東京国立近代美術館 フィルムセンター

大ホール上映作品

NFC所蔵外国映画選集

1970年代映画の一断面
Films in the 1970s: A Profile
- From the Foreign Film Collection of the National Film Center -

 1970年代、世界の映画はどんな時代を迎えようとしていたのでしょうか。

 そこでは、まず、アメリカ製娯楽映画が--当時「1930年代映画ブーム」 といった言葉も使われたように、どちらかといえば懐古的な傾向を強めながら --世界中で絶大な人気を博していました。 しかし、その内部ではさまざまな面で新旧世代の交代が繰り返され、 来るべき作家たちの登場を準備していました。

 同じころ、アメリカ以外の地域ではさらに多彩な変化が始まっています-- 香港などの映画が活況を呈し始め、 インドや中南米に新たなアート・フィルムの胎動があり、 ドイツやオーストラリアに新しい映画の波が起こり、 東欧の作家が西側との関係を深め、 その西欧では国境を越えた合作が盛んに行なわれるなかで結果的に国産映画 (ナショナル・シネマ)の意味が問われて行きました……。

 1970年代のはじまりから四半世紀以上が経過した現在、 わたしたちはこの近過去が生み出した世界の映画文化を 検証してみる時期に来ているのかもしれません。 海外の映画言説にならって、'90年代の映画を<多様(ダイヴァーシティ) と等質(ホモジェニーティ)>のキーワードで語ることができるとすれば、 そうした概念を生む状況の萌芽を、 1970年代映画の中に見つけることはそれほど困難なことではないでしょう。

 本特集の作品群は、時代のごく一部を代表するに過ぎませんが、 こうした連続上映が1970年代の映画文化に正当な映画史の場所を 与える契機になれば幸いです。

 皆様のご来場をお待ち致します。


上映スケジュール


A-1 11/25(火)3:00pm

抵抗のプラハ

KLIC

1938年、独英伊の大国間の妥協によってミュンヘン協定が締結された。 翌年のドイツ軍のズデーテン地方侵攻、 チェコスロバキア占領にともない地下に追いこまれるチェコ共産党。 その徹底した弾圧に対する抵抗活動のなかで、 逮捕される中央委員ヤン。 同志たちは彼の素性をあかさぬまま次々と処刑されていく。(89分・カラ-)

'71チェコスロバキア(国立映画製作所)(監)ウラジミール・チェフ (脚)カミール・ピクサ、クリスチャン・トピッチ (撮)ヴァーツラフ・フニュカ(音)シュテパーン・ルッキー (出)フランディシェク・ヴィツェナ、ヴィルヘルム・コッホ=フーゲ、 ギュンター・フレリープ、ヴラスタ・ヴラスコーヴァ


A-2 11/25(火)6:30 pm 12/16(火)3:00pm

黒い砂漠

IL CASO MATTEI

1962年、謎の飛行機事故死をとげたイタリアの石油王、 国営炭化水素公社総裁エンリコ・マッテイ。 彼の死の真相をめぐって、 壮烈な闘いの生涯が浮かび上がる。 F・ロージによるその重厚な描写に対し、 増村保造監督は「ベートーベンの第五交響曲に匹敵する傑作」と語っている。 1972年度カンヌ国際映画祭グランプリ受賞。(117分・カラー)

'72イタリア(ヴィデス・チネマトグラフィカ) (監)(脚)フランチェスコ・ロージ(脚)トニーノ・グエッラ (撮)パスクァリーノ・デ・サンティス(音)ピエロ・ピッチョーニ (出)ジャン・マリア・ヴォロンテ、ルイジ・スカルツィーナ、 ピーター・ボールドウィン、レナート・ロマノ、ジャンフランコ・オンブエン


A-3 11/26(水)3:00pm 12/16(火)6:30pm

叫びとささやき

VISKNINGAR OCH ROP/CRIES AND WHISPERS

19世紀末のスウェーデン。 死を迎える名家の次女とそれを看取る二人の姉妹--生と死、 女と性をめぐるベルイマンの野心作で、 発表当時、世界中の批評家から絶賛を受けた。 「血の赤を背景に画家ムンクを思わせるスタイルで撮影された」(P・ケイル) と評されたニークヴィストの素晴しい仕事にはアカデミー撮影賞が贈られた。 (92分・カラー)

'72スウェーデン(シネマトグラフ)(監)(製)(脚)イングマール・ベルイマン (撮)スヴェン・ニークヴィスト(音)バッハ、ショパン (出)ハリエット・アンデルソン、イングリッド・チューリン、 リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン、カリ・シルヴァン


A-4 11/26(水)6:30pm 12/17(水)3:00pm

アギーレ 神の怒り

AGUIRRE, DER ZORN GOTTES

〈ニュー・ジャーマン・シネマ〉の雄W・ヘルツォークの名声を 一躍国際的なものに高めた作品。 黄金郷を目指すスペイン軍の分隊を率いて、 アマゾンの奥地に独立国を築こうとする男の破滅を、 迫力あるロケーションで描いている。 誇大妄想に憑かれた主人公を演じたK・キンスキーは、 以後ヘルツォーク作品を特徴づけていく。(93分・カラー)

'72西ドイツ(W・ヘルツォーク・フィルムプロ=ヘッセン放送) (監)(製)(脚)ヴェルナー・ヘルツォーク(製)ダニエル・カミノ (撮)トーマス・マオホ(音)ポポル・ヴー (出)クラウス・キンスキー、ルイ・ゲッラ、ペーター・ベルリング、 セシリア・リベラ


A-5 11/27(木)3:00pm 12/17(水)6:30pm

炎のマリア

KOZIAT ROG/THE GOAT'S HORN

日本で劇場公開された最初のブルガリア映画。妻を惨殺された羊飼いが、 残された娘に復讐の訓練をほどこす……。 トルコの圧政下にあった17世紀を舞台にした物語を、 現代作家ニコライ・ハイトフが自らの短篇「しでの葉」から映画用に脚色した。 監督のM・アンドーノフは第3作となったこの作品を最後に'74年に急逝した。 (99分・白黒)

'72ブルガリア(監)メトーディ・アンドーノフ(脚)ニコライ・ハイトフ (撮)ディーモ・コラロフ(音)シメオン・ピロンコフ (出)カーチャ・パスカレーワ、アントン・ゴルチェフ、ミレン・ペネフ


A-6 11/27(木)6:30pm 12/18(木)3:00pm

暗黒街のふたり

DEUX HOMMES DANS LA VILLE

暗黒小説を書き、自ら刑務所経験もあるJ・ジョヴァンニが、 出獄後も警察の罠によって更生を阻まれる男の姿を描くことで、 当時のフランスの死刑制度を批判した作品。 J・ギャバン最晩年の出演作であり、若きG・ドパルデューの姿も見られる。 クロード・ソーテ作品等で知られるP・サルドの叙情的な音楽も素晴らしい。 (99分・カラー)

'73フランス=イタリア(アデル・プロ=メドゥーサ・ディストリブツィオーネ) (監)(脚)ジョゼ・ジョヴァンニ(撮)ジャン=ジャック・タルベス (美)ジャン=ジャック・カジオ(音)フィリップ・サルド (出)アラン・ドロン、ジャン・ギャバン、ミムジー・ファーマー、 ミシェル・ブーケ、イラリア・オッキーニ


A-7 11/28(金)3:00pm 12/18(木)6:30pm

エスピオナージ

LE SERPENT

パリのソ連大使館員が、西側各国の高官として働くソ連のスパイたちのリストを 握って亡命し、 そのリストをめぐって暗殺と逃亡が繰り返される。 英米仏の大物俳優を起用して 冷戦下の諜報戦の内幕を描いたH・ヴェルヌイユ後期の大作で、 不安さを強調するE・モリコーネの音楽からは かつて現代音楽を志向した片鱗がうかがえる。(122分・カラー)

'73フランス=イタリア=ドイツ (レ・フィルム・ド・ラ・ボエシー=EIF=リアルト・フィルム) (監)(脚)アンリ・ヴェルヌイユ(原)ピエール・ノール (脚)ジル・ペロー(撮)クロード・ルノワール(美)ジャック・ソルニエ (音)エンニオ・モリコーネ (出)ユル・ブリンナー、ヘンリー・フォンダ、ダーク・ボガード、 フィリップ・ノワレ、ミシェル・ブーケ、ヴィルナ・リージ


A-8 11/28(金)6:30pm 12/19(金)3:00pm

インモラル物語

CONTES IMMORAUX

性のタブーにまつわる四つの逸話からなるオムニバス作品。 '50年代のポーランドを代表する実験アニメーション作家としても知られる ヴァレリアン・ボロウチックが、 規制を解かれた性表現の世界へ意欲的に参入したフランス時代の代表作。 アブノーマルな性的嗜好を持つ伯爵夫人を画家ピカソの娘パロマが演じている。 (105分・カラー)

'74フランス(アルゴス・フィルム) (監)(脚)(美)ウォレリアン・ボロヴズィック(製)アナトール・ドーマン (撮)ベルナール・ダイレンコー音モーリス・レ・ロー (出)リセ・ダンヴェルス、ファブリス・ルキ-ニ、シャーロッテ・アレキサンドラ、 パロマ・ピカソ


A-9 11/29(土)1:00pm

砂のミラージュ

MIRAGE

貧困の中でサッカー選手になることを夢見る少年と、 家族を失い廃虚と化した屋敷で暮らす地主の息子。 ペルーの社会と歴史に触れる題材を美しいスタイルで描いている。 A・R・ゴドイ監督の長篇4作目にあたり、 日本で劇場公開された最初のペルー映画でもある前作 「みどりの壁」とともに国際的な脚光を浴びた。(84分・カラー)

'74ペルー(アマル・プロ)(監)(脚)アルマンド・ロブレス・ゴドイ (製)ベルナルド・バティアフスキー(撮)マリオ・ロブレス・ゴドイ (音)エンリケ・ピネラ (出)セザール・エリアス、ヘルナン・ベジャール、エレナ・ロジオ、 オルランド・サッシャ、ガブリエル・フィガロア、ミゲル・アンジェル・フロレンス


A-10 11/29(土)4:00pm 12/19(金)6:30pm

ドラゴン水滸伝

封神榜/THE STORY OF CHINESE GODS

三千年前の中国を舞台に、殷の国を圧政で支配する紂王と天上の神々が 壮絶な武術戦を展開する。 ブルース・リーの登場がもたらしたクンフー映画ブームを 背景にアジア各国で量産された活劇映画の一つであるとともに、 アニメーション映画史的な観点からも珍しい香港製の (一説には台湾で製作されたとも言われる)長篇作品。(82分・カラー)

'75香港(チャン・イン・フィルム)(監)チャン・チー・ホイ(製)チャン・イン、 テン・ユー・リー(編)シェン・カン


A-11 12/2(火)3:00pm 12/20(土)1:00pm

パスクアル・ドゥアルテ

PASCUAL DUARTE

原作はノーベル賞作家カミロ・ホセ・セラの処女作 「パスクアル・ドゥアルテの家族」(1942年)。 スペイン内戦前後の荒涼とした村で、妹を奪われ、 妻にも死なれた男が憎悪の情に駆られ、ついには連続殺人に至るまでを描く。 殺人者パスクアルを演じたJ・L・ゴメスは 1976年のカンヌ国際映画祭で男優賞を受けた。(100分・カラー)

'75スペイン(監)(脚)リカルド・フランコ(製)(脚)エリーアス・ケレヘタ (原)カミロ・ホセ・セラ(脚)エミリオ・マルティネス=ラサロ (撮)ルイス・クアドラド(出)ホセ・ルイス・ゴメス、エクトル・アルテリオ、 パカ・オヘア、ディアナ・ペレス・デ・グスマン


A-12 12/2(火)6:30pm 12/20(土)4:00pm

ニッケルオデオン

NICKELODEON

映画草創期の製作現場を舞台に、 夢に生きる人々の姿を暖かい視点でノスタルジックに描いた ピーター・ボグダノヴィッチ作品。 評論家出身の彼の映画史に関する知識が散りばめられている。 不思議な出会いから、若い弁護士がハリウッドの監督に、 文学少女がシナリオ・ライターに、馬が得意な男がスターになっていく。 (122分・カラ-)

'76アメリカ(ロバート・チャートフ=アーウィン・ウィンクラー・プロ) (監)(脚)ピーター・ボグダノヴィッチ(脚)W・D・リヒター (撮)ラズロ・コヴァックス (音)リチャード・ハザード (出)ライアン・オニール、バート・レイノルズ、 テータム・オニール、ジェーン・ヒッチコック


A-13 12/3(水)3:00pm 12/24(水)3:00pm

民衆の敵

AN ENEMY OF THE PEOPLE

アクション・スターとして名を成したスティーヴ・マックイーンが イプセンの同名舞台劇の映画化に取組み、 周囲の無理解と闘う孤高の医師を熱演した作品。 自ら製作総指揮にあたったマックイーンは当時、 「金のために作ったのではない」と語っている。 なお、'89年にはサタジット・レイがインドを舞台に同原作を映画化している。 (107分・カラー)

'77アメリカ(ソーラー・プロ)(監)(製)ジョージ・シェーファー (原)ヘンリク・イプセン(原戯曲)、アーサー・ミラー(同翻案戯曲) (脚)アレクサンダー・ジェイコブズ (撮)ポール・ローマン(音)レナード・ローゼンマン (出)スティーヴ・マックイーン、ビビ・アンデルソン、チャールズ・ダーニング


A-14 12/3(水)6:30pm

少年と海

STORM BOY

オーストラリアの自然を背景に、 一人の少年が成長していく姿を詩情豊かに描いた作品。 隠者のように孤独に暮らす漁師の父とその息子。 静かな日々の中で少年は、先住民であるアボリジニと知り合い、 ペリカンのパーシバルを育てていく。 そのペリカンがハンターの犠牲になった時、 少年は町の学校へ通う決心をするのだった。(89分・カラ-)

'77オーストラリア(サウス・オーストラリアン・フィルム) (監)アンリ・サフラン(脚)ソニア・ボーグ(撮)ジェフ・バートン (美)デヴィッド・コッピング(音)マイケル・カーロス (出)グレッグ・ロウ、ピーター・カミンズ、デヴィッド・グルピリル、 ジュディ・ディック、トニー・アリソン


A-15 12/4(木)3:00pm 12/24(水)6:30pm

Mr.Boo ! ミスター・ブー

半斤八両/THE PRIVATE EYES

香港映画といえば、ブルース・リーに代表されるクンフー映画が一般的だった時代に 発表されたこの作品は、 そのサービス精神に溢れた過激な笑いでヒット作となった。 ソーセージのヌンチャクや鮫の頭蓋骨を使ったアクションなど 随所に工夫がこらされている。 なお「ミスター・ブー」は日本の配給会社のネーミングである。(100分・カラ-)

'76香港(ゴールデン・ハーヴェスト、ホイ・ブラザーズ) (監)(脚)(出)マイケル・ホイ(許冠文) (撮)チャン・ヤオ・チュウ音(出)サミュエル・ホイ(許冠傑) (音)ザ・ロータス(出)リッキー・ホイ(許冠英)、テレサ・チュー、リチャード・ウン


A-16 12/4(木)6:30pm 1/6(火)3:00pm

クワイヤボーイズ

THE CHOIRBOYS

ロサンゼルスの「落ちこぼれ」警官たちの行状を 描いたロバート・オルドリッチ監督(1918~1983)、晩年作の一つ。 「'60、'70年代の多くの若手映画監督たちにとって一つのモデルとなった」 オルドリッチだが、この作品に対する海外の評価は相当に厳しく、 ベストセラーとなった小説の原作者からも嫌われたとされる。(118分・カラー)

'77アメリカ=イタリア(ロリマー=エアワン・プロ) (監)ロバート・オルドリッチ (原)ジョゼフ・ワンボー (脚)クリストファー・ノップ (撮)ジョゼフ・バイロック (出)チャールズ・ダーニング、ルー・ゴセット・JR、ペリー・キング、 ランディ・クエイド、ティム・マッキンタイア、 ロバート・ウェバー、ジェームズ・ウッズ


A-17 12/5(金)3:00pm 1/6(火)6:30pm

プロビデンス

PROVIDENCE

死の淵に瀕した老作家が構想する物語が、 彼の現実の家族関係と交錯してゆく過程を綴ることで、 A・レネが「ヌーヴォー・ロマン」的な志向を再び強めた作品。 文学者との共同作業を好んできたレネにとって初の英語による作品であり、 偉大なハムレット役者であるJ・ギールグッドが老作家を演じている。 (107分・カラー)

'77フランス (アクション・フィルム=ソシエテ・フランセーズ・ド・プロデュクション=FR3) (監)アラン・レネ (脚)デヴィッド・マーサー (撮)リカルド・アロノヴィッチ (美)ジャック・ソルニエ (音)ミクロス・ローザ (出)ダーク・ボガード、エレン・バースティン、ジョン・ギールグッド、 デイヴィッド・ワーナー


A-18 12/5(金)6:30pm 1/7(水)3:00pm

ミュージカル女優

BHUMIKA/THE ROLE

デビュー作「芽ばえ」(1974)でインドの<ニュー・シネマ>の旗手と 目されたS・ベネガルの長篇5作目。 嫉妬深い夫や煮え切らない男優らとの恋を捨てて、 独りで生きることを決意する女優を描く。 女性の自立というテーマをうたいながら、 歌と踊りを盛り込んでボンベイ産映画の伝統的なスタイルにも敬意を払っている。 (143分・カラー)

'77インド(ブレイズ・フィルム・エンタープライゼズ) (監)(脚)シャーム・ベネガル (脚)ギリーシュ・カルナード、サッティヤデーウ・ドゥーベー (撮)ゴーヴィンド・ニハーラーニー (音)ヴァンナージ・バーティヤー (出)スミター・パーティル、アモール・パーレーカル、 アナント・ナーグ、アムリーシュ・プリー


A-19 12/6(土)1:00pm 12/23(火・祝)1:00pm

ナザレのイエス

JESUS OF NAZARETH

前作「ブラザー・サン シスター・ムーン」で聖人の生涯を取り上げた F・ゼフィレッリが、これに続いてキリストの生誕から処刑、 復活までを福音書に忠実に描いている。 ロバート・パウエルがイエス、 「ロミオとジュリエット」以来のオリビア・ハッシーがマリアを演じたのをはじめ、 国際色豊かな名優たちの共演も見どころ。(195分・カラー)

'79イギリス=イタリア(ITC=RAI) (監)(脚)フランコ・ゼフィレッリ (脚)アンソニー・バージェス、スーゾ・チェッキ・ダミーコ (撮)デービッド・ワトキン、アルマンド・ナンヌッツィ (美)ジャンニ・クアランタ (音)モーリス・ジャール (出)ロバート・パウエル、オリビア・ハッシー、アン・バンクロフト


A-20 12/9(火)3:00pm 12/25(木)3:00pm

大理石の男

CZLOWIEK Z MARMURU/MAN OF MARBLE

スターリニズム全盛の1950年代、 「労働英雄」として称賛を受け石像までつくられた煉瓦工がいた。 のちに事件に巻きこまれ消息を絶ったその男の実像を、 ドキュメンタリー映画におさめようとする女子学生を通して、 ポーランドの現代史('50年代と'70年代)が重層的に描かれていく。 アンジェイ・ワイダ監督の70年代の力作。(161分・カラ-)

'77ポ-ランド(ユニット"X") (監)A・ワイダ (脚)アレクサンデル・シチボル=リルスキ (撮)エドワルト・クォシンスキ (美)アラン・スタルスキ (音)アンジェイ・コジンスキ (出)イエジ・ラジヴィオヴィッチ、ミハウ・タルコフスキ、クリスティナ・ヤンダ


A-21 12/10(水)3:00pm 1/7(水)6:30pm

さよならミス・ワイコフ

GOOD LUCK, MISS WYCKOFF

三十路半ばの高校教師ミス・ワイコフが体験する強姦、性の目覚め、 保守的な周囲の目……。 原作は「ピクニック」「草原の輝き」等で名を成した ピューリツァー賞作家ウィリアム・インジ、 監督は「ルーツ」等で米テレビ界のヒットメーカーとして知られる マーヴィン・チョムスキーだが、「原作の酷い翻案」との海外批評もある。 (114分・カラー)

'78アメリカ(ベル&グラディソン) (監)マーヴィン・J・チョムスキー (製)レイモンド・ストロス (原)ウィリアム・インジ (脚)ポリー・プラット (撮)アレックス・フィリップスJr (音)アーネスト・ゴールド (出)アン・ヘイウッド、ロバート・ヴォーン、ドナルド・プレゼンス、 ジョン・ラファイエット、アール・ホリマン


A-22 12/10(水)6:30pm 1/8(木)3:00pm

女の叫び

A DREAM OF PASSION

'50年代以降主にヨーロッパ圏で活動を続けたJ・ダッシン晩年の作品。 悲劇「メディア」の造形に没頭するギリシア女優と 我が子を殺して服役中のアメリカ女性との葛藤を、 M・メルクーリとE・バースティンが熱演。ベルイマン映画に刺激された題材を、 アンゲロプロスの作品で知られるヨルゴス・アルヴァニティスが撮影している。 (105分・カラー)

'78ギリシア=アメリカ(ブレン・フィルム=メリナフィルム) (監)(製)(脚)ジュールス・ダッシン (撮)ヨルゴス・アルヴァニティス (美)ディオニシス・フォトプロス (音)ヤァニス・マルコプロス (出)メリナ・メルクーリ、エレン・バースティン、A・ヴツィーナス


A-23 12/11(木)3:00pm 1/8(木)6:30pm

ブルックリン物語

MOVIE MOVIE

「雨に唄えば」等の巨匠スタンリー・ドーネンによる 「1930年代の二本立て映画興行への愛情溢れるパロディ」で、 「ダイナマイト・パンチ」「バクスター・レビュー1933」の二作から成り、 前者は「ジョン・ガーフィールド的な」ボクシング映画、 後者は「バズビー・バークリー・タイプ」のミュージカルと評されている (レナード・マルティン)。(106分・カラー)

'78アメリカ(ITC) (監)(製)スタンリー・ドーネン (製)マーティン・スターガー (脚)ラリー・ゲルバート、シェルドン・ケラー (撮)ブルース・サーティース、チャールズ・ロッシャー (出)ジョージ・C・スコット、トリッシュ・ヴァン・デヴァー、 レッド・バトンズ、アート・カーニー、イーライ・ウォラック


A-24 12/11(木)6:30pm 1/9(金)3:00pm

緑色の部屋

LA CHAMBRE VERTE

トリュフォーは自作への3度目の出演となるこの作品で、 「いかに死者を愛せるか」というテーマを打ち出した。 その象徴である「死者たちの祭壇」の無数のロウソクの光について、 監督は哲学者バシュラールの言葉 「夢想を呼び起こすこの世にあるかぎりの物象のなかでも、 炎は最大の映像要因のひとつである」を引いている。(91分・カラー)

'78フランス(レ・フィルム・デュ・キャロッス) (監)(脚)(出)フランソワ・トリュフォー (原)ヘンリー・ジェイムズ (脚)ジャン・グリュオー (撮)ネストール・アルメンドロス (美)ジャン=ピエール・コユ=ツヴェルコ (音)モーリス・ジョベール (出)ナタリー・バイ、ジャン・ダステ、ジャン=ピエール・デュコス、M・デュリー


A-25 12/12(金)3:00pm 1/9(金)6:30pm

秋のソナタ

HヨSTSONATEN/AUTUMN SONATA

著名な女性ピアニストが愛人の死を機に、 ノルウェーで静かに暮らす娘のもとを7年振りに訪れる --ベルイマンは対照的な母娘の内面を執拗に描いていく。 「スウェーデンにとって最も重要な二人の映画芸術家がついに一緒に仕事をした」 (R・エバート)と呼ばれた作品だが、 女優バーグマンにとっては最後の劇場用映画となった。(92分・カラー)

'78スウェーデン[=西ドイツ](ペルソナフィルム) (監)(脚)イングマール・ベルイマン (撮)スヴェン・ニークヴィスト (出)イングリッド・バーグマン、リヴ・ウルマン、 レナ・ニーマン、ハルヴァール・ビョルク、エルランド・ヨセフソン


A-26 12/12(金)6:30pm

ナイト・ゲーム

NIGHT GAMES

優雅な生活を送りながらも、少女時代に暴行を受けたことの心痛に悩み続ける人妻が、 正体不明の男の出現によって性への恐れを克服してゆく。 アメリカに進出した香港のプロデューサー、レイモンド・チョウが、 演出にフランスのR・ヴァディムを起用した異色作で、 C・ピケットはヴァディムが新たに発掘した女優であった。(97分・カラー)

'79アメリカ(ゴールデン・ハーヴェスト) (監)ロジェ・ヴァディム (原)(脚)アントン・ディーター (原)バース・ジュールス・サスマン (脚)クラーク・レイノルズ (撮)デニス・リュイストン (音)ジョン・バリー (出)シンディ・ピケット、ジョアンナ・キャシディ、 バリー・プライマス、ポール・ジェンキンス、ジーン・デイヴィス


A-27 12/13(土)1:00pm 1/10(土)1:00pm

テス

TESS

ナスターシャ・キンスキーを来るべき'80年代のスターに押し上げた記念碑的作品。 誰もが知るトーマス・ハーディの小説を元にしているが、 監督の「ポランスキーはこれを<古典の絵解き>にはしなかった」(R・エバート)。 「全篇、緑の晩餐」(荻昌弘)と形容された美しい撮影は、 二人の名カメラマンにオスカーをもたらした。(171分・カラー)

'79イギリス=フランス(レン・プロ=ビュリル・プロ) (監)(脚)ロマン・ポランスキー (製)クロード・ベリ (原)トーマス・ハーディ (脚)ジェラール・ブラック、ジョン・ブラウンジョン (撮)ジェフリー・アンスワース、ギスラン・クロケ (出)ナスターシャ・キンスキー、ピーター・ファース、リー・ローソン


(監)=監督 (製)=製作 (原)=原作 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影  (美)=美術 (出)=出演者 EIF=ユーロ・インターナショナル・フィルム

■記載した上映分数は、当日のものと多少変わることがあります。