映画アーカイブにおける長期保存システムの調査研究

東京国立近代美術館フィルムセンター(以下「フィルムセンター」)では、近年、映画フィルムのデジタル化やデジタル修復等の研究事業をすすめています。

平成28年度、BDCプロジェクトではそれらの作業行程で生成される各種デジタルデータの長期保存のための調査研究を、株式会社エヌ・ティ・ティ・データに委託研究という形で実施しました。

 

本ブログでは、調査研究の内容を概観するとともに、調査研究にて作成された報告書の本編を紹介したいと思います。 続きを読む


情報の長期保存に有力なOAIS参照モデル 第2回(全2回)

 

前回記事に引き続き、長期に情報を維持する仕組みとして考えられたOAIS参照モデルについてご紹介します。

コンテンツ(保存対象)の意味を理解するための情報をひとまとめにした「情報パッケージ」を、どのように扱うかが内容のお話になります。

 

1.OAIS参照モデルにおけるマイグレーションの種類

OAIS参照モデルでは情報パッケージのマイグレーションの種類として4種類を記載しています。

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情報の長期保存に有力なOAIS参照モデル 第1回(全2回)

 

今回は、長期に情報を維持する仕組みとして考えられた概念モデルについてお話したいと思います。

デジタル情報はビット情報を維持するだけでは不十分であり「将来にわたって保存対象の意味を理解できること」を保証してこそ長期的な保存が実現します。

 

1.OAIS参照モデル

OAIS参照モデル(註1)をご存じでしょうか?

OAIS参照モデル(Reference Model for an Open Archival Information System)とは情報の長期保存システムの構築に対して有力なモデルとされ、国際標準規格(ISO 14271:2003、改訂版はISO 14721:2012)になっている仕組みです。

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