Art東京国立近代美術館
Craft&Design東京国立近代美術館工芸館
MOMAT TOP

Special Screening:
Digitally Restored versions of
Chuji tabinikki and Chokon,
and Kobayashi Tomijiro sogi
an important cultural property of 2011



日時:2011年7月23日(土)  0:00pm-/4:00pm-
*いずれの回も同じ内容の解説・上映を行います。
会場:大ホール


本特別プログラムでは、今年、映画フィルムとしては3本目の重要文化財指定を受けた『小林富次郎葬儀』(1910年)と、このたびフィルムセンターが新たにデジタル復元を行った『長恨』(1926年)、『忠次旅日記』(1927年)を上映します。各回とも上映前にフィルムセンター研究員による解説(約30分)があります。

修復前(忠次旅日記)
修復前(忠次旅日記)
修復後(忠次旅日記)
修復後(忠次旅日記)

小林富次郎葬儀

(7分・16fps・35mm・無声・白黒)

'10(吉澤商店)

ライオン株式会社(旧小林商店)の創業者・小林富次郎(1852-1910)の葬儀の模様を撮影した映像。東京市神田区柳原河岸(現・千代田区東神田)の自宅から、斎場となった東京基督教青年会館へ、全長1 キロに及んだといわれる葬列が進む様子が収められている。重要文化財指定の対象となったのは、明治期の映画会社・吉澤商店が撮影した当時の35mm可燃性オリジナル・ネガ1巻(436フィート13コマ)と上映用ポジ1巻(444フィート13コマ)で、前者は現存する我が国最古のオリジナル・ネガと考えられる(ライオン株式会社寄贈)。上映するフィルムはこのオリジナル・ネガから直接プリントしたもので、100年前に撮影された映像の驚くべきクオリティに圧倒される。

長恨[デジタル復元版]

(15分・16fps・35mm・無声・染色・部分)

'26(日活大将軍)(監)(原)(脚)伊藤大輔(撮)渡会六蔵(出)大河内傳次郎、久米讓、尾上卯多五郎、川上弥生

伊藤大輔の日活入社第一作であり、また大河内傳次郎と初めてコンビを組んだ記念すべき作品。一人の娘に思いを寄せる勤王志士の兄弟。残されているのは乱闘場面を中心にした最終巻で、新撰組の包囲から弟と娘を逃がし斬り死にしていく主人公と、逃れていく二人のカット・バックの激しさと巧みさに、伊藤映画の片鱗がうかがわれる。上映するのはデジタル復元で白黒プリントを作成した上で、無声映画時代の手法で染色したもの。

忠次旅日記[デジタル復元版]

(107分・16fps・35mm・無声・染色・不完全)

'27(日活大将軍)(監)(原)(脚)伊藤大輔(撮)渡会六蔵(信州血笑篇)、唐沢弘光(御用篇)(出)大河内傳次郎、伏見直江、沢蘭子、中村英雄、中村吉次、阪本清之助、磯川元春

伊藤大輔=大河内傳次郎コンビの名声を不動のものにした作品で、1959年には『キネマ旬報』の「日本映画六十年を代表する最高作品ベスト・テン」第1位にも選ばれた。長らく「幻の映画」となっていたが、1991年に可燃性プリントが発見された。三部曲として製作されたうち、『信州血笑篇』の一部と『御用篇』の大部分が残されている。フィルムの発見以降2度に渡って、それぞれの時代における最良の技術でアナログ復元を行って来たが、今回は初めてデジタル復元を試みて白黒プリントを作成し、無声映画期の手法で染色した。本篇上映前に、復元前後の比較映像も参考上映する。

Calendar 上映・展示カレンダー
上映・展示カレンダー
The National Museum of Modern Art, Tokyo