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大ホール上映作品

映画監督 市川崑(2)

Kon Ichikawa Retrospective Part 2

上映スケジュール

 いま、市川崑監督の尽きることのない才能が再び注目されています。この度フィルムセンターは、87歳となった現在も次々と新鮮な作品を送り出している、この多芸多才な巨匠の大特集を行うこととなりました。アニメーション映画の作家から劇映画に転じ、『ビルマの竪琴』(1956 年)、『満員電車』(1957年)、『おとうと』(1960年)、『東京オリンピック』(1965年)などの話題作を常に送り続けてきた市川崑監督は、その大胆な実験精神とスタイリッシュな演出によって戦後の日本映画を鮮やかに刷新してきました。スピーディで軽やかな画面処理、新しい題材への挑戦、その時代の最新技術を駆使した実験など、その映画術は日本映画史のなかでも独自の地位を占めています。本特集は、同監督の特集としては史上最大の規模となり、なかでも初期・中期の作品を主に上映いたします。本企画は、全体を7月22日から8月31日まで行われる第1部とこの第2部に分け、66作品を63プログラムに構成しています。この第2部では、初期の新東宝・東宝作品をはじめ上映される機会の少ない作品がより多く含まれています。フィルムセンターならではの充実した企画を存分にお楽しみください。

■(監)=監督・演出・総監督 (原)=原作・企案 (脚)=脚本・シナリオ・潤色 (撮)=撮影・撮影監督 (美)=美術 (編)=編集 (音)=音楽・音楽監督 (出)=出演 (解)=ナレーター

■本特集には不完全なプリントが含まれています。

■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。

印の作品は、市川監督の演出によるテレビCM作品の上映があります(各60~90秒、詳細は会場,または本ページのをクリックしてご確認ください)。

A-1 9/2(火)3:00pm 9/20(土)1:00pm

花ひらく 眞知子より(88分・35mm・白黒)

学生運動の活動家(上原謙)に惹きつけられてゆく名門の娘(高峰秀子)。行動する新しい女性像を表現した野上彌生子の小説「眞知子」は、本作完成後に夫人となる和田夏十が選んだという。豪華なメンバーが顔を揃えた市川監督の実質的なデビュー作。

‘48(新東宝)(原)野上彌生子(脚)八住利雄(撮)小原譲治(美)河野鷹思(音)早坂文雄(出)高峰秀子、上原謙、藤田進、吉川満子、三村秀子、田中春男、村田知英子、水原久美子、春山葉子、伊達里子、江見渉

A-2 9/2(火)7:00pm 9/21(日)4:00pm

人間模様(89分・35mm・白黒)

戦後の混乱した社会に生きる男女のもつれた「人間模様」に、市川流の乾いたタッチで挑む。後の市川組に欠かせない怪優伊藤雄之助が、薄幸のヒロイン山口淑子の元情夫役で初登場。ここでの「和田夏十」は監督と夫人との共同ペンネームである。

‘49(新東宝)(原)丹羽文雄(脚)山下与志一、和田夏十(撮)小原譲治(美)河野鷹思(音)仁木多喜雄(出)上原謙、山口淑子、月丘千秋、青山五郎、江見渉、東山千栄子、斎藤達雄、伊藤雄之助、高木昇、大倉文雄、石井ふく子、泉麗子

A-3 9/3(水)3:00pm 9/20(土)4:00pm

曉の追跡(93分・35mm・白黒)

若い警察官(池部良)と警官隊が麻薬の密輸団を追いつめてゆく、ドキュメンタリー・スタイルの異色作。警視庁の後援を得て、新橋にあった本物の交番に俳優たちを立たせて撮影を敢行した。1950年の東京の街を映した記録としても高い価値を持つ。

‘50(田中プロ=新東宝)(原)中川淳(脚)新藤兼人(撮)横山実(美)中古智(音)飯田信夫(出)池部良、水島道太郎、伊藤雄之助、田崎潤、杉葉子、野上千鶴子、江見渉、三原純、菅井一郎、島田友三郎、岩宮忠三郎、藤原釜足、石黒達也、久保春二、高堂國典、横山運平、北林谷栄

A-4 9/3(水)7:00pm 9/21(日)1:00pm

夜來香(いえらいしゃん)(86分・35mm・白黒)

かつて中国戦線で知り合った元軍医(上原謙)と慰安婦(久慈あさみ)が、敗戦後の内地でめぐり合う。戦後の暗さを巧みににじませたメロドラマで、宝塚歌劇団の男役スターから抜擢された久慈あさみの第1回主演作品である。

‘51(新東宝=昭映プロ)(脚)松浦健郎、市川崑(撮)横山実(美)加藤雅俊(音)服部良一、小川寛典(出)上原謙、久慈あさみ、利根はる恵、川喜多小六、河村黎吉、月丘千秋、菅井一郎、伊志井寛、本間文子、伊藤雄之助、三原純、生方功、清川玉枝

A-5 9/4(木)3:00pm 9/23(火・祝)4:00pm

恋人(70分・35mm・白黒)

結婚の前日を楽しく過ごそうと、幼なじみ(池部良)を町へ誘い出して、映画やスケートに興じる娘(久慈あさみ)。娘の揺れ動く心と、彼女を暖かく見守る両親の姿とを軽妙に描き出した監督の洒脱なセンスが評価され、監督自身も「忘れられない作品」と述懐している。

‘51(新東宝=昭映プロ)(原)梅田晴夫(脚)和田夏十、市川崑(撮)横山実(美)藤田博(音)服部正(出)池部良、久慈あさみ、千田是也、村瀬幸子、北林谷栄、横尾泥海男、森繁久彌、鈴木俊子、武村新、柳谷寛、伊藤雄之助、斉田愛子

A-6 9/4(木)7:00pm 9/27(土)1:00pm

若い人(117分・35mm・白黒)

原作は、ミッション・スクールを舞台に教師と女子学生との恋愛感情の揺れ動きを綴った石坂洋次郎の小説。1937年の豊田四郎作品に続く2度目の映画化だが、市川版では屈折した心情を抱える大胆な学生(島崎雪子)の役柄に比重を置いている。

‘52(東宝)(原)石坂洋次郎(脚)内村直也、和田夏十、市川崑(撮)山田一夫(美)河東安英(音)芥川也寸志(出)池部良、久慈あさみ、島崎雪子、杉村春子、小沢栄、ジャンヌ・プッシュ、斎藤達雄、伊藤雄之助、三好栄子、南美江、村上冬樹、見明凡太朗、堺左千夫、江島和子、沢村貞子

A-7 9/5(金)3:00pm 9/23(火・祝)1:00pm

色革命(111分・35mm・白黒)

大学を去った歴史学者(千田是也)と、やおら高利貸しを始める息子たち。旧世代と“アプレゲール(戦後派)”世代のギャップを展開した本作は、いつもの和田脚本とはまた違ったテンポを担う。学者一家の下宿人として三国連太郎が市川作品に初登場した。

‘53(東宝)(原)石川達三(脚)猪俣勝人(撮)玉井正夫(美)村木忍(音)黛敏郎(出)千田是也、沢村貞子、太刀川洋一、江原達怡、久慈あさみ、三国連太郎、伊藤雄之助、加東大介、木暮実千代、中村伸郎、青山杉作、田代百合子、山本廉、高堂国典、加藤春哉

A-8 9/5(金)7:00pm 9/28(日)1:00pm

わたしの凡てを(102分・35mm・白黒)

八頭身のスタイルで知られ、ミス・ユニバース・コンテストで受賞した伊東絹子の主演作。許婚の死を契機に上京し、すり寄る男たちから身をかわしながらファッション・モデルとして人気を高めてゆく。菊田一夫らしいメロドラマ調の成功物語。

‘54(東宝)(原)菊田一夫(脚)梅田晴夫、浅野辰雄、市川崑(撮)三浦光雄(美)阿久根巖(音)服部良一(出)池部良、有馬稲子、伊東絹子、上原謙、日高澄子、二本柳寛、加東大介、藤原釜足、塩沢登代路、沢村貞子、大川平太郎、山田巳之助、トニー谷、三條利喜江、出雲八枝子

A-9 9/6(土)1:00pm 9/19(金)7:00pm

新説カチカチ山(6分・35mm・白黒)

ディズニー映画に心酔した若き市川崑は、1933年、京都のJ.O.スタジオに入社してアニメ作りのほぼ全工程をここで学んだ。本作は「花より団子の助」シリーズの一篇で、唯一現存する彼の初期アニメ作品。冒頭のタイトルが欠けている。

‘36(J.O.トーキー)(脚)(作画)(撮)(編)市川崑(音)西山明男

娘道成寺(19分・35mm・白黒)

糸あやつり人形の結城座を招いて豪華な撮影を進めながらも、製作が終戦日をまたいだためにGHQの検閲手続に合致せず、公開されなかった幻の人形劇映画。今回は極めて貴重な上映となる。

‘45(東宝)(脚)長谷部慶次(撮)岸次郎(美)西浦貢(編)青山通春(音)服部正

東北の武(ずんむ)たち(60分・35mm・白黒)

木下惠介『楢山節考』に触発された市川監督が、同じく深沢七郎の世界に挑んだ一篇で、田畑を相続できない農家の次男、三男たちを主人公に、市川作品には珍しい土俗的な時空が展開する。2本立ての併映作として製作された「ダイヤモンド・シリーズ」の一本。

‘57(東宝)(原)深沢七郎(脚)久里子亭(撮)山田一夫(美)中古智(音)団伊玖磨(出)芥川比呂志、伊豆肇、小高尊、左卜全、溝井哲夫、恩田清二郎、堺左千夫、高畑文也、千葉一郎、岡部正、千葉太郎、佐藤允、千秋実、東郷晴子、藤原釜足、浪花千栄子、三好栄子、沢村いき雄、浜村純

A-10 9/6(土)4:00pm 9/24(水)3:00pm

女経(100分・35mm・カラー)

3人の名監督に3人のスター女優を結びつけた大映の華やかなオムニバス企画。市川監督は第2話「物を高く売りつける女」を担当、失踪作家(船越英二)と謎の女(山本富士子)との駆け引きを、スタイリッシュでやや抽象的な空気のもとに演出している。

‘60(大映東京)(監)吉村公三郎、市川崑、増村保造(原)村松梢風(脚)八住利雄(撮)宮川一夫、村井博、小林節雄(美)柴田篤二、山口照、渡辺竹三郎(音)芥川也寸志(出)[第2話出演分]山本富士子、船越英二、野添ひとみ、菅原謙二、潮万太郎、大辻伺郎

A-11 9/7(日)1:00pm 9/19(金)3:00pm

太平洋ひとりぼっち(97分・35mm・カラー)

今から40年前、小型ヨットによる太平洋の単独横断に成功した堀江謙一のベストセラー手記を映画化。森雅之と田中絹代を夫婦に起用したり、主人公と演技者の年齢の非現実性などは『おとうと』を思わせる。孤独で単調な船上風景と、家族との回想が巧みに構成されている。

‘63(石原プロ)(原)堀江謙一(脚)和田夏十(撮)山崎善弘(美)松山崇(音)芥川也寸志、武満徹(出)石原裕次郎、浅丘ルリ子、森雅之、田中絹代、大坂志郎、ハナ肇、芦屋雁之助、神山勝、草薙幸二郎

A-12 9/7(日)4:00pm 9/24(水)7:00pm

ど根性物語 銭の踊り(90分・35mm・カラー)

無頼派のタクシー運転手(勝新太郎)が、犯罪組織につかまって殺し屋にまつり上げられる風変わりな活劇で、当時の大映が進めていた男性的な路線に乗った作品。市川監督最後の大映作品にして、勝新太郎とは初の本格的な顔合わせとなった。

‘64(大映東京)(脚)久里子亭(撮)宮川一夫(美)渡辺竹三郎(音)ハナ肇、宮川泰(出)勝新太郎、船越英二、江利チエミ、大辻伺郎、ロイ・ジェームス、伊藤素道、潮万太郎、浜村純、スマイリー・小原、夏木章、マイク・ダニン、星ひかる、松沢仁

A-13 9/9(火)3:00pm 9/28(日)4:00pm

東京オリンピック(169分・35mm・カラー)

大会史上初のワイド画面(テクニスコープ)による公式記録映画。施設の整備で変貌する都市や試合前後の選手たちにもキャメラを向け、望遠レンズや高速度撮影を多用した大胆な構成で、「芸術か記録か」を問う論争に包まれた。カンヌ映画祭批評家協会賞を受賞。

‘65(東京オリンピック映画協会)(脚)和田夏十、白坂依志夫、谷川俊太郎、市川崑(撮)林田重男、宮川一夫、中村謹司、田中正ほか(録音監督)井上俊彦(音楽監督)黛敏郎(解)三國一朗

A-14 9/9(火)7:00pm 9/27(土)4:00pm

トッポ・ジージョのボタン戦争(90分・35mm・カラー)

ネズミのトッポ・ジージョが、核兵器のボタンを狙うギャング一味の退治に活躍するパペット映画。ジージョの生みの親であるマリア・ペレーゴが人形を操った。かねてよりジージョのファンであり、人形劇映画に再び関心を示していた監督の原点回帰の一篇。

‘67(マリア・ペレーゴ・プロ=キングスメン・エンタープライズ)(脚)市川崑、永六輔、アルベルト・オンガロ、フェデリコ・カルドーラ(撮)長野重一(美)マリオ・ミラーニ、青木浩(音)中村八大(声の出演)中村メイコ、冬城五郎、根上忠、園八雲(解)小林桂樹

A-15 9/10(水)3:00pm 9/25(木)7:00pm

(38分・35mm・パートカラー)

イタリアのオリベッティ社の製作による、京都の街の風物を捉えたドキュメンタリー。綿密な編集や武満徹の音楽もあって緊張感がみなぎるが、所々に市川監督らしい遊び心を見つける楽しみも。

‘68(オリベッティ)(脚)谷川俊太郎(撮)墨谷尚之(編)市川崑(音)武満徹(解)芥川比呂志

青春(96分・35mm・カラー)

甲子園大会のスポンサーである朝日新聞社に、監督が自ら提案したという高校野球の記録映画。『東京オリンピック』で学んだ分担制の撮影を再び採用し、第50回記念となった大会の進行のみならず、球児たちのひたむきでユーモラスな練習生活にも照準を合わせた。

‘68(朝日新聞=朝日テレビニュース)(脚)井手雅人、白坂依志夫、谷川俊太郎ほか(撮)植松永吉(音)山本直純(解)芥川比呂志

A-16 9/10(水)7:00pm 10/4(土)1:00pm

愛ふたたび(95分・35mm・カラー)

『個人教授』などで知られる俳優ルノー・ヴェルレーを日本に招き、東京・パリ・金沢を舞台に日本人女性(浅丘ルリ子)との恋と別離を綴った青春映画。撮影はほとんどがロケーションで、手持ちキャメラや音楽の使い方はクロード・ルルーシュ作品をも思わせる。

‘71(東宝)(脚)谷川俊太郎(撮)長谷川清(美)村木忍(音)馬飼野俊一(出)ルノー・ベルレー、浅丘ルリ子、石立鉄男、グラシェラ・ロペツ・コロンブレス、宮口精二、桃井かおり、由起艶子

A-17 9/11(木)3:00pm 10/5(日)4:00pm

吾輩は猫である(115分・35mm・カラー)

戦前のP.C.L.作品(1936年、山本嘉次郎監督、徳川夢声主演)以来の再映画化。文明開化後の知識人の存在を猫の目を通して描いたあまりにも有名な原作を、人物批評や文明批判よりもその喜劇性に重きを置いて、明治の雰囲気を再現した中で軽やかに描いている。

‘75(芸苑社)(原)夏目漱石(脚)八住利雄、市川崑(撮)岡崎宏三(美)西岡善信(音)J・S・バッハ(出)仲代達矢、島田陽子、三波伸介、岡田茉莉子、波乃久里子、篠ヒロコ、伊丹十三、前田武彦、岡本信人、篠田三郎、左とん平、岡田英次

A-18 9/11(木)7:00pm 9/26(金)3:00pm

妻と女の間(111分・35mm・カラー)

京都に生まれた四姉妹のそれぞれの色恋をしっとりと描いた豊田四郎との共同監督作。当初は豊田作品として撮影を始めたが、助っ人として呼ばれる形となった。この時期、東宝はスクリーン縦横比1:1.5のいわゆる「東宝ワイド」を採用。

‘76(東宝)(共同監督)豊田四郎(原)瀬戸内晴美(脚)八住利雄(撮)岡崎宏三、長谷川清(美)村木忍(音)佐藤勝(出)三田佳子、大空真弓、梶芽衣子、酒井和歌子、仁科明子、田村高廣、丹波哲郎、曽我廼家明蝶、高杉早苗、篠田三郎、森本レオ

A-19 9/12(金)3:00pm 10/4(土)4:00pm

犬神家の一族(146分・35mm・カラー)

映画低迷の時期に、出版物や音楽の宣伝をセットにした映画製作を宣言した角川映画の第1作。風光明媚な山里の湖面にニョッキリ突き出た二本の足の場面などに展開する横溝ワールドを、豪華なセットと華麗な映像美で仕上げた「金田一」シリーズの幕開けでもある。

‘76(角川春樹事務所)(原)横溝正史(脚)長田紀生、日高真也、市川崑(撮)長谷川清(美)阿久根巖(音)大野雄二(出)石坂浩二、島田陽子、あおい輝彦、高峰三枝子、小沢栄太郎、三国連太郎、三木のり平、岸田今日子、草笛光子、三条美紀、川口晶、坂口良子、大滝秀治、金田龍之介、加藤武

A-20 9/12(金)7:00pm 10/5(日)1:00pm

惡魔の手毬唄(143分・35mm・カラー)

中国地方の山村で起こった連続殺人事件の真相を究明しようとする金田一。やがて事件の真相に思わぬ「映画史」が潜んでいたと気づく…。ひなびた温泉宿の女将に岸恵子を配したこの第2作も大ヒット。若山富三郎扮する警部の渋い演技も見逃せない。

‘77(東宝映画)(原)横溝正史(脚)久里子亭(撮)長谷川清(美)村木忍(音)村井邦彦(出)石坂浩二、岸恵子、仁科明子、若山富三郎、三木のり平、辰巳柳太郎、北公次、高橋洋子、草笛光子、山岡久乃、林美智子、渡辺美佐子、加藤武、大滝秀治、中村伸郎

A-21 9/13(土)1:00pm 9/25(木)3:00pm

獄門島(145分・35mm・カラー)

「金田一」シリーズ第3作の舞台は、流人や海賊の末裔が住むと言われ、本家と分家が憎み合っている瀬戸内海の獄門島。金田一はそこで起きた三姉妹の殺人事件に挑む。横溝の原作とは犯人を変えてしまった久里子亭(市川監督)の力業にも注目。

‘78(東宝映画)(原)横溝正史(脚)久里子亭(撮)長谷川清(美)村木忍(音)田辺信一(出)石坂浩二、大原麗子、草笛光子、太地喜和子、司葉子、東野英治郎、ピーター、三木のり平、坂口良子、内藤武敏、浅野ゆう子、佐分利信、加藤武、大滝秀治、上條恒彦、荻野目慶子、稲葉義男、小林昭二

A-22 9/13(土)4:00pm 9/26(金)7:00pm

女王蜂(139分・35mm・カラー)

戦後の二枚目スター佐田啓二の遺児、中井貴恵のデビュー作。これまでの「金田一」シリーズに主演した高峰三枝子・岸恵子・司葉子というスターがこの大型新人の門出をサポートした。大手化粧品メーカーとの提携もあって、前作までにない華やかさが際立つ。

‘78(東宝映画)(原)横溝正史(脚)日高真也、桂千穂、市川崑(撮)長谷川清(美)阿久根巖(音)田辺信一(出)石坂浩二、岸恵子、司葉子、高峰三枝子、仲代達矢、中井貴恵、沖雅也、三木のり平、伴淳三郎、草笛光子、坂口良子、萩尾みどり、白石加代子、加藤武、神山繁、小林昭二、大滝秀治

A-23 9/14(日)1:00pm 9/30(火)7:00pm

火の鳥(141分・35mm・カラー)

アニメーションと実写の融合にかねてから関心を抱いていた監督が、苦心を重ねながらも完成させたスペクタクル作品。手塚治虫の長篇SF漫画「火の鳥 黎明編」を原作とし、登場するキャラクターも日本の古代史をベースにしている。テーマ曲はミシェル・ルグランが作曲。

‘78(火の鳥プロ=東宝)(原)手塚治虫(脚)谷川俊太郎(撮)長谷川清(美)阿久根巖(音)深町純(出)若山富三郎、尾美トシノリ、高峰三枝子、仲代達矢、由美かおる、草刈正雄、江守徹、草笛光子、大原麗子、林隆三、加藤武、田中健、伴淳三郎、大滝秀治、風吹ジュン、沖雅也、木原美知子、ピーター

A-24 9/14(日)4:00pm 10/2(木)3:00pm

病院坂の首縊りの家(139分・35mm・カラー)

ほぼ毎年1作ずつ発表されてきたヒット・シリーズの第5作にして最終作。石坂の探偵と加藤の警部という名コンビ、豪華なセットと配役、そして古典的で華麗な映像美で一貫した作品群であったが、金田一は原作通りこの事件を最後にいずこへとなく去って行く…。

‘79(東宝映画)(原)横溝正史(脚)日高真也、久里子亭(撮)長谷川清(美)阿久根巖(音)田辺信一(出)石坂浩二、佐久間良子、草刈正雄、桜田淳子、あおい輝彦、入江たか子、加藤武、草笛光子、白石加代子、三条美紀、萩尾みどり、ピーター、中井貴恵、小沢栄太郎、大滝秀治、岡本信人

A-25 9/16(火)3:00pm 10/2(木)7:00pm

古都(125分・35mm・カラー)

1963年に中村登監督、岩下志麻主演で映画化された、川端康成の同名小説の再映画化。当時の芸能界で絶大の人気を誇った伝説のスター山口百恵は、若干21歳で婚約と引退を発表して世間を驚かせたが、これは婚約者の三浦と共演した引退記念映画となった。

‘80(ホリ企画制作)(原)川端康成(脚)日高真也、市川崑(撮)長谷川清(美)坂口岳玄(音)田辺信一(出)山口百恵、三浦友和、沖雅也、岸恵子、實川延若、加藤武、宝生あや子、三条美紀、小林昭二、浜村純、常田富士男、泉じゅん、山本ゆか里

A-26 9/16(火)7:00pm 10/1(水)3:00pm

幸福(105分・35mm・カラー)

エド・マクベイン《87分署シリーズ》の一篇を下敷きに、男手一つで二人の子供を育てる刑事と同僚の姿を通して現代社会の人間関係を見つめた野心作。白黒に近い表現を求め、『おとうと』で試みた銀残しの手法が再び採用されている(「シルバーカラー」)。

‘81(フォーライフ=東宝映画)(原)エド・マクベイン(脚)日高真也、大藪郁子、市川崑(撮)長谷川清(美)村木忍(音)石川鷹彦、岡田徹(出)水谷豊、永島敏行、中原理恵、草笛光子、谷啓、市原悦子、永井英里、黒田留以、三條美紀、佐々木すみ江、新橋耐子、加藤武、常田富士男、小林昭二、浜村純、阿藤海

A-27 9/17(水)3:00pm 10/3(金)7:00pm

細雪(140分・35mm・カラー)

谷崎潤一郎の同名小説は1950年に阿部豊、1959年に島耕二の両監督により映画化されており、本作は3度目となる。関西の旧家を舞台にした四姉妹の生き方が、モダンな感覚で絢爛豪華に描写されている。三女に扮した吉永は、無言の妖しさをさらりと演じて秀逸。

‘83(東宝映画)(原)谷崎潤一郎(脚)市川崑、日高真也(撮)長谷川清(美)村木忍(音)大川新之助、渡辺俊幸(出)佐久間良子、吉永小百合、岸恵子、石坂浩二、古手川祐子、伊丹十三、細川俊之、江本孟紀、岸部一徳、桂小米朝、横山道代、三條美紀、新橋耐子、白石加代子、三宅邦子、上原由佳理、根岸明美、小林昭二、常田富士男

A-28 9/17(水)7:00pm 9/30(火)3:00pm

おはん(112分・35mm・カラー)

前作『細雪』で新たな女性像の表現に成功した吉永は、再び市川監督のもと、石坂とのコンビで「堪え忍ぶ女」に挑戦、映画女優として難しい年代にさしかかっていた彼女にとって、幸運な出会いと言える作品となった。男と二人の女性との葛藤を細やかな演出で描写。

‘84(東宝映画)(原)宇野千代(脚)市川崑、日高真也(撮)五十畑幸勇(美)村木忍(音)大川新之助、朝川朋之(出)吉永小百合、大原麗子、石坂浩二、ミヤコ蝶々、香川三千、上原由佳理、伊藤公子、浜村純、常田富士男、横山道代、長谷川歩、桂小米朝、音羽久米子、早田文次

A-29 9/18(木)3:00pm 10/1(水)7:00pm

ビルマの竪琴(132分・35mm・カラー)

ロケーションや興行スケジュールなど悪条件の中で製作された日活時代の代表作を自らリメイク。当時は断念したカラーでの撮影を30年ぶりに実現し、日本映画史上第2位の配給収入を記録する大ヒットとなった。北林谷栄、浜村純が前作に続き出演している。

‘85(フジテレビジョン=博報堂=キネマ東京)(原)竹山道雄(脚)和田夏十(撮)小林節雄(美)阿久根巖(音)山本直純(出)石坂浩二、中井貴一、菅原文太、北林谷栄、川谷拓三、渡辺篤史、小林稔侍、佐藤正文、井上博一、常田富士男、浜村純

A-30 9/18(木)7:00pm 10/3(金)3:00pm

鹿鳴館(125分・35mm・カラー)

初代水谷八重子が演じて好評を博した三島由紀夫の同名戯曲の映画化。文明開化期の伝統と近代の相克を耽美的に描いた原作をもとに、当時の社交場の豪華な雰囲気を忠実に再現しつつ、激動の時代を絵巻物のように描いた。芸者上がりの伯爵夫人を浅丘が熱演。

‘86(MARUGENフィルム)(原)三島由紀夫(脚)市川崑、日高真也(撮)小林節雄(美)村木忍(音)山本純ノ介、谷川賢作(出)浅丘ルリ子、中井貴一、沢口靖子、三橋達也、岸田今日子、石坂浩二、菅原文太、井川比佐志、渡辺篤史、神山繁、常田富士男、浅利香津代、横山道代、高林由紀子、三條美紀、濱村純、井上博一、尾美としのり

「映画監督 市川崑 Part 2」CM上映

*一部の作品につきましては、以下の通り、本篇上映前に市川監督演出のCMの上映を行います。

プログラム併映作品スポンサー作品名製作年長さ(秒)フォーマット制作撮影美術出演
A-15 青春 他ライオン歯磨ホワイト・ライオン196660白黒35mmTCJ長野重一内田竹雄、青木浩加賀まりこ
A-16愛ふたたび日本国有鉄道ディスカバー・ジャパン 木曽路篇197130カラー16mm芸研プロ墨谷尚之 大橋歩
 ディスカバー・ジャパン 永平寺篇197130カラー16mm芸研プロ墨谷尚之 なかにし礼
 新幹線岡山開業
汽車会見篇
197230カラー16mm芸研プロ墨谷尚之星野豪、岡崎明俊[人形劇]
A-17吾輩は猫であるブリヂストンブリヂストンタイヤ197360カラー16mm芸研プロ山口益夫、瀬川浩 生沢徹、高橋晴邦ほかレーサー
トヨタ自動車トヨタ スターレット 床屋篇197530カラー16mm芸研プロ押切隆世間野重雄石坂浩二
A-23火の鳥ニチレイニチレイ コーンポタージュ197830カラー35mmヴィス長谷川清平田逸郎、村木与四郎市川崑
ぺんてるぺんてるシャープ
マリリン・モンロー篇
197915カラー16mmトム企画福井将人 [紙人形劇]
 ぺんてるシャープ
ジョン・トラボルタ篇
197915カラー16mmトム企画福井将人 [紙人形劇]
A-26幸福サントリーサントリー・レッド
リュック篇
198030カラー35mm渡辺企画長谷川清村木忍大原麗子
 サントリー・レッド
仲直り篇
198130カラー35mm渡辺企画長谷川清村木忍大原麗子