大ホール上映作品 1998-1999 日本におけるフランス年協賛企画

憧憬のフランス映画-1930年代作品を中心に-

En souvenir du cinema francais

 明治以来、フランスの文化と芸術は日本人にとってまさにあこがれの対象でした。 映画もまたその典型であり、日本における映画の輸入史は、 驚くほど早い時期から多くのフランス映画をそのリストに載せています。

 こうした憧憬に合わせて、 フィルムセンターではこれまで何度もフランス映画特集を実施してきましたが、 今回はNFC所蔵の1930年代作品を中心に、 1924年から1952年までに製作された長篇38本、短篇7本を選び、 全39番組に構成して上映いたします。

 「日本におけるフランス年」(1998年4月~1999年3月) とルネ・クレール生誕百周年を記念して企画された本特集を機に、 半世紀前の日本人が心酔したフランス映画の数々をお楽しみください。

■(監)=監督・演出 (脚)=脚本、脚色、台詞 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演
■本特集で上映される長篇作品は全て日本語字幕付きです。
■本特集には不完全なプリントが含まれています。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。


A-1 1/12(火)3:00pm

巴里-伯林 Hallo, Hallo, hier spricht Berlin

(80分)
パリとベルリンの電話局にそれぞれ勤める男女の物語を軸に繰り広げられる軽妙な恋愛 喜劇で、日本に初めてデュヴィヴィエ監督を紹介した作品。製作当時仏語版と独語版が作 られたが、所蔵の独語版を上映する。

'31(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(撮)ライマール・クンツェ他(美)エーリッヒ・チ ェルヴォンスキ(音)カロル・ラートハウス(出)ジョゼット・デー、ジェルメーヌ・オーセ ー、ヴォルフガング・クライン


A-2 1/12(火)6:30pm

巴里の暗黒街 Au nom de la loi

(77分)
ある刑事の死を契機に、パリ警察と麻薬密輸団との暗闘が始まる。トゥールヌール監督 は、同じく麻薬売買を扱った「港の掠奪者」(1934年)とともに、パリだけでなく1930 年代マルセイユの暗黒街の雰囲気をも作り出した。

'32(監)(脚)モーリス・トゥールヌール(脚)ポール・ブランギエ(撮)ジョルジュ・ブノワ他 (美)ジャック・コロンビエ(出)マルセル・シャンタル、ガブリエル・ガブリオ、シャルル・ ヴァネル、ジャン・マルシャ


A-3 1/13(水)3:00pm

にんじん Poil de carotte

(93分)
ジュール・ルナールの有名な戯曲を基に、家族の愛情を得られない少年《にんじん》の姿 を描いた作品。心理描写に重点を置いた演出は、やがてフランスのトーキー映画に「文芸 映画」への傾斜を促してゆく。

'32(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(撮)アルマン・ティラール他(美)リュシアン・ア ゲタン他(音)アレクサンドル・タンスマン(出)ロベール・リナン、アリー・ボール、カト リーヌ・フォントネ


A-4 1/13(水)6:30pm

モンパルナスの夜 La tete d'un homme

(90分)
ジョルジュ・シムノンの「メグレ警部」シリーズの一篇を映画化したもので、メグレ(H・ ボール)が殺人事件の真犯人を追い求める様を陰鬱とした空気で包んでいる。酒場のシー ンで歌うのはシャンソン歌手ダミアである。

'32(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(脚)ルイ・ドラプレ(撮)アルマン・ティラール(美) ジョルジュ・ワケヴィッチ(音)ジャック・ダラン(出)アリー・ボール、ヴァレリー・イン キジノフ、ジナ・マネス


A-5 1/14(木)3:00pm

ドン・キホーテ Don Quichotte

(85分)
ナチス政権下のドイツを去った名監督パプストが、ロシアの世界的なバリトン歌手シャリ アピン(当時60歳)を、フランス語を操るドン・キホーテに起用した異色の作品。その 画面作りはリズムより絵画的構成を重視している。

'33(監)ゲオルグ=ヴィルヘルム・パプスト(脚)ポール・モラン(撮)ニコラ・ファルカス(美) アンドレ・アンドレイエフ(音)ジャック・イベール(出)フョードル・シャリアピン、ドル ヴィル、アルレット・マルシャル


A-6 1/14(木)6:30pm

上から下まで Du haut en bas

(81分)
サッカーの花形選手(J・ギャバン)を中心に、ウィーンの下町のアパートに暮らす人々 を活写したパプスト監督のフランスでn第2作。ドイツ映画を革新した撮影の名手シュフ タンは、以降フランス映画に多大な貢献をなしてゆく。

'33(監)ゲオルグ=ヴィルヘルム・パプスト(脚)アンナ・グマイナー(撮)オイゲン・シュフ タン(美)エルネ・メッツナー(音)マルセル・ラッテス(出)ジャン・ギャバン、ジャニーヌ・ クリスパン、M・シモン


A-7 1/15(金・祝)1:00pm

沐浴 L'ordonnance

(74分)
老大佐と結婚したために満たされない生活を送る若い人妻(M・シャンタル)が、青年将 校との恋に陥ったために起きる悲劇。原作を書いたモーパッサンらしい自然主義的な人間 描写が、情緒的な画面作りと結びつく。

'33(監)(脚)ヴィクトル・トゥールジャンスキ(脚)ボリス・ド・ファスト(撮)フェドール・ ブルガソフ他(美)セルジュ・ピメノフ(音)ルネ・シルヴィアーノ(出)マルセル・シャンタ ル、ジャン・ヴォルムス、フェルナンデル、アレクサンドル・リニョー、ジョルジュ・リ ゴー


A-8 1/15(金・祝)4:00pm

乙女の湖 Lac aux dames

(90分)
チロル山中の避暑地へ水泳を教えに来た美青年と、3人の女性とのロマンティックな恋愛 物語で、S・シモンのみずみずしさが印象的。当時の有力な批評誌「ルヴュ・デュ・シネ マ」を創刊したジャン=ジョルジュ・オリオルも脚色にあたっている。

'34(監)マルク・アレグレ(脚)コレット他(撮)ジュール・クリュジェール(美)ラザール・メ ールソン(音)ジョルジュ・オーリック(出)ジャン=ピエール・オーモン、ロジーヌ・ドレ アン、シモーヌ・シモン


A-9 1/16(土)1:00pm

商船テナシチー Le paquebot Tenacity

(73分)
カナダ行きの船が出る港町ル・アーヴルで、新しい生き方を求めようとする二人の男と一 人の女の人生模様がペシミスティックに描かれる。日本では1934年の「キネマ旬報」誌 の外国映画部門で1位を得た。

'34(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(脚)シャルル・スパーク(撮)ニコラ・エイエ他(美) ジャック・クロース(音)ジャン・ヴィエネール(出)マリー・グローリー、アルベール・プ レジャン、ユベール・プレリエ


A-10 1/16(土)4:00pm

白き処女地 Maria Chapdelaine

(75分)
今世紀初頭、カナダの原野を拓いたフランス系開拓民の献身的な生きざまを描く。フラン スの「海外植民地映画」の新たな展開であり、1949年には英仏合作で再映画化された。J・ ギャバンはデュヴィヴィエ作品への初出演となった。

'34(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(撮)ジュール・クリュジェール(美)ジャック・ク ロース(音)ジャン・ヴィエネール(出)マドレーヌ・ルノー、ジャン・ギャバン、ジャン= ピエール・オーモン


A-11 1/19(火)3:00pm

熱風 Amok

(92分)
酷暑のジャワ地方を舞台に、妊娠した上流階級の人妻と医師との交流を描くシュテファ ン・ツヴァイクの小説の映画化。ロシアのオツェプとメールソン、ドイツのクーラントな ど非フランス的な才能の集結も興味深い。

'34(監)フェドール・オツェプ(脚)アンドレ・ラング(撮)クルト・クーラント(美)ラザール・ メールソン(音)カロル・ラートハウス(出)マルセル・シャンタル、ジャン・ヨネル、ヴァ レリー・インキジノフ


A-12 1/19(火)6:30pm 2/18(木)3:00pm

ミモザ館 Pension Mimosas

(112分)
コート・ダジュールでペンションを営む女主人が、パリから戻ってきた養子に愛情を感じ たことから始まる悲劇。妻F・ロゼーの卓越した演技を前面に出したこのフェデー作品は、 この時期のフランス映画の典型を示した。

'34(監)(脚)ジャック・フェデー(脚)シャルル・スパーク(撮)ロジェ・ユベール(美)ラザー ル・メールソン(音)アルマン・ベルナール(出)フランソワーズ・ロゼー、ポール・ベルナ ール、ジャン・マックス、リーズ・ドラマール、アンドレ・アレルム、レイモン・コルデ ィ


A-13 1/20(水)3:00pm

別れの曲 La chanson de l'adieu

(84分)
故郷ポーランドを離れパリへ旅立つ作曲家ショパンの若き日に焦点をあてた音楽映画。既 にフォン・ボルファリ監督はドイツで、同じ物語を「Abschiedswalzer(別れのワルツ)」 (1931年、日本未公開)として監督している。

'34(監)ゲーザ・フォン・ボルファリ(脚)ジャック・ナタンソン(撮)ヴェルナー・ブランデ ス(美)エミール・ハスラー(音)フレデリック・ショパン(出)ジャン・セルヴェ、ジャニー ヌ・クリスパン、カトリーヌ・フォントネ、リュシエンヌ・ルマルシャン


A-14 1/20(水)6:30pm

かりそめの幸福 Le bonheur

(110分)
社会変革を目指す若き画家(C・ボワイエ)とアメリカ帰りの映画スター(G・モルレー) が織りなすメロドラマ。後にハリウッドの名撮影監督となるストラドリングにとって、フ ランス時代を代表する作品の一つとなった。

'35(監)(脚)マルセル・レルビエ(撮)ハリー・ストラドリング(美)ギ・ド・ガスティーヌ(音) ビリー・コルソン(出)ギャビー・モルレー、シャルル・ボワイエ、ポーレット・デュボス ト、ジャック=カトラン、ミシェル・シモン、ジャントゥールー


A-15 1/21(木)3:00pm

ゴルゴタの丘 Golgotha

(96分)
脚本の段階からカトリック教会の指導を受け、キリストのエルサレム入りから受難、復活 までが描かれる。生涯呪われた役柄を演じ続けた怪優ル・ヴィガンにとって、このキリス ト役は一つの象徴とも言えるだろう。

'35(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(脚)ジョゼフ・レイモン(撮)ジュール・クリュジ ェール(美)ジャン・ペリエ(音)ジャック・イベール(出)ロベール・ル・ヴィガン、ジャン・ ギャバン、エドウィージュ・フイエール


A-16 1/21(木)6:30pm

最後の戦闘機 L'equipage

(102分)
第1次大戦の前線で、一心同体のコンビを組むパイロット(C・ヴァネル)と偵察兵(J-P・ オーモン)。だがパイロットは、自分の妻が偵察兵の愛人であることを知って悩む。M・ トゥールヌール監督作品(1928年)のリメイク。

'35(監)(脚)アナトール・リトヴァク(脚)ジョゼフ・ケッセル(撮)アルマン・ティラール(美) リュシアン・アゲタン他(音)アルチュール・オネゲル(出)アナベラ、シャルル・ヴァネル、 ジャン・ミュラ、ジャン=ピエール・オーモン


A-17 1/22(金)3:00pm

罪と罰 Crime et chatiment

(111分)
ドストエフスキーの世界的な傑作小説を、長篇3作目となる新人監督シュナールが演出し た。とりわけラスコーリニコフ役のP・ブランシャールと予審判事役のH・ボールが対決 するシーンは見所である。

'35(監)(脚)ピエール・シュナール(脚)クリスチャン・スタンジェル(撮)ジョゼフ=ルイ・ ムントウィラー他(美)エメ・バザン(音)アルチュール・オネゲル(出)アリー・ボール、ピ エール・ブランシャール、マドレーヌ・オズレー、リュシエンヌ・ルマルシャン


A-18 1/22(金)6:30pm 2/20(土)4:00pm

女だけの都 La kermesse heroique

(101分)
1616年、フランドル地方の小都市が、スペインの軍隊が通過すると聞いて騒然とする。軍 隊を鎮めようと市長は死んだ振りをして、町はニセの喪に服す。スパーク=フェデーのコ ンビによる代表的な作品の一つ。

'35(監)(脚)ジャック・フェデー(脚)シャルル・スパーク(撮)ハリー・ストラドリング(美) ラザール・メールソン(音)ルイ・ベイツ(出)フランソワーズ・ロゼー、ジャン・ミュラ、 アンドレ・アレルム、ルイ・ジューヴェ、ミシュリーヌシェ


A-19 1/23(土)1:00pm

赤ちゃん Le mioche

(96分)
独身の男性教師が捨て子を育てることになったが、学校の宿舎で育てているところを女学 生に見つかり大騒ぎに。中年男と女学生たちのやりとりを軽妙に描いたこの作品が、ロシ ア出身のL・モギーにとってのデビュー作となった。

'36(監)(脚)レオニード・モギー(脚)ダニエル・マヤ他(撮)ミシェル・ケルベール他(美) ピエール・シルド(音)ミシェル・レヴィーヌ(出)リュシアン・バルー、ガブリエル・ドル ジア、ポーリーヌ・カルトン、マドレーヌ・ロバンソン


A-20 1/23(土)4:00pm

うたかたの恋 Mayering

(82分)
1889年、ハプスブルク王家の皇太子ルドルフ(C・ボワイエ)が男爵令嬢マリア(D・ダリ ュー)と心中するに至った悲恋を題材にした作品。戦前の検閲で上映を許されなかった日 本では、1946年になって公開された。

'36(監)アナトール・リトヴァク(脚)ジョゼフ・ケッセル(撮)アルマン・ティラール(美) セルジュ・ピメノフ(音)アルチュール・オネゲル(出)シャルル・ボワイエ、ダニエル・ダ リュー、マルト・レニエ、シュジー・プリム、ジャン・ダックス


A-21 1/26(火)3:00pm

美しき青春 Helene

(107分)
自然に囲まれたフランス南東部のグルノーブル大学で、それぞれ苦悩を抱えながらも勉学 に励む学生たち。主演のM・ルノーとJ-L・バローは後に実生活でも夫婦となって共にフ ランスの演劇と映画を支えた。

'36(監)(脚)ジャン・ブノワ=レヴィ、マリー・エプスタン(撮)レオンス=アンリ・ビュレ ル(美)リュシアン・カレ(音)マルセル・ラッテス(出)マドレーヌ・ルノー、コンスタン・ レミー、ジャン=ルイ・バロー


A-22 1/26(火)6:30pm

禁男の家 Club des femmes

(78分)
ダンサー、タイピスト、学生、電話交換手など、若い独身女性だけが住む男子禁制の宿舎。 そこで次々に起こるトラブルを、一つの建物を中心に描こうとするその語り口はブールヴ ァール演劇の才人ドゥヴァルらしい手法であろう。

'36(監)(脚)ジャック・ドゥヴァル(撮)ジュール・クリュジェール(美)リュシアン・アゲタ ン(音)マリウス=フランソワ・ガイヤール(出)ダニエル・ダリュー、ベティ・ストックフ ェルド、ヴァランティーヌ・テシエ、エーヴ・フランシス、ジョゼット・デー


A-23 1/27(水)3:00pm

ジェニイの家 Jenny

(90分)
J・フェデーの助監督だったマルセル・カルネのデビュー作で、後に緊密な協力関係を築 くことになるJ・プレヴェールが台詞執筆に参加している。自分の娘と同い年の恋人を持 つ中年女性の心の葛藤を繊細に描く。

'36(監)マルセル・カルネ(脚)ジャック・プレヴェール他(撮)ロジェ・ユベール(美)ジャン・ ドーボンヌ(音)ジョゼフ・コスマ他(出)フランソワーズ・ロゼー、アルベール・プレジャ ン、シャルル・ヴァネル、ジャン=ルイ・バロー、ロラン・トゥータン、リゼット・ラン ヴァン


A-24 1/27(水)6:30pm

シュヴァリエの流行児 L'homme du jour

(85分)
大女優を助けて街の英雄になったものの、一転して落ちぶれてしまう歌手志望の青年を、 アメリカで活躍中だったスター歌手シュヴァリエに演じさせた珍しい趣向の作品で、彼の フランス映画でのトーキー初出演になる。

'36(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(脚)シャルル・スパーク他(撮)ロジェ・ユベール (美)ジャック・クロース(音)ジャン・ヴィエネール(出)モーリス・シュヴァリエ、エルヴ ィール・ポペスコ、アンドレ・アレルム


A-25 1/28(木)3:00pm

地中海 Nitchevo

(85分)
地中海に出没する謎の武器密輸船を軸に、海に生きる男たちの戦いを描いた海洋映画。 ド・バロンセリ監督は幅広いジャンルに携わったが、中でも海や砂漠といった《冒険》の テーマは無声時代から続くものである。

'36(監)ジャック・ド・バロンセリ(脚)アンドレ・ブークレル(撮)ジャン・バシュレ他(美) ジョルジュ・ワケヴィッチ他(音)アルチュール・オネゲル(出)アリー・ボール、マルセル・ シャンタル、イヴァン・モジューヒン、ジョルジュ・リゴー、リゼット・ランヴァン


A-26 1/28(木)6:30pm 2/27(土)1:00pm

望郷 Pepe le Moko

(92分)
アルジェのカスバ地区に逃げ込んだお尋ね者のペペ(J・ギャバン)が、パリから来た女 (M・バラン)の魅力に憑かれ、望郷の念にかられるままに破滅する。製作の、アキム兄 弟による会社パリ・フィルムは、後にも数々の名作を生んだ。

'36(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(脚)ジャック・コンスタン他(撮)ジュール・クリ ュジェール他(美)ジャック・クロース(音)ヴァンサン・スコット他(出)ジャン・ギャバン、 ミレイユ・バラン、リーヌ・ノロ


A-27 1/29(金)3:00pm

夜の空を行く Anne-Marie

(83分)
フランス航空省の全面協力を得て、女性操縦士をめぐる男たちの恋心と友情を描いた航空 映画。その物語は、「夜間飛行」など数多くの航空小説で知られるサン=テグジュペリが この映画のために書き下ろした。

'36(監)(脚)レイモン・ベルナール(脚)アンドレ・ラング(撮)ジュール・クリュジェール他 (美)ジャン・ドーボンヌ(音)ジャック・イベール(出)アナベラ、ピエール=リシャール・ ヴィルム、ジャン・ミュラ


A-28 1/29(金)6:30pm

格子なき牢獄 Prison sans barreaux

(88分)
少女感化院で起こる、若い女性院長と青年医師と更生中の少女の三角関係。少女を演じた 新星C・リュシェールとともに、札つきの不良少女役のG・ルクレールも、後の「密告」 (1943年)につながる鮮烈な印象を残す。

'37(監)(脚)レオニード・モギー(脚)ハンス・ヴィルヘルム(撮)クリスチャン・マトラ(美) ジョルジュ・ワケヴィッチ(音)ヴィル・グロシュ(出)アニー・デュコー、ロジェ・デュシ ェーヌ、コリンヌ・リュシェール、ジネット・ルクレール


A-29 1/30(土)1:00pm

白鳥の死 La mort du cygne

(76分)
ブノワ=レヴィとエプスタンの共同監督による第8作で、オペラ座のプリマ、Y・ショー ヴィレをはじめ一流のバレリーナたちを擁して撮ったバレエ映画。敬愛するプリマのた め、そのライバルに怪我をさせてしまう少女を描く。

'37(監)(脚)ジャン・ブノワ=レヴィ、マリー・エプスタン(撮)レオンス=アンリ・ビュレ ル(美)リュシアン・カレ他(音)J・E・シフェール(出)イヴェット・ショーヴィレ、ミア・ スラヴェンスカ、ジャニーヌ・シャラ


A-30 1/30(土)4:00pm

忘却の沙漠へ S.O.S. Sahara

(79分)
世をすねてサハラ砂漠の真ん中にある自動車基地に住む五人の男たちの間へ、一人の女が 紛れ込んだことから起こる心理的葛藤。やがて始まる戦争を境に、フランス映画からこう した海外領土=植民地の風景は徐々に消えてゆく。

'38(監)ジャック・ド・バロンセリ(脚)ジャック・コンスタン(撮)ギュンター・リッタウ (美)H・フローベルク(音)ロタール・ブリューネ(出)シャルル・ヴァネル、ジャン=ピエ ール・オーモン、レイモン・コルディ


A-31 2/9(火)3:00pm

パニック Panique

(98分)
米国亡命から戻ったデュヴィヴィエ監督の帰還第1作。風変わりな中年男(M・シモン) に無実の罪を着せ、死に追いやってゆく周囲の無理解と男の孤独は、原作者シムノンの世 界とも切り離せないテーマであろう。

'47(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(脚)シャルル・スパーク(撮)ニコラ・エイエ(美) セルジュ・ピメノフ(音)ジャン・ヴィエネール(出)ヴィヴィアーヌ・ロマンス、ミシェル・ シモン、ポール・ベルナール、


A-32 2/9(火)6:30pm 2/27(土)4:00pm

巴里の空の下セーヌは流れる Sous le ciel de Paris coule la Seine

(116分)
彫刻家、医学生、労働者、猫好きの老女など、複数のスケッチとシャンソンを織り交ぜな がら、土曜の夜明けから日曜の夜明けに至るパリジャンたちの24時間の人間模様を語る。 パリ市2000年祭を記念して製作された。

'51(監)(脚)ジュリアン・デュヴィヴィエ(撮)ニコラ・エイエ(美)ルネ・ムレール(音)ジャ ン・ヴィエネール(出)ブリジット・オーベール、ジャン・ブロシャール、ルネ・ブランカ ール、ポール・フランクール


A-33 2/10(水)3:00pm

ジャン・ブノワ=レヴィ・バレエ映画選集 Films du ballet de J. Benoit-LEvy

(計66分)
戦後、国連の視聴覚情報部長を務めたブノワ=レヴィは、本国に戻ってエプスタンと共に 短篇バレエ映画に着手した。これらの上映作品はいずれも1952年製作で日本未公開であ る。 結婚紹介所 Agence matrimoniale(13分)

ダンス会議 Le congres de la danse(14分)

短剣 Le poignard(13分)

橋の下で Sous les ponts(13分)

一人の召使に二人の主人 Deux maitres pour un valet(13分)


ルネ・クレール選集 SELECTION: RENE CLAIR

C-1 3/16(火)3:00pm 3/19(金)6:30pm 3/24(水)3:00pm

幕間 Entr'acte

(19分・18fps・無声)
当時の前衛芸術の錚々たる面々が出演する、フランス・アヴァンギャルド映画の代表的作 品。スウェーデンの即興バレエ「休演」のまさに《幕間》に上映された。

'24(監)ルネ・クレール(脚)(美)(出)フランシス・ピカビア(撮)ジミー・ベルリエ(音)(出) エリック・サティ(伴奏用)(出)ジャン・ボルラン、マン・レイ、マルセル・デュシャン、 インゲ・フリース

塔 La tour

(12分・24fps・無声)
美しい鉄骨組みで知られるエッフェル塔を縦横に捉えた短篇。撮影のG・ペリナルは、こ の後「巴里祭」に至るクレールの名作群を生み出すことになる。

'28(監)ルネ・クレール(撮)ジョルジュ・ペリナル、ニコラ・ルダコフ

風の餌食 La proie du vent

(104分・16fps・無声)
嵐のためにスロヴァキア領内の城に不時着した飛行機のパイロットが、城の中で世話を受 けているうち、ある夜救助を求める女と出会う。題材を模索する様がうかがえる、クレー ルの非常に珍しい初期作品(日本未公開)。

'26(監)(脚)ルネ・クレール(撮)ロベール・バットン他(美)ラザール・メールソン(出)サン ドラ・ミロヴァノフ、シャルル・ヴァネル、J・ミュラ


C-2 3/16(火)6:30pm 3/19(金)3:00pm 3/24(水)6:30pm

イタリアの麦藁帽子 Un chapeau de paille d'Italie

(123分・16fps・無声)
結婚式を前にした花婿(A・プレジャン)の馬が、女性の帽子を食べてしまったことから 巻き起こる騒ぎの顛末。「風の餌食」に続き、亡命ロシア人の製作会社アルバトロスの手 で実現した、クレールの無声時代後期の秀作である。

'27(監)(脚)ルネ・クレール(撮)モーリス・デファシオ他(美)ラザール・メールソン(出) アルベール・プレジャン、オルガ・チェホヴァ、マリーズ・マヤ、アリス・ティソ、アレ クシス・ボンディレフ


C-3 3/17(水)3:00pm 3/20(土)4:00pm

ル・ミリオン Le million

(84分)
100万フローリンという大当りの宝くじがポケットに入っている古い上着の行方をめぐっ て、町の人々が巻き起こす騒動が軽快に語られる。19世紀から続くヴォードヴィル喜劇へ の、監督の愛情が垣間見られる一篇。

'31(監)(脚)ルネ・クレール(撮)ジョルジュ・ペリナル(美)ラザール・メールソン(音)アル マン・ベルナール他(出)アナベラ、ルネ・ルフェーヴル、ルイ・アリベール、ポール・オ リヴィエ、オデット・タラザック


C-4 3/17(水)6:30pm 3/20(土)1:00pm

自由を我等に A nous la liberte

(88分)
刑務所から出所はしたが、工場に行けば単調な労働に縛られ「自由」などどこにも見つか らない……。クレール自らのオリジナル脚本による作品であり、こうした諷刺精神もトー キー初期のクレール作品を彩る基調音である。

'31(監)(脚)ルネ・クレール(撮)ジョルジュ・ペリナル(美)ラザール・メールソン(音)ジョ ルジュ・オーリック(出)レイモン・コルディ、アンリ・マルシャン、ロラ・フランス、ポ ール・オリヴィエ、アンドレ・ミショー


C-5 3/18(木)3:00pm 3/23(火)6:30pm

巴里祭 Quatorze Juillet

(89分)
「巴里の屋根の下」(1930年)に続き、パリの下町情緒を綴ったクレールの代表作の一つ。 町並みのセットを設計したメールソンの美学はトローネルやドーボンヌらに引き継が れ、次世代のフランス映画に影響を与えた。

'32(監)(脚)ルネ・クレール(撮)ジョルジュ・ペリナル(美)ラザール・メールソン(音)モー リス・ジョベール(出)アナベラ、ジョルジュ・リゴー、ポーラ・イレリー、レイモン・コ ルディ、ポール・オリヴィエ


C-6 3/18(木)6:30pm 3/23(火)3:00pm

最後の億万長者 Le dernier milliardaire

(74分)
クレールの戦前フランスにおける最後の作品は、架空の国カジナリオを乗っ取った「億万 長者」バンコ氏をめぐって起こるドタバタ喜劇。悪乗りのきいたギャグの数々に、当初は なかなか製作者が現われなかったという。

'34(監)(脚)ルネ・クレール(撮)ルドルフ・マテ(美)リュシアン・アゲタン他(音)モーリス・ ジョベール(出)マックス・デアリー、ルネ・サン=シール、マルト・メロ、ジョゼ・ノゲ ロ、レイモン・コルディ