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大ホール・小ホール

第36回PFF

36th Pia Film Festival

※上映作品、上映日時によっては会場が小ホールのものもございます。

2014.9.13-9.25
作品詳細
AwardB 9/13(土) 2:30pm 9/17(水) 3:30pm  
ひこうき雲
(25分/カラー)

生徒が生徒を、先生が先生を演じる。自らが自らに扮することで見えてくる自分の姿

物語は夏休みの前日。とある中学校の教室で、「修学旅行の予定表」が破き捨てられるという小さな事件が起こる。一体誰が…?しかし、これをきっかけにクラスメイトの心が繋がり、大きな輪となる。
初めて観たのに、どうしてこんなに親しみ深いのだろうと思った。空気の合う人との出会いのような映画だ。それが嬉しかった。この作品では12歳~14歳の生徒がそのまま生徒役を、同じく教師が教師役を演じているわけだが、その演技は奇抜さや小賢しさとは一切無縁。とにかく、とてつもなく素直で素朴、言葉は人肌のように温かくて、微笑みのように柔らかい。健康な血の通った感覚がある。わたしはきっとそのことに一番心を揺さぶられたのだ。彼ら彼女らの経験した夏の1日は、永遠のように切なく、輝かしい。本物の若さに「二度」はない。 文:森下くるみ(文筆家・女優)

監督:柴口 勲(46歳/福岡県出身)

埋み火
(32分/カラー)

奥底に埋めたはずの火の灰が、彼と再会して熱を持つ。私が静かに発火する

田舎町のスーパーで魚をおろし続ける比富美は、小さなアパートで寝たきりの母親を介護中。東京から戻った大輔との再会で、心の奥深くに埋めていた希望の光に手を伸ばそうとするが…。20代半ばで介護に縛られる閉塞感を、手を洗うという行為で表現。比富美の未来に光が射すよう心を込めてエールを送りたい気持ちにさせられる。
江口のりこに少し似た風貌の比富美は、魚の生臭い匂いが染みついた手をゴシゴシ洗う。帰宅すると、母親のおむつを替え、再び手をゴシゴシ。大切な母親が快適に過ごせるよう心をくだいているが、介護生活の不安を聞いてくれる友人はいない。この生活からいつか解放された暁に自分に何が残るのか、そもそも解放されるのか、解放を望んでいいのかも、わからない。そんな暗闇の絶望感のなか手を洗いつづけるけなげな姿に、涙を禁じ得ない。 文:片岡真由美(映画ライター)

監督:山内季子(24歳/青森県出身)

反駁
(51分/カラー)

父親不在、学歴重視、母子密着…。現在日本の極北が箱庭の中に凝縮される

1997年7月、受験地獄の只中にいた沙羅は渋谷の路上で通り魔と遭遇し、思わず呟く。「わあ、自由だ。あの人、自由に殺しまくってる」その場に居合わせた3人の小学生と最高学府で再会し、封印された記憶、過去の所業が、そのうちの1人の杉崎という悪魔の如き男によって、次々と露わにされていく。沙羅は今まで自分の奥底に沈めていた、母に対する真の願望を思い出す。その時、母は沙羅の身を案じ、大学へと向かっていた…。
1組の母娘の壮絶な愛憎を主軸に、人間が人間の精神を蝕み、崩壊させ合う過程を容赦なく抉り出す。瓶、鉛筆、人形などの、不穏さを煽る小道具の用い方も秀逸。人間の深い闇を希求しながらも、映画はその先の人智を越えた運命の領域にまで到達する。奈落に向かって決して逃れ得ぬ運命の無慈悲さ。それが何よりも恐ろしい。 文:江川太洋(フィルムラボスタッフ)

監督:伊之沙紀(30歳/神奈川県出身)

■PFFアワード監督の来場予定およびゲスト来場の追加情報は随時PFF公式ホームページで発表します。
■やむを得ない事情により、プログラムおよび来場ゲストが変更になる場合がございます。
■全プログラムとも、録画・録音機器、及びPCの会場への持ち込みは禁じられています。

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The National Museum of Modern Art, Tokyo