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  • 2017.6.28 - 7.26

映画の教室 2017

素材から観る日本アニメーション

Film Class of 2017

Japanese Animation - seen through materials

日本でアニメーション映画が誕生したとされる1917年から100年を迎えた2017年。今やアニメーションは日本を代表する文化にもなりました。1コマ1コマ「画」を作り、その膨大な作業の末に出来上がるアニメーションは、表現に応じてさまざまな素材が用いられてきました。『煙り草物語』(1924年)から『頭山』(2002年)まで、所蔵作品の中から素材や手法を紹介しながら日本のアニメーション作品を上映いたします。5回のシリーズで映画を学ぶ場として新たに出発した「映画の教室」は、各回研究員による解説が付きます。

開催日:2017年6月28日(水)7月5日(水)12日(水)19日(水)26日(水)
7:20pm開始 [7:00pm発券・開場]  全5回・毎週水曜・約15分の研究員による解説付き

会場:小ホール 定員:151名
★各回の開映後の入場はできません。

料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、キャンパスメンバーズは無料 
・定員制。混雑時でも7:20pmまでお席を確保できる「映画の教室」会員証(300円)を発売します。

*会員証は好評につき完売いたしました。当日券は各回ございます。

チケット・会員証の詳細はこちら


■06.28[水]7:20pm-

切り紙・影絵アニメーション  (約64分)

日本アニメの先駆者たちは切り紙アニメという手法を用いた。カラーセロファンを用いた大藤信郎の艶やかな影絵アニメは海外での評価も高く、カンヌ国際映画祭で上映された『くじら』はピカソやコクトーが絶賛、『幽霊船』はベネチア国際映画祭で上映された。“蝶々歌手”の三浦環の協力を得て制作された『お蝶夫人の幻想』は日本影絵映画の代表的名作。切り紙アニメの最高傑作『月の宮の王女様』は、まるでセルアニメのような滑らかな動きが驚異的。

黒ニャゴ[デジタル復元版] (3分・35mm・白黒)1929(千代紙映画社)
(画)大藤信郎(音)佐々紅華

くじら(KUJIRA) [デジタル復元版] (9分・35mm・カラー)1953(大藤スタジオ)
(監)(脚)(画)大藤信郎(音)塚原晢夫

幽霊船(YUUREISEN) [デジタル復元版] (11分・35mm・カラー)1956(大藤スタジオ)
(監)(脚)(画)大藤信郎(音)平井康三郎

お蝶夫人の幻想(12分・35mm・白黒)1940(朝日映画)
(構)(撮)荒井和五郎、飛石仲也(音)三浦環

お花のおひめさま(18分・35mm・白黒) 1948(日本教育映画株式会社)
(監)(画)荒井和五郎

新版 月の宮の王女様[サクラグラフ版] (11分・35mm・白黒) 1934(横浜シネマ商会)
(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(音)三木鶏郎

 


■07.05[水]7:20pm-

人形アニメーション  (約61分)

人形などを1コマずつ動かして撮影する人形アニメ (パペットアニメ)。日本人形アニメの父と呼ばれる持永只仁は国際的にも人気を博し、ティム・バートンにも影響を与えたと言われている。持永は後進の育成にも積極的で、岡本忠成や川本喜八郎などを輩出した。人形美術家でもある川本喜八郎は『道成寺』で様式美と人形スタイルを確立、『おこんじょうるり』は作品毎にさまざまな素材を用いた岡本忠成の最高傑作と名高い。

ペンギンぼうや ルルとキキ(16分・35mm・白黒)1958 (人形映画製作所)
(監)持永只仁(原)乾富子(脚)村治夫、中江隆介(撮)岸次郎(形)熊谷達子(美)小松乙彦(音)林光          

道成寺(19分・35mm・カラー) 1976(川本プロダクション)
(監)(脚)(形)(動)川本喜八郎(撮)田村実(形)若佐ひろみ、高橋佳代子(動)尾崎良、峰岸裕和ほか(美)壬生露彦、中川涼(音)松村禎三           

おこんじょうるり (26分・35mm・カラー)1982(桜映画社=エコー社)
(監)(脚)岡本忠成(原)さねとうあきら(撮)田村実、伊丹邦彦(形)保坂純子ほか(動)藤森誠代、長崎希、吉田悟ほか(音)髙橋祐次郎、堅田喜三久、中川善雄(声)長岡輝子、小野寺かほる、木村富穂、後藤哲夫


■07.12[水]7:20pm-

セルアニメーション:東映動画  (79分)

東映動画発足のきっかけにもなったセルアニメで、日本で初の長編カラーアニメ映画『白蛇伝』。白蛇の化身の娘が命を救ってくれた少年と恋に落ちる物語を子供から大人まで楽しめる作品に仕上げた。女優が娘役の服装で実際に演じ、その動きを基に描いている。ベルリン国際映画祭、ベネチア国際映画祭で上映もされ、国内外で数々の賞を受賞。日本アニメ史だけでなく、日本映画史においても重要な作品である。

白蛇伝(79分・35mm・カラー)1958(東映動画)
(監)(脚)薮下泰司(原)上原信(脚)矢代静一(撮)塚原孝吉、石川光明(原画)大工原章、森康二(動)大塚康生、坂本雄作、喜多真佐武、紺野修司、中村和子、寺千賀雄ほか(美)岡部一彦、橋本潔(音)木下忠司、池田正義、鏑木創(声)森繁久弥、宮城まり子


■07.19[水]7:20pm-

セルアニメーション:虫プロ  (80分)

虫プロが大人向けに製作した「アニメラマ」シリーズの第三弾にあたり、「アニメロマネスク」として発表した『la sorcière 哀しみのベラドンナ』。原作はフランスの歴史家ジュール・ミシュレの「魔女」。カメラを動かして一枚の静止画を写す手法を多用し、フィルムによる絵物語に仕上げている。東映動画に次ぐ第二の大手であった虫プロは、この作品を最後に倒産した。

la sorcière 哀しみのベラドンナ(80分・35mm・カラー) 1973(虫プロダクション)
(監) (脚)山本暎一(原)ジュール・ミシュレ(脚)福田善之(撮)山崎茂(原画)前田庸生、辻伸一(作画監督)杉井ギサブロー(動)小林準治ほか (音)佐藤允彦(美)深井国 (声)仲代達矢、長山藍子、中山千夏ほか

 


■07.26[水]7:20pm-

さまざまな素材と手法  (約53分)

切り紙と実写を合成した大藤信郎の『煙り草物語』、個人映画の先駆者である荻野茂二による抽象アニメ、久里洋二が少ない枚数のセル画で生み出したリミテッドアニメ『人間動物園』、写真や紙芝居風の手法を用いた虫プロの実験的作品、毛糸の質感がやさしい『りすのパナシ』、世界中の映画祭で上映された山村浩二の手描きアニメ『頭山』。1924年から2002年までの作品を様々な素材とスタイルを追いながら紹介する。

煙り草物語(3分・35mm・染色・無声・不完全) 1924(自由映画研究所)
(監)大藤信郎

AN EXPRESSION(表現)(3分・35mm・カラー・無声)1935
(監)荻野茂二

PROPAGATE(開花)(4分・35㎜・白黒・無声)1935
(監)荻野茂二

人間動物園(2分・35mm・カラー)1962(久里実験漫画工房)
(監)(画)久里洋二(音)武満徹(詩)谷川俊太郎(声)水島弘、岸田今日子

めもりい(6分・35mm・カラー)1964(虫プロダクション)
(監)(原)(構)(画)手塚治虫(撮)清水達正(原画)山本繁(動)沼本清海 (音)虫プロ作曲部                         

創世記(4分・35mm・白黒)1968(虫プロダクション)
(監)池内辰夫(撮)虫プロダクション撮影部(画)鈴木勝利、下村進、鎌田忠春ほか (声)小林清志

りすのパナシ(21分・35mm・カラー) 1978(電通=電通映画社)
(監)(脚)おかもとただなり(原)リダ・フォシェ(脚)ひがしかわようこ、ながくらくんぺい(撮)たむらみのる、いたみくにひこ(形)まきさかちづこ、ひがしかわようこ ほか(動)ふじもりまさよ、おざきりょう ほか(音)ひぐちやすお ほか(声)きしだきょうこ

頭山 Mt.HEAD(10分・35mm・カラー)2002(Yamamura Animation)
(監)(動)(美)山村浩二(脚)米村正二(動)荒井知恵(語り・三味線) (音) 国本武春(音)シジジーズ

 

 

■(監)=監督・演出 (構)=構成 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (画)=作画 (形)=人形・人形造形・人形製作 (動)=動画・アニメーション (美)=美術 (音)=音楽・作曲 (声)=声の出演・語り・ナレーション
■特集には不完全なプリントが含まれていることがあります。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■作品の製作年は、後に作られた改変版のプリントを上映する場合も、元の製作年を記載しています。

料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、キャンパスメンバーズは無料

発券:地下1階受付
・観覧券は当日・当該回のみ有効です。
・発券・開場は7:00pmから行い、定員に達し次第締切ります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方は、証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。
・定員制。混雑時でも7:20pmまで座席を確保できる「映画の教室」会員証(300円)を発売します。詳細は下記をご覧ください。

 

「映画の教室」会員証=300 [観覧券は各回別途必要です]

*会員証は好評につき完売いたしました。当日券は各回ございます。

混雑時でも7:20pmまでお席を確保します。(自由席・開映後の入場不可)

・購入時に7階展示「人形アニメーション作家 持永只仁」の入場券1枚、全5回参加完了時には本年度の当館主催上映の入場引換券を1枚謹呈します。

・観覧料は通常料金がかかります。各回地下1階受付にて会員証をご提示の上お支払いください。

・5月13日より1階受付(火-金11:00am-7:00pm、土日祝11:00am-6:30pm)、当日開場後は7:20pmまで地下1階受付で販売します。

映画の教室とは映画芸術や映画保存を学ぶ上で重要な作品を、東京国立近代美術館フィルムセンターの所蔵作品の中から上映するプログラム。2017年度より、テーマに沿った各5回シリーズ・研究員の解説付きにリニューアルしました。シリーズを通して観ることで、より一層映画や作品への理解を深めることができます。

できるだけ5回シリーズ通してご参加いただきたいとの思いから、混雑時でも7:20pmまでお席を確保できる「映画の教室」会員証(300円)もご用意いたしました。ぜひご利用ください。

*会員証は好評につき完売いたしました。当日券は各回ございます。

後期は別のテーマで2017年10月11日[水]より全5回、隔週水曜日(10/11、10/25、11/8、11/22、12/6)に開催いたします。詳細は後日アップします。

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