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大ホール上映作品

シネマの冒険 闇と音楽:生誕百年の監督たち
Silent Film Renaissance:Masters at their Centenary

2006年1月5日(木)-1月15日(日)→上映スケジュール

開映後の入場はできません。

定員=300名(各回入替制)
発券=2階受付
料金=一般1000円/高校・大学生・シニア800円/小・中学生600円
・観覧券は当日・当該回にのみ有効です。
・発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切となります。
・シニア(65歳以上)の方は、必ず年齢を証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。

 無声映画に伴奏音楽などを付して上映する「シネマの冒険 闇と音楽」は、フィルムセンター恒例の企画として好評を博してまいりました。今回は、2005年に生誕百年を迎えた監督4人による無声映画黄金時代の傑作群12本を、10番組に構成して上映いたします。斎藤寅二郎のナンセンス・コメディ、成瀬巳喜男のメロドラマ、野村浩将の人情喜劇、稲垣浩の時代劇が、6名のピアニストたちの演奏によって一層魅力的なものになることでしょう。

■(監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色・潤色 (撮)=撮影 (出)=出演
■プリントはすべて35mm、白黒です。また、本特集には不完全なプリントが含まれています。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。

1 1/7(土)1:00pm 1/13(金)3:00pm

モダン怪談 100,000,000円[松竹グラフ版](15分・16fps)

近年発見された斎藤寅二郎の作品で、駆け落ちした男女が赤城山にこもっていると、国定忠次の埋蔵金騒ぎに巻き込まれ、忠次の幽霊に遭遇するという喜劇。

’29(松竹蒲田)(監)斎藤寅二郎(原)大森文雄(脚)池田忠雄(撮)武富善雄(出)斎藤達雄、松井潤子、坂本武

石川五右ヱ門の法事[パテベビー短縮版](21分・16fps)

恋人の父親に結婚を反対されて撲殺された男が幽霊になってよみがえり、先祖の大盗賊・石川五右衛門の助力を得て恋人を奪い返すというナンセンス喜劇。

’30(松竹蒲田)(監)斎藤寅二郎(原)絹川秀治(脚)池田忠雄、伏見晁(撮)武富善雄(出)渡邊篤、香取千代子、坂本武

腰辨頑張れ(38分・18fps)

しがない保険勧誘員の悲哀をユーモアを交えて描いた松竹得意の小市民映画で、成瀬巳喜男監督の初期の代表作。

’31(松竹蒲田)(脚)(監)成瀬巳喜男(撮)三浦光男(光雄)(出)山口勇、浪花友子、加藤精一

2 1/5(木)3:00pm 1/14(土)1:00pm

夜ごとの夢(64分・24fps)

松竹の名女優・栗島すみ子が主演した成瀬の出世作。幼い息子を育てながら港の芸者として働く女のもとに、長い間消息不明だった夫が突然ふらりと帰ってくる・・・。

’33(松竹蒲田)(原)(監)成瀬巳喜男(脚)池田忠雄(撮)猪飼助太郎(出)栗島すみ子、斉藤達雄、木島照子

3 1/8(日)4:00pm 1/13(金)7:00pm

生さぬ仲(94分・20fps)

波乱万丈の人生を歩んだ女優・岡田嘉子の主演作。ひとりの娘をめぐって“産みの母”と“育ての母”の間で激しい確執が繰り広げられるメロドラマの秀作。

’32(松竹蒲田)(監)成瀬巳喜男(原)柳川春葉(脚)野田高梧(撮)猪飼助太郎(出)岡田嘉子、奈良眞養、筑波雪子

4 1/8(日)1:00pm 1/11(水)7:00pm

君と別れて(72分・20fps)

成瀬の叙情的な演出が冴える佳作で、恵まれない家庭に生まれたために場末の芸者として辛い生活を送る娘の恋と別離が描かれる。

’33(松竹蒲田)(原)(脚)(監)成瀬巳喜男(撮)猪飼助太郎(出)水久保澄子、吉川滿子、磯野秋雄

5 1/10(火)7:00pm 1/15(日)4:00pm

限りなき鋪道(87分・24fps)

喫茶店で働く二人の女性を主人公に、すれ違いの恋や、結婚生活の苦難などが描かれるメロドラマ。当時の銀座の風景が多くのロケーション撮影によって映し出される。

’34(松竹蒲田)(監)成瀬巳喜男(原)北村小松(脚)池田實三(撮)猪飼助太郎(出)忍節子、香取千代子、日守新一

6 1/11(水)3:00pm 1/12(木)7:00pm

令嬢と與太者(89分・24fps)

野村浩将の初期の代表作である「与太者」シリーズの第1作。不良少年の3人組が収容施設を出て更生するまでのユーモラスにとらえる。

’31(松竹蒲田)(監)野村浩将(原)一木歓(脚)柳井隆雄(撮)高橋與吉(出)磯野秋雄、阿部正三郎、三井秀男

7 1/6(金)3:00pm 1/7(土)4:00pm

與太者と縁談(83分・24fps)

シリーズ4作目は、同窓の仲良しトリオの厚い友情物語。苦学生・磯野の姉と、三井の兄は相思相愛の仲であるが、三井の両親は令嬢との縁談を勝手に進めてしまう・・・。

’32(松竹蒲田)(監)野村浩将(原)(脚)柳井隆雄(撮)髙橋與吉(出)磯野秋雄、三井秀男、阿部正三郎

8 1/5(木)7:00pm 1/14(土)4:00pm

與太者と藝者(104分・20fps)

呉服屋の奉公人として「与太者」トリオが登場するシリーズ5作目。破産して苦境に陥った呉服屋の家族を助けるため、3人が相変わらずのドタバタぶりを発揮。

’33(松竹蒲田)(監)野村浩将(原)(脚)柳井隆雄(撮)高橋與吉(出)磯野秋雄、三井秀男、阿部正三郎

9 1/12(木)3:00pm 1/15(日)1:00pm

女學生と與太者(98分・20fps)

シリーズ8作目は、金庫破りの阿部、タクシー運転手の三井、絵描きの磯野の「与太者」トリオが、恩師の家族の窮状を救うために悪戦苦闘する人情喜劇。

’33(松竹蒲田)(監)野村浩将(原)(脚)池田忠雄(撮)髙橋與吉(出)磯野秋雄、三井秀男、阿部正三郎

10 1/6(金)7:00pm 1/10(火)3:00pm

諧謔三浪士(66分・16fps・不完全)

稲垣浩が無声映画期に得意としたナンセンス時代劇のひとつで、幕府の転覆を狙う一味を3人の浪人たちが奇抜な方法でこらしめる。

’30(片岡千恵蔵プロ)(監)稲垣浩(原)田中務(脚)稲垣浩(撮)酒井健三(出)片岡千恵蔵、尾上桃華、瀬川路三郎

ピアノ伴奏者紹介(50音順)

天池穂高(あまいけ・ほだか)
東京芸術大学音楽学部作曲科卒、同大学院修了。第15回現音作曲新人賞。作品はソロからオーケストラまで幅広く、また邦楽器のためにも作曲を行っている。代表作は松尾葉子の初演指揮による「流動模様~オーケストラのための」、「透明架け橋~能管とオーケストラのための」など。バレエのレッスン・ピアニストとしても活躍。これまでに「小津安二郎の藝術」で演奏を披露した。
小原孝(おばら・たかし)
国立音楽大学大学院修了。1990年のCDデビュー以来、「ねこふんじゃったSPECIAL」「ピアノよ歌え」など29枚のCDを発表している人気ピアニスト。パーソナリティを担当するNHK-FM「弾き語りフォーユー」も好評。尚美学園大学客員教授、国立音楽大学非常勤講師、川崎市市民文化大使。これまで「D・W・グリフィス選集」および「小津安二郎の藝術」で演奏を披露した。
小林弘人(こばやし・ひろと)
東京芸術大学音楽学部作曲科を経て、同大学院修了。管弦楽、舞台音楽などの委嘱作曲・編曲を手がける。1998年東京国際室内楽作曲コンクール第3位、同年より電子音楽の研究を開始。また自作をはじめソロ、室内楽からジャズ、オペラまで幅広いジャンルの演奏活動を続ける。「D・W・グリフィス選集」、「小津安二郎の藝術」で即興演奏を披露した。東京芸術大学非常勤講師。
谷川賢作(たにかわ・けんさく)
ピアニスト、作曲家。NHK「その時歴史が動いた」のテーマ音楽を担当した他、『鹿鳴館』(1986)以降、市川崑監督作品の音楽を担当。1988、1995、1997年に日本アカデミー賞優秀音楽賞。父の谷川俊太郎と共に各地で音楽と朗読の公演も行う。今年10月、イタリアの第24回ポルデノーネ無声映画祭において『夜ごとの夢』を作曲、演奏し好評を博した。1月5日の公演のみ、「谷川賢作Sonorizzano」として、三木黄太(チェロ)、酒井聡行(アルトサックス・フルート)、小竹満里(パーカッション、マリンバ)が参加。
松村牧亜(まつむら・まきあ)
東京芸術大学音楽学部作曲科卒、ジュリアード音楽院修士号。これまでに東京モーターショー、NHK番組のBGMを手がけた他、米国ABCのドキュメンタリー番組、自主製作映画等への音楽提供を行う。シカゴ交響楽団主催作曲コンクール優勝、演奏会用委嘱作品も多数。近年では自己のユニット「M2duo」にて演奏活動を展開しつつ、室内楽の伴奏者としても活動。これまでに「小津安二郎の藝術」で演奏を披露した。
柳下美恵(やなした・みえ)
無声映画伴奏者。欧米スタイルのピアノ伴奏で見せるサイレント映画上映会で活躍中。武蔵野音楽大学器楽科(ピアノ専攻)卒。1995年、映画生誕100年記念上映会でデビュー。以来全国各地で公演し300あまりのレパートリーを持つ。サイレント映画15作品に作曲、演奏したCD「サウンド・オブ・サイレント」を発表。これまでに「小津安二郎の藝術」などで演奏を披露した。