過去の展示

人形アニメーション作家 持永もちなが只仁ただひと

Tadahito Mochinaga, Puppet Animation Filmmaker

概要

会場:
東京国立近代美術館フィルムセンター 展示室(企画展)
会期:
2017年5月13日(土)―9月10日(日)
開館時間:
11:00am-6:30pm
(入室は6:00pmまで)
休室日:
月曜日は休室です
観覧料:
一般250円(200円)/大学生・シニア130円(60円)/高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、MOMATパスポートをお持ちの方、キャンパスメンバーズは無料
※平成29年度より観覧料を変更いたします。ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
*料金は常設の「NFCコレクションでみる 日本映画の歴史」の入場料を含みます。
*( )内は20名以上の団体料金です。
*学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方はそれぞれ入室の際、証明できるものをご提示ください。
*フィルムセンターの上映企画をご覧になった方は当日に限り、半券のご提示により団体料金が適用されます。
*2017年5月18日(木)は、「国際博物館の日」(毎年5月18日)を記念して展示を無料でご覧いただけます。
主催:
東京国立近代美術館フィルムセンター
協力:
一般社団法人日本動画協会、日本アニメーション学会、日本アニメーション協会
特別協力:
北京電影学院
企画協力:
木村智哉(アニメーション史研究、明治学院大学非常勤講師)


 

↑PDF版でもご覧いただけます

 日本に国産アニメーション映画が誕生して一世紀を迎える2017年は、その先駆者たちの足跡をたどるまたとない機会です。切り絵、セル、影絵といった技法を開拓した数々の作家が現われた中で、人形アニメーションという新分野を切り拓いたのが持永只仁(1919-1999)です。

 東京に生まれ、佐賀や中国・長春で育った持永は1939年に芸術映画社に入社、瀬尾光世のもとでセル・アニメーションの修業を積み、『アリチャン』(1941年)では日本初の多層式アニメーション撮影台を開発しました。中国に渡った1945年に終戦となり、以降は新生中国の撮影所設立に力を尽くすとともにアニメーションの製作を指導、後の中国動画界をリードする多くの人材を育てています。1953年の帰国後は人形映画製作所を率いて『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』(1956年)などの名作を送り出し、またその後も『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』(1964年)などアメリカのテレビ・劇場向け作品に携わります。とりわけ『怪物の狂宴』(1967年)は、少年時代のティム・バートン監督にも強い印象を与えました。

 日中両国における人形アニメーションの創始者であり、アメリカの子どもたちも魅了した持永は、日本のアニメーション史においても独自の国際性を持つ存在です。この展覧会では、持永家で長く保管されてきた人形たちや製作資料、さらに写真や作品映像も交えながら、卓越したクリエーターであり優れた教育者でもあったその生涯に迫ります。また長い時を超え、弟子の川本喜八郎らが造形した愛らしい人形たちにも出会える機会となるでしょう

『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』(1956年)より

『少年と子だぬき』(1992年)より

『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』(1964年)より

『瓜子姫とあまのじゃく』(1956年)より

『王さまになったきつね』(1959年)より

『ぶんぶくちゃがま』(1958年)より

『ふしぎな太鼓』(1957年)より

『ペンギンぼうや ルルとキキ』(1958年)より

持永の制作ノート「アニメーションの仕事1」(1957-1962年)

持永による北京電影学院「動画講義」テキスト(1985年)

出品リスト

凡例:

・出品内容はやむを得ず変更される場合があります。

・所蔵者が特記された資料以外は持永伯子氏の所蔵です。

・本リストの通番と会場内での配列順序は一致していない場合があります。

 

 

第1章 アニメーションへの志

1写真:幼児期の持永
2写真:小学生時代の持永
3写真:美術学校時代の持永
4写真:芸術映画社時代の持永
5写真:『アリチャン』の背景を描く持永(1941年)
6『アリチャン』四段マルチプレーン撮影台の模型
7雑誌:「映画技術」昭和17年9月号(1942年) 個人蔵
8写真(2点):『桃太郎の海鷲』(1942年)スチル写真 フィルムセンター所蔵
9プレス資料:『桃太郎の海鷲』フィルムセンター所蔵
10脚本:『フクチャンの潜水艦』(1944年) フィルムセンター所蔵
11写真:漫画家・横山隆一と
12雑誌:「写真科学」昭和20年1月号(1945年)

 

 

第2章 新生中国のために

13ビデオ:中国時代の持永作品『皇帝の夢』『甕の中に捕らえたスッポン』『子猫さんありがとう』『小猫の魚釣り』抜粋
14写真(8点):『皇帝の夢』スチル・スナップ写真
15『甕の中に捕らえたスッポン』再現原画・セル
16写真:1950年頃の持永ポートレート
17写真:持永只仁・綾子夫妻
18写真:東北電影の動画製作スタッフ(1948年)
19写真:特偉
20写真:東北電影時代の託児所
21写真:持永・特偉を上海に派遣する際の記念写真(1950年)
22写真:上海電影にて 持永の送別会記念写真(1953年)
23書籍:『上海美術電影制片廠1957-1987』(1987年)
24書籍:『憶東影』(1986年)
25書籍:『中国電影大辞典』(1995年)

 

 

第3章 国産人形アニメーションの礎

26ビデオ:『瓜子姫とあまのじゃく』『五匹の子猿たち』『ふしぎな太鼓』『こぶとり』『ぶんぶくちゃがま』『王様になったきつね』
27『瓜子姫とあまのじゃく』(1956年)人形
28写真:『瓜子姫とあまのじゃく』(1956年)スチル写真 フィルムセンター所蔵
29脚本:『瓜子姫とあまのじゃく』
30『五匹の子猿たち』人形(1956年)
31写真(4点):『五匹の子猿たち』(1956年)スナップ・スチル写真
32写真:『五匹の子猿たち』の頃 吉田謙吉とともに
33『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』人形(1956年)
34写真(2点):『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』(1956年)スチル写真
35写真:『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』 人形を演出する持永
36製作資料:『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』絵コンテ
37製作資料:『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』コンティニュイティ
38写真(2点):『ちびくろ・さんぼとふたごのおとうと』(1957年)スチル写真
39脚本:『ちびくろ・さんぼとふたごのおとうと』台本
40製作資料:『ちびくろ・さんぼとふたごのおとうと』絵コンテ
41『ふしぎな太鼓』人形(1957年)
42写真(2点):『ふしぎな太鼓』(1957年)スチル写真 フィルムセンター所蔵
43脚本(2点):『ふしぎな太鼓』台本
44『こぶとり』人形(1958年)
45写真(2点):『こぶとり』(1958年)スチル写真 フィルムセンター所蔵
46写真:『こぶとり』の撮影風景
47製作資料(2点):『こぶとり』香盤表、絵コンテ
48『ぶんぶくちゃがま』人形(1958年)
49写真(3点):『ぶんぶくちゃがま』(1958年)スチル写真
50製作資料(2点):『ぶんぶくちゃがま』絵コンテ、カット表
51『ペンギンぼうやルルとキキ』人形(1958年)
52写真(3点):『ペンギンぼうや ルルとキキ』(1958年)スチル写真 フィルムセンター所蔵
53製作資料:『ペンギンぼうや ルルとキキ』絵コンテ
54『王さまになったきつね』人形(1959年)
55写真(3点):『王さまになったきつね』(1959年)スチル写真 フィルムセンター所蔵
56プレス資料:『瓜子姫とあまのじゃく』
57プレス資料:『五匹の子猿たち』 フィルムセンター所蔵
58プレス資料:『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』
59プレス資料:『ちびくろ・さんぼとふたごのおとうと』
60プレス資料:『ふしぎな太鼓』
61プレス資料:『こぶとり』 フィルムセンター所蔵
62プレス資料:『ぶんぶくちゃがま』 フィルムセンター所蔵
63プレス資料:『ペンギンぼうやルルとキキ』[複写]
64プレス資料:『王さまになったきつね』1959 フィルムセンター所蔵
65写真:人形映画製作所を訪れた内田吐夢
66写真(2点):朝日麦酒CM 「ほろにが君と三ツ矢嬢」
67写真:『ビールむかしむかし』(1957年)撮影風景
68CM用の人形
69人形絵本の試作品(1950年代後半)

 

70持永の製作日誌(1956-59年) 4冊
71人形映画製作所 作業記録ノート(1958-59年)
72人形映画製作所 作業日報(1958-60年)
73人形映画製作所 製作費ノート
74人形映画製作所 学習ノート
75電通映画社「でんえい」(1973年)連載「名作シリーズ 私の作品集から」    

 

持永のアニメーション製作工程

76「時事通信 週刊グラフ教室」1958年1月14日号
77写真:人形のための骨組みを作る
78関節人形の模型
79ドイフレックス16mm撮影機
80雑誌:「小型映画 High Technic Series 5 アニメと特撮」(1970年)   
81三つ穴タップと動画用紙

 

 

第4章 アメリカ・中国・日本―アニメーション交流の懸け橋

82ビデオ:ニッカウヰスキーCM『雪の夜・熊』(1961年)抜粋  
83写真:『ピノキオの冒険』(1960-61年)
84MOMプロダクション 年賀状(1961年)
85『ピノキオの冒険』放映タイムテーブル 和田敏克氏所蔵
86脚本(37点):『ピノキオの冒険』日本語版台本 和田敏克氏所蔵
87『ピノキオの冒険』サウンドトラックLPレコード 和田敏克氏所蔵
88『ピノキオの冒険』制作日報(1960年) 和田敏克氏所蔵
89写真:『ウィリー・マックビーンと魔法の機械』撮影中
90『ウィリー・マックビーンと魔法の機械』打ち合わせ記録(1961年)和田敏克氏所蔵
91『ウィリー・マックビーンと魔法の機械』持永のヴィデオクラフト社への手紙(1961年) 和田敏克氏所蔵  
92脚本:『ウィリー・マックビーンと魔法の機械』リップシンク用の英語台本 和田敏克氏所蔵
93写真:『ウィリー・マックビーンと魔法の機械』演出中の岡本忠成 和田敏克氏所蔵
94『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』(1964年)人形
95写真(4点):『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』(1964年)スチル写真
96写真:ランキンとバスの来日 『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』の頃
97『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』絵コンテ付き対訳ノート
98脚本:『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』日本語シナリオ
99脚本:『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』スポッティング台本
100『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』キャラクターの造形仕様書
101『アンデルセン物語』(1966年)絵コンテファイル
102写真:『アンデルセン物語』の撮影中 50体の人形を動かす
103写真:『アンデルセン物語』コマ撮り用のクレーン撮影
104写真:『アンデルセン物語』の撮影中 人魚姫
105『スモーキー・ベアの唄』(1966年)絵コンテファイル
106写真(3点):『スモーキー・ベアの唄』スチル写真
107『怪物の狂宴』(1967年)絵コンテファイル
108写真(4点):『怪物の狂宴』スチル写真
109『怪物の狂宴』フランケンシュタインのスケッチ
110『怪物の狂宴』ブルーレイ・ディスク
111書籍:「映画作家が自身を語る ティム・バートン」(2011年)
112アメリカ向け作品 人形の顔いろいろ
113科学技術館『宇宙旅行』(1964年)絵コンテ

 

中国との交流

114写真:毛沢東主席に謁見(1967年)
115雑誌:「中国映画」第1号・第2号(1977年)
116写真:『ミャオと鳴くのは誰?』(1979年) 製作の指導をする持永
117脚本(2点):『ミャオと鳴くのは誰?』台本
118製作資料:『ミャオと鳴くのは誰?』絵コンテ
119中国から贈呈された『ミャオと鳴くのは誰?』人形
120上海滞在時の持永の名刺
121スタジオ200「中国美術電影動画展」資料(1981年)
122写真:「中国美術電影動画展」 手塚治虫、特偉と(1981年)
123写真:「中国美術電影動画展」 瀬尾光世、鈴木伸一と(1981年)
124北京電影学院からの招聘状(1984年)
125北京電影学院での持永の講座カリキュラム「動画講義」(1985年)           
126特偉ら中国動画関係者からの書簡
127写真:上海美術電影にて 万籟鳴と(1988年)
128雑誌:「世界と人口」1992年8月号
129写真:長春電影設立50周年記念式典に参加(1996年)

 

130持永只仁の創作ノート(16点)
131写真:『少年と子だぬき』(1992年)
132『少年と子だぬき』人形
133脚本:『少年と子だぬき』台本
134製作資料:『少年と子だぬき』絵コンテ、撮影表                
135プレス資料:『少年と子だぬき』チラシ

 

136書籍:小松沢甫「持永只仁の足跡 運命をきりひらいたアニメーション作家」(1985年)
137写真:持永の葬儀(1999年)
138川本喜八郎による追悼文(1999年)
139第8回広島国際アニメーションフェスティバル(2000年)資料
140ポスター:「持永只仁をめぐる日中アニメ・シンポジウム」(2010年)   
141書籍:持永只仁『アニメーション日中交流記 持永只仁自伝』(2006年)
142持永のウイグル帽

 

143『二つの太陽』のためのスケッチ  
144『二つの太陽』をめぐる持永のメモ                     
145『白い帽子の丘』絵コンテ   
146持永只仁 自画像

 

展覧会の構成

第1章 アニメーションへの志

 

第2章 新生中国のために

 

第3章 国産人形アニメーションの礎

 

第4章 アメリカ・中国・日本―アニメーション交流の懸け橋

イベント

トークイベント

※申込不要、参加無料(展示室内で開催のトークは、観覧券が必要です)。
※当日の企画上映チケットの半券をご提示いただくと、割引が適用されます。
※詳細は後日ホームページなどでお知らせいたします。

 

持永只仁―その国際性

 

日程:5月27日(土)

時間:1:00pm-

場所:展示室ロビー(7階)

講師:小野耕世氏(映画・漫画評論家)&持永伯子氏(持永只仁長女)

  ※終了しました。

 

 


 

心理学から見た持永只仁作品

 

日程:7月15日(土)

時間:3:00pm-

場所:展示室ロビー(7階)

講師:横田正夫氏(日本大学文理学部教授、日本アニメーション学会前会長)

 ※終了しました。

 

 


 

日本アニメーション映画史の中の持永只仁

 

日程:9月2日(土)

時間:3:30pm-

場所:展示室ロビー(7階)

講師:おかだえみこ氏(アニメーション研究家)

 ※終了しました。

 

 


「人形アニメーション作家 持永只仁」展 特別イベント

 

中国のアニメーションと持永只仁

 

1970年代末から、北京電影学院で持永の薫陶を受けた中国のアニメーション関係者が来日、師・方明(ファンミン:持永の中国名)の思い出を語ります。

日程8月12日(土)
時間14時~
場所小ホール(地下1階)
ゲスト

李剣平氏(北京電影学院動画学院院長)

※当初ご参加の予定だった孫立軍氏(北京電影学院副院長)は所用のため

来日できなくなりました。ゲストは李剣平氏のみとなりましたので、ご諒承ください。

聞き手

小出正志氏(東京造形大学教授、日本アニメーション学会会長)

和田敏克氏(東京造形大学准教授、アニメーション作家)

※申込不要、参加無料です。

※終了しました。


関連上映企画

 

人形アニメーション作家 持永只仁

 

会期:7月22日(土)~7月23日(日)

場所:小ホール(地下1階)

*詳細は小ホール「[上映] 人形アニメーション作家 持永只仁」をご参照ください。


関連書籍の販売

 

「アニメーション日中交流記 持永只仁自伝」

 

展示室受付にて書籍「アニメーション日中交流記 持永只仁自伝」(2006年)を2,500円(税込)で販売しております。ぜひお求めください。

*数に限りがありますのでご諒承ください。