令和元年度 インターンシップ生のことば

令和元年度インターンシップ生 Sさん

私は大学院で個人映画の研究を行なっており、日々、1人の映画作家と1本の映画作品というその関係について考えています。その映画が、私というもう1人へと届けられるまでにはどのような道のりをたどるのか。映画という時間についてもう一度考え直してみたいという純粋な興味から、私は国立映画アーカイブでのインターンシップを希望しました。

期間中は5つの部署を順に回りながら、幅広く仕事に携わらせていただきました。広報・発信室では様々な媒体における広報案を検討。上映展示室では作品のリサーチ、ホームページやパンフレットの更新作業などを行ないました。映画室では1本のフィルムがいかに収集・保存・復元、さらには利用されているのか、一連の流れに沿って解説していただき、実際にデータベースを活用して収蔵フィルムの調査を行いました。教育・事業展開室では主にイベントの設営と当日の進行補佐を務めました。資料室では個人映画に関する寄贈文献や資料の整理・リスト化に従事することができました。

私がこのインターンシップを経て実感したことは、映画というものが最終的には人と人との繋がり、その間においてしか存在し得ないのだという事実でした。そこにおいて、もはや「商業映画」や「個人映画」というようないかなる線引きも必要ではなくなっていたのです。観ることでしか始まらない映画。それが観られるように、今を超え、日々映画と、人と向き合う研究員の方々の姿に勇気をいただきました。私はこの先どこで、どのような形で映画と関わることになるのかはわかりませんが、たとえそれが映画ではなかったとしても、彼らと同じように、自分が大切と思うものを守るための努力が続けられたらいいと思っています。