日豪友好協力基本条約の署名30周年を記念する「日豪交流年2006」の本年、東京国立近代美術館フィルムセンターは、オーストラリア・フィルム・コミッションとの共同主催により、「オーストラリア映画祭」を開催します。フィルムセンターでは1980年の「オーストラリア映画の史的展望<1919~1956> 」以来、26年ぶりのオーストラリア映画の特集上映となります。24プログラム41作品を上映する本映画祭は、日本におけるオーストラリア映画の上映としては、過去最大級のものです。
上映作品は、オーストラリア・フィルム・コミッションの助言により、フィルムセンターが選定しました。オーストラリア映画の歴史が明確にわかるよう、主に3つの時代から構成しています。
1.無声映画時代
キャンベラにある国立の映画音響保存機関ナショナル・フィルム&サウンド・アーカイヴ(NFSA)の全面協力を得て、オーストラリア無声映画の代表作を上映します。生演奏つきの上映となります。
2.「オーストラリアン・フィルム・ルネッサンス」の時代
戦後の停滞期を経て、ピーター・ウィアーやフィリップ・ノイスら新世代監督の登場で復興を果たした1970~80年代初頭の作品群を再見します。
3.1990年代から今日まで
ポスト・ルネッサンス期から今日の新世代までの秀作を選んでいます。
上記の時代構成に加え、作品選択にあたっては、以下のテーマが意識されています。
1.日豪両国の関係や歴史を背景にしたもの
2.多文化国家である現代オーストラリア社会を描くもの
3.アボリジニ表象とその変遷を知ることのできるもの
4.女性監督作品
5.アニメーション
日本では未上映の作品、また上映されていても現在では見る機会の少ない作品を優先しています。また、開幕に際してはオーストラリア映画界の鬼才、ロルフ・ドゥ・ヒーア監督が来日、舞台挨拶を行う予定です。さらに、オーストラリア映画史の研究者による講演会を2回にわたって開催します。あわせてご期待ください。
■(監)=監督 (原)=原作 (脚)=脚本 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (編)=編集 (録)=録音 (解)=解説 (出)=出演
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
★ ジェン・アンダーソン&ザ・ラリキンズによる生演奏つき上映
* 柳下美恵氏によるピアノ生演奏つき上映
《伴奏者紹介》
●ジェン・アンダーソン&ザ・ラリキンズ
メルボルンを拠点に活躍する作曲家であり演奏家であるジェン・アンダーソンと、ダン・ワーナー、デイヴ・イーヴァンズの3人構成のバンド。ロック、フォーク、カントリーをとりいれたスタイルで『センチメンタル野郎』の世界観を生き生きと膨らませる演奏は、ポルデノーネ無声映画祭をはじめ国際的に高く評価されている。今回が初来日公演となる。
●柳下美恵(やなした・みえ)
無声映画伴奏者。武蔵野音楽大学器楽科(ピアノ専攻)卒業後、会社勤務を経て1995年、 映画生誕100年記念上映会でデビュー。以来全国各地で公演し300あまり のレパートリーを持つ。珠玉のサイレント映画15作品に作曲、演奏したCD「サ ウンド・オブ・サイレント」、紀伊国屋書店クリティカル・エディションシリーズDVD「裁かるるジャンヌ」「魔女」の音楽を担当。フィルムセンターでは「シネマの冒険 闇と音楽」シリーズ(1995-)や「小津安二郎の藝術」(2003-4)でピアノ伴奏した。
《来日ゲスト》
●ロルフ・ドゥ・ヒーア(映画監督)
オランダに生まれ、1959年に一家でオーストラリアに移住。1984年の『虎の尾』以来、コンスタントに映画を作り続け、カンヌ映画祭をはじめ、世界で高い評価を受けるロルフ・ドゥ・ヒーア監督が、本映画祭オープニングにあわせて来日します。