東京国立近代美術館フィルムセンター
National Film Center
The National Museum of Modern Art, Tokyo

大ホール上映作品
シネマの冒険 闇と音楽:D・W・グリフィス選集
Silent Film Renaissance - Featuring D. W. Griffith

 >>> 上映スケジュール

無声映画の秀作に音楽伴奏などを付して上映するフィルムセンターの恒例企画「シネマの冒険 闇と音楽」。今年度は、映画技法の基礎を築き上げたパイオニア、D・W・グリフィス監督を取り上げ、長短合わせて30の作品を12プログラムに構成して上映します。『国民の創生』(1915年)や『イントレランス』(1916年)、『散り行く花』(1919年)といった大作を通じて世界的な名声を確立したグリフィスですが、今回の企画は比較的上映される機会の少ない作品を選ぶことで、その豊かな才能の隠れた一面にも迫ります。とりわけその経歴の初期に当たるバイオグラフ社時代(1908~1913年)の短篇・中篇作品に接することは、映画劇が“進化”する過程をまるごと発見するようなスリリングな体験となるでしょう。

今回は、無声映画とのコラボレーションに初めて臨む方を含む、国内の8名のミュージシャンがピアノ伴奏を行うこととなりました。「天才と呼ばれるに値する創造性を持ったアメリカで唯一の監督」(K・ブラウンロウ)とも呼ばれたグリフィスの芸術の魅力が、意欲的な演奏を通じて最大限に引き出されることが期待されます。監督第1作『ドリーの冒険』のファースト・ショットに触れた瞬間からスタートする、映画の始源の輝きを存分にご堪能ください。

■原=原作・原案 脚=脚本・脚色 撮=撮影 美=美術 出=出演

■全作品、挿入字幕(インタータイトル)は英語で、日本語字幕がつきます。

■本特集には不完全なプリントが含まれています。

■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。

■本特集については、年号および上映順は撮影終了日を基準とします。

■原題は文献資料に準拠し、上映するフィルム上の表記とは必ずしも一致していません。

■[MoMA] はニューヨーク近代美術館、[LoC] は米国議会図書館による復元版を示します。

G-1 1/7(火)3:00pm 1/18(土)1:00pm
短篇集[1](計61分)

少なくとも23本のバイオグラフ作品に出演し、7本の脚本を手がけた後、グリフィスは誘拐される少女の物語『ドリーの冒険』(1908年6月撮影)で監督業に進出。以後、1年半にわたり同社の監督はグリフィスただ一人になったとされる。中でも小麦相場師の横暴と民衆の困窮を扱う社会派劇『小麦の買占め』(1909年11月撮影)は最初期の傑作として評価が高いが、実に190本目の監督作である。フランスを舞台とする時代劇『毒蛇の飼育』、原住民と白人との確執を描く西部劇『インディアンの考え』と、すでに多様なジャンルが出現する。

ドリーの冒険
The Adventures of Dollie(12分・35mm・白黒)[LoC]
‘08 (撮)アーサー・マーヴィン(出)アーサー・ジョンソン、リンダ・アーヴィドソン、チャールズ・インズリー、マデリン・ウェスト

毒蛇の飼育
Nursing a Viper(16分・35mm・白黒)[MoMA]
’09(撮)G・W・ビッツァー(出)アーサー・ジョンソン、マリオン・レナード、フランク・パウエル

インディアンの考え
The Redman’s View(17分・35mm・白黒)[MoMA]
’09 (撮)G・W・ビッツァー(出)オーウェン・ムーア、ジェームズ・カークウッド、W・クリスティ・ミラー、ドロシー・ウェスト

小麦の買占め
A Corner in Wheat(16分・35mm・白黒)[MoMA]
’09(原)フランク・ノリス(撮)G・W・ビッツァー(出)フランク・パウエル、グレイス・ヘンダーソン、ジェームズ・カークウッド

G-2 1/7(火)7:00pm 1/16(木)7:00pm
短篇集[2](計66分)

『罠にかかったサンタクロース』は前年の『クリスマスの泥棒The Christmas Burglars』に続く「クリスマス映画」で、別れていた家族が再会するハッピー・エンド。航海に出た水夫を待つ妻を描く『不変の海』もまた、前年の『時は流れてAfter Many Years』に連なり、以後も複数の『イーノック・アーデンEnoch Arden』(1911年)などで変奏されることになる。飲酒による家族離散を教訓的に描く『ロッキー・ロード』、家族を失った少女が新たな家族を見出す『ゲットーの娘』など、驚異的な量産の中でグリフィスが自ら語るべき物語の軸を見出していった過程を窺うことができる。

罠にかかったサンタクロース
A Trap for Santa Claus(18分・35mm・染色)[MoMA]
’09 (撮)G・W・ビッツァー(出) ヘンリー・B・ウォルソール、マリオン・レナード、グラディス・イーガン、マック・セネット

ロッキー・ロード
The Rocky Road(15分・35mm・白黒)[MoMA]
’09 (撮)アーサー・マーヴィン、G・W・ビッツァー(出)フランク・パウエル、ステファニー・ロングフェロー、ジョージ・O・ニコルズ

不変の海
The Unchanging Sea(16分・35mm・白黒)[MoMA]
’10(原)チャールズ・キングズリー (撮)G・W・ビッツァー(出)リンダ・アーヴィドソン、アーサー・ジョンソン、グラディス・イーガン、メアリー・ピックフォード、チャールズ・H・ウェスト

ゲットーの娘
A Child of the Ghetto(17分・35mm・白黒)[LoC]
’10 (脚)スタナー・E・V・テイラー(撮)アーサー・マーヴィン、G・W・ビッツァー(出)ドロシー・ウェスト、ケイト・ブルース、デル・ヘンダーソン、チャールズ・H・ウェスト、W・クリスティ・ミラー

G-3 1/8(水)3:00pm 1/18(土)4:00pm
短篇集[3](計66分)

『国民の創生』(1915年)で頂点を極めることになるグリフィスの一連の南北戦争ものの中でも、『境界州にて』と『鎧戸の締まった家』は、密書を届ける危険な任務に就く兵士とその勇敢な妹をそれぞれ北軍、南軍の側から描いて興味深い。『毒蛇の飼育』に続いてフランス革命に材を採った『誓いと人間』は、後の『嵐の孤児』(1921年)で大きな開花を見ることになる。『老人たちを…』は職を失い、盗みを働いて捕らえられ、妻を失う老人の救いのない末路を描いているが、この時期のバイオグラフにおいて悲劇的結末は必ずしも珍しくなかった。

境界州にて
In the Border States(17分・35mm・白黒)[MoMA]
’10(脚)スタナー・E・V・テイラー(撮)G・W・ビッツァー(出)チャールズ・H・ウェスト、グラディス・イーガン、W・クリスティ・ミラー、ドロシー・ウェスト、ヘンリー・B・ウォルソール、マック・セネット

鎧戸の締まった家
The House with Closed Shutters(16分・35mm・白黒)[MoMA]
’10(脚)エメット・キャンベル・ホール(撮)G・W・ビッツァー(出)ヘンリー・B・ウォルソール、ドロシー・ウェスト、グレイス・ヘンダーソン、チャールズ・H・ウェスト

誓いと人間
The Oath and the Man(17分・35mm・白黒)[MoMA]
’10(脚)スタナー・E・V・テイラー(撮)G・W・ビッツァー(出)ヘンリー・B・ウォルソール、フローレンス・バーカー、W・クリスティ・ミラー

老人たちをどうすべきか
What Shall We Do with Our Old(16分・35mm・白黒)[MoMA]
’11(撮)G・W・ビッツァー(出)W・クリスティ・ミラー、クレア・マクダウエル、フランシス・J・グランドン

G-4 1/8(水)7:00pm 1/14(火)3:00pm
短篇集[4](計66分)

泥棒に襲われた一家を救いに駆けつける『女は嘲笑した』はいわゆる「最後の瞬間の救出(ラスト・ミニッツ・レスキュー)」の典型だが、悪役である泥棒を一途に愛する健気な娘を中心に描いている点で注目される。いがみ合いながら砂漠をさ迷う三人の女を描いた『女性』は、緩慢なリズム(同年の1作品平均ショット数82に対し62)の編集が砂漠の灼熱と渇きをいかんなく描出し、秀抜な効果をあげている。薬物の脅威を訴える『息子のために』、落ちぶれた役者の悲哀を描く『老男優』は、栄光の座から滑り落ち酒に溺れたグリフィス自身の晩年を暗示するかのようでもある。

女は嘲笑した
A Woman Scorned(17分・35mm・白黒)[MoMA]
’11(脚)ジョージ・ヘネシー(撮)G・W・ビッツァー(出)ウィルフレッド・ルーカス、クレア・マクダウエル、アドルフ・レスティナ

息子のために
For His Son(16分・35mm・白黒)[MoMA]
’11(脚)エメット・キャンベル・ホール(撮)G・W・ビッツァー(出)チャールズ・ヒル・メイルズ、チャールズ・H・ウェスト

女性
The Female of the Species(16分・35mm・白黒)[MoMA]
’12(撮)G・W・ビッツァー(出)チャールズ・H・ウェスト、クレア・マクダウエル、メアリー・ピックフォード、ドロシー・バーナード

老男優
The Old Actor(17分・35mm・白黒)[LoC]
’12(脚)ジョージ・ヘネシー(撮)G・W・ビッツァー(出)W・クリスティ・ミラー、ケイト・ブルース、メアリー・ピックフォード

G-5 1/9(木)3:00pm 1/19(日)1:00pm
短篇集[5](計69分)

カリフォルニアにロケした2巻物の大作『大虐殺』は、群集場面などに壮大なロングショットを効果的に用いた堂々たる西部劇。当時は長尺に対する警戒心がいまだ根強く、公開はグリフィスがバイオグラフを去った後の1914年まで持ち越された。100を超える短いショットを緻密に構成し、多彩なアクションを凝縮した『狭き道』、地味な娘が男の裏切りと死を知って精神を病むに至るまでの、心理の推移を繊細に描く悲劇『厚化粧したレディ』と、題材も手法もそれぞれ大きく異なるものの、「最初のゴールデン・イヤー」と評価される1912年のグリフィスの実力を余すところなく伝える3本である。

大虐殺
The Massacre(35分・35mm・白黒)[MoMA]
’12(脚)D・W・グリフィス(撮)G・W・ビッツァー(出)ウィルフレッド・ルーカス、ブランチ・スウィート、チャールズ・H・ウェスト、アルフレッド・パジェット、ハリー・ハイド

狭き道
The Narrow Road(17分・35mm・白黒)[LoC]
’12(脚)ジョージ・ヘネシー(撮)G・W・ビッツァー(出)エルマー・ブース、メアリー・ピックフォード、チャールズ・ヒル・メイルズ、アルフレッド・パジェット

厚化粧したレディ
The Painted Lady(17分・35mm・白黒)[MoMA]
’12(脚)D・W・グリフィス(撮)G・W・ビッツァー(出)ブランチ・スウィート、ジョゼフ・グレイビル、チャールズ・ヒル・メイルズ、ケイト・ブルース、マッジ・カービー

G-6 1/9(木)7:00pm 1/17(金)3:00pm
短篇集[6](計66分)

ニューヨークの街頭で撮影された『ピッグ横丁のならず者』はギャング映画の起源のひとつとして名高く、同年の『見えざる敵 An Unseen Enemy』でグリフィス一家に加わったリリアン・ギッシュの単独初主演作。『男性』は、山に出かけた浮気男が田舎娘とカヌーで逃げ出し、娘の兄たちに追いかけられる大騒動の末、誘惑するが、改心して妻の待つ家庭に戻るという活劇調の道徳譚。米国ではフィルムが失われたと考えられており、唯一の可燃性プリントは日本で発見された。1960年代前半にフィルムセンターの前身であるフィルムライブラリーが不燃化したもので、現在はバイオグラフ作品がいかに全世界的に配給されていたかを示す端的な例として注目されている。

ピッグ横丁のならず者
The Musketeers of Pig Alley(17分・35mm・白黒)[MoMA]
’12(脚)ジョゼフ・グレイビル(撮)G・W・ビッツァー(出)エルマー・ブース、リリアン・ギッシュ、ウォルター・ミラー

男性
Gold and Glitter(15分・35mm・白黒)
’12(脚)ジョージ・ヘネシー(撮)G・W・ビッツァー(出)エルマー・ブース、グレイス・ルイス、ライオネル・バリモア、リリアン・ギッシュ、ドロシー・ギッシュ

電話交換嬢と御婦人
The Telephone Girl and the Lady(17分・35mm・白黒)[MoMA]
’12(脚)エドワード・アッカー(撮)G・W・ビッツァー(出)メイ・マーシュ、アルフレッド・パジェット、クレア・マクダウエル、ウォルター・P・ルイス、ハリー・ケリー

たかが黄金
Just Gold(17分・35mm・白黒)[MoMA]
’13(脚)ジョージ・ヘネシー(撮)G・W・ビッツァー(出)リリアン・ギッシュ、ライオネル・バリモア、ケイト・ブルース

G-7 1/10(金)3:00pm 1/19(日)4:00pm
短篇集[7](計61分)

「最後の瞬間の救出」の優れた例を見せる『エルダーブッシュ峡谷の戦い』は、れっきとした西部劇でありながら、孤児というグリフィス映画を語る上で欠かせないテーマを担っている点でも重要である。また『先史時代』(プリント上の題名In Prehistoric Daysに基づく題)は、同じ男(R・ハロン)と女(M・マーシュ)が現代と原始時代を行き来するコメディで、ハワード・ホークスの『無花果の葉』(1926年)との比較も有意義だろう。

エルダーブッシュ峡谷の戦い
The Battle at Elderbush Gulch(29分・35mm・白黒)[MoMA]
’13(脚)D・W・グリフィス(撮)G・W・ビッツァー(出)メイ・マーシュ、ロバート・ハロン、リリアン・ギッシュ、アルフレッド・パジェット

先史時代
Brute Force(32分・35mm・白黒)[MoMA]
’13(脚)(撮)(出)ロバート・ハロン、メイ・マーシュ、ウィルフレッド・ルーカス、チャールズ・ヒル・メイルズ、ウィリアム・J・バトラー

G-8 1/10(金)7:00pm 1/16(木)3:00pm
アッシリアの遠征
Judith of Bethulia
(60分・16mm・染色)

聖書外典に基づく史劇で、これまで日本ではしばしば「ベッスリアの女王」という題名で紹介されてきた。1913年7月に撮影されたが、それまで1巻物を主としていたグリフィスにとって、この4巻という長さは破格であった。この作品を最後として、グリフィスは450本以上の監督作を残したバイオグラフ社を去ることとなる。今回上映されるのは16mmの速度調整版プリントであるが、染色の箇所は当時のオリジナル・プリントと同じである。

’13(原)トーマス・ベイリー・オルブリッジ(脚)フランク・E・ウッズ(撮)G・W・ビッツァー(出)ブランチ・スウィート、ヘンリー・B・ウォルソール、メイ・マーシュ、ロバート・ハロン、リリアン・ギッシュ

G-9 1/11(土)0:00pm 1/14(火)7:00pm
大疑問
The Greatest Question
(81分・35mm・白黒)[MoMA]

幼時に殺人事件を目撃した無垢な少女ネリー(L・ギッシュ)は、成長してある家族に引き取られるが、いつしかかつての殺人犯夫婦の家を訪れ、何も知らぬままそこでメイドとして働くことになる。グリフィスがしばしば描いた題材の一つに貧しい白人(ルビ:プア・ホワイト)たちの生活があるが、そうした世情を背景に、まばゆいばかりの田園風景の中で緊張した物語が展開する本作は、グリフィスの隠れた傑作の一つに挙げられよう。

’19(原)ウィリアム・ヘイル(脚)スタナー・E・V・テイラー(撮)G・W・ビッツァー(出)リリアン・ギッシュ、ロバート・ハロン、ラルフ・グレイヴズ、ユージェニー・ベッセラー、ジョージ・フォーセット、トム・ウィルソン、ジョージ・ニコルズ、ジョセフィン・クロウエル

G-10 1/11(土)4:00pm 1/15(水)7:00pm
アメリカ
America
(130分・35mm・白黒)[MoMA]

アメリカ独立戦争に題材を求めたスペクタクル歴史劇で、登場人物が次々と現れては去る一大絵巻の観がある。グリフィスは、マサチューセッツの民兵ネイサン(N・ハミルトン)とヴァージニアの富豪の娘ナンシー(C・デンプスター)の恋物語をはさみつつ、歴史学者兼作家であるチェンバーズの原作をもとに細部に至るまで史実に反しないように配慮している。南北戦争を扱った『国民の創生』(1915年)、第1次大戦を扱った『世界の心』(1918年)とともに、言わば「戦争3部作」をなしている。

*途中で10分間の休憩時間を設けます

’24(原)ロバート・W・チェンバーズ(脚)ジョン・L・E・ベル(撮)G・W・ビッツァー、ヘンドリック・サートフ他(美)チャールズ・M・カーク(出)ニール・ハミルトン、キャロル・デンプスター、アーヴィル・オルダーソン、ライオネル・バリモア、チャールズ・エメット・マック、アーサー・デューイ、リー・ベッグス、ジョン・ダントン

G-11 1/12(日)0:00pm 1/15(水)3:00pm
素晴らしい哉人生
Isn’t Life Wonderful
(108分・35mm・白黒)[MoMA]

第1次大戦後にポーランドからベルリンの郊外にやってきた教師一家が、インフレ、失業、食糧難といった苦境の中で懸命に生きようとする様を描いた映画で、実際にドイツで撮影されたことでも注目される後期グリフィスの代表作。収穫した馬鈴薯を盗まれた男ポール(N・ハミルトン)を女インガ(C・デンプスター)が力強く励ますラスト・シーンは、黒澤明の『素晴らしき日曜日』(1947年)にも影響を与えたとされる。

’24(原)ジェフリー・モス(脚)D・W・グリフィス(撮)ヘンドリック・サートフ、ハル・シンツェニッチ(出)キャロル・デンプスター、ニール・ハミルトン、アーヴィル・オルダーソン、フランク・プーリア、ルピノ・レーン、ハンス・フォン・シュレットー

G-12 1/12(日)4:00pm 1/17(金)7:00pm
曲馬団のサリー
Sally of the Sawdust
(117分・35mm・白黒)[MoMA]

1923年にブロードウェイで上演されたミュージカル・コメディ「ポピー」の映画化。サーカスの道に進んで厳格な父から勘当された娘は、やがてサリーという子を産んで息を引き取る。成長したサリー(C・デンプスター)はサーカスの団長とともに母の郷里を訪れるが、孫と祖父母は互いをそうとは知らない…。サリーの育ちの親となる団長を好演したW・C・フィールズは、「ポピー」の時から同じ役柄で人気を得ていたが、この作品から喜劇映画スターへの道のりを歩み始めた。

’25(原)ドロシー・ドネリー(脚)フォレスト・ハルジー(撮)ハリー・フィッシュベック、ハル・シンツェニッチ(美)C・M・カーク(出)キャロル・デンプスター、W・C・フィールズ、アルフレッド・ラント、エフィー・シャノン、アーヴィル・オルダーソン、グレン・アンダーズ、チャールズ・ハモンド、ロイ・アップルゲイト

ピアノ伴奏者紹介(五十音順)

小川由希子(おがわ・ゆきこ)

東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業後、同大学研究生2年修了。1994年ピティナ・ピアノコンペティション特級、銀賞受賞、あわせて審査員特別賞などを受賞。1995年日演連推薦新人演奏会に出演。1997年第7回日本モーツァルト音楽コンクール第2位受賞(1位なし)。1998年から2000年までクフモ音楽祭ミュージックキャンプに参加。2000年、東京文化会館新進演奏家デビューリサイタルに出演。これまで日本フィルハーモニー交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団などと共演。現在、ベートーヴェン室内楽全曲演奏会を手掛けるほか、室内楽を中心に活動している。

作曲:石川洋光(いしかわ・ひろみつ)

1995年東京音楽大学作曲専攻映画・放送音楽コース卒業。在学中にオーケストラ編曲を手がけたのを皮切りに作編曲活動を開始。その後渡米し、南カリフォルニア大学映画音楽作曲コースでハリウッド映画の作曲法を学ぶ。2000年同コース修了。作曲を糀場富美子、三枝成彰、エルマー・バーンスタイン、デヴィッド・ラクシン、クリストファー・ヤングに師事。主要作品に「廻る夏、巡る日々」「Impressions~クラリネット5本のための」。劇団ポッシビリティのミュージカルで作・編曲を担当したほか、「A Right to Die」(アレクサンダー・ヘルミ監督)を始めとする映画音楽を発表。現在、東京音楽大学助手。

作曲:長谷川久美子(はせがわ・くみこ)[プロフィール後掲]

小原孝(おばら・たかし)

1986年国立音楽大学院を修了。クロイツァー記念賞を受賞し、初のリサイタルを開く。ピアノ及び伴奏法を菅野洋子、古代公子、ヨン・ブリック、畑中更予、小林道夫、塚田佳男、ルドルフ・ヤンセンの各氏に師事。「ねこふんじゃったSPECIAL」「ピアノよ歌え」第1~8集、「イヴェットのためのソナティネ」など1990年CDデビュー以来20枚以上のCDを発表。2002年、第13回奏楽堂日本歌曲コンクール優秀共演者賞受賞。エッセイ集「ねこふんじゃったの国から」を発売。現在国立音楽大学非常勤講師。パーソナリティを担当するNHK-FM「弾き語りフォーユー」がABU賞ラジオ部門でエンターテインメント番組賞を受賞。

木下愉厘子(きのした・ゆりこ)

東京音楽大学ピアノ演奏家コースを経て、1999年同大学研究生2年修了。第2回彩の国・埼玉ピアノコンクールE部門、銀賞受賞。第4回同コンクールF部門銅賞受賞。第21回ピティナ・ピアノコンペティション特級(ピアノデュオ)、優秀賞受賞。日本フィルハーモニー交響楽団と「動物の謝肉祭」(サン・サーンス)を共演。これまでに宮川結佳、川島みどり、播本三恵子、倉沢仁子の各氏に師事。現在、ピアノ・ソロやデュオ、室内楽で活動しまた後進の指導にもあたっている。

作曲:石川洋光(プロフィール前掲)

小林弘人(こばやし・ひろと)

東京芸術大学音楽学部作曲科を経て、2000年同大学院を修了。作曲を佐藤眞、林光の両氏に師事。管弦楽、舞台音楽などの委嘱作曲・編曲を手がける。1998年東京国際室内楽作曲コンクール第3位入賞、同年フランスINA-GRMスタジオでの作品制作など、電子音楽の研究を開始。また自作をはじめソロ、室内楽からジャズ、オペラまで幅広いジャンルの演奏活動を続けている。現在、東京芸術大学音楽環境創造科非常勤講師。

高野秀峰(たかの・ひでみね)

明治学院大学と武蔵野音楽大学を卒業。自作品に管弦楽、室内楽、バレエ音楽などがある。無声映画の音楽はアテネ・フランセ文化センターにおける『パッション』のほか、『ジークフリート』『メトロポリス』『裁かるるジャンヌ』など。チェコ国立モラヴィア・フィルハーモニーを指揮して欧州にデビュー、また昨年の「トロヴァトーレ」公演は「音楽現代」誌上で高く評価された。現在、新国立劇場で副指揮を務めている。

土田英介(つちだ・えいすけ)

東京芸術大学音楽学部作曲科、同大学院を修了。大学内で長谷川賞を受賞。作曲を松村禎三、黛敏郎、川井学、木村雅信に、ピアノを徳川愛子、立野了子、ソルフェージュをH・ピュイグ=ロジェに師事する。第53回日本音楽コンクール作曲部門第1位入賞。第14回民音現代作曲音楽祭にて委嘱曲「交響的譚詩」が初演される。現在、東京音楽大学助教授。東京芸術大学、桐朋学園大学などで非常勤講師を務め、また作曲活動の傍らピアニストとしても活躍している。

長谷川久美子(はせがわ・くみこ)

1994年東京音楽大学作曲専攻映画・放送音楽コース卒業。在学中、ピアノの連弾によるユニット「Hands two Hands」を鈴木大と結成、ピアノとヴォーカルを担当している。2001年には同名のファースト・アルバム、2002年にはセカンド・アルバム「サクラ」を発表した。目黒ブルースアレイを拠点に各地でライヴ活動を盛んに行う傍ら、ミュージカルのピアニストや劇中音楽の作曲、2003年5月公開予定の映画『ここに幸あり』(けんもち聡監督)の音楽も担当している。現在、東京音楽大学研究員。

長谷川慶岳(はせがわ・よしたか)

東京芸術大学音楽学部作曲科を経て、同大学院修士課程作曲専攻を修了。その後フランスに留学、パリのエコール・ノルマル音楽院作曲専攻最高課程を首席で卒業。第69回日本音楽コンクール作曲(管弦楽)部門で入選、第10回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門で第2位、またピアノデュオ作品による第5回国際作曲コンクールにて特別賞・毎日新聞社賞を受賞している。