川島雄三両監督の薫陶を受けました。1958年の『盗まれた欲情』で演出家としてデビューし、その後『豚と軍艦』(1961年)、『にっぽん昆虫記』(1963年)、『赤い殺意』(1964年)などの猥雑なエネルギーに満ちた一連の作品により決定的な評価を獲得します。欲望にまみれた人間の暗部を精力的に描き、自ら今村プロダクションを設立してからは記録映画やテレビ作品にも挑戦して、1983年の『楢山節考』ではカンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞しました。その後も『黒い雨』(1989年)やパルム・ドールを再度獲得した『うなぎ』(1997年)などを通じて、その名を世界に知らしめるに至りました。
1930年、三重県に生まれた黒木監督は1954年に岩波映画製作所に入社、産業PR映画という制度の中、『あるマラソンランナーの記録』(1964年)などで型破りの表現に挑みました。『とべない沈黙』(1966年公開)によってドキュメンタリーから劇映画へ転身した後も、ノンフィクション出身らしい凝視の視線や体制への批判精神を保ちながら『竜馬暗殺』(1974年)や『祭りの準備』(1975年)といった青春群像劇の秀作を発表、社会から疎外された人間像を鋭く描写しました。さらに、もう一つの代表作となった『TOMORROW 明日』(1988年)からは太平洋戦争下の庶民生活を積極的に取り上げ、それは遺作となった『紙屋悦子の青春』(2006年)にまで引き継がれています。
両監督の演出スタイルは異なるものでしたが、日本映画の最盛期にデビューしつつも従来の映画産業の構造に反旗を翻したこと、劇映画とノンフィクションの双方で活躍したこと、社会の弱者やマイノリティの視点を常に抱いていたこと、そして原爆被害者への鎮魂の思いを込めた作品を持つことなど、共通する点も少なくありません。
この二巨匠が遺した1990年前後までの43作品(今村監督22作品、黒木監督21作品)を31プログラムに組み合わせ、それぞれの偉大な映画芸術の歩みをたどります。

◆今村昌平監督作品
1 「テント劇場」より 盗まれた欲情(92分・35mm・白黒)
2 あほう(13分・16mm・白黒)
凍りついた炎(37分・16mm・カラー)
西銀座駅前(52分・35mm・白黒)
3 果しなき欲望(100分・35mm・白黒)
4 にあんちゃん(101分・35mm・白黒)
5 豚と軍艦(108分・35mm・白黒)
6 にっぽん昆虫記(123分・35mm・白黒)
7 赤い殺意(150分・35mm・白黒)
8 「エロ事師たち」より 人類学入門(128分・35mm・白黒)
9 人間蒸発(129分・35mm・白黒)
10 神々の深き欲望(174分・35mm・カラー)
11 にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活(105分・35mm・白黒)
12 未帰還兵を追って マレー篇(47分・16mm・カラー)
未帰還兵を追って タイ篇(49分・16mm・カラー)
13 からゆきさん(75分・16mm・カラー)
無法松故郷に帰る(47分・16mm・カラー)
14 復讐するは我にあり(140分・35mm・カラー)
15 ええじゃないか(151分・35mm・カラー)
16 楢山節考(130分・35mm・カラー)
17 女衒 ZEGEN(124分・35mm・カラー)
18 黒い雨(123分・35mm・白黒)
◆黒木和雄監督作品
19 東芝の電気車輌(22分・35mm・カラー)
海壁(59分・35mm・カラー)
ルポルタージュ 炎 (37分・35mm・カラー)
20 恋の羊が海いっぱい(20分・35mm・カラー)
わが愛北海道(49分・16mm・カラー)
日本発見シリーズ 群馬県(30分・16mm・白黒)
21 日本10ドル旅行(21分・16mm・カラー・英語版)
太陽の糸(29分・35mm・カラー)
あるマラソンランナーの記録(63分・35mm・カラー)
22 椅子を探す男(11分・16mm・カラー)
とべない沈黙(100分・35mm・白黒)
23 キューバの恋人(98分・35mm・白黒)
24 日本の悪霊(90分・35mm・白黒)
25 竜馬暗殺(119分・35mm・白黒)
26 祭りの準備(117分・35mm・カラー)
27 原子力戦争(106分・35mm・カラー)
28 夕暮まで(110分・35mm・カラー)
29 泪橋(118分・35mm・カラー)
30 ぼくのいる街(23分・16mm・カラー)
TOMORROW 明日(105分・35mm・カラー)
31 浪人街(117分・35mm・カラー)

4月26日(木) 7:00pm 『黒い雨』上映終了後
ゲスト:稲垣尚夫氏(映画美術監督)

5月29日(火) 7:00pm 『TOMORROW 明日』他上映終了後
ゲスト:日向寺太郎氏(映画監督)

★トークのみの入場はできません。

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The National Museum of Modern Art, Tokyo