東京国立近代美術館フィルムセンター
National Film Center
The National Museum of Modern Art, Tokyo

大ホール上映作品

特集・逝ける映画人を偲んで1998-2001(1)
In Memory of the Film Figures We Lost in 1998-2001 Part 1

 >>> 上映スケジュール

 日本映画の輝かしい歴史に大きく貢献されながら惜しくも逝去された映画人の方々を、作品の上映によって追悼するフィルムセンターの企画「特集・逝ける映画人を偲んで」も実に4年5か月ぶりの開催となります。わたしたちはこの間にも、残念ながらかけがえのない日本映画の才能を失うにいたりました。

 1998年1月1日から2001年12月31日までの4年間に逝去された方々へのオマージュとなる本企画は、全体をこの第1部と、4月8日から5月18日までの第2部に分け、94作品を86プログラムに構成しています。市川右太衛門、宮島義勇、高田浩吉、須川栄三、山下耕作、芦田伸介、三木のり平、宮川一夫、菅原謙二、山村聰、吉村公三郎、東千代之介、新珠三千代、勅使河原宏、相米慎二の各氏をはじめとする90名以上の映画人の業績を回顧・顕彰するものです。

 縁りの方々のみならず、広く映画ファンの皆様のご来場をお待ち申し上げます。

■(監)=監督 (製)=製作 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色・潤色 (撮)=撮影 (美)=美術・装置 (音)=音楽 (録)=録音 (編)=編集 (出)=出演 (解)=解説

■紫字の人名は今回の上映で追悼する方々です(出演者の場合、カッコ内は映画中の役名です)。

■黒澤明、木下惠介監督はこの追悼企画の対象となる期間に逝去されましたが、2000年に行われた特集「偉大なるK」でそれぞれ全作品が上映されましたので、今回は特別な枠を設けておりません。

■4月8日からの第2部で追悼される方々について、関連作品の一部がこの第1部で上映されることがあります。またこの第1部で追悼される方々について、関連作品の一部が第2部で上映されることがあります。

■本特集には不完全なプリントが含まれています。

■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。

A-1 1/28(火)3:00pm 3/1(土)1:00pm
憎いあンちくしょう(105分・35mm・カラー)

スケジュールに忙殺されて倦怠に陥った人気タレントが、恋人たちのためにジープを運ぶ日本縦断の旅に出る。蔵原惟繕=山田信夫のコンビが、プログラム・ピクチャーの枠組を踏まえながらスピーディかつエモーショナルな独自の作品へと仕上げた快作。

‘62(日活)(脚)山田信夫(監)藏原惟繕(撮)間宮義雄、岩佐一泉(美)千葉和彦(音)黛敏郎(出)石原裕次郎、浅丘ルリ子、長門裕之、芦川いづみ、川地民夫、草薙幸二郎、佐野浅夫、高品格、山田襌二、雪丘恵介、小泉郁之助、市村博、森塚敏

A-2 1/28(火)7:00pm 2/26(水)3:00pm
乱れ雲(108分・35mm・カラー)

成瀬巳喜男監督の遺作となったメロドラマの名篇。山田信夫のオリジナル脚本は、交通事故を起こした男とその被害者の未亡人との、憎しみと愛情のはざまを揺れ動く繊細な感情に迫り、二人の別れとなる結末の湖畔のシーンでは成瀬最後の名演出を導く。

‘67(東宝)(脚)山田信夫(監)成瀬巳喜男(撮)逢沢譲(美)中古智(音)武滿徹(出)加山雄三、司葉子、森光子、浜美枝、草笛光子、加東大介、藤木悠、中丸忠雄、中村伸郎、村上冬樹

A-3 1/29(水)3:00pm 2/27(木)7:00pm
シミキンの 無敵競輪王(85分・16mm・白黒)

金語楼社長の自転車会社に勤めた清水金一が、自分の開発した自転車でレースの優勝をさらう。大映を中心に、喜劇や音楽映画を主に手がけた西村元男の軽快な一篇。競輪選手役の朝霧鏡子は直後に清水金一夫人となる。三木のり平の映画デビュー作でもある。

‘50(東宝)(監)西村元男(出)朝霧鏡子(梅ヶ枝ユキ)三木のり平(短吉)(原)板谷泉、馬場和夫(脚)悠六介(撮)會田吉男(美)小川一男(音)池讓(出)清水金一、柳家金語楼、渡邊篤、小林十九二、昔々亭桃太郎、飯田蝶子、服部哲治、佐久間三千代

A-4 1/29(水)7:00pm 2/28(金)3:00pm
切腹(134分・35mm・白黒)

彦根藩邸で切腹を申し出た一人の浪人の回想から、武家社会の非人間性が暴かれていく。メインとなる白砂のセットで、刻々と変化する影の中に「時間」の流れを表現した、宮島義勇によるライティングの妙技が重厚なドラマを支えている。

‘62(松竹京都)(撮)宮島義勇(録)西崎英雄(出)稲葉義男(千々岩陣内)青木義朗(川辺右馬介)(監)小林正樹(原)滝口康彦(脚)橋本忍(美)戸田重昌、大角純平(音)武滿徹(出)仲代達矢、石浜朗、岩下志麻、丹波哲郎、三国連太郎、三島雅夫、中谷一郎、佐藤慶、井川比佐志、武内亨

A-5 1/30(木)3:00pm 3/1(土)4:00pm
限りなき前進(78分・35mm・白黒・改編版)

停年を控えた老社員の哀れな末路を描いた小津安二郎の原作を内田吐夢が映画化。名キャメラマン碧川道夫は、義弟の内田と初めて組んだ本作について、小津の松竹調と日活多摩川調の合作といった感じで、全編明朗なハイキー画調で撮ったと語っている。

‘37(日活多摩川)(撮)碧川道夫(監)内田吐夢(原)小津安二郎(脚)八木保太郎(美)堀保治(音)山田栄一(出)小杉勇、江川宇礼雄、轟夕起子、滝花久子、片山明彦、飛田喜佐夫、紅沢葉子、上代勇吉、東勇路、西春彦

A-6 1/30(木)7:00pm 3/2(日)1:00pm
(93分・35mm・白黒・短縮版)

日活多摩川撮影所のリアリズム映画の傑作として知られている名作。貧農一家の地を這うような暮らしを、カメラマン碧川道夫は、春夏秋冬の季節を背景に感傷をまじえず凝視し、義弟・内田吐夢監督の戦前の到達点を示す作品に貢献した。

‘39(日活多摩川)(撮)碧川道夫(監)内田吐夢(原)長塚節(脚)八木隆一郎、北村勉(美)堀保治(音)乗松明廣(出)小杉勇、風見章子、どんぐり坊や、山本嘉一、見明凡太郎、山本礼三郎、鈴木三右衛門、藤村昌子、村田知栄子

A-7 1/31(金)3:00pm 2/26(水)7:00pm
風の又三郎(96分・35mm・白黒)

1939年に児童劇団東童が公演した宮沢賢治作品の映画化で、ここでも同劇団の少年俳優たちが脇を固めている。舞台で又三郎役を演じていた大泉滉は一郎に扮し、映画版の又三郎=片山明彦に引けをとらない名子役ぶりで映画初出演を飾った。

‘40(日活多摩川)(出)大泉滉(一郎)(監)島耕二(原)宮澤賢治(脚)永見隆二、小池愼太郎(撮)相坂操一(美)新藤誠吾(出)片山明彦、中田弘二、北龍二、風見章子、林寛、見明凡太郎、星野和正、中島利夫、小泉忠、西島悌四郎

A-8 1/31(金)7:00pm 3/4(火)3:00pm
破れ太鼓(108分・35mm・白黒)

頑固親爺と彼を取り巻く家族を描く木下恵介の傑作喜劇。コミカルな演技とユニークな風采で多くの作品に強烈な印象を残した大泉滉は、ここで医学生の三男又三郎を演じているが、その役名は彼が子役時代に名を売った芝居と映画『風の又三郎』に出自を持つ。

‘49(松竹京都)(出)大泉滉(津田又三郎)滝澤修(野中直樹)(監)(脚)木下惠介(脚)小林正樹(撮)楠田浩之(美)小島基司(音)木下忠司(出)阪東妻三郎、村瀬幸子、森雅之、木下忠司、小林トシ子、桂木洋子、大塚正義、澤村貞子、宇野重吉、東山千栄子、小澤栄、青山宏

A-9 2/1(土)1:00pm 2/27(木)3:00pm
進め!ジャガーズ 敵前上陸(83分・35mm・カラー)

近年、グループサウンズ映画の中でも再評価の進む一篇。中原弓彦(小林信彦)が脚本に参加し、ゴダールのパロディが盛り込まれるなど旺盛な遊び心が見所だが、敗戦を知らない日本兵の唐突な登場には戦争に対する前田陽一の複雑な心情も覗く。

‘68(松竹)(監)(脚)前田陽一(出)大泉滉(金塊運び屋)(脚)中原弓彦(撮)竹村博(美)佐藤公信(音)いずみたく(出)岡本信、中村晃子、宮ユキオ、沖津ひさゆき、宮崎こういち、佐藤安治、森田巳木夫、南道郎、三遊亭円楽、伊東四朗、三波伸介、戸塚睦夫、小池朝雄

A-10 2/1(土)4:00pm 3/4(火)7:00pm
喜劇 大誘拐(90分・35mm・カラー)

「たいやきくん同盟」を結成したしがない5人に、期せずして誘拐された富豪の母(ミヤコ蝶々)が、逆に彼らを叱咤して、選挙に出る当の息子=富豪に身代金を要求する。当時の世相やヒット曲をうまく味つけに使って料理した前田陽一喜劇の秀篇。

‘76(松竹)(監)(脚)前田陽一(出)ミヤコ蝶々(北上マツ)三木のり平(中谷洋平)(原)吉田進(脚)瀬川昌治、永井素夫(撮)吉川憲一(美)熊谷正雄(音)いずみたく(出)森田健作、夏純子、小倉一郎、岸部シロー、小池朝雄、立川談志

A-11 2/2(日)1:00pm 2/28(金)7:00pm
どですかでん(140分・35mm・カラー)

原作は山本周五郎の「季節のない街」。名脇役たちによる競演も見ものとなった本作で、伴淳三郎との夫婦役に扮した丹下キヨ子は、図太い神経と身体で亭主の来客をぞんざいに扱う女房の役を迫真の演技でこなしてエピソードを盛り上げている。

‘70(四騎の会=東宝)(出)丹下キヨ子(ワイフ)小島三児(泥棒)(監)(脚)黒澤明(原)山本周五郎(脚)小国英雄、橋本忍(撮)斉藤孝雄、福澤康道(美)村木与四郎、村木忍(音)武満徹(出)頭師佳孝、菅井きん、殿村敏之、三波伸介、楠侑子、伴淳三郎、日野道夫、古山桂治、下川辰平、田中邦衛、吉村実子

A-12 2/2(日)4:00pm 3/5(水)3:00pm
春男の翔んだ空(120分・35mm・カラー)

北九州で知的障害児の教育に一生を捧げた、小学校教師野杉春男の伝記映画。自身が障害を持つ子の父親でもあった山田典吾は、原爆の問題と並んで知的障害児の教育をその生涯のテーマに据えた。「寅さん」シリーズで知られる太宰久雄の助演にも注目。

‘77(現代ぷろだくしよん)(監)(脚)山田典吾(出)太宰久雄(PTA会長柏木淳則)大泉滉(小学校教頭)(撮)小林節雄(美)木村威夫、丸山裕司(音)いずみたく(出)永六輔、佐藤オリエ、山口崇、原知佐子、渡辺文雄、ケーシー高峰、戸浦六宏、佐藤慶、桑山正一、三崎千恵子、愛川欽也、黒柳徹子

A-13 2/4(火)3:00pm 3/2(日)4:00pm
春琴抄 お琴と佐助(100分・35mm・白黒)

盲目の春琴にかしづく佐助。大阪道修町の豪商の家を舞台に、崇拝する女性のために自ら視力を奪う奉公人――谷崎潤一郎原作の「春琴抄」を初めて映画化した島津保次郎作品。高田浩吉は松竹京都出身の二枚目スターで主に時代劇で活躍した。

’35(松竹蒲田)(出)高田浩吉(佐助)(監)(脚)島津保次郎(原)谷崎潤一郎(撮)桑原昂(美)脇田世根一 (音)今井慶松(出)田中絹代、斎藤達雄、藤野秀夫、葛城文子、坂本武、上山草人、坪内美子、河村黎吉、磯野秋雄

A-14 2/4(火)7:00pm 3/8(土)1:00pm
月夜鴉(100分・35mm・白黒)

太棹の世界を舞台にした川口松太郎原作の芸道もの。女師匠の飯塚敏子が、若い弟子の高田浩吉に厳しい稽古を課し、一人前の芸人に仕立て上げていく様子を井上金太郎が丹念に描いている。年増女の恋にこたえる役柄を高田浩吉が演じている。

‘39(松竹京都)(出)高田浩吉(杵屋和吉)(監)井上金太郎(原)川口松太郎(脚)秋篠珊次郎、依田義賢(撮)杉山公平(美)山田竹二郎(音)稀音家三郎治(出)飯塚敏子、藤野秀夫、日高梅子、伏見直江、富本民平、舟坂邦之助、高松錦之助、南光明

A-15 2/5(水)3:00pm 3/6(木)7:00pm
わたし達はこんなに働いてゐる(18分・16mm・白黒)

革新的な製作集団芸術映画社(GES)に結集し、ドキュメンタリー理論を日本に導入した功績でも知られる、女性ドキュメンタリストの先駆者厚木たか。戦時下の言論統制の中でサイパン島の陥落に言及した本作には、厚木の現実に対する鋭利な視線が感じられる。

‘45(朝日映画社)(脚)厚木たか(監)水木荘也(撮)小西昌三

空の少年兵(37分・16mm・白黒)

厚木と同じく芸術映画社のメンバーとして、文化映画の秀作『雪国』(1939年)にも参加したキャメラマン井上莞。海軍予科練の訓練記録『空の少年兵』は、井上の航空撮影の水準を世に知らしめた作品である。

‘41(芸術映画社)(撮)(編)井上莞

アリチャン(11分・16mm・白黒)

戦後、日本の人形アニメーションの祖として、川本喜八郎をはじめ多くの作家に影響を与えた持永只仁。青年時代は芸術映画社に属し、瀬尾光世のもとで日本初の多層式アニメ撮影台を開発した。『アリチャン』はその最初の作品である。

‘42(芸術映画社)(動画)持永只仁(監)瀬尾光世(音)服部正

フクチャンの潜水艦(30分・35mm・白黒)

漫画界の第一人者である横山隆一は、アニメ作家としても知られ、おとぎプロを設立して戦後アニメーションの推進者の一人となった。本作は名キャラクター「フクチャン」を主人公にした戦中の宣伝映画。

‘44(朝日映画社)(監)横山隆一(撮)持永只仁(監)関屋五十二(脚)滋野辰彦

A-16 2/5(水)7:00pm 3/8(土)4:00pm
幸運の椅子(93分・35mm・白黒)

帝国劇場の舞台風景に劇映画のストーリーを折り込んだ、出演者も豪華な4話オムニバス映画。日本映画社に在籍して多くのノンフィクション映画に携わった高木俊朗の珍しい趣向の作品。小牧・貝谷の両バレー団、藤原歌劇団などの記録映像としても貴重。

‘48(日本映画社)(監)(脚)高木俊朗(出)河村弘二(夫[第3話])瀧澤修(劇中劇の俳優[第3話])(撮)栗林実、東熊喜、小林米作(美)小川一男(音)近衛秀麿(出)諏訪根自子、山口淑子、貝谷八百子、北澤榮、藤原義江、森雅之、石黒達也、高橋豊子、沼崎勲、中北千枝子、谷間小百合、英百合子、木匠久美子

A-17 2/6(木)3:00pm 3/9(日)1:00pm
(106分・16mm・白黒)

科学兵器に怒りを感じた町医者が不老不死の妙薬研究で巻き起こすドタバタ騒ぎを、松竹蒲田調の世界を得意とした五所監督が伴淳、森繁、三國、エンタツらの個性派俳優を起用して描くブラックユーモア劇。

‘58(松竹京都)(出)須賀不二男(蛸山四郎五郎)(監)五所平之助(原)尾崎士郎(脚)猪俣勝人、長谷部慶治(撮)竹野治夫(美)平川透徹(音)芥川也寸志(出)伴淳三郎、三國連太郎、森繁久彌、渡辺文雄、水原眞智子、冨士真奈美、轟夕起子、千田是也、石黒達也、横山エンタツ、関千恵子、浦辺粂子、桜京美

A-18 2/6(木)7:00pm 3/15(土)1:00pm
異邦人の河(115分・35mm・白黒)

在日コリアンによって作られた最初の長篇劇映画。日活の助監督を経て本作を発表した李學仁(イ・ハギン)は、日本人プロデューサー中村敦夫を得て祖国統一を訴えた。ロックグループ「キャロル」のジョニー大倉が本名の朴雲煥(パク・ウナン)で主演。

‘75(緑豆社)(監)(脚)李學仁 (撮)安承[王文](美)篠川正一(音)ジョニー大倉(出)朴雲煥[ジョニー大倉]、大関優子、菅貫太郎、馬渕晴子、中村敦夫、宇都宮雅代、米倉斉加年、河原崎長一郎、常田富士男、小松方正、絵沢萌子、藤田敏八

A-19 2/7(金)3:00pm 3/9(日)4:00pm
野獣死すべし(96分・35mm・白黒)

仲代達矢によるクールな犯罪者像が強い印象を残す須川栄三のデビュー第2作で、原作者・脚本家も20代の若さであった。「東宝カラー」に沿って主人公の逮捕を要求した会社に反抗し、須川と白坂は犯人が逃亡に成功する原作通りの結末を認めさせたという。

‘59(東宝)(監)須川栄三(原)大藪春彦(脚)白坂依志夫(撮)小泉福造(美)浜上兵衛(音)黛敏郎(出)仲代達矢、団令子、小泉博、佐藤允、白川由美、東野英治郎、瀬良明、中村伸郎、武内亨、佐藤允、白坂依志夫

A-20 2/7(金)7:00pm 3/15(土)4:00pm
螢川(115分・35mm・カラー)

それを見た男女は必ず結ばれるという、螢の大群の言い伝えを信じた少年と少女の物語。宮本輝の同名小説を映画化したもので、須川栄三が長年培ってきた古典的な演出作法と、川面を覆うほどの螢を出現させたSFX技術が見事に一体化している。

‘87(キネマ東京=日映)(監)(脚)須川栄三(原)宮本輝(脚)中岡京平(撮)姫田真左久(美)阿久根厳(音)篠崎正嗣(出)三國連太郎、十朱幸代、坂詰貴之、沢田玉恵、川谷拓三、奈良岡朋子、殿山泰司

A-21 2/8(土)1:00pm 3/5(水)7:00pm
樋口一葉(83分・35mm・白黒)

マキノや嵐寛寿郎プロなどで研鑚を積んだ並木鏡太郎が、新たに挑んだ明治物の大作。作家樋口一葉に山田五十鈴が扮し、久保一雄の設計した大がかりなセットを背景に、師匠との恋と破局、貧窮の家を支えるための厳しい生活が情緒豊かに描かれる。

‘39(東宝東京)(監)並木鏡太郎(出)河村弘二(戸川明水)(原)(脚)八住利雄(撮)町井春美(美)久保一雄(音)菅原明朗(出)山田五十鈴、高峰秀子、澤村貞子、堤眞佐子、椿澄江、英百合子、水町庸子、清川虹子、大川平八郎、高田稔、嵯峨善兵

A-22 2/8(土)4:00pm 3/6(木)3:00pm
憲兵とバラバラ死美人(73分・16mm・白黒)

時代劇を得意とした並木監督が後期新東宝で撮った数少ない現代劇。満州事変が勃発して主力が移動した仙台の歩兵連隊で、生活用水に使う井戸が異臭を放ったことから奇怪な事件が暴かれるという怪奇映画。

‘57(新東宝)(監)並木鏡太郎(出)中山昭二(憲兵小坂徳助)(原)小坂慶助(脚)杉本彰(撮)山中晋(美)宮沢計次(音)米山正夫(出)江畑絢子、天知茂、細川俊夫、松浦浪路、若杉嘉津子、鮎川浩、小高まさる、江見渉、岬洋二、久保春二

A-23 2/9(日)1:00pm 3/7(金)3:00pm
関の彌太ッペ(89分・35mm・カラー)

十年前、自分が救った娘が同じ稼業の男に苦しめられていることを知った旅人、関の弥太ッぺは娘の家に乗り込み彼女を救った。むくげの花が咲く垣根越しに、彼は娘に十年前と同じ言葉を語りかける。山下耕作が情感豊かに描いた股旅メルヘンの名作。

‘63(東映京都)(監)山下耕作(撮)古谷伸(出)夏川静江(沢井屋のお金)(原)長谷川伸(脚)成沢昌茂(美)桂長四郎(音)木下忠司(出)中村錦之助、十朱幸代、岩崎加根子、木村功、月形龍之介、鳳八千代、大坂志郎、安部徹、武内亨、砂塚秀夫、遠藤辰雄

A-24 2/9(日)4:00pm 3/11(火)3:00pm
博奕打ち 総長賭博(95分・35mm・カラー)

一家の跡目相続をめぐる兄弟分同士の反目が、義理と人情の相克のなかできしみをあげて悲劇に突き進む。様式と情念の美学を結晶化させた監督山下耕作、俳優鶴田浩二の代表作であると同時に、仁侠映画というジャンルが産み出した傑作である。

‘68(東映京都)(監)山下耕作(製)俊藤浩滋(脚)笠原和夫(撮)山岸長樹(美)富田次郎(音)津島利章(出)鶴田浩二、藤純子、桜町弘子、若山富三郎、金子信雄、曽我廼家明蝶、名和宏、曽根晴美、佐々木孝丸、三上真一郎、沼田曜一、香川良介

A-25 2/11(火・祝)1:00pm 3/7(金)7:00pm
わが命の唄 艶歌(109分・35mm・カラー)

艶歌(演歌)のヒットを競うレコード会社のプロたち、歌手たちの姿を描く舛田利雄監督作品。重厚な演技で存在感を示す小役も多い芦田伸介だが、ここでは“艶歌の竜”の異名を持つヒットメーカーという大役を演じている。当時の人気歌手の出演も見もの。

‘68(日活)(出)芦田伸介(高円寺隆三)青木義朗(雨宮)(監)舛田利雄(原)五木寛之(脚)池上金男(撮)高村倉太郎(美)木村威夫(音)伊部晴美(出)渡哲也、佐藤慶、水前寺清子、松原智恵子、芦川いづみ、藤竜也、団次郎、清水将夫、一節太郎、美川憲一

A-26 2/11(火・祝)4:00pm 3/12(水)7:00pm
へそくり社長(82分・35mm・白黒)

長寿を誇った東宝「社長」シリーズの第1作。浮気好き社長の森繁、ハリキリ秘書の小林桂樹らと並んでこのシリーズに欠かせないのが“宴会部長”三木のり平。森繁とのドジョウすくいは定番となり、「パーッといきましょう」のセリフは一世を風靡した。

‘56(東宝)(出)三木のり平(部長)(監)千葉泰樹(脚)笠原良三(撮)中井朝一(美)河東安英(音)松井八郎(出)森繁久彌、小林桂樹、上原謙、八千草薫、司葉子、越路吹雪、藤間紫、太刀川洋一、三好榮子、沢村貞子、古川緑波

A-27 2/12(水)3:00pm 3/13(木)7:00pm
雲の上団五郎一座(84分・35mm・カラー)

宝塚劇場で大ヒットした戯曲の映画化。エノケン、アチャコ、フランキーら大勢の喜劇人の中でも、ドサ回り一座の女形に扮したのり平が八波むと志とコンビを組んで演じた劇中劇「斬られの与三郎」は秀逸である。

‘62(宝塚映画)(出)三木のり平(仁木のり蔵)由利徹(矢利徹)(監)青柳信雄(原)菊田一夫(脚)長瀬喜伴、新井一(撮)鈴木斌(美)北辰雄(音)松井八郎(出)フランキー堺、水谷良重、八波むと志、榎本健一、アチャコ、藤木悠、高島忠夫、清川虹子、森川信、佐山俊二、南利明、藤田まこと

A-28 2/12(水)7:00pm 3/16(日)1:00pm
大日本スリ集団(95分・35mm・カラー)

大阪の街を舞台に、スリ集団を率いる三木のり平と、何よりもスリを憎む刑事小林桂樹とのかけ合いを見どころにした人情ドラマ。「若大将」や「ゴジラ」シリーズなど、東宝の娯楽路線を支えた監督福田純の知られざる佳作。

‘69(東宝)(監)福田純(音)佐藤勝(出)三木のり平(平平平平(ひらだいらへっべい))菅原謙次(山辺)(原)(脚)藤本義一(撮)逢沢譲(美)育野重一(出)小林桂樹、酒井和歌子、高橋紀子、田中邦衛、吉行和子、寺田農、平田昭彦、古今亭志ん朝、清水将夫、砂塚秀夫、稲野和子、草野大悟

A-29 2/13(木)3:00pm 3/16(日)4:00pm
小島の春(88分・35mm・白黒)

療養所の女医の手記を映画化したこの作品は、人々のハンセン氏病患者に対する誤解と偏見を問題提起したもので、それが瀬戸内海の美しい風景の中で淡々と描かれている。「背中で演技する女優」と絶賛された杉村春子の存在も秀逸。

‘40(東京発声)(出)夏川静江(小山先生)(監)豊田四郎(原)小川正子(脚)八木保太郎(撮)小倉金弥(美)園眞(音)津川主一(出)菅井一郎、杉村春子、清水美佐子、水谷史郎、勝見庸太郎、林幹、英百合子、田中筆子、菊川郁子、中村メイコ

A-30 2/13(木)7:00pm 3/12(水)3:00pm
重慶から來た男(69分・35mm・白黒・不完全版)

大都映画の二枚目スターだった水島道太郎が、日活、新興キネマと合併してできた大映で活躍し始めた頃の作品。航空工場に潜入したスパイを、水島の活躍で撲滅に追い込むまでを描いた戦時防諜活劇。物語の一部が欠落している。

‘43(大映東京)(出)水島道太郎(落合行介)(監)山本弘之(脚)石田吉男(撮)長井信一(美)高橋康一(音)横田昌久(出)石黒達也、朝雲照代、相馬千惠子、星ひかる、千明明子、浦邊粂子、小柴幹治、小林桂樹、押本映二、北龍二

A-31 2/14(金)3:00pm 3/11(火)7:00pm
海の母(90分・35mm・白黒・不完全版)

昭和前期に広沢虎造、玉川勝太郎、寿々木米若らと人気を競った女優浪曲師二代目雲月の名調子に乗って、すでに長男を戦争で失った母が、心ひかれながらも海軍に志願した次男を送り出すという典型的な戦意昂揚映画。冒頭が一部欠落。

‘42(日活多摩川)(監)伊賀山正徳[正光](出)水島道太郎(教班長)(原)(脚)永見隆二(撮)渡辺五郎(音)天中軒雲月[浪曲口演](出)杉村春子、片山明彦、星ひかる、見明凡太郎、中田弘二、三井智恵、姫美谷接子、井染四郎、吉川英蘭

A-32 2/14(金)7:00pm 3/22(土)1:00pm
裸女と拳銃(88分・35mm・白黒)

鈴木清太郎(清順)の監督第6作で、主演の水島道太郎は、麻薬がらみの事件を追う新聞社のカメラマンをクールに演じている。相手役の“裸女”を演じた白木マリは、当時、筑波久子に続く“日活グラマー第2弾”として売出しの最中にあった。

‘57(日活)(出)水島道太郎(槇健策)(音)原六朗(監)鈴木清太郎[清順](原)鷲尾三郎(脚)田辺朝巳、陶山鉄(撮)松橋梅夫(美)千葉一彦(出)白木マリ、菅井一郎、南寿美子、二谷英明、宍戸錠、高友子、宮坂将嘉、浜村純

A-33 2/15(土)1:00pm 3/13(木)3:00pm
私をスキーに連れてって(98分・35mm・カラー)

軽やかなラブ・ストーリーに華麗なスキーのシーンをふんだんに織り込んだ話題作。テレビを中心に歌手としても活躍した沖田浩之は、この映画では主人公文男(三上博史)の、写真ばかり撮っているスキー仲間を好演している。

‘87(小学館=フジテレビ)(出)沖田浩之(小杉正明)(監)馬場康夫(原)ホイチョイ・プロダクション(脚)一色伸幸(撮)長谷川元吉(美)和田洋(音)杉山卓夫(出)原田知世、三上博史、原田貴和子、高橋ひとみ、布施博、田中邦衛、鳥越マリ、竹中直人、上田耕一、小坂一也

A-34 2/15(土)4:00pm 3/14(金)3:00pm
富士山頂觀測所(21分・35mm・白黒)

雪を頂く観測所の人々とその労働を捉えた柳沢寿男の単独デビュー作。厚みのある構成が高く評価され、以後各社にまたがって数多くのPR映画に携わることになる。

‘48(日本映画社)(監)(脚)柳澤壽男(撮)中村誠二(録)酒井栄三(選曲)小津淳三

海に生きる 遠洋底曳漁船の記録(32分・35mm・白黒)

上に同じく日本映画社時代の作品で、全日本海員組合の企画で製作された記録映画。林田重男らの撮影したダイナミックな映像を作品にまとめあげた柳沢の技量が光る。

‘49(日本映画社)(監)柳澤壽男、樺島清一(脚)竹内信次(撮)林田重男、清水浩ほか(録)國島正男ほか(選曲)鈴木林藏(解)松本克平

フランスはぶどうの村で(25分・35mm・カラー)

桜映画社を長く率い、独自の社会教育映画を開拓してきた村山英治による海外ロケ・シリーズの一篇。ブルゴーニュのブドウ農家に取材した本作でも、旧来の観光映画から脱却して人々の日常生活に視点を定めている。

‘67(桜映画社)(監)(脚)村山英治(撮)江連高元(音)間宮芳生(解)川久保潔

彫る 棟方志功の世界(38分・35mm・カラー)

映画評論家としての活動のみならず、毎日映画社の製作部長、のちに社長(在籍1977~78年)として短篇映画のプロデュースにも携わってきた草壁久四郎。本作では柳川武夫の美術映画製作協会と組んで、晩年の棟方志功の創作活動に迫った。

‘75(毎日映画社=美術映画製作協会)(製)草壁久四郎(監)(製)(脚)柳川武夫(脚)杉山義法(撮)田中正(音)小杉太一郎(解)鈴木瑞穂

A-35 2/16(日)1:00pm 3/14(金)7:00pm
雨月物語(97分・35mm・白黒)

上田秋成の原作をもとに、溝口健二がこの作品の中に醸成した美と情感は、世界の人々に日本映画の高度な芸術性を決定的に印象づけ、同時に撮影にあたった宮川一夫の才能を広く知らしめた。若狭(京マチ子)に付添う老女・右近役の毛利菊枝もきわめて印象的。

‘53(大映京都)(撮)宮川一夫(出)毛利菊枝(右近)(監)溝口健二(原)上田秋成(脚)川口松太郎、依田義賢(美)伊藤熹朔(音)早坂文雄(出)森雅之、京マチ子、田中絹代、小澤榮、水戸光子、青山杉作、羅門光三郎、香川良介、上田吉二郎、南部彰三

A-36 2/16(日)4:00pm 3/18(火)3:00pm
用心棒(110分・35mm・白黒)

桑畑三十郎のキャラクターが立った三船敏郎主演による黒澤明流アクション時代劇の傑作。ダイナミックかつ繊細なルックを実現した撮影の宮川一夫にとっても、場面に応じて劇的にコミカルに自在な音楽を創造した佐藤勝にとっても、代表作の一つとなった。

‘61(黒沢プロ=東宝)(撮)宮川一夫(音)佐藤勝(監)黒澤明(脚)菊島隆三(美)村木与四郎(出)三船敏郎、仲代達矢、司葉子、山田五十鈴、加東大介、河津清三郎、志村喬、太刀川寛、夏木陽介、東野英治郎、藤原釜足、沢村いき雄、渡辺篤、藤田進、山茶花究、西村晃、加藤武、中谷一郎

A-37 2/18(火)3:00pm 3/19(水)7:00pm
本覺坊遺文 千利休(108分・35mm・カラー)

千利休を描く熊井啓作品で、愛弟子本覚坊を通して利休の人間像に迫ろうとした野心作。芦田伸介が利休の理解者/無理解者たる秀吉を演じて印象的。撮影の栃沢正夫は熊井作品のほか、『神々の深き欲望』(1968年)などの今村昌平作品でも知られる名手。

‘89(西友)(撮)栃沢正夫(出)芦田伸介(太閤秀吉)(監)熊井啓(原)井上靖(脚)依田義賢(美)木村威夫(音)松村禎三(出)奥田瑛二、萬屋錦之介、加藤剛、三船敏郎、東野英治郎、内藤武敏、上條恒彦、川野太郎、牟田悌三

A-38 2/18(火)7:00pm 3/21(金・祝)1:00pm
寶の山に入る退屈男(65分・35mm・白黒)

「諸羽流正眼崩し」の剣を操る早乙女主水之介、人呼んで旗本退屈男は市川右太衛門最大の当たり役。サイレント時代の1930年に最初の退屈男を発表して以来、戦後の東映時代までおよそ30本を数える。本作は右太衛門プロ解散後、新興キネマで主演した一篇。

‘38(新興キネマ京都)(出)市川右太衛門(早乙女主水之介)(監)西原孝(原)佐々木味津三(脚)原健一郎(撮)佐野治夫(音)深井史郎(出)甲斐世津子、国友和歌子、高山廣子、原聖四郎、水野浩、松本田三郎、光岡龍三郎、小酒井健

A-39 2/19(水)3:00pm 3/21(金・祝)4:00pm
江戸の朝霧(84分・35mm・白黒・不完全版)

幼くして学才に秀でた麟太郎(後の勝海舟)を育てる、貧しくも誇り高く吾子一筋な父・勝小吉を、時代劇史上最大のスターの一人である市川右太衛門が熱く激しく演じる人情譚。右太衛門にとっては、1956年の東映『父子鷹』の親子共演にも通じる題材。

‘42(大映京都)(出)市川右太衛門(勝小吉)(監)仁科紀彦(原)眞山青果(脚)波多謙治(撮)竹野治夫(美)鈴木正治(音)高橋半(出)羅門光三郎、高山廣子、雲井八重子、梅村蓉子、荒木忍、杉裕之、葛木香一、寺島貢、光岡龍三郎

A-40 2/19(水)7:00pm 3/22(土)4:00pm
大江戸五人男(132分・35mm・白黒)

戦後の右太衛門は東映の「スター重役」となり、同社作品を中心に順調に出演を続けた。松竹の映画30周年記念となったこの大作では、町奴の幡随院長兵衛(阪妻)に対抗する旗本の十郎左衛門に扮し、大スター同士の興趣あふれる対決を見せている。

‘51(松竹京都)(出)市川右太衛門(水野十郎左衛門)高田浩吉(高見澤備中守)毛利菊枝(老母お岸)(監)伊藤大輔(脚)八尋不二、柳川眞一、依田義賢(撮)石本秀雄(美)角井平吉(音)深井史郎(出)阪東妻三郎、山田五十鈴、高峰三枝子、月形龍之介、高橋貞二、河原崎権三郎、小月冴子、花柳小菊、進藤英太郎、三島雅夫、大友柳太朗

A-41 2/20(木)3:00pm 3/18(火)7:00pm
花いちもんめ(125分・35mm・カラー)

いわゆる“ボケ老人”問題が『恍惚の人』として注目を浴びて約10年、アルツハイマー型老人性痴呆症の実態はますます深刻になった。そんな時代を反映したこの作品は、自らが死の淵から復帰した名優千秋実の迫真の演技により数々の賞を受賞した。

‘85(東映京都)(出)千秋実(鷹野冬吉)(監)伊藤俊也(脚)松田寛夫(撮)井口勇(美)山下謙爾(音)池辺晋一郎(出)十朱幸代、西郷輝彦、加藤治子、野川由美子、中田喜子、二宮さよ子、神山繁、岸部一徳、内藤武敏、三浦真弓、末広真季子

A-42 2/20(木)7:00pm 3/23(日)1:00pm
若者たち(87分・35mm・白黒)

親を失った四男一女が、厳しい社会の波に揉まれながらも自我をぶつけ合い、協力してゆくさまを描いた、同名のテレビドラマの映画化。当時の若い人々に強く支持され、佐藤勝作曲の主題歌は今も広く歌われている。橋本功が熱血漢の次男を好演。

‘67(俳優座=新星映画)(撮)宮島義勇(音)佐藤勝(出)橋本功(佐藤次郎)(監)森川時久(脚)山内久(美)平川透徹(出)田中邦衛、山本圭、佐藤オリエ、松山省二、永田靖、南美江、小川真由美、井川比佐志、石立鉄男、栗原小巻

A-43 2/21(金)3:00pm 3/20(木)7:00pm
銀座のしいのみ(32分・35mm・白黒)

‘57(東映教育映画部)(監)(脚)堀内甲(脚)片岡薫(撮)黒田清巳(美)小林正義(音)池野成(出)小沢哲、石橋義弘、服部勝幸、松本栄蔵、中原ひとみ

二枚の絵(48分・35mm・白黒)

‘59(東映教育映画部)(監)(脚)堀内甲(出)金井大(アキラの父)(撮)北山年(音)塚原晢夫(出)斉藤晴太郎、小笠原弘之、近衛敏明、日暮里子

娘は娘母は母(25分・35mm・白黒)

‘57(東映教育映画部)(出)夏川静江(母)夏川かほる(長女サキエ)(監)田代秀治(原)波多野勤子(脚)清水信夫(撮)北山年(音)端山貢明(出)若木悦子、須藤健

1954年に製作が始まった東映教育映画部による児童映画というジャンルは、子供たちを善導し、社会ルールを啓蒙し、家庭の大切さを説くといった、真摯で教育的な物語から成り立っているが、今日の目から見ると、多くの名脇役が出演(時には主演を)している、あるいはそこで育った脚本家、監督も少なくないなど、内容を越えた興味にも応えてくれるものとなっている。『銀座のしいのみ』はこうした東映教育映画を支えた代表的な脚本家、監督である片岡薫と堀内甲のために、『二枚の絵』は、そこで実直な寿司屋の役を演じた名脇役・金井大のために、『娘は娘母は母』は、戦前からの大女優夏川静江とその娘かほるのために、それぞれ上映される。

A-44 2/21(金)7:00pm 3/23(日)4:00pm
日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里(83分・35mm・白黒)

戦後の大映を代表する二枚目スター菅原謙二(謙次)が主演した戦争活劇映画。日露戦争の奉天会戦を背景に、敵陣を突破し勝利をもたらす騎兵斥候隊の活躍を描く。大映の森一生監督に、黒澤明と小國英雄がシナリオを提供している。

‘55(大映)(出)菅原謙二(建川斥候隊長)(監)森一生(脚)小國英雄、黒澤明(撮)高橋通夫(美)下河原友雄(音)鈴木靜一(出)北原義郎、高松英郎、根上淳、品川隆二、川崎敬三、浜口喜博、石井竜一、中村伸郎、伊澤一郎、船越英二

A-45 2/22(土)1:00pm 3/19(水)3:00pm
氷壁(96分・35mm・カラー)

登山中の友人の事故死を、故意なのか不可避だったかを問われた男が、実はその友人の妻を密かに想っていたというサスペンス・メロドラマ。これが4作目となる新人監督増村との出会いは、清純スター山本富士子のその後にとって転機となった。

‘58(大映東京)(出)菅原謙二(魚津恭太)(監)増村保造(原)井上靖(脚)新藤兼人(撮)村井博(美)下河原友雄(音)伊福部昭(出)川崎敬三、野添ひとみ、上原謙、山本富士子、山茶花究、金田一敦子、浦辺粂子

A-46 2/22(土)4:00pm 3/25(火)7:00pm
浮草日記(109分・35mm・白黒)

解散寸前のドサ回り一座が炭鉱組合による興行で成功したものの、ストのどさくさに興行料は持ち逃げされ、劇場は闘争本部と化す。組合と敵対していたかに見えた一座も労働者としての連帯感を持ち始めるという社会派喜劇。

‘55(俳優座=山本プロ)(出)菅原謙二(市川吉次)花沢徳衛(市川弥太)(監)山本薩夫(原)眞山美保(脚)八住利雄(撮)前田実(美)久保一雄(音)大木正夫(出)津島恵子、東野英治郎、小沢榮、松本克平、永田靖、浜田寅彦、東山千榮子、岸輝子、三戸部スエ

A-47 2/23(日)0:00pm 3/26(水)7:00pm
姿三四郎(159分・35mm・白黒)

戦中の有名な黒澤作品、1955年の東映作品に続く3度目の「姿三四郎」。三四郎と師匠矢野正五郎には加山・三船コンビが扮し、編集には黒澤明も立ち会った。内川清一郎は新東宝、松竹京都、東宝などで活躍した監督で、本作の前にも柔道映画の経験がある。

‘65(宝塚映画=黒沢プロ)(監)内川清一郎(音)佐藤勝(出)青木義朗(戸田雄次郎)(原)富田常雄(脚)黒澤明(撮)小泉福造(美)水谷浩(出)加山雄三、三船敏郎、山崎努、岡田英次、九重佑三子、加東大介、左卜全、志村喬、飯田蝶子

A-48 2/23(日)4:00pm 3/27(木)7:00pm
ニッポン無責任時代(86分・35mm・カラー)

「若大将」と「クレージー」という、東宝の2つの大ヒットシリーズを造型した名ライター田波靖男。植木等らを一躍喜劇スターの座に押し上げた本作は、東宝サラリーマン喜劇の伝統を塗りかえた「クレージー」シリーズの源流である。

‘62(東宝)(脚)田波靖男(出)由利徹(石狩熊五郎)(監)古澤憲吾(脚)松木ひろし(撮)斎藤孝雄(美)小川一男(音)神津善行(出)植木等、ハナ肇、田崎潤、藤山陽子、峰健二、松村達雄、久慈あさみ、清水元、重山規子、中島そのみ、団令子

A-49 2/25(火)3:00pm 3/28(金)7:00pm
青春グラフィティ スニーカーぶるーす(86分・35mm・カラー)

テレビドラマで人気が沸騰した3人組のアイドル、たのきんトリオを主演にして、それぞれの夢と挫折と友情を描く。「若大将」シリーズに代表される東宝の明朗青春映画でも活躍した田波靖男の脚本は、80年代になっても健在であることを示した。

‘81(東宝映画)(脚)田波靖男(製)小倉斉(監)河崎義祐(脚)安斉あゆ子(撮)逢沢譲(美)樋口幸男(音)槌田靖識(出)近藤真彦、野村義男、田原俊彦、岡田奈々、里見奈保、財津一郎、伴淳三郎、おりも政夫、川崎麻世

A-50 2/25(火)7:00pm 3/20(木)3:00pm
敦煌(143分・35mm・カラー)

宋の時代の中国を舞台にしたスペクタクル大作。科挙に失敗した青年が新興国・西夏から来た女性に導かれ、戦乱のシルクロードへ旅立つ。中国との合作にエネルギーを傾けたプロデューサー徳間康快は、本作で『未完の対局』に続く2度目の藤本賞を受賞した。

‘88(丸紅=大映=電通)(総指揮)徳間康快(音)佐藤勝(監)(脚)佐藤純彌(原)井上靖(脚)吉田剛(撮)椎塚彰(美)徳田博、冠鴻烈(出)西田敏行、佐藤浩市、中川安奈、三田佳子、田村高廣、渡瀬恒彦、新藤栄作、原田大二郎、柄本明、綿引勝彦、鈴木瑞穂、蜷川幸雄