www.momat.go.jp
大ホール上映作品

アジア映画―“豊穣と多様”

福岡市総合図書館フィルム・アーカイヴ所蔵アジア映画コレクションより

Asian Cinemas: “Fertile and Diverse”
From the Asian Film Collection of the Fukuoka City Public Library Film Archive

4月27日(火)- 6月27日(日)→上映スケジュール

主催=東京国立近代美術館フィルムセンター、福岡市総合図書館

定員=310名(各回入替制)
発券=2階受付
料金=一般500円/高校・大学生・シニア300円/小・中学生100円
・観覧券は当日・当該回にのみ有効です。
・発券・開場は開映の45分前から行ない、定員に達し次第締切となります。
・開映後の入場はできません。
・シニア(65歳以上)の方は、必ず年齢を証明できるものをご提示下さい。

 この度フィルムセンターは、アジア諸国の映画の積極的な収集・保存活動で知られる福岡市総合図書館との共催により、東南アジアと南アジアの11か国(インド、インドネシア、カンボジア、スリランカ、タイ、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー)で製作された優れた映画54作品を一挙上映することとなりました。「アジアフォーカス・福岡映画祭」や独自の収集ルートを通じてこれまで300作品以上のフィルムを収集してきた同館は、その上映によってアジア映画の豊穣さと多様性を日本の観客に知らしめるとともに、保存施設が必ずしも充分ではないアジア諸国の期待を集めながら保存拠点(アーカイヴ)の一つとしての地歩をも築き、この2004年には国際フィルム・アーカイヴ連盟(FIAF)への加盟も果たしました。今回上映される54作品のうち、41作品が同館からの提供によるものです。
 本企画には、各国映画史の中ですでに高い評価を得た名作も含まれる一方、今回が東京初上映となる作品も19本あり、アジア映画のいわば“万華鏡”を見る感があります。アジア映画やアジア諸国の風土を愛好される方々はもちろん、これからアジア各国のさまざまな映画表現に触れようとする方々にも絶好となるこの豪華企画を通して、それぞれの国と人々が培ってきた映画話法の豊かさや魅力的な人間描写、そしてその底に流れる歴史の深みを味わっていただければ幸いです。
■(監)=監督 (原)=原作 (脚)=脚本 (撮)=撮影  (美)=美術 (編)=編集 (音)=音楽 (出)=出演
■本特集の上映作品は、プログラム28と53を除いてすべて日本語字幕付プリントです。プログラム28と53については、会場で日本語のハンドアウトを配布します。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
●作品解説=石坂健治(国際交流基金アジアセンター専門員)
●無印=福岡市総合図書館所蔵[41作品] *印=東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵[13作品]
【インド India】
1 4/27(火)7:00pm 5/28(金)3:00pm
ストリート・シンガー(132分・35mm・白黒)
STREET SINGER
芝居小屋で働く少年と孤児院を逃げ出した少女が成長して流しの歌手となり、憧れの都カルカッタへ行くが数々の苦難に遭遇する。インド映画固有の“吹替え”システムが確立する以前の作品で、歌手としても有名なK・L・サイガルら俳優は自らの声で歌っている。
'38(監)P・マジュムダール(撮)ディリープ・グプタ(音)B・C・ボーラール(出)K・L・サイガル、カーナン・デーヴィー(バラー)、ジャグディーシュ・セーティー
2 4/27(火)3:00pm 5/29(土)4:00pm
詐欺師(171分・35mm・白黒)[東京初上映]
SHREE 420 (Mr. 420)
インド映画界の“キング”と呼ばれた大スター、ラージ・カプールの監督主演作。カプールはチャップリン風の出で立ちで浮浪者に扮し、裏社会のいかさま賭博をめぐる騒動に巻き込まれていく。「私の靴は日本製」と題された挿入歌は大ヒットを飛ばした。
'55(監)(出)ラージ・カプール(原)(脚)K・A・アッバース(脚)V・P・サーテー(撮)ラードゥ・カルマカル(音)シャンカル・ジャイキシャン(出)ナルギス、ナディラー
3 4/28(水)3:00pm 5/29(土)1:00pm
渇き(147分・35mm・白黒)
PYAASA (THE THIRSTY ONE)
日本にも熱狂的ファンの多い、39歳で自死した伝説の映画人ダットの監督主演作。才能ある詩人ヴィジャイは不遇だったが、たまたま鉄道事故死と誤報され、遺稿詩集がベストセラーに。汚れた俗世に絶望したヴィジャイは高潔な娼婦グラーブとともに旅立っていく。
'57(監)グル・ダット(原)グル・ダット、アブラール・アルヴィー(脚)アブラール・アルヴィー(撮)V・K・ムールティ(音)S・D・バルマン(出)グル・ダット、ワヒーダー・ラフマーン、マーラー・シンハー、ラフマーン、ジョニー・ウォーカー
4 4/28(水)7:00pm 5/30(日)1:00pm
音楽ホール(99分・35mm・白黒)
JALSAGHAR (THE MUSIC ROOM)
1920年代ベンガル地方を舞台に、没落する封建地主が新興商人の富の誇示に対抗して屋敷で音楽会を開き、やがて自暴自棄になるさまを見据えた巨匠レイの異色作。一流ミュージシャンを起用した演奏のシーンや、ヴィスコンティにも通じる滅びゆく貴族の描写が秀逸。
'58(監)(脚)サタジット・レイ(原)タラションコル・ボンドパッダエ(撮)スブラタ・ミトラ(音)ヴィラーヤト・カーン(出)チャビ・ビスワース、パドマー・デーヴィー、ガンガーパダ・バース、ベーガム・アクタール、ローシャン・クマーリー
5 4/29(木・祝)1:00pm 5/28(金)7:00pm
紙の花(149分・35mm・白黒)
KAAGAZ KE PHOOL (PAPER FLOWERS)
映画撮影所を舞台にしたダット最後の監督作で、インド版『サンセット大通り』『ライムライト』の趣もある自伝的作品。人気の映画監督スレーシュは、偶然出会った美少女シャーンティを主演女優に抜擢。二人は強く惹かれるが、妻子あるスレーシュは零落の道を辿る。
'59(監)グル・ダット(脚)アブラール・アルヴィー(撮)V・K・ムールティ(音)S・D・バルマン(出)グル・ダット、ワヒーダー・ラフマーン、ジョニー・ウォーカー、ベビー・ナーズ、ヴィーナー
6 4/29(木・祝)4:00pm 6/1(火)3:00pm
雲のかげ星宿る(127分・35mm・白黒)
MEGHE DHAKA TARA (THE CLOUD CAPPED STAR)
わずか8作品を残して世を去りながら、ベンガル語映画の巨匠としてサタジット・レイと並ぶ評価を受けるガタクの荘厳にして悲痛な小市民映画。印パ分離独立で難民となった6人家族がカルカッタ(現コルカタ)に赴くが、一家を支えて働く長女のささやかな幸福を病魔が襲う。
'60(監)(脚)リトウィック・ガタク(原)シャクティパダ・ラージグル(撮)ディネーン・グプタ(音)ジョーティリンドラ・モイトラ(出)スプリヤー・チョウドリー、アニル・チャテルジー
7 4/30(金)3:00pm 6/5(土)4:00pm
アマル・アクバル・アントニー(174分・35mm・カラー)[東京初上映]
AMAR AKBAR ANTHONY
1970年代インドで流行したマルチスター・システム映画の一本で、A・バッチャンら当時の人気スター6人が勢揃いしている。宗教の異なるアマル、アクバル、アントニーの3人がふとしたきっかけで幼い頃に別れた兄弟だと知り、親を苦しめたギャングに復讐を誓う。
'77(監)マヌモーハン・デサイ(原)J・M・デサイ夫人(脚)プラヤーグ・ラージ(撮)ピーター・ペレイラ(音)ラクシュミーカント=ピャーレーラール(出)アミターブ・バッチャン、ヴィノード・カンナー、リシ・カプール、パルヴィーン・パービー、ニートゥー・シン、シャバーナー・アーズミー
8 4/30(金)7:00pm 6/6(日)1:00pm
黄金のシーター(87分・35mm・カラー)
KANCHANA SITA (GOLDEN SITA)
インド最南部ケーララ州の映像詩人アラヴィンダン初期の代表作。貞操を疑われ命を絶った王妃シーターが風となってラーマ王や息子たちを守護するという、古典叙事詩「ラーマーヤナ」の後日譚を扱っている。風、木、水など自然描写そのもので神性を表現している。
'77(監)(脚)G・アラヴィンダン(撮)シャージ・N・カルン(音)ラージーヴ・ターラーナート(出)ラームダース、ヴェンカテーシュワルル、チンナプーリアー、ケーシャヴ・パニッカル
9 5/1(土)4:00pm 6/4(金)3:00pm
ミュージカル女優(143分・35mm・白黒)
BHUMIKA (THE ROLE)
歌と踊りのインド娯楽映画の世界を外側から見つめた作品。田舎暮らしの少女がボンベイで映画スターとして成功する前半と、結婚生活で幸福を得られず自立を決意する後半のコントラストが印象的。ベネガル監督はインディアン・ニューシネマの旗手と呼ばれた。
'77(監)シャーム・ベネガル(脚)ギリーシュ・カルナード、サッティヤデーウ・ドゥーベー、シャーム・ベネガル(撮)ゴーヴィンド・ニハーラーニー(音)ヴァンナージ・バーティヤー(出)スミター・パーティル、アモール・パーレーカル、アナント・ナーグ、ナスィールッディーン・シャー、アムリーシュ・プリー、クルブーシャン・カルバンダー、キラン・ヴァイラーレー
10 5/1(土)1:00pm 6/1(火)7:00pm
サーカス(130分・35mm・白黒)
THAMPU (THE CIRCUS TENT)
ケーララ州の村にサーカス団が到来し、テントが張られ、公演が始まり、やがて去っていくまでをドキュメンタリー的に描いたアラヴィンダンの傑作。公演に熱狂する子どもたちの驚きや喜び、舞台裏の芸人の侘しい生活など、さまざまな人生の哀歓をとらえて秀逸。
'78(監)(脚)G・アラヴィンダン(撮)シャージ・N・カルン(音)K・N・パニッカル、M・G・ラーダークリシュナン(出)ゴーピ、ヴェヌ、シュリーラーマン、ジャラジャ、ニラントゥ・ラーマ・ポトゥヴァル
11 5/2(日)1:00pm 6/2(水)7:00pm
苦いひとくち(92分・35mm・白黒)
NEEM ANNAPURNA
職を失った一家が大都市カルカッタに移ってスラムに住むが、生活は改善されずに零落していく。都市に流入する貧困層の姿を見据えたリアリズム作品。ダスグプタはサタジット・レイと同じベンガル映画界で活躍する社会派監督。
'80(監)ブッダデーブ・ダスグプタ(脚)コモルクマル・モジュムダル(撮)コモル・ナエク(音)デバシシュ・ダスグプタ(出)モニディパ・ラエ、シュニム・ムコパッダエ、バッショティ・ダスグプタ、ジョイタ・ショルカル、モノジト・ラヒリ、ニハル・ラエ
12 5/2(日)4:00pm 6/3(木)3:00pm
魔法使いのおじいさん(89分・35mm・カラー)
KUMMATTY (THE BOGEY-MAN)
ケーララ州の小さな村にやって来た不思議な老人と子どもたちとの交流や、老人の魔力で犬に変身させられた少年の放浪の旅がユーモラスに描かれる。舞踏家ラームンニが演じた老人の飄々とした存在感は圧倒的。日本に初めて紹介されたアラヴィンダン作品。
'79(監)G・アラヴィンダン(脚)K・N・パニッカル、G・アラヴィンダン(撮)シャージ・N・カルン(美)ナンブーディリ(音)M・G・ラーダークリシュナン、K・N・パニッカル、G・アラヴィンダン(出)ラームンニ、アショーカン、ヴィラーシニ・リーマ
13 5/4(火・祝)1:00pm 6/2(水)3:00pm
おとぎ話(124分・35mm・カラー)
BHAVI BHAVAI (A FOLK TALE)
インド西部グジャラート州を放浪する不可触民らが、大昔のチャクラセーン王の御世に起こったというおとぎ話を語り始める。現代まで続くカースト制度を、寓話の形を借り過去と現在を往還させて批判した、グジャラーティー語映画の話題作。
'80(監)(脚)ケータン・メーヘター(撮)クリシュナカント“プンミー”(音)ゴゥラング・ヴャース(出)ナスィールッディーン・シャー、スミター・パーティル、モーハン・ゴーカレー、オーム・プリー、ディーナー・パータク、スハーシニー・ムレー、ベンジャミン・ギラーニー、ニメーシュ・デーサーイー
14 5/4(火・祝)4:00pm 6/3(木)7:00pm
占拠(73分・35mm・カラー)
DAKHAL (THE OCCUPATION)
ベンガル地方の湿地帯を放浪するジプシーの一団が、村に定住して農民となったかつての仲間の家を訪ねるが、そこでは地主が土地を没収しようとしていた。インド農村社会におけるマイノリティーの差別問題を取り上げた社会派映画。
'81(監)(撮)(音)ゴータム・ゴース(原)スシール・ジャナー(脚)ゴータム・ゴース、パルター・バネルジー(出)マムター・シャンカル、ラビーン・セーン・グプタ、スニール・ムコッパデャーイ、サジャル・ラーイ・チョウドリー、ビマル・デーブ、トゥパイ・ゴース、パプルー・サルカール、スシール・ジャナー
[English subtitled]
15 5/5(水・祝)1:00pm 6/4(金)7:00pm
対面(107分・35mm・カラー)[東京初上映]
MUKHAMUKHAM (FACE TO FACE)
1950年代ケーララ州のタイル工場で起こった労働争議のリーダー、共産党員シュリーダランについて様々な人物が証言を行う形式の社会派映画。ゴーパーラクリシュナン監督は、権力や政治に翻弄される人間を見据える作風で知られるケーララ州の名匠。
'84(監)(原)(脚)アドゥール・ゴーパーラクリシュナン(撮)ラヴィ・ヴァルマー(音)M・B・シュリーニヴァーサン(出)P・ガンガ、B・K・ナーヤル、カヴィユール・ポンナンマ、クリシュナ・クマール、カラマナ、ティラカン、ヴィシュワナータン、アショーカン
16 5/5(水・祝)4:00pm 6/8(火)3:00pm
渡河(130分・35mm・カラー)
PAAR (THE CROSSING)
インド東部ビハール州の村で不可触民の虐殺が起こり、必死の思いでカルカッタへ逃れた若い夫婦はわずかな報酬のためにガンジスの大河に入って豚の群れを渡河させる。『占拠』に続くゴース監督の力作で、ヴェネチア国際映画祭主演男優賞を受賞した。
'84(監)(撮)(音)ゴータム・ゴース(脚)ゴータム・ゴース、パルター・バナルジー(出)ナスィールッディーン・シャー、シャバーナー・アーズミー、オーム・プリー、ウトパル・ダット
17 5/6(木)3:00pm 6/9(水)7:00pm
ゴアの恋歌(141分・35mm・カラー)
TRIKAL (PAST, PRESENT, FUTURE)
観光地として知られるゴアは1961年ポルトガルからインドに返還されたが、風光明媚なこの地を舞台に、旧家として栄えたソアレス家の様々な人間模様を描いた作品。往時の衣装や風俗を忠実に再現している。『ミュージカル女優』のベネガル監督1980年代の代表作。
'85(監)(原)(脚)シャーム・ベネガル(撮)アショーク・メーヘター(音)ヴァンラージ・バーティアー(出)リーラー・ナーイドゥー、ニーナー・グプター、ナスィールッディーン・シャー、アニター・カーンワル、ソーニー・ラーズダン、ニキル・バガト
18 5/6(木)7:00pm 5/30(日)4:00pm
希望の行方(132分・35mm・カラー)[東京初上映]
DISHA (THE IMMIGRANTS)
インドを代表する女性監督パラーンジペーが描く出稼ぎの悲喜劇。ボンベイの工場に出て働く夫婦と、村に残って井戸を掘りつづける夫婦を対比させて描いている。都会の狭い部屋を使った男たちの群舞シーンは、インド娯楽映画を批評的にパロディー化していて見事。
'90(監)(原)(脚)サイー・パラーンジペー(撮)マドゥ・アンバト、G・S・バースカル(美)マーダブ・ヤトレー、マダン・ボールカー(音)アーナンド・モーダク(出)シャバーナー・アーズミー、ナーナー・パーテーカル、ラグヴィール・ヤーダヴ、オーム・プリー、ラージシュリー・サーワント、ニールー・プレー
[English subtitled]
19 5/7(金)3:00pm 6/8(火)7:00pm
ロージャー(140分・35mm・カラー)
ROJA
娯楽映画のスタイルを踏襲し社会問題を盛り込むマニラトナム監督の大ヒット作。コンピュータ技師と結婚したロージャーだが、夫がカシミールでゲリラに誘拐され、彼女もまた紛争に巻き込まれていく。ロージャー役は同監督『ボンベイ』にも出演したアラヴィンダ・スワーミ。
'92(監)(脚)マニラトナム(撮)サントーシュ・シヴァン(音)A・R・ラフマーン(出)アラヴィンダ・スワーミ、マドゥバーラー、パンカジ・カプール
【インドネシア Indonesia】
20 5/7(金)7:00pm 6/5(土)1:00pm
ドゥルの少年期(86分・35mm・カラー)
SI DOEL ANAK BETAWI (DOEL, THE BETAWI BOY)
1970年代インドネシアで大ヒットを飛ばした「ブタウィの少年ドゥル」シリーズの第1作。伝統的な風俗習慣の残るブタウィ(ジャカルタ周辺の地域)に暮らす腕白坊主のドゥルが、貧しい中で少しずつ人生を学んでいくさまをユーモラスに描いている。
'73(監)(脚)シュマンジャヤ(撮)H・シャムスディン・ユスフ(音)イスバンディ(出)シュマンジャヤ、ラノ・カルノ、フィフィ・ユン、スカルノ・M・ヌール、トゥティ・キラナ、ベニャミン・S
21 5/8(土)1:00pm 6/9(水)3:00pm
(103分・35mm・カラー)[東京初上映]
IBUNDA (MOTHER)
名匠トゥグ・カルヤ監督の1980年代の代表作。未亡人と6人の子どもたちの一家を中心に、様々な家庭問題が展開されるホームドラマ。複数のエピソードが並行して描かれ、出身地による差別など、インドネシアの社会問題や家族観もくっきりと現れている。
'86(監)(原)(脚)トゥグ・カルヤ(撮)ジョージ・カマルラー(編)B・ペニー・MS(音)イドゥリス・サルディ(出)アレックス・コマン、ニニック・L・カリム、トゥティ・インドラ・マラオン、アユ・アザリ、カセブ・フシン、オニー・マヨル、リア・イラワン
22 5/8(土)4:00pm 6/10(木)3:00pm
一切れのパンの愛(97分・35mm・カラー)
CINTA DALAM SEPOTONG ROTI (LOVE IN A SLICE OF BREAD)
『枕の上の葉』などでインドネシア映画界の若きリーダーとなったヌグロホのデビュー作。危機を迎えた夫婦と友人の3人が旅を続けながら過去のトラウマと訣別していく。辛口だが爽快な青春映画として、トリュフォー『突然炎のごとく』と比較されることもある。
'91(監)(脚)ガリン・ヌグロホ(撮)M・サレン・ルスラニ(美)サプト・ボエソノ(音)ドゥィキ・ダルマワン(出)ティオ・パクサデウォ、アジ・マッサイド、リズキー・エルゼット・テオ、モニカ・ウマルディ、スピナ
【カンボジア Cambodia】
23 5/9(日)1:00pm 6/10(木)7:00pm
空白のページ(99分・35mm・カラー)
WHITE PAGE
スイス在住のベトナム人監督ホー・クァン・ミンが、隣国カンボジアの惨劇を取り上げた作品。物語はポル・ポト派が実権を握った1975年から始まり、キャンプと呼ばれる共同体での飢餓、重労働、自己批判、強制的な結婚などの実態が赤裸々に描かれている。
'91(監)(脚)ホー・クァン・ミン(撮)レー・ディン・アン(音)ダム・リン(出)プァン・デゥン、ワン・ティー、ボラ&ハリ、ロック・チャンナラ
[English subtitled]
【スリランカ Sri Lanka】
24 5/9(日)4:00pm 6/11(金)3:00pm
運命線(89分・35mm・白黒)
REKAWA (THE LINE OF DESTINY)
スリランカ映画が国際的に認知される契機となったピーリスのデビュー作。病を癒す力を持つと告げられた少年がたどる数奇な運命を、屋外撮影の陽光と洗練された技法で描く。ピーリスは黒澤明、サタジット・レイとともに“アジア映画の三羽烏”と称された。
'56(監)(原)(脚)レスター・ジェームズ・ピーリス(撮)ウィリアム・ブレーク(音)スニール・サーンタ、K・A・ダヤーラトゥナ(出)ソーマパーラ・ダルマプリヤー、アイランガニー・ミーデニヤ、セーシャ・パリハッカーラ、マータル・フェルナンド
[English subtitled]
25 5/11(火)3:00pm 6/6(日)4:00pm
川のほとり(102分・35mm・カラー)
GANGA ADDARA (RIVER’S EDGE)
恋人と引き裂かれて親の決めた相手と結婚し精神を病んだ娘と、彼女の治療にあたった精神科医の悲劇的な愛を描いたスミトラ・ピーリスの代表作。スミトラはレスター・ジェームズ・ピーリスの妻で、南アジアを代表する女性監督として活躍している。
'80(監)スミトラ・ピーリス(撮)ドンナラ・カルナラトゥナ(美)ヘーマパーラ・ダルマセーナ(音)ニマル・メンディス(出)ワサンティ・チットラーニ、トーニ・ラナシンハ、リーナ・ディ・シルバ、サナトゥ・グナティラカ、ウィジャヤ・クマーラトゥンガ、シャントゥ・レーカー、ヘンリー・ジャヤセーナ
26 5/11(火)7:00pm 6/12(土)1:00pm
ジャングルの村(125分・35mm・カラー)
BADDEGAMA (VILLAGE IN THE JUNGLE)
20世紀初頭の英領セイロン。村人が死に絶えてただ一人の女性だけが生き残ったジャングルの村を訪ねた英国人文官の前で、貧しさに起因する村の惨劇が徐々に明らかになっていく。『川のほとり』とともに日本に最初に紹介されたスリランカ映画。
'80(監)(脚)レスター・ジェームズ・ピーリス(原)レオナルド・ウルフ(出)ジョー・アベェーウィックラマ、マーリニー・フォンセカ、ナディーカ・グナセーカラ、トゥリーリシア・アベェーコーン、ウィジャヤ・クマーラトゥンガ、ヘンリー・ジャヤセーナ、D・R・ナーナヤッカーラ、トーニ・ラナシンハ、A・C・クラーク
27 5/12(水)3:00pm 6/11(金)7:00pm
心の闇(80分・35mm・カラー)
ANANTHA RATHRIYA (DARK NIGHT OF THE SOUL)
舞台演出家としても知られる新鋭監督ヴィターナゲーが、トルストイ「復活」を翻案、映画化した意欲作。社会的地位の高い実業家が陪審員として参加した裁判で、かつて関係を持ちながら捨てた女性が娼婦となって殺人を犯したのを知り、内面の葛藤が始まる。
'95(監)(脚)プラサンナ・ヴィターナゲー(撮)マヒンダパーラ(音)ハルシャ・マカランダ(出)ラウィンドラ・ランデニヤ、スワルナ・マッラワアーラッチ、アショーカ・ピーリス、ヤショーダ・ウィマラダルマ
[English subtitled]
【タイ Thailand】
28 5/12(水)7:00pm 6/12(土)4:00pm
白象王(100分・16mm・白黒・日本語字幕なし)
THE KING OF THE WHITE ELEPHANT
第2次世界大戦下、蔵相プリーディー・パノムヨンが世界平和を訴えて製作し米国等で公開された珍しいタイ製英語劇映画。16世紀アユタヤとビルマの戦いが平易な英語でユーモラスに描かれる。米国に残されたプリントをフィルムセンターが複製しタイへ返還した。
'40(監)サン・ワスターン(脚)プリーディー・パノムヨン(撮)プラサート・スクム(美)ヤーチャイ・チトラポン(音)プラ・チェンドゥリヤーン(出)レーヌー・クリットターコーン、スワット・ニエンチェーン、ルアン・シースラーン、パイリン・ニエンチェーン
29 5/13(木)3:00pm 6/13(日)1:00pm
傷あと(129分・35mm・カラー)
PLAE KAO (THE SCAR)
ソンスィー監督の代表作で、タイ映画史上最大のヒット作の一つ。永遠の愛を誓った男女が父親同士の確執によって引き離されるが、再び燃え上がった愛の炎がついに悲劇を招来する。主演のソーラポン・チャトリーは本作でトップ男優への道を築いた。
'77(監)チュート・ソンスィー(原)マイ・ムアンドゥーム(脚)ラピポーン、トム・タートリー(撮)カウィ・キアッティナン(美)ウライ・シリソムバット(出)ソーラポン・チャトリー、ナンタナー・ガオクラチャーン、スウィン・サワーンラット、サガー・アラムピー
30 5/13(木)7:00pm 6/19(土)1:00pm
スパンの血(138分・35mm・カラー)[東京初上映]
LOED SUPAN
16世紀アユタヤ朝時代、国境に近いスパンブリー地方の村に強大なビルマ軍が迫る。男勝りの娘ドゥアンチャンは敵の将校を愛したがゆえに傷つき、やがて戦いの最前線へと向かう。『傷あと』に続いてソンスィー監督が撮ったジャンヌ・ダルク的なヒロインの物語。
'79(監)チュート・ソンスィー(原)ルアン・ヴィチットラカーン(脚)トム・タートリー(撮)カウィ・キアッティナン(美)ウライ・シリソムバット(出)パイロート・サングロリヴット、ララナー・サラワーン
31 5/14(金)3:00pm 6/13(日)4:00pm
やさ男(117分・35mm・カラー)[東京初上映]
PHO PLAALAL
ソンスィー監督のヒットメーカーとしての職人的な技量がうかがえる艶笑譚。ドン・ファンよろしく次々と女の子に手を出すプレイボーイのウリットは、“本命”の美少女にはからきし弱い。強い女性たちに囲まれた小心な浮気男の恋の顛末やいかに?
'80(監)チュート・ソンスィー(原)カノック・レーカー(脚)トム・タートリー(チュート・ソンスィー)(撮)カウィ・キアッティナン、サラウット・ウティチャイ(出)ソムバット・メータニー、ナワラット・ユッタナン
32 5/14(金)7:00pm 6/15(火)3:00pm
プアンとペーン(132分・35mm・カラー)[東京初上映]
PUEN-PAENG
男やもめが育てた美しい姉妹と、彼の甥で孤児の青年の間で展開される三角関係の悲恋物語。姉の方と愛のない結婚をした青年は、実は妹に思いを寄せていた…。『傷あと』と同じ1930年代の農村を舞台に据え、主演も同じソーラポン・チャトリー。
'83(監)チュート・ソンスィー(脚)トム・タートリー(撮)カウィ・キアッティナン(出)ソーラポン・チャトリー、ヴィロート・クワンタンム、ピヤ・トラクラートプー
【パキスタン Pakistan】
33 5/15(土)1:00pm 6/15(火)7:00pm
七つの海を越えて(88分・35mm・カラー)[東京初上映]
BAK SJU HAV (BEYOND THE SEVEN SEAS)
南アジアのパキスタンから北欧のノルウェーに移住した少年の目を通して、異文化に足を踏み入れる不安と新たな友情を獲得することの喜びを描いた合作映画。両国の監督が協力し、南北問題を背景に持つアジア系移民の物語を作り上げている。
'91(監)(脚)サイド・アンジュム、エスペン・トーシュテンソン(撮)ハルヴォル・ネス(美)インゲボルイ・クヴァンメ(音)ザキル・フセイン(出)サジド・フセイン、ザフル・マリク、ルビナ・J・ラナ、ハンス・クレヴェル、ピア・K・クリステンセン
[English subtitled]
【バングラデシュ Bangladesh】
34 5/15(土)4:00pm 6/16(水)3:00pm
車輪THE WHEEL(65分・35mm・カラー)[東京初上映]
日本で上映される機会がほとんどないバングラデシュ映画の一本。牛車に乗った2人の男がふとしたはずみで死体を運ぶはめになり、行く先々で埋葬を拒否される。死体を延々と運びつづけるさまは、ブニュエル的な不条理劇との類縁性も感じさせる。
'93(監)(脚)モルシェドゥル・イスラム(原)セリム・アル・ディーン(撮)アノワール・ホセイン(美)アクラム・ホセイン(音)プロク・グプト(出)アミルール・ホク・チョードリ、アシシュ・コンドカール、ディララ・ザマーン、マーブハ・モホシン・ジュヤ
[English subtitled]
【フィリピン Philippines】
35 5/16(日)1:00pm 6/16(水)7:00pm
まことの母(96分・35mm・白黒)[東京初上映]
TUNAY NA INA (TRUE MOTHER)
スペインの音楽劇に起源を持つ、フィリピン独特の“サルスエラ映画”であると同時に、日本の“母もの”にも似たストーリーを持つメロドラマ。金持ちの実母と貧しい養母の間で揺れる幼女の健気さが紅涙を絞る。全篇が現存するものとしては最も古いフィリピン映画。
'39(監)(脚)オクタヴィオ・シロス(撮)セサール・シロス(音)ミゲル・ベランデ(出)ロサリオ・モレノ、ルディー・コンセプシオン、ティタ・ドゥラン、エクセキエル・セゴビア、ナティ・ルビ
36 5/16(日)4:00pm 6/17(木)3:00pm
廃墟からの旅立ち(119分・16mm・白黒)[東京初上映]
ANAK DALITA (CHILD OF MISERY/THE RUINS)
映画最盛期に巨匠アベリャーナが老舗のLVNピクチャーズで製作し、アジア映画祭の最高賞(ゴールデン・ハーヴェスト賞)を受賞と、フィリピン映画の底力を知らしめた傑作。朝鮮戦争から還った傷痍軍人と廃墟に住む孤児たちの交流が切なくもリアルに描かれる。
'56(監)ランベルト・アベリャーナ(脚)ロルフ・バイヤー(撮)マイク・アクション(出)トニー・サントス、ローサ・ロサル、ホセ・デ・コルドバ、ヴィック・シラヤン、リロイ・サルバドール、ローサ・アギーレ
37 5/18(火)3:00pm 6/19(土)4:00pm
ノリ・メ・タンヘレ(180分・35mm・白黒)
NOLI ME TANGERE (TOUCH ME NOT)
フィリピン近代史の英雄ホセ・リサールの国民的文学を巨匠デ・レオンが映画化した大作。19世紀末、スペイン圧政下の祖国に留学から戻って悲惨な現実に接した青年イバラは、教育の必要性を痛感して学校建設に着手するが、陰謀渦巻く様々な事件に巻き込まれていく。
'61(監)ヘラルド・デ・レオン(原)ホセ・P・リサール(脚)ヘラルド・デ・レオン、ホセ・フローレス・シバル(撮)エマヌエル・ロハス、アルセニオ・バヌ(美)カルロス・V・フランシスコ(音)ティト・アレバロ(出)エドワルド・デル・マル、エディタ・ビタル、ジョニー・モンテイロ
38 5/18(火)7:00pm 6/20(日)1:00pm
インシアン(93分・35mm・カラー)[東京初上映]
INSIANG
『マニラ・光る爪』(1975年)と並ぶブロッカの代表作。スラムに生きる少女インシアンが、母親や男たちに裏切られ、やがて復讐を果たすさまが、むせ返る熱気のなかで描かれていく。14日間という記録的な短期撮影で完成し、カンヌ映画祭に出品されたことでも有名。
'76(監)リノ・ブロッカ(脚)マリオ・オハラ、ランベルト・E・アントニオ(撮)コンラッド・バルタサール(音)ミンダ・D・アサルコン(出)ヒルダ・コロネル、モナ・リサ、ルエル・ヴェルナール、レス・コルテス
39 5/19(水)3:00pm 6/20(日)4:00pm
水の中のほくろ(118分・35mm・カラー)
NUNAL SA TUBIG (SPECK IN THE WATER)
マニラ南東のラグナ湖に浮かぶ「ほくろ」のように小さいサンタ・フェ島を舞台に、近代化から取り残された島に生きる男女の愛憎模様を、神秘的な表現も交えて描いた実験的な作品。ベルナールは1970~80年代にブロッカと人気を二分した監督で、1996年に逝去した。
'76(監)イシュマエル・ベルナール(原)(脚)ホルヘ・アラゴ(撮)アルノルド・アルヴァロ(美)ベティ・ゴシンフィアオ(音)ザ・ヴァニシング・トライブ(出)エリザベス・オロペサ、ジョージ・エストレガン、ダリア・ラミレス、エリャ・ルアンシン、ルスティカ・カルピオ、ネニタ・ハナ
40 5/19(水)7:00pm 6/26(土)1:00pm
神のいない三年間(120分・35mm・カラー)
TATLONG TAONG WALANG DIYOS (THREE GODLESS YEARS)
国民的女優ノラ・オノールが主演し、日本軍将校とフィリピン人女性の戦時下の悲恋を描いた1970年代フィリピンの傑作。オハラ監督は俳優、脚本家としても活躍している。現存するプリントからのネガ復元に福岡市総合図書館が尽力し、今回の上映が可能になった。
'76(監)(脚)マリオ・オハラ(撮)コンラッド・バルタサール(音)ミランダ・D・アサルコン(出)ノラ・オノール、クリストファー・デ・レオン、ラファエル・ロコ・Jr.、オーランド・R・ナドレス、ペキェ・ガリャガ、マリオ・エスクデロ、ヨランダ・ルナ
41 5/20(木)3:00pm 6/26(土)4:00pm
悪夢の香り(95分・16mm・カラー)
MABABANGONG BANGUNGOT (PERFUMED NIGHTMARE)
東南アジア自主製作映画界の先駆者タヒミックのデビュー作。フィリピンの片田舎に生きる青年がアメリカ人に雇われフランスに赴いて珍騒動を繰り広げる。ユーモアのなかに先進国の独善を皮肉る視点も。ベルリン映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した。
'77(監)(原)キッドラット・タヒミック(撮)ハルトムート・レルヒ(美)カタリーナ・ミュラー(出)キッドラット・タヒミック、マン・フェリィ、ドロレス・サンタマリア、ハルトムート・レルヒ、カタリーナ・ミュラー、ジョジェト・ボードリィ
42 5/20(木)7:00pm 6/27(日)1:00pm
トゥルンバ祭り(87分・16mm・カラー)
TURUMBA
手作りの張子細工で細々と生計を立てる一家にドイツから大量生産の注文が入り、生活は一変する。近代化を望む声と伝統文化に価値を見出すことの間の葛藤をユーモラスに描き、『悪夢の香り』の姉妹篇の趣もあるドキュメンタリー風ドラマ。東京国際映画祭出品作。
'83(監)(脚)キッドラット・タヒミック(撮)ロベルト・イニゲス(音)マンディ・アファング(出)ホーマー・アビアド、イニゴ・ヴィト、マリア・ペヒポル、パティ・アバリ
43 5/21(金)3:00pm 6/27(日)4:00pm
カルナル 愛の不条理(110分・35mm・カラー)
KARNAL (OF THE FLESH)
『ホセ・リサール』などで知られる女性監督アバヤの1980年代の代表作。封建的な因習が残る村の一族に嫁いだ女性が、閉ざされた村の中で悪夢のような惨劇に巻き込まれていく。語り手の女性を演じるのは大映の『釈迦』(1961年)にも出演したチャリト・ソリス。
'84(監)マリルー・ディアス=アバヤ(脚)リカルド・リー(撮)マノロ・アバヤ(美)フィエル・サバト(音)ライアン・カヤビャブ(出)チャリト・ソリス、フィリップ・サルヴァドール、セシル・カスティリオ、ヴィク・シラヤン
【ベトナム Viet Nam】
44 5/21(金)7:00pm 6/22(火)3:00pm
静か過ぎる町(73分・35mm・白黒)
THI TRAN YEN TINH (THE QUIET TOWN)
田舎町を通りかかった大臣の車が交通事故に遭い、静かな町は大騒動に。病院では死亡した場合の責任問題が起こり、各人が保身と私欲の間で揺れ動く。ところが患者が実は運転手と判明…。1980年代のドイモイ(刷新)政策下で登場した官僚主義批判のコメディ。
'86(監)レー・ドゥック・ティエン(脚)ドァン・チュック・クイン(撮)チャン・クォック・ズン(美)グエン・ゴック・トゥアン(音)ドー・ホン・クアン(出)チン・ティン、ラム・ビック、ブイ・バイ・ビン、トゥイ・ハン
[English subtitled]
45 5/22(土)1:00pm 6/17(木)7:00pm
夢の中のランプ(74分・35mm・白黒)
NGON DEN TRONG MO (LIGHT IN DREAM)
両親が離婚し母親は金持ちと再婚という複雑な家庭に育った薄幸の少年の日常を描き、ドイモイ政策以降の急速に変貌するベトナム社会に生きる困難さを訴えた一編。過酷な現実を背負ってなお純粋さを保つ少年の孤独な心もようが、詩的なタッチで綴られている。
'87(監)ドー・ミン・トゥアン(脚)レー・ゴック・ミン(撮)ファム・ゴック・ラン(美)グエン・ヴァン・ヴイー(音)ドー・ホン・クアン(出)トゥアン・ズン、トゥー・チャン、チン・ティン、トゥエ・ミン
[English subtitled]
46 5/22(土)4:00pm 6/18(金)3:00pm
幸福になりたい(84分・35mm・白黒)
NGUOI CAU MAY (LUCK TRIER)
初めて買った宝くじで小金を当てた初老の男が一攫千金を夢見てのめりこみ、ついに退職金までつぎ込んでしまう。妻子に逃げられながらも宝くじを買いつづける男を通して、市場経済化による拝金主義を痛烈に皮肉っている。
'89(監)トゥ・フイ(脚)ドアン・レー(撮)チャン・クォック・ズン(美)ズオン・クイ・ヒエップ(編)レー・フォン(出)チャン・ゴック・ハィン、グォック・トア、タィン・トゥイ、トー・トゥイ
[English subtitled]
47 5/23(日)1:00pm 6/18(金)7:00pm
街角の歌(87分・35mm・カラー)
DOI HAT RONG (THE STROLLING SINGERS)
戦争の傷あとに苦しむ夫婦の愛情を中心に、ホーチミン市の風俗を織り込んだ歌謡メロドラマ。傷痍軍人たちの貧しい暮らしと羽振りのいい成金が対照的に描かれている。全編に流れる哀調を帯びたベトナム歌謡が印象的な一編。
'91(監)チャウ・フエ(脚)グエン・マィン・トゥアン(撮)チャウ・クアン(美)ファン・クアン・ズン(音)ホン・ダン(出)トゥー・ハー、チャン・ルック、キム・タィン、ホアン・ソン
[English subtitled]
48 5/23(日)4:00pm 6/22(火)7:00pm
悪魔のしるし(85分・35mm・カラー)[東京初上映]
DAU AU CUA QUY (DEVIL’S MARK)
ベトナムを代表する女性監督ヴィエト・リンの初期作品。胸にあるアザのために魔女と呼ばれている少女が村から追放され、ハンセン氏病の老人や脱獄囚の若者と出会って生きていくが、ついに悲劇が訪れる。被差別者の視点から描かれた寓話的な一編。
'92(監)ヴィエト・リン(脚)ファム・トゥイ・ニャン(撮)ドアン・クオック(美)ファ・ホン・フォン(音)フー・クアン(出)ゴック・ヒェップ、ドン・ズオン、レー・クン・バック
[English subtitled]
【マレーシア Malaysia】
49 5/25(火)3:00pm 6/23(水)7:00pm
女、妻、そして娼婦(118分・35mm・カラー)[東京初上映]
PEREMPUAN, ISTERI DAN JALANG (WOMAN, WIFE AND WHORE)
『闘牛師』(1997年)などで知られるハジサアリ監督のデビュー作。結婚式の当日に別の男と駆け落ちした奔放な女性を主人公に据え、イスラム社会であるマレーシアに大きな衝撃を与え女性団体の抗議も受けたが、映画は大ヒットして国内の各賞を総なめにした。
'93(監)(脚)ウ=エイ・ビン・ハジサアリ(撮)アジサン・イシャク(編)ラシュ・サリム(音)アスミュー・ウマル(出)ソフィア・ジェーン・ヒシャム、ナスィル・ヒラン・カン、ユソフ・モハマド、フェッティ・ズー、ノーマ・ダマンフリ、M・ラジョリ
50 5/25(火)7:00pm 6/24(木)3:00pm
ジミ・アスマラ(105分・35mm・カラー)[東京初上映]
JIMI ASMARA
1950~60年代、独立前からマレーシア連邦成立までの時代の流れを、あるバンドの浮き沈みを中心に描いたノスタルジー溢れるミュージカル映画。主人公のジミ・アスマラには当時の大スター、P・ラムリーの面影が投影され、ラムリーの名曲の数々が花を添えている。
'94(監)エルマ・ファティマ(原)BNEスタジオ(脚)シャフディン・シャリフ(編)アリアス・マイディン(出)ハニ・モフセン、ラジャ・アズラ、アスハ・スライマン、ジャマルディン・ハサン、マイズラ・ハムザ、ワン・マイムン
51 5/26(水)3:00pm 6/24(木)7:00pm
放火犯(70分・35mm・カラー)[東京初上映]
KAKI BAKAR (THE ARSONIST)
フォークナーの「納屋を焼く」をもとに、舞台をアメリカ南部からマレーシアに移して翻案映画化された作品。ジャワ人の主人公がマレーシアで搾取や侮辱を受け、報復の手段として放火を選ぶ。
'94(監)(脚)ウーエイ・ビン・ハジサアリ(撮)アリ・コン・フセイン(美)ジョハリ・ハミット(音)エンビー・C・ノール(出)ハリット・サレ、アジザ・マザン、ガスリザル・ガスリ
[English subtitled]
52 5/26(水)7:00pm 6/25(金)3:00pm
愛しのサルマ(123分・35mm・カラー)[東京初上映]
SAYANG SALMAH
1950~60年代、独立前後の時代を背景に、ゴム農園を営むマレー人一家が独立運動をはじめ様々な問題の末に没落していく悲劇。当時の音楽や風俗がノスタルジックに表現され、独立当時のマレー人の民族意識と葛藤がテーマになっている。
'95(監)(編)マハーディ・ムラー(製)ハジ・ムハマッド・アドゥ・ガニ(撮)モハマド・ハニ・マヒディン(美)ナズル・アスラフ・マザン(編)マハディ・J・ムラー(音)アナン・アブ・ハサン(出)アスハ・スライマン、ファウズィア・ナウィ、スィディ・オラザ、ソフィア・ジェーン、サリブ・ユーノス、ジャラルディン・ハサン、ウォン・スィ・ネム、オマディン・シブディン
【ミャンマー Myanmar】
53 5/27(木)3:00pm 6/25(金)7:00pm
にっぽんむすめ(85分・35mm・白黒・日本語字幕なし)
JAPAN YINTHWE (THE JAPANESE DESCENDANT)
ビルマ(現ミャンマー)初のトーキー映画で日本のP.C.L.との合作。ビルマ人飛行士の兄弟が東京-ラングーン(現ヤンゴン)間の飛行に挑み、日本人女性恵美子(高尾光子)の面影を胸に飛び立つ。戦後米国に接収されていた作品群の返還時にフィルムセンターで発見された。
'36(監)ウー・ニイプ(出)ウー・ニイプ、ウー・ティンペ、高尾光子、ウー・サンニュン
54 5/27(木)7:00pm 6/23(水)3:00pm
川の流れのように(115分・35mm・カラー)[東京初上映]
SOON YAI (DOWNSTREAM)
日本で紹介される機会がほとんどないミャンマー映画だが、本作は男やもめの下級官吏が2人の子どもを育てて奮闘する、哀歓に満ちたホームドラマ。父は子らの気持ちを優先して思いを寄せる女性との再婚を躊躇するが、子らはやがて結婚して父から離れていく。
'89(監)(脚)チー・ソウ・トン(撮)チ・ミン・ルー(音)トランペット・ウィン・ウー(出)チョー・ヘイン、キン・タン・ヌ、ウー・ウィン・スウェー、ドウ・ニン・ヂー
[English subtitled]