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大ホール上映作品

日本におけるドイツ 2005/2006
NFC所蔵外国映画選集
ドイツ・オーストリア映画名作選
Deutschland in Japan
A Study of German and Austrian Cinema: From the National Film Center Collection

1月17日(火)- 3月26日(日)→上映スケジュール  →ゲスト・トーク

定員=310名 ただし伴奏つき無声映画は300名(各回入替制)
発券=2階受付
料金=一般500円/高校・大学生・シニア300円/小・中学生100円
(伴奏つき無声映画)一般1,000円/高校・大学生・シニア800円/小・中学生600円
・観覧券は当日・当該回にのみ有効です。
・発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切となります。
・シニア(65歳以上)の方は、必ず年齢を証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。

開映後の入場はできません。

ゲスト・トーク開催決定

本企画に関連して、専門家の方々に上映作品の映画史的・文化史的背景を解説していただく「ゲスト・トーク」を開催することになりました。講師は、映像研究者の西嶋憲生氏と、ドイツ文化史研究者の平井正氏です。皆様この機会にぜひご参加下さい。

第1回 3月3日(金)7:00pm
『オスカー・フィッシンガーの抽象映画とウーファ社音楽短篇』上映終了後
講師: 西嶋憲生氏(映像研究者・多摩美術大学教員)
テーマ:「ドイツ時代のオスカー・フィッシンガー」

第2回 3月14日(火)7:00pm
『嘆きの天使』上映終了後
講師: 平井正氏(元立教大学教授・ドイツ文化研究者)
テーマ:「『嘆きの天使』に見る1930年代ドイツ~“何かが起こりそうだ”」

※トークだけの入場はできません。日時は変更されることがあります。

 フィルムセンターは2か月以上に渡り、1920年代から1930年代に生み出されたドイツ・オーストリア映画の名作・傑作群を上映します。ドイツ映画は無声時代から、当時の演劇・美術・文学などの諸芸術を取り込むことで洗練された芸術映画として広く認知され、その名を世界映画史に刻みました。また、トーキー時代を迎えた1930年代にはドイツとオーストリア両国にまたがって音楽映画が盛んとなり、『会議は踊る』や『狂乱のモンテカルロ』(いずれも1931年)といった華やかなオペレッタ映画が世界の観客を魅了しました。

 このプログラムは、フィルムセンターが収蔵するフィルムから49本の長篇映画と41本の短篇映画を厳選したものです。中でも『キリストの一生』『東洋の秘密』は川喜多かしこ氏旧蔵の可燃性フィルムから今回新たに復元したもので、国際的にも重要な発見と言えます。また、『カリガリ博士』(1920年)や『朝から夜中まで』(1921年)といった表現主義映画の代表作や、字幕を極力用いない室内劇(カンマーシュピール)映画『除夜の悲劇』(1923年)などの無声期の傑作、そして山岳映画の雄アーノルト・ファンクの勇壮な作品群、恋と人生を謳歌するきらびやかな音楽映画、隙のない映像美とプロパガンダが融合したオリンピックの記録『民族の祭典』(1938年)などの特徴ある作品が並びます。また小特集として、華麗で享楽的なオーストリア映画を牽引し日本でも多くのファンを獲得した才人ヴィリ・フォルスト、当時のヨーロッパで活躍した日本人オペラ歌手・田中路子にスポットライトを当てます。さらに短篇の分野では、世界の先駆的な学術映画であるウーファ社の文化映画(クルトゥーアフィルム)や、美しく抽象的なアンサンブルを堪能できる実験映画作家オスカー・フィッシンガーの初期作品を紹介します。

 なお、1月31日から2月5日の期間は、無声映画の伴奏音楽家ギュンター・ブーフヴァルト氏をお招きし、6作品の伴奏つき上映を行います。世界を席巻した珠玉の秀作をどうぞお楽しみください。

伴奏者紹介
ギュンター・A・ブーフヴァルト Gunter A. Buchwald
 1972年、フライブルク国立音楽大学でヴァイオリン、ピアノ、指揮、音楽理論を学ぶ。ジャズからバロック音楽まで幅広いジャンルの演奏を経て、1978年より無声映画のピアノ伴奏を始め、1986年には「サイレント・ムービー・ミュージック・カンパニー」を設立、ベルリン国際映画祭をはじめとするヨーロッパの映画祭を中心に活躍し、無声時代の楽譜の復元にも力を注いでいる。1991年の初来日以来、ドイツ文化センター、京都映画祭など、日本でも数々の伴奏公演を行っている。2000年にフィルムセンターで開催された「シネマの冒険 闇と音楽 フリッツ・ラング選集」でも無声映画のピアノ伴奏を行った。

■(監)=監督 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (構)=構成 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演
■本特集には不完全なプリントが含まれています。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。

■伴奏つきドイツ無声映画

1 1/31(火)7:00pm 2/4(土)1:00pm

巨人ゴーレム(86分・20fps・35mm・染色)

DER GOLEM, WIE ER IN DIE WELT KAM

中世のプラハを舞台に、聖職者(ラビ)に生命を吹き込まれた泥人形ゴーレムがゲットーを破壊するというユダヤ民族に伝わる民話に材を求めた作品で、1915年、1917年に次ぐ3度目の映画化。ゴーレム伝説に魅了されたヴェゲナーは3作品すべてに主演や共同監督として関わった。ミュンヘン映画博物館による復元版

’20(ウニオン=ウーファ)(監)(脚)パウル・ヴェゲナー(監)カール・ベーゼ(原)グスタフ・マイリンク(脚)ヘンリク・ガレーン(撮)カール・フロイント(美)ハンス・ペルツィッヒ(出)パウル・ヴェゲナー、アルバート・シュタインリュック、リダ・サルモノヴァ

2 2/1(水)3:00pm 2/5(日)4:00pm

朝から夜中まで(69分・18fps・35mm・白黒)

VON MORGENS BIS MITTERNACHTS

『カリガリ博士』と並ぶ表現主義映画の傑作。銀行の出納係が大金を着服して身を滅ぼすまでの軌跡が、『カリガリ博士』以上に徹底したスタイルで描かれる。日本で発見された無字幕版が現存する唯一の素材であったが、今回の上映プリントはミュンヘン映画博物館が復元して字幕を加えた版。

’21(イラグ・フィルム)(監)(脚)カールハインツ・マルティン(原)ゲオルク・カイザー(脚)ヘルバート・ユットケ(撮)カール・ホフマン(美)ロベルト・ネッパッハ(出)エルンスト・ドイッチュ、エルナ・モレナ、ローマ・バーン、アドルフ・エドガー・リホ、フリーダ・リヒャルト

3 2/2(木)3:00pm 2/4(土)4:00pm

キリストの一生(102分・20fps・35mm・染色)

I.N.R.I.-EIN FILM DER MENSCHLICHKEIT

キリストの誕生から復活までを描いた伝記映画で、ヴィーネ監督は大掛かりなセットと多数のエキストラを用いて荘厳な雰囲気を作りだした。キリスト役のクマラはモスクワ芸術座出身で、ロシア革命後はドイツに亡命。ヘンニー・ポルテンとアスタ・ニールセンの共演も話題に。

’23(ノイマン・フィルム=ウーファ)(監)(脚)ロベルト・ヴィーネ(撮)アクセル・グラートクヤーエル、ルードヴィッヒ・リッパート、ライマール・クンツェ(美)エルネ・メッツナー(出)グレゴリ・クマラ、ヘンニー・ポルテン、アスタ・ニールセン、ヴェルナー・クラウス

4 1/31(火)3:00pm 2/3(金)7:00pm

除夜の悲劇(60分・20fps・35mm・染色)

SYLVESTER-TRAGODIE EINER NACHT

限定された場所と時間のなかで、字幕に頼らず、登場人物のしぐさや表情の変化を丹念に捉えることで映像表現の可能性を追求した「室内劇(カンマーシュピール)映画」の代表作。カフェを経営する男が、妻と実母の間の確執に苦悩し、悲劇的な末路をたどる。

’23(レックス・フィルム)(監)ルプ・ピック(脚)カール・マイヤー(撮)カール・ハッセルマン、グイド・ゼーバー(美)ロベルト・A・ディートリッヒ、クラウス・リヒター(出)オイゲン・クレッパー、エディット・ポスカ、フリーダ・リヒャルト、ルドルフ・ブリューマー

5 2/1(水)7:00pm 2/3(金)3:00pm

プラーグの大学生(110分・20fps・35mm・白黒)

DER STUDENT VON PRAG

1913年に製作された同名映画のリメイクで、謎の老人との契約によって、鏡に映る自分の像を売り渡してしまった男の不思議な物語。1913年版で共同監督を務めていたガレーンは、『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922年)の脚本を担当するなど怪奇・幻想映画を得意とした。

’26(ゾーカル・フィルム)(監)(脚)ヘンリク・ガレーン(脚)ハンス・ハインツ・エヴァース(撮)ギュンター・クランプ、エーリッヒ・ニッチュマン(美)へルマン・ヴァルム(出)コンラート・ファイト、ヴェルナー・クラウス、アグネス・エスターハーツィ

6 2/2(木)7:00pm 2/5(日)1:00pm

東洋の秘密(103分・20fps・35mm・染色と彩色)

GEHEIMNISSE DES ORIENTS

アラビアン・ナイトの物語を下敷きに、聴けば踊りださずにいられなくなる笛を手にした靴職人の奇想天外な冒険譚。監督のヴォルコフはロシア革命時にフランスへ亡命し、『キーン』(1923年)などの印象主義映画を生み出したことで知られる。

’28(ウーファ)(監)(脚)アレクサンダー・ヴォルコフ(脚)ノルベルト・ファルク、ロベルト・リープマン(撮)クルト・クーラン、ニコライ・トポルコフ、フョードル・ブルガソフ(美)アレクサンドル・ロシャコフ、ヴラディーミル・マインガルト(出)ニコライ・コリン、イヴァン・ペトロヴィッチ、マルチェラ・アルバニ、ディタ・パルロ

■ドイツ名作選

7 1/17(火)3:00pm 2/19(日)1:00pm 3/16(木)7:00pm

カリガリ博士(52分・20fps・35mm・無声・白黒)

DAS KABINETT DES DR. CALIGARI

ドイツ映画の高い芸術性を一躍世界に知らしめた表現主義映画の代表作。催眠術を用いるカリガリ博士の犯罪が、印象的なライティングとセットデザインのなかで映し出される。1921年に日本で公開され、溝口健二をはじめ多くの芸術家に影響を与えた。

’20(デクラ)(監)ロベルト・ヴィーネ(脚)カール・マイヤー、ハンス・ヤノヴィッツ(撮)ヴィリー・ハマイスター(美)ヴァルター・レーリッヒ、ヴァルター・ライマン、ヘルマン・ヴァルム(出)ヴェルナー・クラウス、コンラート・ファイト、リル・ダゴファー

亜細亜の光(69分・24fps・35mm・無声・白黒)DIE LEUCHTE ASIENS

イギリス人アーノルドが1879年に発表した詩集をもとに、ドイツ人監督オステンが釈迦の生涯を描いた伝記映画。主演と共同監督を担当したインド人のライは、その後、1934年に「ボンベイ・トーキーズ」を設立し、オステンなどの映画人をインドに招いてインド映画の発展に寄与した。

’25(ミュンヒェナー・リヒトシュピールクンスト)(監)フランツ・オステン、ヒマンス・ライ(原)エドウィン・アーノルド(脚)ニランヤン・パル(撮)ヴィリー・キールマイヤー、ヨゼフ・ヴィルシング(美)デヴィカ・ラニ(出)ヒマンス・ライ、セータ・デヴィ、サラダ・ウキル

8 1/17(火)7:00pm 3/17(金)3:00pm

マッターホーン(82分・24fps・35mm・無声・白黒)

DER KAMPF UMS MATTERHORN (THE CONQUEST OF THE MATTERHORN)

1865年にマッターホルン初登頂に成功したイギリス人エドワード・ウィンパー(フォス)と、同じく登頂を試みていたイタリア人アントン・カレル(トレンカー)の冒険物語に、女性をめぐる嫉妬のドラマが加わる山岳映画。主演のトレンカーは元登山ガイドで、のちに山岳映画監督として活躍した。

’28(ホム・フィルム)(監)マリオ・ボンナルド(監)(脚)ヌンツィオ・マラソンマ(原)アーノルト・ファンク(撮)ヴィリー・ヴィンターシュタイン、ゼップ・アルガイアー(出)ルイス・トレンカー、マルチェラ・アルバニ、クリフォード・マクラグレン、ペーター・フォス

9 1/18(水)3:00pm 2/19(日)4:00pm 3/17(金)7:00pm

パンドラの箱(120分・20fps・35mm・無声・白黒)

DER BUCHSE DER PANDORA (THE BOX OF PANDORA)

ヴァイマール時代に数々の名作の残したパプストが、ハリウッド女優ルイーズ・ブルックスを主役に抜擢して生み出した傑作。妖艶な魅力で周りの男女を魅了し破滅へと導く魔性の女(ファム・ファタール)ルルの数奇な運命が描かれる。上映フィルムは英語字幕版。

’29(ネロ・フィルム)(監)ゲオルグ・ヴィルヘルム・パプスト(原)フランク・ヴェデキント(脚)ラディスラウス・ヴァイダ(撮)ギュンター・クランプ(美)アンドレイ・アンドレイエフ、ゴットリープ・へッシュ(出)ルイーズ・ブルックス、フリッツ・コルトナー、フランツ・レデラー、グスタフ・ディースル、アリーツェ・ロベルテ

10 1/18(水)7:00pm 3/21(火・祝)1:00pm

ニーナ・ペトロヴナ(102分・24fps・35mm・無声・白黒)

DIE WUNDERBARE LUGE DER NINA PETROWNA (THE WONDERFUL LIE OF NINA PETROVNA)

フリッツ・ラング監督『メトロポリス』(1927年)のマリア役でデビューしたブリギッテ・ヘルムの代表作のひとつ。帝政末期のロシア。大佐の愛人ニーナ(ヘルム)は、大佐の部下ミヒャエル(レデラー)の純真さに心打たれ、恋に落ちるが・・・。

’29(ウーファ)(監)ハンス・シュヴァルツ(脚)ハンス・セケリー(撮)カール・ホフマン(美)ロベルト・ヘールト、ヴァルター・レーリッヒ(出)ブリギッテ・ヘルム、フランツ・レデラー、ウォーウィック・ウォード

11 1/19(木)3:00pm 2/25(土)1:00pm

白魔(93分・24fps・35mm・無声版・白黒)

DER WEISSE TEUFEL (THE WHITE DEVIL)

トルストイの小説「ハジ・ムラート」の映画化。19世紀、帝政ロシアの支配に抵抗したコーカサス地方の民族的英雄ハジ・ムラートの波乱の人生を描いた作品で、亡命ロシア人ヴォルコフが『東洋の秘密』に続いて監督した。サウンド版も存在するが、今回の上映は無声版。

’29(ウーファ)(監)(脚)アレクサンダー・ヴォルコフ(原)レフ・トルストイ(脚)ミヒャエル・リンスキー(撮)クルト・クーラン(美)アレクサンダー・ロシャコフ、W・マインハルト(出)イヴァン・モジューヒン、リル・ダゴファー、ベティ・アマン、アレクサンダー・ムルスキー

12 1/19(木)7:00pm 2/22(水)3:00pm

ガソリンボーイ三人組(80分・35mm・白黒)

DIE DREI VON DER TANKSTELLE

オペレッタ映画の先駆的作品。ガソリンスタンドの経営をはじめた仲の良い3人組が、オープンカーに乗って毎日のように訪れる美しい娘に魅了される。主演のヴィリー・フリッチュとリリアン・ハーヴェイは当時たびたび共演したドイツ映画界の「夢のカップル」。

’30(ウーファ)(監)ヴィルヘルム・ティーレ(脚)フランツ・シュルツ、パウル・フランク(撮)フランツ・プラナー(美)オットー・フンテ(音)ヴェルナー・R・ハイマン(出)ヴィリー・フリッチュ、オスカー・カールヴァイス、ハインツ・リューマン、リリアン・ハーヴェイ

13 1/20(金)3:00pm 2/25(土)4:00pm 3/14(火)7:00pm

嘆きの天使(107分・35mm・白黒)

DER BLAUE ENGEL

スタンバーグが、ウーファに招かれて監督した作品で、キャバレーの踊子に心を奪われて身を滅ぼす中年教師の物語。主演のディートリッヒは本作出演後ハリウッドへ渡り、スタンバーグとコンビを組んで『モロッコ』(1930年)や『ブロンド・ヴィナス』(1932年)などの傑作を残した。

’30(ウーファ)(監)ヨゼフ・フォン・シュテルンベルク(ジョセフ・フォン・スタンバーグ)(原)ハインリッヒ・マン(脚)ロベルト・リープマン、カール・ツックマイヤー、カール・フォルメラー(撮)ギュンター・リッタウ、ハンス・シュネーベルガー(美)オットー・フンテ、エミール・ハスラー(音)フリードリッヒ・ホレンダー(出)エミール・ヤニングス、マルレーネ・ディートリッヒ、ハンス・アルバース

14 1/20(金)7:00pm 2/26(日)1:00pm 3/22(水)3:00pm

会議は踊る(91分・35mm・白黒)

DER KONGRESS TANZT

ナポレオン失脚後のヨーロッパ再建を協議するために開催された1814年のウィーン会議を背景に、ロシア皇帝アレクサンドル一世(フリッチュ)と、手袋売りの娘(ハーヴェイ)の恋愛模様を描いた華やかなオペレッタ映画の代表作。1934年度のキネマ旬報第2位。

’31(ウーファ)(監)エリック・シャレル(脚)ノルベルト・ファルク、ロベルト・リープマン(撮)カール・ホフマン(美)ロベルト・ヘールト、ヴァルター・レーリッヒ(音)ヴェルナー・R・ハイマン(出)リリアン・ハーヴェイ、ヴィリー・フリッチュ、コンラート・ファイト、リル・ダゴファー

15 1/21(土)1:00pm 2/21(火)7:00pm 3/23(木)3:00pm

三文オペラ(111分・35mm・白黒)

DREIGROSCHENOPER

ブレヒトが1928年に発表した同名戯曲の映画化。大泥棒の頭目、ホームレスの親分、警察署長の3人を主人公にした社会風刺劇は、1932年度のキネマ旬報ベストテン第3位。ナチス台頭後にドイツからアメリカへ渡った作曲家クルト・ヴァイルの出世作でもある。

’31(ワーナー・ブラザーズ=ファースト・ナショナル=トビス)(監)ゲオルグ・ヴィルヘルム・パプスト(原)ベルトルト・ブレヒト(脚)レオ・ラニア、ラディスラウス・ヴァイダ、ベラ・バラージュ(撮)フリッツ・アルノ・ヴァグナー(美)アンドレイ・アンドレイエフ(音)クルト・ヴァイル(出)ルドルフ・フォルスター、カローラ・ネーヘル、ラインホルト・シュンツェル、フリッツ・ラスプ、ヴァレスカ・ゲルト

16 1/21(土)4:00pm 2/22(水)7:00pm

少年探偵団(73分・35mm・白黒)

EMIL UND DIE DETEKTIVE

児童文学者ケストナーの原作「エーミールと探偵たち」(1928年)の映画化で、汽車の中で大金を盗まれた少年が、ベルリンの子どもたちの助けを得て犯人を追いつめる愉快な活劇。戦後はフィルム・アーカイヴ創設や映画史研究に功績を残したランプレヒト監督の代表作。

’31(ウーファ)(監)ゲルハルト・ランプレヒト(原)エーリッヒ・ケストナー(脚)ビリー・ヴィルダー(ワイルダー)(撮)ヴェルナー・ブランデス(美)ヴェルナー・シュリヒティング(音)アラン・グレー(出)ロルフ・ヴェンクハウス、ケーテ・ハーク、フリッツ・ラスプ

17 1/22(日)1:00pm 2/23(木)3:00pm

狂乱のモンテカルロ(89分・35mm・白黒)

BOMBEN AUF MONTE CARLO

名プロデューサーのエーリッヒ・ポマーとシュヴァルツ監督のコンビは、トーキー初期にオペレッタ映画の秀作を数多く生み出したが、本作はそのもっとも有名な一本。お忍びで地中海旅行を楽しむ女王様と、豪放磊落な巡洋艦船長との恋の駆け引きが繰り広げられる。

’31(ウーファ)(監)ハンス・シュヴァルツ(原)イェネ・ヘルタイ、フリッツ・レック・マレツェヴェン(脚)ハンス・ミュラー、フランツ・シュルツ(撮)ギュンター・リッタウ、コンスタンティン・チェット(美)エーリッヒ・ケッテルフート(音)ヴェルナー・R・ハイマン(出)ハンス・アルバース、アンナ・ステン、ハインツ・リューマン、ペーター・ローレ

18 1/22(日)4:00pm 2/24(金)3:00pm 3/15(水)7:00pm

制服の処女(89分・35mm・白黒)

MADCHEN IN UNIFORM

女学校の寄宿舎を舞台に、プロシア式の権威主義的な教育制度を痛烈に批判したドイツ映画の名作で、キネマ旬報第1位(1933年度)。演出家マックス・ラインハルトのもとで演劇を学んだザガンは、当時極めて少なかった女性監督のひとり。

’31(ドイチュ・フィルム)(監)レオンティーネ・ザガン(脚)クリスタ・ヴィンスロー、F・D・アンダム(撮)ライマール・クンツェ、フランツ・ヴァイマイル(美)フリッツ・マウリシャット、フリードリッヒ・ヴィンクラー(音)ハンソン・ミルデ・マイスナー(出)ドロテア・ヴィーク、ヘルタ・ティーレ、エレン・シュヴァンネッケ、エミリア・ウンダ

19 1/24(火)3:00pm 2/23(木)7:00pm

激情の嵐(82分・35mm・白黒)

STURME DER LEIDENSCHAFT

刑期を終えて出所した男が恋人に裏切られ、再び犯罪に手を染めてしまうという破滅的な人生が描かれる。ジオドマークはナチス台頭後にフランスへ、さらに1938年にハリウッドへ渡り、『幻の女』(1944年)や『殺人者』(1946年)といったフィルム・ノワールの秀作を生み出した。

’31(ウーファ)(監)ロベルト・ジオドマーク(脚)ロベルト・リープマン、ハンス・ミュラー(撮)ギュンター・リッタウ(美)エーリッヒ・ケッテルフート(音)フリードリッヒ・ホレンダー(出)エミール・ヤニングス、アンナ・ステン、トルーデ・へスターベルク、フランツ・ニクリッシュ

20 1/24(火)7:00pm 3/1(水)3:00pm

F・P 1号応答なし(85分・35mm・白黒)

F.P.1 ANTWORTET NICHT

大西洋上に飛行機基地を建設しようと奮闘する男(ハルトマン)と、冒険飛行家(アルバース)の友情を描くサスペンス・ドラマ。コンラート・ファイト主演の英語版、シャルル・ボワイエ主演の仏語版が同時に製作された。

’32(ウーファ)(監)カール・ハートル(原)(脚)クルト・ジオドマーク(脚)ヴァルター・ライシュ(撮)ギュンター・リッタウ、コンスタンティン・チェット、オットー・ベッカー(美)エーリッヒ・ケッテルフート(音)アラン・グレー(出)ハンス・アルバース、ジビッレ・シュミッツ、パウル・ハルトマン、ペーター・ローレ、ヘルマン・シュペールマンス

21 1/25(水)3:00pm 2/26(日)4:00pm

今宵こそは(82分・35mm・白黒)

DAS LIED EINER NACHT

ポーランド出身のテノール歌手キープラの演じるのは当代の人気歌手。その歌手があまりの忙しさに嫌気がさして、お忍びでスイス旅行に飛び出したことからおかしな騒動に。彼が湖畔の町で出会う少女役のマグダ・シュナイダーは、女優ロミー・シュナイダーの母である。

’32(ツィネ・アリアンツ)(監)アナトール・リトヴァク(脚)イルマ・フォン・クーベ、アルブレヒト・ヨゼフ(撮)フリッツ・アルノ・ヴァグナー(美)ヴェルナー・シュリヒティング(音)ミーシャ・スポリアンスキー(出)ヤン・キープラ、フリッツ・シュルツ、マグダ・シュナイダー、マルゴ・リオン、オットー・ヴァルブルク

22 1/25(水)7:00pm 3/4(土)1:00pm

私と女王様(84分・35mm・白黒)

ICH UND DIE KAISERIN

音楽と恋に浮かれたベル・エポック期のパリジャンたちを描いた音楽映画で、女王様の髪結い係リリアン・ハーヴェイの可憐さが印象的。監督のホレンダーは作曲家であり、またナチ政権に追われた名プロデューサー、エーリッヒ・ポマーの亡命直前の作品でもある。

’33(ウーファ)(監)フリードリッヒ・ホレンダー(原)フェリックス・ザルテン(脚)ヴァルター・ライシュ、ロベルト・リープマン(撮)フリーデル・ベーン=グルント(美)ロベルト・ヘールト、ヴァルター・レーリッヒ(音)フランツ・ヴァクスマン(ワックスマン)(出)リリアン・ハーヴェイ、コンラート・ファイト、マディ・クリスチャンス

23 1/26(木)3:00pm 3/4(土)4:00pm 3/24(金)7:00pm

ウインナ風景(10分・35mm・白黒)

EIN SPAZIERGANG MIT ROBERT STOLZ DURCH WIEN

’38(トビス・ザシャ)(撮)(構)ヴィリ・ゴルトベルガー(音)ロベルト・シュトルツ

ワルツ合戦(91分・35mm・白黒)

WALZERKRIEG

19世紀、ワルツの都ウィーンで繰り広げられる、ワルツ王ヨゼフ・ランナーとヴァイオリン奏者ヨハン・シュトラウスとの熾烈な作曲合戦を優美に描く。この時代のドイツ映画が得意とした音楽映画の中でも、きわめて人気を博した一篇である。

’33(ウーファ)(監)ルードヴィッヒ・ベルガー(脚)ハンス・ミュラー、ロベルト・リープマン(撮)カール・ホフマン(美)ロベルト・ヘールト、ヴァルター・レーリッヒ(音)フランツ・グローテ、アロイス・メリヒャール(出)レナーテ・ミュラー、ヴィリー・フリッチュ、パウル・ヘルビガー、アドルフ・ヴォールブリュック、ロージー・バルソニー

24 1/26(木)7:00pm 2/21(火)3:00pm 3/5(日)1:00pm

冬の歡び(14分・35mm・白黒)

WINTER IN DEUTSCHLAND

’30年代(音)ジュゼッペ・ベッチェ

スキー学校(13分・35mm・白黒)

A HIGHSCHOOL OF SKIING

’30年代(ゼレノフォン)(指導)ハンネス・シュナイダー

モンブランの王者(81分・35mm・白黒)

DER EWIGE TRAUM (DER KONIG DES MONT BLANC)

『モンブランの嵐』(1930年)に続いて名峰モンブランを撮影対象とし、フランス側の山麓で若き日から将来の登頂を夢みてきた農夫を描いたファンクの代表作の一つ。主演のゼップ・リストは、ファンクに見出されたスキーヤー俳優である。

’34(ツィネ・アリアンツ)(監)(脚)アーノルト・ファンク(撮)リヒャルト・アングスト、クルト・ノイバート(美)ヴェルナー・シュリヒティング(音)ジュゼッペ・ベッチェ(出)ゼップ・リスト、ブリギッテ・ホルナイ、エルンスト・ナンセン、エドゥアルト・フォン・ヴィンターシュタイン

25 1/27(金)3:00pm 2/28(火)7:00pm

絵画の都(10分・35mm・白黒)

KASSEL

’30年代(アトランティック・フィルム)(撮)E・M・シューマッカー

歌へ今宵を(87分・35mm・白黒)

MEIN HERZ RUFT NACH DIR

『今宵こそは』に続いて歌手キープラが得意ののどを存分に発揮する音楽映画で、客船の中で主人公が出会う密航者の娘が、後に実生活の伴侶ともなるソプラノ歌手エッゲルトである。イタリア映画界から活躍の場を求めてきたベテランのガッローネが演出に当たった。

’34(ツィネ・アリアンツ)(監)カルミネ・ガッローネ(脚)エルンスト・マリシュカ(撮)フリーデル・ベーン=グルント(美)ヴェルナー・シュリヒティング(音)ロベルト・シュトルツ(出)ヤン・キープラ、マルタ・エッゲルト、パウル・ケンプ、パウル・ヘルビガー

26 2/8(水)7:00pm 3/5(日)4:00pm

三千米滑降(16分・35mm・白黒)

MIR BRETTELN IN DEN DREITAUZENDEN

’30年代(ドイツ国鉄映画部)(撮)ハンス・H・テイエ(音)フランク・フォックス

白雪地獄(90分・35mm・白黒)

DIE WEISSE HOLLE VOM PIZ PALU

名匠パプストとの共同演出により、山岳映画の開拓者ファンクが名声を確立した1929年の無声作品『死の銀嶺』のサウンド版。アルプスで愛妻を失った博士が再登頂を目指す物語で、女優時代のリーフェンシュタールが主演。航空撮影は山岳映画では初めてとされる。

’35(ゾーカル・フィルム)(監)(脚)アーノルト・ファンク(撮)ゼップ・アルガイアー、リヒャルト・アングスト、ハンス・シュネーベルガー(音)ジュゼッペ・ベッチェ(出)グスタフ・ディースル、レニ・リーフェンシュタール、エルンスト・ペーターゼン

27 1/28(土)1:00pm 2/28(火)3:00pm

ネルドリンゲンの思ひ出(10分・35mm・白黒)

NORDLINGEN ANNO 1634

’30年代(ドイツ国鉄映画部)(音)マルク・ロラン(撮)E・M・シューマッカー

ジプシイ男爵(90分・35mm・白黒)

ZIGEUNERBARON

原作はヨハン・シュトラウス2世のオペレッタなどで、トルコの侵略を受けた18世紀ハンガリーが舞台。後の『赤い靴』(1948年)などで知られる名優アントン・ウォルブルックが本名を名乗っていた頃の主演作。伊達男の役が多いが、ここでは野性味あふれる役柄である。

’35(ウーファ)(監)カール・ハートル(原)マウルス・ヨーカイ、ヨハン・シュトラウス、イグナツ・シュニ(脚)ヴィネタ・クリンガーほか(撮)ギュンター・リッタウ(美)ヴェルナー・シュリヒティング(音)アロイス・メリヒャール(出)アドルフ・ヴォールブリュック(アントン・ウォルブルック)、ハンジ・クノテック、フリッツ・カンパース

28 1/28(土)4:00pm 3/1(水)7:00pm 3/24(金)3:00pm

第九交響楽(98分・35mm・白黒)

SCHLUSSAKKORD

大指揮者である夫の愛に恵まれぬ妻と、彼の創り出すベートーヴェンを敬愛し、一度捨てた息子会いたさにアメリカから帰ってきた女。この三角関係をめぐる流麗な語り口は、監督のアメリカ亡命後の傑作メロドラマを予感させる。「第九」演奏はベルリン国立オペラ管弦楽団。

’36(ウーファ)(監)(脚)デトレフ・ジールク(ダグラス・サーク)(脚)クルト・ホイザー(撮)ロベルト・バーベルスケ(美)エーリッヒ・ケッテルフート(音)クルト・シュレーダー(出)ヴィリー・ビルゲル、リル・ダゴファー、マリア・フォン・タスナディ、マリア・コッペンへーファー

29 2/12(日)1:00pm 3/2(木)3:00pm 3/21(火・祝)4:00pm

思ひ出の曲(82分・35mm・白黒)

DAS HOFKONZERT

大臣令息と美貌の歌姫の恋心を描いたミュージカル映画。ヨーロッパ屈指のスターとなった歌手エッゲルトが、独・仏語版の両者に主演した。その後監督が1937年まで亡命しなかったのは、ヒットメーカーの損失を恐れた政権に旅券を奪われていたためとの説がある。

’36(ウーファ)(監)(脚)デトレフ・ジールク(ダグラス・サーク)(原)パウル・フェアヘーフェンほか(脚)フランツ・ヴァルナー=バステ(撮)フランツ・ヴァイマイル(美)フリッツ・マウリシャット(音)エドムント・ニックほか(出)マルタ・エッゲルト、ヨハンネス・ヘースタース

30 1/29(日)4:00pm 3/3(金)3:00pm

古城と郷土(13分・35mm・白黒)

ROMANTISCHES DEUTSCHES BURGENLAND

’30年代(デーリング)(撮)A・ルッツ

早春(96分・35mm・白黒)

DAS MADCHEN IRENE

母の再婚をめぐる思春期の少女の心の動きを描いたドラマで、俳優出身のシュンツェルが演出した。英国の一流デザイナーである母親を演じるのは、『会議は踊る』の大スター、リル・ダゴファー。当時の日本人の感覚に合い、1939年のキネマ旬報でも7位に選出された。

’36(ウーファ)(監)(脚)ラインホルト・シュンツェル(原)(脚)エーファ・ライトマン(撮)ロベルト・バーベルスケ(美)ルードヴィッヒ・ライバー、ヴァルター・ライマン(音)アロイス・メリヒャール(出)リル・ダゴファー、カール・シェーンベック、ザビーネ・ペータース

31 2/7(火)3:00pm 3/2(木)7:00pm

新しき土[ドイツ版] (127分・35mm・白黒・ドイツ語部分日本語字幕なし)

DIE NEUE ERDE (DIE TOCHTER DES SAMURAI)

日本を海外に紹介する当時としては画期的な試みの日独合作で、伊丹万作演出の「日英版」とファンク主導のドイツ版が現存する。渡独した16歳の原節子はベルリン市民の熱狂的な歓迎を受けたという。焼岳、浅間山の威厳を表す勇壮な山岳シーンもファンクらしい。

’37(ファンク映画製作所=東和商事=J.O.スタヂオ)(監)(脚)アーノルト・ファンク、伊丹万作(撮)リヒャルト・アングスト(美)吉田謙吉(音)山田耕筰(出)早川雪洲、原節子、小杉勇、ルート・エヴェラー、英百合子、中村吉治、高木永二、常盤操子、市川春代

32 2/7(火)7:00pm 3/8(水)3:00pm

誓ひの休暇(87分・35mm・白黒)

URLAUB AUF EHRENWORT

後方から戦線に復帰する兵士たちが、ベルリンで前線方面への列車に乗り換えるまでの6時間を複数のエピソードで描く。当時の日本では、小隊長が独断で兵士たちに自由行動を許すのは軍規に反するため、一般公開が許可されなかったという逸話もある。

’37(ウーファ)(監)カール・リッター(原)キリアン・コル、ヴァルター・ブレーム(原)(脚)チャールズ・クライン(脚)フェリックス・リュッケンドルフ(撮)ギュンター・アンダース(美)ヴァルター・レーリッヒ(音)エルネスト・エーリッヒ・ブーダー(出)ロルフ・メービウス、インゲボルク・テーク、フリッツ・カンパース、ベルタ・ドレウス

33 2/8(水)3:00pm 3/11(土)1:00pm

お伽の郷土(12分・35mm・白黒)

HEIMAT DES MARCHENS

’30年代(監)ルドルフ・シャート(撮)エーリッヒ・メンツェル

こわれ(がめ)(84分・35mm・白黒)

DER ZERBROCHENE KRUG

恋人の家で甕を壊した自分の罪を、憎き恋敵になすりつけようとする村の裁判官。だが、主張すればするほど、自分に不利な証拠が現れて…。19世紀の劇作家クライストによる傑作喜劇を忠実に映画化したもので、脚本はフリッツ・ラングの右腕テア・フォン・ハルボウ。

’37(トビス・マグナ)(監)グスタフ・ウチツキ(原)ハインリッヒ・フォン・クライスト(脚)テア・フォン・ハルボウ(撮)フリッツ・アルノ・ヴァグナー(美)ロベルト・ヘールト(音)ヴォルフガング・ツェラー(出)エミール・ヤニングス、フリードリッヒ・カイスラー、マックス・ギュルシュトルフ、パウル・ダールケ、リナ・カルステンス

34 1/27(金)7:00pm 3/7(火)3:00pm

最後の一兵まで(81分・35mm・白黒)

UNTERNEHMEN MICHAEL

西部戦線で、味方の犠牲のもとに実行に移された総攻撃作戦「ミヒャエル計画」を描く。監督のカール・リッターはナチ時代に国策映画を多数演出したが、特に本作は、『祖国に告ぐ』(1936年)、『誓ひの休暇』とともに第一次大戦を背景にした3部作と呼ばれた。

’37(ウーファ)(監)(脚)カール・リッター(原)ハンス・フリッツ・フォン・ツヴェール(脚)マティアス・ヴィーマンほか(撮)ギュンター・アンダース(美)ヴァルター・レーリッヒ(音)ヘルバート・ヴィント(出)ハインリッヒ・ゲオルゲ、マティアス・ヴィーマン、パウル・オットー

35 2/9(木)3:00pm 2/24(金)7:00pm

旅する人々(106分・35mm・白黒)

FAHRENDES VOLK

サーカス一座の猛獣使いの女のもとへ逃げ込んできた脱獄囚は昔の夫だった…。『外人部隊』(1934年)や『ミモザ館』(1935年)でフランス映画の一時代を築いたフェデーの珍しいドイツ映画にして、事実上の遺作。

’38(トビス)(監)(脚)ジャック・フェデー(脚)ジャック・ヴィオ(撮)フリッツ・コッホ、ヨゼフ・イリッヒ(音)ヴォルフガング・ツェラー(出)ハンス・アルバース、フランソワーズ・ロゼー、カミッラ・ホルン、ヘルバート・ヒュープナー、ハンネス・シュテルツァー

36 2/10(金)3:00pm 3/12(日)1:00pm

美しき独逸(17分・35mm・白黒)

DEUTSCHLAND KREUZ UND QUER

’35(ウーファ)(監)ウルリッヒ・カイザー(脚)ヴィル・フィッシャー(撮)エーリッヒ・メンツェル(音)ハンス・オットー・ボルグマン

民族の祭典 オリンピア 第1部(85分・35mm・白黒)

FEST DER VOLKER-OLYMPIA FILM TEIL I

1936年のオリンピック・ベルリン大会を記録し、世界に衝撃を与えた2部作の第1部。古代オリンピックを称揚した後、聖火リレー、開会式、陸上競技を紹介する構成で、ナチ政権に抜擢されたリーフェンシュタールが大胆なアングルを駆使して肉体美へのこだわりを誇る。

’38(オリンピア・フィルム)(総指揮)レニ・リーフェンシュタール(撮)ハンス・エルトル、ヴァルター・フレンツ、グッツィ・ランチュナーほか(音)ヘルベルト・ヴィント、ヴァルター・グロノスタイ

37 2/10(金)7:00pm 3/12(日)4:00pm

美の祭典 オリンピア 第2部(81分・35mm・白黒)

FEST DER SCHONHEIT-OLYMPIA FILM TEIL II

『民族の祭典』に続く第2部。選手村の表情に始まり、体操・ヨット・フェンシング・ボクシング・近代五種・ホッケー・ポロ・サッカー・馬術・自転車・ボート・十種競技・飛び込み・水泳、そして閉会式の模様を収めた。

’38(オリンピア・フィルム)[以下「民族の祭典」に同じ]

■短篇映画小特集

38 2/9(木)7:00pm 3/19(日)1:00pm

ウーファ社文化映画[1](計113分)

巨大な映画コンツェルンだったウーファ社の多彩な作品の中で、世界的に見てもとりわけ先駆的な仕事として挙げられるのが文化映画(クルトゥーアフィルム)の系譜である。プロデューサーのニコラス・カウフマンの指導のもと高度な学術映画を量産したが、それらは世界各国に輸出されて日本の科学映画のパイオニアたちにも強い影響を与えた。本プログラムでは、東和商事が配給した文化映画のうち、1936年までにドイツ公開された作品を上映する。

紙の出來るまで(8分・35mm・白黒)FROM TREE TO PAPER (VOM BAUM ZUM PAPIER)

’28(監修)ニコラス・カウフマン

蜂の王國(8分・35mm・白黒)THE HORNET STATE (IM HORNISSENSTAAT)

’28(監修)ウルリッヒ・シュルツ(監)ヴォルフラム・ユングハンス(撮)パウル・クリーン、ベルンハルト・ユッペ

炎と氷の島(8分・35mm・白黒・無声・24fps)THE ISLE OF FIRE AND ICE (DAS INSELLAND AUS FEUER UND EIS)

’29(撮)ヴォルフガング・エッティング

植物の神秘(9分・35mm・白黒)GEHEIMNISSE IM PFLANZENLEBEN

’31(脚)ヴィルヘルム・プラーガー(撮)ヴォルフラム・ユングハンス(音)コンラート・ベルンハルト

生存闘争(12分・35mm・白黒)NATUR ALS SCHUTZERIN IM KAMPF UMS DASEIN

’32(監)ウルリッヒ・シュルツ、ヴォルフラム・ユングハンス(脚)ニコラス・カウフマン(撮)パウル・クリーン(音)ハーバート・ヴィント

緑の放浪者(14分・35mm・白黒)GRUNE VAGABUNDEN

’33(監)ヴォルフラム・ユングハンス(脚)ウルリッヒ・シュルツ(撮)パウル・クリーン(音)ハーバート・ヴィント

鋼鉄交響樂(12分・35mm・白黒)METALL DES HIMMELS

’35(監)ヴァルター・ルットマン(原)ハンス・グロース(脚)パウル・エンゲルマン(撮)ゲルハルト・ミュラー(音)ヴァルター・グロノスタイ

航空郵便(15分・35mm・白黒)BRIEFE FLIEGEN UBER DEN OZEAN

’35(監)フリッツ・カラブ(撮)ゲルハルト・ミュラー(音)ヴァルター・ヴィニッヒ

みんな泳げ!(12分・35mm・白黒)HINEIN!

’36(監)ゲスタ・ノルトハウス(撮)クルト・シュタンケ(音)ハンス・エーベルト

夜の猛禽(15分・35mm・白黒)VOM UHU UND ANDEREN GESICHTERN DER NACHT

’36(監)ウルリッヒ・シュルツ、ヴォルフラム・ユングハンス(撮)ヴァルター・ズーフナー(音)ハンス・エーベルト

39 2/11(土・祝)1:00pm 3/19(日)4:00pm

ウーファ社文化映画[2](計105分)

1937年以降に公開された文化映画を紹介する。

生命の神秘(14分・35mm・白黒)MYSTERIUM DES LEBENS

’37(監)ウルリッヒ・シュルツ、ヘルタ・ユーリッヒ(音)エルンスト・エーリッヒ・ブーダー

レントゲン線(18分・35mm・白黒)RONTGEN-STRAHLEN

’37(監)(脚)マルティン・リクリ(構)ニコラス・カウフマン

植物の感覚生活(14分・35mm・白黒)DAS SINNESLEBEN DER PFLANZEN

’37(監)ウルリッヒ・シュルツ、ヴォルフラム・ユングハンス(撮)ヴァルター・ズーフナー(音)アルバート・ルイグ

低温(12分・35mm・白黒)KALT..., KALTER..., AM KALTESTEN!

’37(監)(脚)マルティン・リクリ(撮)クルト・シュタンケ

とんぼ(12分・35mm・白黒)LIBELLEN

’38(監)ヴォルフラム・ユングハンス(撮)ヴァルター・ズーフナー、カール・ヒルビバー(音)クレメンス・シュマルシュティッヒ

北海の渡り鳥(16分・35mm・白黒)STAMMGASTE AN DER NORDSEE

’38(監)ウルリッヒ・シュルツ(撮)ヴァルター・ズーフナー、オイゲン・シューマッヒャー(音)ルドルフ・ぺラック

蜜蜂の集團生活(19分・35mm・白黒)DER BIENENSTAAT

’38(構)ウルリッヒ・シュルツ(撮)ヴォルフラム・ユングハンス、カール・ヒルビバー、ヴァルター・ズーフナー(音)ハンス・エーベルト

40 2/11(土・祝)4:00pm 3/3(金)7:00pm

オスカー・フィッシンガーの抽象映画とウーファ社音楽短篇(計66分)

ヴァルター・ルットマンの強い影響を受けて抽象映画の先駆者になったオスカー・フィッシンガー。アメリカ移住前に母国で発表した「習作」シリーズは、第5作からトーキーとなり、日本では東和商事により「光の交響楽」シリーズとして公開された。ノーマン・マクラレンなど次世代にも影響を与えたこれら7作品を、ウーファ社の「ドン・コザック合唱団」の音楽短篇4本とともに上映する。

アメリカン・フォックストロット(4分・35mm・白黒)STUDIE 5 (AMERICAN FOXTROTT)

’30(監)オスカー・フィッシンガー

ハンガリアン・ダンス5番(3分・35mm・白黒)STUDIE 7 (UNGARISCHER TANZ No.5)

’31(監)オスカー・フィッシンガー(音)ヨハンネス・ブラームス

魔法使の弟子(5分・35mm・白黒)STUDIE 8 (L’APPRENTI SORCIER)

’31(監)オスカー・フィッシンガー(音)ポール・エイブラハム・デュカス

ハンガリアン・ダンス6番(3分・35mm・白黒)STUDIE 9 (UNGARISCHER TANZ No.6)

’31(監)オスカー・フィッシンガー(音)ヨハンネス・ブラームス

アイーダのバレエ音楽(5分・35mm・白黒)STUDIE 10 (BALLET MUSIK AUS AIDA)

’32(監)オスカー・フィッシンガー(動画)ハンス・フィッシンガー(音)ジュゼッペ・ヴェルディ

モーツァルトのメヌエット(5分・35mm・白黒)STUDIE 11 (MENUETT VON MOZART)

’32(監)オスカー・フィッシンガー(音)W・A・モーツァルト

ルビンシュタインの光の踊り(4分・35mm・白黒)STUDIE 12 (LICHTERTANZ)

’32(監)オスカー・フィッシンガー(動画)ハンス・フィッシンガー(音)アントン・ルビンシュタイン

ドン・コザックの歌(11分・35mm・白黒)DON-KOSAKEN CHOR

’36(ウーファ)(監)ヨハンネス・グーター(出)ドン・コザック合唱団

野營の歌(9分・35mm・白黒)AM LAGERFEUER

’36(ウーファ)(監)ヨハンネス・グーター(出)ドン・コザック合唱団

アヴェ・マリア(8分・35mm・白黒)AUS DER SCHATZKAMMERMUSIK

’36(ウーファ)(監)ヨハンネス・グーター(出)ドン・コザック合唱団

故郷の歌(9分・35mm・白黒)DIE HEIMAT IM LIED

’36(ウーファ)(監)ヨハンネス・グーター(出)ドン・コザック合唱団

■オーストリア名作選

41 1/29(日)1:00pm 3/7(火)7:00pm

女ひとり(84分・35mm・白黒)

EPISODE

ウィーンが恐慌のさなかにあった1922年、彫刻を学ぶ女子学生が身の転落におびえる中で、裕福なイタリア紳士に出会う。脚本家ライシュの珍しい監督作で、その後ハリウッドに渡って『ニノチカ』(1939年)や『ガス灯』(1944年)などの秀作を書いている。

’35(トビス・ザシャ)(監)(脚)ヴァルター・ライシュ(撮)ハリー・ストラドリング(音)ヴィリー・シュミット=ゲントナー(出)パウラ・ヴェッセリー、カール・ルードヴィッヒ・ディール、オットー・トレスラー

42 2/12(日)4:00pm 3/8(水)7:00pm

郷愁(88分・35mm・白黒)

HOHE SCHULE

謎の前歴を持つヨーロッパきっての名馬術士がウィーンを訪問、将軍の令嬢が彼に思いを寄せて入門するが…。監督のエンゲルは、ブレヒトの「三文オペラ」の世界初上演を演出した人物で、ドイツとの合作だがウィーン情緒にあふれた一本である。

’35(ABCフィルム=トビス・ザシャ)(監)エーリッヒ・エンゲル(脚)ハインリッヒ・オーバーレンダー(撮)ブルーノ・モンディ(美)ユリウス・フォン・ボルソディ(音)ヴィリー・シュミット=ゲントナー(出)ルドルフ・フォルスター、アンゲラ・ザローカー、ハンス・ホンマ

43 2/14(火)3:00pm 3/9(木)7:00pm

白夜の果てに(93分・35mm・白黒)

DER POSTMEISTER

プーシキンの短篇集「ペールキン物語」(1831年)の一篇「駅長」が原作で、若い軍人に愛娘を連れ去られた馬車駅の役人をめぐる悲劇。ヒット作となった1925年のソ連映画に続く再映画化だったが、日本では戦後の1956年になって公開された。

’40(ウィーン・フィルム)(監)グスタフ・ウチツキ(原)A・S・プーシキン(脚)ゲルハルト・メンツェル(撮)ハンス・シュネーベルガー(美)クルト・ヘールト、ヴェルナー・シュリヒティング(音)ヴィリー・シュミット・ゲントナー(出)ハインリッヒ・ゲオルゲ、ヒルデ・クラール、ジークフリート・ブロイエル、ハンス・ホルト

■ヴィリ・フォルスト小特集

44 2/14(火)7:00pm 3/11(土)4:00pm

モナ・リザの失踪(87分・35mm・白黒)

DER RAUB DER MONA LISA

俳優として、そして監督・脚本家として1930年代のオーストリア・ドイツ映画に一時代を築いた才人ヴィリ・フォルスト。本作はまだ監督デビューの前で、恋のために名画を盗むガラス職人の役柄を演じた。1911年に起きた盗難事件をベースにしているが、史実とは別の物語。

’31(ズーペル・フィルム)(監)ゲーツァ・フォン・ボルファリ(脚)ヴァルター・ライシュ(撮)ヴィリ・ゴルトベルガー(美)アンドレイ・アンドレイエフ、ロベルト・ディートリッヒ(音)ロベルト・シュトルツ(出)ヴィリ・フォルスト、トルーデ・フォン・モロ、グスタフ・グリュンドゲンス

45 2/15(水)3:00pm 3/10(金)7:00pm 3/18(土)1:00pm

シューベルトの故郷(13分・35mm・白黒)

FRANZ SCHUBERT UND SEINE HEIMAT

’30年代(ドイツ国鉄映画部)(撮)アドルフ・エーン

未完成交響楽(88分・35mm・白黒)LEISE FLEHEN MEINE LIEDER

貧しかった若きシューベルトが、作曲家として世に出てゆく姿を追ったヴィリ・フォルストの監督デビュー作。忠実な伝記ではないとされるが、ウィーンのフィルハーモニー管弦楽団や少年合唱団などの協力を得て、シューベルトの名曲が豪華に散りばめられている。

’33(ツィネ・アリアンツ)(監)(脚)ヴィリ・フォルスト(原)ヴァルター・ライシュ(撮)フランツ・プラナー(美)ユリウス・フォン・ボルソディ(音)フランツ・シューベルト(出)ハンス・ヤーライ、マルタ・エッゲルト、ルイゼ・ウルリッヒ、オットー・トレスラー

46 2/15(水)7:00pm 3/9(木)3:00pm 3/25(土)1:00pm

たそがれの維納(ウィーン)(99分・35mm・白黒)

MASKERADE

20世紀初頭、雪降るウィーンを舞台に上流階級の男女の艶やかな恋と浮気を綴り、生粋のウィーンっ子フォルストの名を高めた名篇。すこぶる享楽的で、「軽快で、華美で、愛らしさがある」(G・サドゥール)と評された1930年代オーストリア映画を代表する一本である。

’34(トビス・ザシャ)(監)(脚)ヴィリ・フォルスト(撮)フランツ・プラナー(美)カール・シュテパネク(音)ヴィリー・シュミット=ゲントナー(出)パウラ・ヴェッセリー、アドルフ・ヴォールブリュック(アントン・ウォルブルック) 、オルガ・チェーホヴァ、ペーター・ペーターゼン

47 2/16(木)3:00pm 3/25(土)4:00pm

囁きの木蔭(86分・35mm・白黒)

SO ENDETE EINE LIEBE

フランスに占領されたオーストリアの“人柱”として、19歳でナポレオンに嫁がされたハプスブルグ家の大公妃マリア・ルイゼの悲恋物語。『たそがれの維納』で絶賛されたパウラ・ヴェッセリーが姫を演じ、フォルスト扮するモデナ侯とのはかない恋が綴られる。

’34(ツィネ・アリアンツ)(監)(脚)カール・ハートル(撮)フランツ・プラナー(美)ヴェルナー・シュリヒティング(音)フランツ・グローテ(出)ヴィリ・フォルスト、パウラ・ヴェッセリー、グスタフ・グリュンドゲンス

48 2/16(木)7:00pm 3/15(水)3:00pm 3/26(日)1:00pm

マヅルカ(94分・35mm・白黒)

MAZURKA

殺人者による回想シーンを大胆に使ったストーリー運びが特徴的なフォルストの監督第3作目で、封切り当時、ストーリーを事前に公表してはならぬとの通達が出たという。題名はポーランドの民族舞踊。

’35(ツィネ・アリアンツ)(監)ヴィリ・フォルスト(脚)ハンス・ラモー(撮)コンスタンティン・チェット(美)へルマン・ヴァルム、カール・ハッカー(音)ペーター・クロイダー(出)ポーラ・ネグリ、アルブレヒト・シェーンハルス、インゲボルク・テーク

49 2/17(金)3:00pm 3/18(土)4:00pm

ひめごと(100分・35mm・白黒)

ALLOTRIA

裕福な2人の伊達男があわせて3人の女性に惚れてしまうという、いわばルビッチ流の軽妙なソフィスティケイティッド・コメディ。ウィーン情緒の名手フォルストには珍しく、物語の始まりは遠洋航路の豪華客船で、しかも舞台はやがてパリに移ってゆく。

’36(ツィネ・アリアンツ)(監)(脚)ヴィリ・フォルスト(脚)ヨッヘン・フート(撮)テッド・パーレ、ヴェルナー・ボーネ(美)ヴェルナー・シュリヒティング(音)ペーター・クロイダー(出)アドルフ・ヴォールブリュック(アントン・ウォルブルック)、レナーテ・ミュラー、イェニー・ユーゴー、ハインツ・リューマン、ヒルデ・ヒルデブラント

50 2/17(金)7:00pm 3/14(火)3:00pm 3/26(日)4:00pm

ブルグ劇場(122分・35mm・白黒)

BURGTHEATER

ウィーン演劇界に長く君臨してきた国立ブルグ劇場。19世紀末にここで活躍した実在の俳優の半生をモデルとした映画で、『カリガリ博士』の大ベテラン、ヴェルナー・クラウスが若い娘への恋情と迫り来る老いの間にはさまれた名優を格調高く演じている。

’36(フォルスト・フィルム)(監)(脚)ヴィリ・フォルスト(脚)ヨッヘン・フート(撮)テオドル・パーレ(美)ヴェルナー・シュリヒティング(音)ペーター・クロイダー(出)ヴェルナー・クラウス、ヴィリー・アイヒベルガー、ホルテンゼ・ラキ、オルガ・チェーホヴァ

■田中路子小特集

51 2/18(土)1:00pm 3/10(金)3:00pm 3/23(木)7:00pm

田中路子さん帰国風景(2分・16mm・白黒)

’62

音楽夜話 田中路子さんを迎えて(20分・16mm・白黒)

’62(NHK)

恋は終りぬ(87分・35mm・白黒)

DIE LETZTE LIEBE

「蝶々夫人」の舞台で名を上げたオペラ歌手・田中路子(1909-1988)の映画初主演作。老作曲家の熱情に気づかず、若い指揮者と恋仲になる日本人留学生に扮した。『未完成交響楽』でシューベルトを演じた二枚目ハンス・ヤーライなど、ドイツ・オーストリア演劇界の名優たちが出演している。

’35(トビス・ザシャ)(監)フリッツ・シュルツ(脚)ハインツ・ゴルトベルク、ガライ・アルヴァイ(撮)ヴィリ・ゴルトベルガー(音)リヒャルト・タウバー、フリッツ・ロッター(出)田中路子、アルバート・バッサーマン、ハンス・ヤーライ

52 2/18(土)4:00pm 3/16(木)3:00pm 3/22(水)7:00pm

星のセレナード 田中路子独唱会(25分・16mm・白黒)

1963年1月29日に放映されたテレビでの独唱会。

’63(NHK)

ヨシワラ(80分・35mm・白黒)

YOSHIWARA

『恋愛三昧』(1932年)の流麗な演出で、たちまちドイツ映画界の新星となったマックス・オフュルスがフランスで撮影した一篇。日清戦争前夜の世情を背景に、ロシアの軍人と芸者の恋を描いたが、田中路子は声の代役を拒み、フランス語を猛勉強して撮影に臨んだ。

’36(フィルム・エクセルシオール=ミロ・フィルム)(監)(脚)マックス・オフュルス(原)モーリス・デコブラ(脚)アーノルト・リップ、ウォルフガング・ヴィルヘルム、J・ダポワニー(撮)オイゲン・シュフタン(美)アンドレ・バルザック、レオン・バルザック(音)パウル・デッサウ(出)田中路子、ピエール・リシャール=ヴィルム、早川雪洲、ロラン・トゥータン、リュシエンヌ・ルマルシャン