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ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」
記念特別イベント

Shinpan O-oka Seidan  
A Reconstruction Attempt of the Lost Masterpiece 
with Stills, Benshi and Piano Performance 
In Celebration of UNESCO World Day for Audiovisual Heritage
Shinpan O-oka Seidan
A Reconstruction Attempt of the Lost Masterpiece
with Stills, Benshi and Piano Performance
In Celebration of UNESCO World Day for Audiovisual Heritage

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【日時】 2008年10月26日(日) 3:00pm開演
  ※『新版大岡政談』の公演と梶田章氏の講演を合わせ約2時間を予定。
【会場】 東京国立近代美術館フィルムセンター 大ホール(2階)
【料金】 一般=500円
     高校・大学生・シニア=300円
     小・中学生=100円
     障害者(付添者は原則1名まで)=無料
【定員】301名
【発券】2階受付

◆開演後の入場はできません◆

・観覧券は当日・当該回にのみ有効です。
・発券・開場は開演の30分前から行い、定員に達し次第締切となります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者の方は、証明できるものをご提示ください。
・発券は1名につき1枚のみです。


主催:東京国立近代美術館フィルムセンター
企画協力:ロスト・フィルム・プロジェクト、梶田章

 2006年、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は10月27日を「世界視聴覚遺産の日」と定めました。フィルムセンターでは、この国際記念日をより広く周知するため特別イベントの開催を今後定例化するとともに、このたびその第一回となる「甦る『新版大岡政談』」を開催することになりました。

 『新版大岡政談』(1928年)は、大河内傳次郎(主演)=伊藤大輔(監督)=唐沢弘光(撮影)の代表作であるのみならず、日本の無声映画を代表する傑作とも評されながら、既にフィルムが失われ現在は見ることができません。

今回のイベントでは「ロスト・フィルム・プロジェクト」の協力により、この《幻の映画》を、大河内研究の第一人者として知られる映画史家・梶田章氏の蒐集によるスチル写真のスライド投影と澤登翠氏の弁士、柳下美恵氏のピアノ伴奏で再現を試みます。また、これにあわせて梶田章氏による講演を行います。

本イベントが、文化遺産として歴史資料として映画を保存することの重要性を考える一助となれば幸いです。
皆様のご来場をお待ちしております。

ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」についてはこちら

関七流の名手兼元がその臨終の精魂を込めて鍛えた双刀――乾雲と坤龍。共にあれば和合瑞気の象を現わすが、両刀一旦その処を異にすれば、雲は龍を呼び、龍は雲を望んで半夜啾々として咽び泣き流血の惨を見ずば止まずと伝えられる……



『新版大岡政談』(1928年、日活太秦)

妖刀一対の争奪にからむ隻眼隻手の怪剣士の活躍を描き、丹下左膳=大河内傳次郎のイメージを決定づけた作品。昭和2(1927)年10月15日から翌年5月31日まで大阪毎日新聞に連載された林不忘の大衆時代小説「新版大岡政談」を映画化したもので、当時は日活作品の他にも嵐長三郎(寛寿郎)主演=二川文太郎監督によるマキノ作品、団徳麿主演=広瀬五郎監督の東亜作品が発表され、3社の競作となった。
それらの中でも最高の人気を集めた本作は、左膳にニヒリスティックな感情を通わせた伊藤大輔の脚色と唐沢弘光のスピード感あふれるカメラワーク、大河内傳次郎の見事な殺陣が相まって、名トリオと言われた三人の代表作となったのみならず、今日では無声時代の映画表現を極めた傑作として伝説化している。
梶田章氏によれば本作は1941年の秋まではネガ原版が日活に保存されていたがその後散逸し、現在では玩具映画用に販売されたプリントなどわずかな断片のみが残されている(下記巻数、出演者は封切当時)。

第一篇 1928年5月31日封切 10巻
第二篇 1928年6月8日封切 7巻
解決篇 1928年8月17日封切 7巻

監督・脚色:伊藤大輔
原作:林不忘
撮影:唐沢弘光

配役    
丹下左膳/大岡越前守:大河内傳次郎(二役)
相馬大膳亮:嵐王王松郎
小野塚鉄斎:尾上卯多五郎
鉄斎の娘・弥生:伊藤みはる
諏訪栄三郎:賀川清
森徹馬:実川延七
詫間重三郎:藤野龍太郎
鈴川源十郎:金子鉄郎
櫛巻お藤:伏見直江
鼓の与吉:石井貫治
当り矢お艶:梅村蓉子
蒲生泰軒:高木永二
伊吹大作:瀬川銀潮
山椒の豆太郎:尾上緑郎
月輪軍之進:寺島貢
得印兼光:実川延一郎
徳川吉宗:久米譲

澤登翠(さわと・みどり)/弁士
故松田春翠門下。「伝統話芸・活弁」の継承者として“活弁”を現代のエンターテインメントへと甦らせ、全国各地の上映会や映画祭への出演に加え、フランス、イタリア、ドイツ、アメリカなど海外でも多数の公演を行う。日本映画ペンクラブ賞、文化庁芸術祭優秀賞他数々の賞を受賞。これまでに手がけた無声映画は500本を越える。

柳下美恵(やなした・みえ)/作曲・編曲、ピアノ
無声映画伴奏者。武蔵野音楽大学器楽科(ピアノ専攻)卒業。1995年、朝日新聞社主催の映画生誕100年記念上映会でデビュー以来、国内外の映画祭などで公演。紀伊國屋書店クリティカル・エディション・シリーズ『裁かるるジャンヌ』『魔女』の音楽を担当。2006年度日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。

■ロスト・フィルム・プロジェクト■
失われた映画を現存する写真画像をもとに音楽や語りで再構築するために、無声映画伴奏者の柳下美恵と弁士の澤登翠が共同で立ち上げたプロジェクト。2006年の「溝口健二没後50年記念企画 活弁とピアノで魅せる『溝口健二のふたつの顔』」(パルテノン多摩)で第1回の公演を行い、映画史家の佐相勉氏とともに溝口健二の失われた表現主義映画『血と霊』(1923年)を取り上げた。今回の『新版大岡政談』が2回目の作品となる。


梶田章(かじた・あきら)
1921年生まれ。無声映画時代末期の映画鑑賞体験と独自に蒐集した資料をもとに大河内傳次郎の実証的研究を続ける。2002年度日本映画ペンクラブ奨励賞を受賞。著書に『大河内傳次郎――その日活時代』(私家版、1976年)、『大河内傳次郎 人と作品・その魅力のすべて』(朝日ソノラマ、1992年)など。1978年から『大河内映画研究』、1998年からは『大河内映画通信』を発行、通算20号を数えている。


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The National Museum of Modern Art, Tokyo