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大ホール上映作品

日本映画の発見IV:占領下のNIPPON(2)

Rediscovering Our National Film Heritage (IV):
Nihon Eiga under the Occupation - Part 2

上映スケジュール

 日本の映画遺産をその無声期から現在まで辿ろうとするフィルムセンターの 長期上映企画「日本映画の発見」も、いよいよ第IV期を迎えました。

 1945年8月15日の終戦から1952年4月29日の対日講和条約の発効まで、 わが国はアメリカを中心とする「連合国」の統治下にありました。戦前、内務 省の検閲を受けていた日本映画は、この新しい時代にあってはGHQ(連合軍総 指令部)の検閲を受けることとなり、いわゆる「民主主義」的な、あるいは「反 軍国主義」的な作品の製作が要請されました。こうした「占領下のNIPPON」で、 実際にはどのような作品が発表されたのかを、55本におよぶ映画を通じて知る ことができる本特集は、続く「栄光の50年代」を準備した「混乱期」の映画作 りを鳥瞰する意味でも、日本の戦後そのものを再考する上でも、きわめて興味 深い機会となるでしょう。

 2期・80日間にわたる会期の後半となる今回は、1949年から1952年までを 対象に、社会的な注目を集めた話題作から、今日では上映される機会の稀な中 小プロダクションの作品を通して、当時の日本映画を織り成していた〈さまざ まな様相〉を眺めていきます。

■(監)=監督・演出 (原)=原作 (脚)=脚本 (撮)=撮影 (美)=美術  (音)=音楽 (出)=出演
■本特集には不完全なプリントが含まれています。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。


A-1 6/16(火)3:00pm 7/3(金)6:30pm 7/30(木)3:00pm

怪傑紫頭巾 總輯版

(96分・35mm)

寿々喜多呂九平脚本、マキノ省三・金森万象共同演出で1923年にマキノプロで つくられた「紫頭巾浮世絵師」のリメイク作品。監督は省三の子、マキノ雅弘 である。紫頭巾の阪東妻三郎、目明かし佐平次の大河内傳次郎は初めての共演 でもあり、豪華な配役で時代劇ファンにアピールした。

'49(C・A・C)(監)マキノ雅弘(原)壽々喜多呂九平(脚)八尋不二(撮)三木滋人(音) 鈴木静一(出)阪東妻三郎、大河内傳次郎、月丘夢路、宮城千賀子、沢村國太郎、 加東大介、尾上菊太郎、小堀誠、山口勇、市川春代、楠かほる、逢初夢子、荒 木忍、富本民平、香川良介


A-2 6/16(火)6:30pm 7/7(火)3:00pm 7/30(木)6:30pm

どぶろくの辰

(94分・35mm)

田坂具隆監督の戦後第一作。1945年8 月6 日、広島で被爆した田坂の健康が 回復するまでには 4年の月日を要した。物語は工事現場で働く「どぶろくの 辰」と、かれを取り巻く二人の女を描いたものである。脚本家の中江良夫が、 新国劇のために書いた戯曲の映画化であり、辰巳柳太郎の映画初出演が話題と なった。

'49(大映東京)(監)田坂具隆(原)(脚)中江良夫(撮)伊佐山三郎(美)柴田篤二 (音)斎藤一郎(出)辰巳柳太郎、水戸光子、入江たか子、見明凡太朗、菅井一郎、 河津清三郎、船越英二、伊沢一郎、水原洋一、海野光一、高品格


A-3 6/17(水)3:00pm 7/4(土)1:00pm 7/31(金)3:00pm

新釋四谷怪談 前篇

(85分・35mm)

鶴屋南北の「東海道四谷怪談」を、シナリオの久板栄二郎、監督の木下恵介が 合理的解釈にもとづき映画化したユニークな作品。もっとも、占領下にあって は、時代劇の封建性や非合理性は厳しい検閲の対象でもあった。民谷伊右衛門 (上原謙)が気弱な失業者として描かれており、原作のもつ禍々しい美の要素 は薄められている。

'49(松竹京都)(監)木下惠介(原)鶴屋南北(脚)久板榮二郎(撮)楠田浩之(美)本 木勇(音)木下忠司(出)田中絹代、上原謙、山根壽子、杉村春子、飯田蝶子、瀧 沢修、宇野重吉、佐田啓二、玉島愛造、三津田健、山路義人


A-4 6/17(水)6:30pm 7/4(土)4:00pm 7/31(金)6:30pm

新釋四谷怪談 後篇

(73分・35mm)

木下恵介はこの作品を、気弱な失業者と一途な妻の悲劇、なかば不遇のラブ・ ロマンスとして演出している。また、滝沢修の直助権兵衛、杉村春子のお槙、 佐田啓二の小仏小平など、脇の人物に独特の陰影をほどこすことで物語に厚み がくわえられている。興行的には後篇の方がヒットしたということである。

'49(松竹京都)(監)木下惠介(原)鶴屋南北(脚)久板榮二郎(撮)楠田浩之(美)本 木勇(音)木下忠司(出)田中絹代、上原謙、山根壽子、杉村春子、飯田蝶子、瀧 沢修、宇野重吉、佐田啓二、玉島愛造、三津田健


A-5 6/18(木)3:00pm 7/7(火)6:30pm 8/1(土)1:00pm

山を飛ぶ花笠

(83分・35mm)

七世尾上梅幸の数少ない出演作の一つ。伊藤大輔が梅幸扮する役者と彼を慕う 女、その許婚の医者という三角関係を歌舞伎の世界を背景に巧みに描いてい る。伊藤は小山内薫に命じられて、松竹キネマ俳優学校時代に実地に歌舞伎を 学んだことがあり、そのときの見聞が生かされているともいえるだろう。

'49(大映京都)(監)(脚)伊藤大輔(原)川口松太郎(撮)川崎新太郎(美)角井平吉 (音)西梧郎(出)尾上梅幸、花柳小菊、月形龍之介、沢村國太郎、葛木香一、香 川良介、沢村貞子、東山千栄子、遠山満、加東大介


A-6 6/18(木)6:30pm 7/8(水)3:00pm 8/1(土)4:00pm

忘れられた子等

(86分・35mm)

「手をつなぐ子等」の好評をうけて、同じ田村一二の原作をもとに、稲垣浩が 製作・脚本・監督を手がけた作品。障害児童とそのクラス担任となった教師の 姿を丁寧に描いていく。初めは困惑していた若い教師が、児童の純真さにうた れて、教師として成長していく姿があたたかい視線で見つめられている。

'49(稲垣プロダクション=新東宝)(監)(脚)稲垣浩(原)田村一二(撮)安本淳 (美)堀保治(音)西梧郎(出)堀雄二、笠智衆、泉田行夫、岩田直二、葛木香一、 浅野光男、葉山富之輔、松浦築枝、滝沢靜子、木下サヨ子、宮川喜美枝


A-7 6/19(金)3:00pm 7/8(水)6:30pm 8/4(火)3:00pm

小原庄助さん

(91分・35mm)

作意をきらった自然本位の作風で知られ、映画史に独自の地位を占めている清 水宏の監督作品。大河内傳次郎が農地改革で没落していく地主を悠々と楽し気 に演じている。オール・ロケーションによる実写の効果も大きい。脚本の岸松 雄は映画評論家出身、のちに製作に転じ、監督業にも進出した。

'49(新東宝)(監)(脚)清水宏(脚)岸松雄(撮)鈴木博(美)下河原友雄(音)古関裕 而(出)大河内傳次郎、風見章子、宮川玲子、清川虹子、飯田蝶子、田中春男、 清川莊司、鳥羽陽之助、日守新一、鮎川浩、石川冷、赤坂小梅


A-8 6/19(金)6:30pm 7/9(木)3:00pm 8/4(火)6:30pm

獄門島[総集篇]

(102分・35mm)

時代劇の片岡千恵蔵が、横溝正史の推理小説で有名な名探偵「金田一耕助」に 扮したのも占領下ならではの現象ではあった。これは市川右太衛門も同様であ り、戦前からの時代劇スターは苦労を強いられていた。東横映画は後に東映と なるが、その中枢をになった製作陣はマキノ映画や「満州映画協会」の引揚者 であった。

'49(東横映画京都)(監)松田定次(原)横溝正史(脚)比佐芳武(撮)伊藤武夫(美) 嵯峨一平(音)深井史郎(出)片岡千恵藏、喜多川千鶴、三宅邦子、小杉勇、大友 柳太郎、齋藤達雄、進藤英太郎、戸上城太郎、澤村國太郎


A-9 6/20(土)1:00pm 7/9(木)6:30pm 8/5(水)3:00pm

曉の脱走

(110分・35mm)

軍隊からの脱走や恋愛という戦前には考えられなかった題材を正面から描いた 谷口千吉作品。引き裂かれていく陸軍上等兵と慰問団の歌手の恋は、後の反戦 映画に大きな刺激を与えた。脚本に黒澤明が参加している。「満州映画協会」 のスタ-李香蘭が日本人、山口淑子として戦後に復帰した作品でもある。

'50(新東宝)(監)(脚)谷口千吉(原)田村泰次郎(脚)黒澤明(撮)三村明(美)松山 崇(音)早坂文雄(出)池部良、小澤榮、山口淑子、伊豆肇、田中春男、柳谷寛、 田中實、清川莊司、若山セツコ、立花満枝、安雙三枝、利根はるゑ


A-10 6/20(土)4:00pm 7/10(金)3:00pm 8/5(水)6:30pm

ペン僞らず 暴力の街

(111分・35mm)

実際にあった暴力追放の新聞キャンペーンをもとにドキュメンタリ-・タッチ で描かれた意欲作。ある町を舞台に、政治、警察など地元権力にはびこる腐敗 を新人新聞記者が暴いていく。東宝争議で獲得した資金をもとに、日本映画演 劇労働組合が製作し1950年代の独立プロ運動の源流となった作品である。

'50(日本映画演劇労働組合)(監)山本薩夫(原)朝日新聞浦和支局同人(脚)八木 保太郎、山形雄策(撮)植松永吉(美)五所福之助(音)斉藤一郎(出)志村喬、原保 美、池部良、河野秋武、神田隆、沼崎勲、永田靖、宇野重吉


A-11 6/23(火)3:00pm 7/10(金)6:30pm 8/6(木)3:00pm

女の四季

(100分・35mm)

引揚者の女性画家が恩師や知人、親戚の家を転々としながら戦後の生活の現実 に直面していく。巧みな演出で知られる豊田四郎が、多彩な登場人物を的確に さばきながら、戦後の風俗を描きだしていく。後に豊田の代表作「夫婦善哉」 を生む脚本家の八住利雄と初めてコンビを組んだ作品でもある。

'50(東宝)(監)豊田四郎(原)丹羽文雄(脚)八住利雄(撮)木塚誠一(美)久保一雄 (音)飯田信夫(出)若山セツ子、杉村春子、池部良、東山千栄子、薄田研二、荒 木道子、藤原釜足、赤木蘭子、渡辺篤、谷間小百合、小杉義男


A-12 6/23(火)6:30pm 7/11(土)1:00pm 8/6(木)6:30pm

われ幻の魚を見たり

(106分・35mm)

伊藤大輔が長年あたためていた企画。古くから魚類の生息しない湖であった青 森県の十和田湖。その不毛の湖に苦心を重ねながらヒメマスを移植する情熱の 人、和井内貞行の姿を、「創作された伝記」として描きだした作品である。「長 恨」(1926)以来の長年の名コンビ大河内傳次郎との最後の作品となったこと でも記憶される。

'50(大映京都)(監)(原)(脚)伊藤大輔(撮)石本秀雄(美)角井平吉(音)深井史郎 (出)大河内傳次郎、小夜福子、青山杉作、東山千栄子、二本柳寛、山本礼三郎、 三島雅夫、香川良介、片山明彦、早野康生、初山たかし


A-13 6/24(水)3:00pm 7/11(土)4:00pm 8/15(土)4:00pm

きけわだつみの声 日本戦没学生の手記

(108分・35mm)

第二次世界大戦で戦没した学生の手記を集めて出版された「きけわだつみの 声」は、一躍ベストセラ-になった。その手記をもとに八木保太郎が全体を構 成し、舟橋和郎がシナリオを執筆、発足間もない東横映画(東映の前身)が争 議で東宝を去った関川秀雄を迎えいれて製作した作品。ビルマ戦線の悲惨な戦 いが描かれる。

'50(東横映画)(監)関川秀雄(脚)舟橋和郎(撮)大塚新吉(美)桂長四郎(音)伊福 部昭(出)伊豆肇、原保美、河野秋武、信欣三、杉村春子、英百合子、沼田曜一


A-14 6/24(水)6:30pm 7/21(火)3:00pm 8/7(金)3:00pm

てんやわんや

(96分・35mm)

ユーモアあふれる獅子文六の原作をえて、渋谷実が演出した風刺劇。いかにも 渋谷的な味わいの風俗喜劇であり、その本格的な最初の作品といわれている。 四国の松山や宇和島などで大規模なロケをおこなった作品であり、その豊かな 地方色も評価された。また、宝塚歌劇出身の淡島千景の映画デビュー作でもあ る。

'50(松竹大船)(監)澁谷実(原)獅子文六(脚)斎藤良輔、荒田正男(撮)長岡博之 (美)浜田辰雄(音)伊福部昭(出)佐野周二、淡島千景、桂木洋子、志村喬、三島 雅夫、藤原釜足、薄田研二、望月美恵子、三井弘次、三津田健


A-15 6/25(木)3:00pm 7/21(火)6:30pm 8/8(土)1:00pm

長崎の鐘

(94分・35mm)

広島、長崎に投下された原子爆弾による被害については、占領軍は厳しい検閲 で臨んでいた。その意味ではこの作品も原爆問題を正面に据えたものではな い。長崎医大で放射能を研究していた永井博士が被爆し、ベストセラーとなっ たその手記をもとに映画化した難病もののひとつともいえよう。原爆を扱った 最初の劇映画ではあった。

'50(松竹大船)(監)大庭秀雄(原)永井隆(脚)新藤兼人、光畑碩郎、橋田寿賀子 (撮)生方敏夫(美)森幹夫(音)古関裕而(出)若原雅夫、月丘夢路、津島惠子、滝 沢修、三井弘次、薄田研二、青山杉作、清水一、高堂国典


A-16 6/25(木)6:30pm 7/22(水)3:00pm 8/7(金)6:30pm

花のおもかげ

(80分・35mm)

作曲家志望の青年ピアニスト、その友人の青年画家。清純なバレリーナがピア ニストに寄せる淡い慕情、戦後落魄してしまった年上の美しい女性に対するピ アニストの思慕といったロマネスクな設定で描かれるメロドラマ。家城巳代治 監督は丁寧な演出で撮りあげている。脚本は山内久と馬場当。

'50(松竹大船)(監)家城巳代治(脚)山内久、馬場當(撮)西川享(美)五所福之助 (音)田代與志、黛敏郎(出)月丘夢路、山内明、高橋貞二、津島恵子、櫻むつ子、 清水一郎、山路義人、神田隆、佐竹敏夫、中村福蔵、水上令子、土紀就一、高 木国信、諸角啓二郎


A-17 6/26(金)3:00pm 7/25(土)4:00pm

玄海灘の怒涛篇 阿修羅龍鬼隊

(41分・35mm)

戦に敗れて逃れる途中に城主は落命。その死に際に、形見として刀の鍔を二人 の幼子に分け与えた。月日が流れ、一人は海賊の頭目に、一人は山賊の首領と なり、共に悪代官に戦いを挑むのだった。尾上菊太郎は戦前、自前のプロダク ションをもち、製作したこともある男優で、主に1930年代に活躍した。

'51(九州映画=古池慶輔プロダクション)(監)近藤勝彦、深田金之助(脚)三春 次郎(撮)徳川春夫(音)稲本信一(出)尾上菊太郎、市川男女之助、尾上榮五郎、 上代勇吉、関矢一郎、筑紫龍太郎、ダン・トクマロ、松井草人、周船寺八郎、 清水晴夫、長田健策、月宮乙女、奥山紗代

又四郎行状記 神変美女峠

(68分・35mm)

家督相続をめぐるお家騒動もの。輿入れの道中を行く姫から、相続の証拠とな るお墨付を奪おうとする悪家老の企み。善玉悪玉入り乱れての戦いのなか、浪 人、笹井又四郎の活躍が始まる。宝プロダクションは戦前東亜キネマ、宝塚キ ネマなど中小プロダクションで手腕を発揮した高村正次が設立したもの。

'51(宝プロダクション=新東宝)(監)萩原章(原)山手樹一郎(脚)豊田榮(撮)藤 井春美(美)北村高敏(音)高橋半(出)黒川弥太郎、相馬千惠子、宮城千賀子、大 友柳太郎、香川良介、澤村國太郎、荒木忍、寺島貢、原健作、加賀邦男、高城 映子、歌川絹江、尾上菊太郎


A-18 6/26(金)6:30pm 7/22(水)6:30pm 8/8(土)4:00pm

若い娘たち

(90分・35mm)

自分の眼鏡にかなった学生を下宿させ、その学生に次々と娘を嫁がせる母。一 方、その兄の家庭では望み通りの婿がいないため、娘はなかなか結婚できない。 また新しい学生がやって来た。だが、四女は母の計略に反発し心を許さない。 石坂洋次郎原作の青春謳歌映画。千葉泰樹監督が手堅くまとめている。

'51(東宝)(監)千葉泰樹(原)石坂洋次郎(脚)井手俊郎(撮)會田吉男(美)小川一 男(音)飯田信夫(出)池部良、伊豆肇、杉葉子、若山セツ子、島崎雪子、河村黎 吉、藤原釜足、清水將夫、宮田重雄、村瀬幸子、清川玉枝


A-19 6/27(土)1:00pm 7/23(木)6:30pm 8/11(火)3:00pm

銭形平次

(83分・35mm)

推理と投げ銭で犯人を捕まえる、目明かし「銭形平次」は戦前からの大スタ-、 長谷川一夫の当たり役となり、これ以降シリーズ化され、全部で17本が製作さ れた。松竹でデビューし、東宝に移籍した長谷川一夫は、東宝争議のあと新演 伎座を設立し奮闘するが、1950年に永田雅一率いる大映に入社していた。

'51(大映京都=新演伎座)(監)森一生(原)野村胡堂(脚)冬島泰三(撮)牧田行正 (美)角井平吉(音)伊藤宣二(出)長谷川一夫、三條美紀、日高澄子、長谷川裕見 子、大美輝子、香川良介、沢村国太郎、清川荘司、佐々木小二郎


A-20 6/27(土)4:00pm 7/23(木)3:00pm 8/11(火)6:30pm

自由学校

(109分・35mm)

原作は獅子文六。ノンビリ屋の夫とシッカリものの妻。夫婦喧嘩のあげく夫は 家を出てしまう。妻の方には次々と男が接近するが・・・。一方、夫は貧乏長屋の 住民となっている。「とんでもハップン」などという流行語や当時の風俗を巧 みにとりいれた渋谷実喜劇の代表作の一つ。大映でも同じ題名で吉村公三郎作 品が製作され「競映」となった。

'51(松竹大船)(監)澁谷実(原)獅子文六(脚)斎藤良輔(撮)長岡博之(美)濱田辰 雄(音)伊福部昭(出)佐分利信、高峰三枝子、淡島千景、佐田啓二、笠智衆、三 津田健、田村秋子、杉村春子、中村伸郎、龍岡晋、十朱久雄


A-21 6/30(火)3:00pm 7/24(金)6:30pm 8/12(水)3:00pm

あゝ青春

(109分・35mm)

主演の佐分利信が自ら監督した意欲作品。以前とは異なる戦後の学生生活をあ つかったもので、生活苦のなかで懸命に生きていく女子大生を高峰三枝子が演 じている。ロマンチックな描写を避け、リアルな視線で彼女と周囲の男たちを とらえている点に、佐分利信の姿勢があらわれている。

'51(松竹京都)(監)(出)佐分利信(脚)猪俣勝人(撮)藤井静(美)浜田辰雄(音)黛 敏郎(出)高峰三枝子、若原雅夫、三宅邦子、水原眞知子、東山千栄子、河津清 三郎、桜むつ子、南進一郎、鮎川十糸子、岩崎正興、山路義人、三橋達也、南 川直、宇田川保、青木利彦


A-22 6/30(火)6:30pm 7/24(金)3:00pm 8/12(水)6:30pm
海賊船(114分・35mm)

稲垣浩監督の海洋映画。南の海に密輸船ばかりを狙う海賊船がいた。虎と呼ば れる船長が、あらくれどもを率いていた。ある港に投錨中、四人の子供が船に まぎれこみ、その内の一人が女だった。「二の字」役の大谷友右衛門は、現在 の中村雀右衛門(四世)。平成の歌舞伎界を代表する名女形の一人である。

'51(東宝)(監)稲垣浩(脚)小國英雄(撮)鈴木博(美)安倍輝明(音)深井史郎(出) 三船敏郎、淺茅しのぶ、大谷友右衛門、田崎潤、上田吉二郎、大泉滉、富田仲 次郎、森繁久彌、谷晃、福原秀夫、高原駿雄、大久保正信、松尾文人


A-23 7/1(水)3:00pm 7/25(土)1:00pm 8/13(木)3:00pm

舞姫

(85分・35mm)

二人の子供をもちながら、互いの心に高い垣根をきずいてしまった夫婦。夫は 妻の家で書生をしていた劣等意識から逃れられず、妻は結婚以前から付き合い のあった男に会わずにはいられない。川端康成の新聞連載小説を新藤兼人が脚 色、成瀬巳喜男が怜悧な視線で、心の通わない夫婦の姿を見つめていく。

'51(東宝)(監)成瀬巳喜男(原)川端康成(脚)新藤兼人(撮)中井朝一(美)中古智 (音)斎藤一郎(出)高峰三枝子、山村聰、二本柳寛、片山明彦、岡田茉莉子、木 村功、澤村貞子、見明凡太朗、大谷伶子、大川平八郎


A-24 7/1(水)6:30pm 7/28(火)3:00pm 8/13(木)6:30pm

結婚行進曲

(83分・35mm)

市川崑監督の東宝第一作。ハリキリ女性が失業中の恋人のかわりに、営業職で 大活躍。社長の覚えもめでたくなるが、社長の妻が嫉妬して一騒動がまきおこ るという都会風のシャレた喜劇である。人物がおそろしく早口で喋るのは、ス ピーディーでテンポのある映画を目指した市川監督の意図であった。

'51(東宝)(監)(脚)市川崑(脚)井手俊郎、和田夏十(撮)飯村正(美)河東安英(音) 仁木他喜雄(出)上原謙、山根壽子、杉葉子、伊豆肇、高杉早苗、沢村貞子、伊 藤雄之助、浦辺粂子、村上冬樹、長濱藤夫、南美江、越路吹雪


A-25 7/2(木)3:00pm 7/28(火)6:30pm 8/14(金)3:00pm

ラッキーさん

(84分・35mm)

源氏鶏太原作のサラリーマンもの。ラッキーさんと呼ばれる主人公が、会社員 ならではの体験をつみ転勤していくまでを、市川崑監督が軽快な演出でまとめ あげている。社長役の河村黎吉は、松竹出身の個性派俳優で後に「三等重役」 にも出演、東宝サラリーマン喜劇に欠かせない人物になっていく。

'52(東宝)(監)市川崑(原)源氏鶏太(脚)猪俣勝人(撮)飯村正(美)安倍輝明(音) 古関裕而(出)小林桂樹、小泉博、島崎雪子、河村黎吉、沢村貞子、伊藤雄之助、 小川虎之助、杉葉子、齋藤達雄、三條利喜江、井上大助


A-26 7/2(木)6:30pm 7/29(水)3:00pm 8/14(金)6:30pm

(110分・35mm)

初老のカップルが海辺で来し方を振りかえるところから物語は始まっていく。 それは、一人の教師が出生に疑問をもちながら子供を育ててきた歳月でもあ り、愛情を感じながらも結ばれなかった女性との悲恋に耐えた月日でもあっ た。山本有三の原作小説を中村登監督が正攻法で演出している。

'52(松竹大船)(監)(脚)中村登(原)山本有三(脚)大木直太郎(撮)生方敏夫(美) 熊谷正雄(音)吉沢博、黛敏郎、奥村一(出)佐分利信、淡島千景、津島恵子、桂 木洋子、笠智衆、坂本武、北龍二、岩井半四郎、十朱久雄、石浜朗、村瀬禅、 設楽幸嗣、高松榮子


A-27 7/3(金)3:00pm 7/29(水)6:30pm 8/15(土)1:00pm

お國と五平

(91分・35mm)

原作は谷崎潤一郎の一幕ものの戯曲。殺された夫の仇討ちのために旅をする、 武士の妻とその若党。長い旅のあいだに、二人の間には主従関係を越えた愛情 が通い始める。そんな折、目指す相手が現れた。成瀬巳喜男には生活感のある 時代劇を作ってみたいという抱負があり、本作はその試みでもあった。

'52(東宝)(監)成瀬巳喜男(原)谷崎潤一郎(脚)八住利雄(撮)山田一夫(美)中古 智(音)清瀬保二(出)木暮実千代、大谷友右ヱ門、山村聰、田崎潤、鳥羽陽之助、 三好榮子、廣瀬嘉子、津路京子、藤原釜足、音羽久米子