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造形作品でみる 岡本忠成アニメーションの世界
Artworks from the Animation Films of Tadanari Okamoto
「おこんじょうるり」
1982年/人形(張り子)

「ふしぎなくすり」「南無一病息災」「おこんじょうるり」・・・
傑作アニメーションで用いられた造形作品を展示・公開

「おこんじょうるり」
1982年/人形(張り子)

2004年4月6日(火)‐6月27日(日)/7月6日(火)‐8月29日(日)
東京国立近代美術館フィルムセンター展示室(7階)

料金=一般200円(100円)/大学生・シニア70円(40円)/高校生40円(20円)

  • 料金は常設の「展覧会 映画遺産」の入場料を含みます。
  • ( )内は20名以上の団体料金です。小・中学生は無料です。
  • 大ホールで企画上映をご覧になった方は当日に限り、半券のご提示により団体料金が適用されます。
  • シニア(65歳以上)の方は、必ず年齢を証明できるものをご提示ください。

開室時間:午前11時-午後6時30分(入場は午後6時まで)
休室日:毎週月曜日および6月28日(月)‐7月5日(月)

主催:東京国立近代美術館フィルムセンター
特別協力:株式会社エコー
協力:保坂純子/(株)桜映画社/ジェネオン エンタテインメント(株)/(株)紀伊國屋書店

 手作りによる個性豊かな短篇作品で、我が国におけるアニメーションの歴史に大きな足跡を残した岡本忠成。

 その作品世界の魅力は、変化に富んだ素材や技法と切り離して語ることができません。荒々しい木彫りの人形を使った「おじいちゃんが海賊だった頃」(1968)、絵馬の様式を取り入れた杉板による「南無一病息災」(1973)や柔軟な毛糸による「あれはだれ?」(1976)などの半立体作品、そして張り子の質感を生かした「おこんじょうるり」(1982)まで、一作ごとにそれまでとは異なる表現様式に挑むという映画作りのポリシーは他に例を見ないものであり、全ての作品が良質のエンターテイメントでありながら、常にアニメーションの持つ本源的な力と可能性を問いかけてきます。

 本展では、エコー社の設立より岡本作品を支え続けた人形作家・保坂純子氏の協力を得て、実際の映画製作で用いられた造形作品の数々を展示・公開します。第一作「ふしぎなくすり」(1965)から遺作となった「注文の多い料理店」(1991)までの道のりを、完成作品のクリップとの比較などを交えてたどりながら、アニメーションの創造の秘密に触れていただければ幸いです。

「おじいちゃんが海賊だった頃」
1968年/人形(木彫)
「日本むかしばなし さるかに」
1972年/人形(木彫)
岡本忠成(1932-1990)
大阪大学法学部を卒業後、2年間の会社勤務を経て日大芸術学部でアニメーション制作を学ぶ。持永只仁のMOMプロダクションでアニメーターとしての経験を積み、1964年には株式会社エコーを設立。以後、短篇人形アニメーションを中心に自らプロデュースと演出を手がける。平面、立体、半立体を自在に使い分け、木、皮、布、毛糸、紙、粘土、プラスチック、金属、発泡ウレタン、杉板、張り子など一作ごとに異なる素材と技法を用いている。「ホーム・マイホーム」(1970)のほか「うたのシリーズ」3作品(1968-70)、「NHKみんなのうた」シリーズ6作品(1975-86)、節の付いた語りと歌で全篇が構成される「南無一病息災」(1973)、三味線を用いた「ちからばし」(1976)、そして婆さまと狐のおこんの浄瑠璃が物語の鍵になる「おこんじょうるり」(1982)など、音楽がBGM以上の重要な役割を果たしているのも大きな特徴である。1972年からは川本喜八郎と組み、両者のアニメーション作品とパペットショウを組み合わせた「パペット・アニメーショウ」を開催。6年間継続して、人形アニメーションの社会的認知に大きく貢献した。1990年の急逝後、未完のままに残された「注文の多い料理店」は盟友川本の手で仕上げられた。その作品はときに鋭い批判精神を垣間見せつつも温かみにあふれ、死後も再評価の声は高まるばかりである。
「モチモチの木」
1972年/半立体(和紙)
「キツツキ計画」
1966年/半立体(木彫)
「人間いじめシリーズ1 旅は道連れ世は情」
1973年/セル(イラストマーカー)
「ちからばし」
1976年/人形
「注文の多い料理店」
1991年/キャラクター・デッサン
【企画上映(予告)】
日本アニメーション映画史
2004年7月6日(火)~8月29日(日)
会場=東京国立近代美術館フィルムセンター大ホール

日本のアニメーション映画の歴史を、フィルムが現存する1920年代以降の作品を通してたどる特集。また本展にあわせて岡本忠成作品の連続上映を行います。