国立映画アーカイブの歴史

 

1952年 6月6日

文部省設置法(法律第168号)により国立近代美術館(昭和42年以降は東京国立近代美術館)が設置され、事業課普及広報係の事業の一つとして、国立機関としては初めて映画事業(フィルム・ライブラリー)が開始される。

12月1日

国立近代美術館が開館し、フィルム・ライブラリー事業として短篇映画の上映が開始される。建物は旧日活本社ビルを受け継いだため、上映は4階試写室(座席数80)で行われた。第1回の月例試写会(毎日上映、~12月28日)では美術映画『桃山美術』(水木荘也監督、1952年)『ピカソ訪問』(ポール・エゼール監督、1950年)『フランクリン・ワトキンズ』(E・M・ベンソン監督、製作年不詳)が上映され、上映に際しては解説のリーフレット「上映映画解説」が配布された。

1953年 2月11日 古典映画を上映する特別鑑賞会が始まる。当初は毎週水曜1回、のちに週2回(水曜・日曜)となった。第1回はドイツ映画『ジークフリート』(フリッツ・ラング監督、1924年)を上映(~4月10日)。
1954年 5月12日 特別鑑賞会で『路上の霊魂』(村田実監督、1921年)の脚本を担当した牛原虚彦の再編集により、同作品の復元版上映が行われる(~6月30日)。
1960年 10月2日

英国のナショナル・フィルムアーカイブより里帰りした衣笠貞之助監督の『十字路』(1928年)が上映される(~10月30日)。

12月

日仏文化協定の一環として交換映画祭を実現する目的をもって映画界が「フィルム・ライブラリー助成協議会」(1970年にフィルム・ライブラリー協議会に改称)を発足。以後、永田雅一理事長、川喜多かしこ常務理事の下、フィルム・ライブラリーの拡充にむけた支援・協力、請願活動が行われた。

1962年 6月

建物の5階部分が新設され、映写スペースを兼ねた座席数210の講堂が完成する。以後、映画上映は講堂で行われる。

8月14日

日仏文化協定によりシネマテーク・フランセーズから送られてきたフランス映画史上の代表作173本の連続上映会「日仏交換映画祭・フランス映画の回顧上映」が行われる(~12月21日)。

1963年 11月30日 6月から9月にかけてシネマテーク・フランセーズで行われた「日本映画の回顧上映」で使用されたプリントが日本に返却されたのを機に、「日仏交換映画祭・日本映画の回顧上映」として、169本の特別連続上映を行う(~1964年3月29日、4月4日~5月17日)。これら作品の購入が、フィルム・ライブラリーのコレクションの基礎となった。また、この上映会以降は月例上映会を廃止し、すべての上映を特集形式(企画上映)として実施することとなった。
1967年 11月8日 終戦後GHQに接収され、アメリカ合衆国議会図書館に保管されていた日本映画フィルム約1,300本の返還協定が締結される。
1969年 4月1日 文部省設置法施行規則が改正(昭和44年文部省令第13号)され、東京国立近代美術館にフィルムセンターが設置される。美術館本館が北の丸公園に移転後、京橋の建物をフィルムセンターの専用施設として活用することが決まり、改修及び開館準備のため休館に入る。
1970年 5月27日 フィルムセンターの開館式が行われる。これを記念して「アメリカ古典映画の回顧」の企画上映が行われる(5月28日~8月1日)。また1階には常設の展示スペースが設けられた。
1971年 4月5日 企画上映解説書「フィルムセンター」(通称FC)1号(特集毎刊行)を創刊。
9月21日

戦前より製作されていた貴重な文部省映画を含む同省保管の多くの映画フィルムが管理換される。

1975年 2月19日 東京国立近代美術館がフィルム保存庫調査委員会を設置。
1976年 3月30日 開館5周年を記念して、所蔵作品のうち日本劇映画603本のデータを採録した『東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵映画目録Ⅰ 日本劇映画』を刊行。
1978年 11月1日 前年にフィルム・ライブラリー協議会から寄贈された図書を基に図書室を開室し、文献・資料の一部を公開。
1979年 7月 東京国立近代美術館がフィルムセンター整備構想調査委員会を設置。
1980年 12月10日 フィルムセンター所蔵作品のうち、外国映画(ニュース映画を除く)についてのデータを採録した『東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵映画目録Ⅱ 外国映画』を刊行。
1981年 11月 9月30日に「国有財産返還財産処理小委員会」、11月24日に「国有財産中央審議会」が開催され、フィルムセンターのフィルム保存施設用地として、神奈川県相模原市に所するキャンプ淵野辺返還国有地の一部15,000㎡の使用が折り込まれ、大蔵大臣に答申された。
1984年 9月 3日フィルムセンター5階より出火し、建物の一部と外国映画フィルムの一部320作品を焼失。18日「フィルムセンター焼失フィルムのための募金の会」(代表:川喜多かしこ、高野悦子)発足。
10月9日

スペイン文化省との共催企画「スペイン映画の史的展望〈1951~1977〉」を、竹橋の東京国立近代美術館講堂において開催(~11月11日)。以後フィルムセンターの上映は同館講堂で行うこととなった。

10月19日

フィルムセンター相模原分館(仮称)建設用地として、大蔵省より土地の所管換を受けた。

1985年 4月 東京国立近代美術館がフィルムセンター整備計画調査委員会を設置。
8月6日

「フィルムセンター焼失フィルムのための募金の会」寄贈による外国映画65作品のうちから選んで企画された「所蔵外国映画選集Ⅱ〈フィルムセンター焼失フィルムのための募金の会寄贈による〉」が上映される(~11月24日)。

1986年 1月31日 フィルムセンター相模原分館(設計:蘆原義信氏)が竣工。3月13日に竣工式が行われた。
6月25日

フィルムセンター(京橋分館)整備計画調査委員会より最終報告が出された。

8月30日

所蔵作品のうち日本劇映画1,161本の詳細なデータを採録した『東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵映画目録 日本劇映画』を刊行。

1987年 11月 東京国立近代美術館がフィルムセンター整備委員会を設置。
1988年 3月 新フィルムセンターの建物の基本設計が完了し、整備委員会において審議の上、最終報告が出される。
7月

文化庁(文化部芸術課)より、フィルムセンターの充実を提言した答申「映画芸術の振興について[中間とりまとめ]」が出される。

1989年 8月 新規事業「優秀映画鑑賞推進事業」を文化庁との共同主催で開始。
10月

新規事業「国際映画シンポジウム」を開始。

11月

国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)にオブザーバーとして加盟。

1990年 3月 フィルムセンター新営建物の実施設計が完了。
4月1日

フィルムセンター新営工事のため、京橋の建物は閉鎖となる。

5月22日

1910年代の貴重なヨーロッパ映画を含んだ「小宮登美次郎コレクション」の寄贈を受ける。

1991年 9月 新営工事に着手。
11月2日

不燃化・復元された小宮登美次郎コレクションのお披露目上映として「発掘された映画たち―小宮登美次郎コレクション」が開催される(~1992年2月2日)。1999年に「発掘された映画たち1999」が開催され、「発掘された映画たち」は、フィルムセンターの収集復元保存活動を紹介する特集シリーズとして定着していく。

1992年 10月10日 第11回ポルデノーネ無声映画祭(イタリア)において小宮登美次郎コレクション26作品を出品。フィルムセンターの活動に対し、特別賞が授与される。
10月10日

前年寄贈され復元作業が終了した伊藤大輔監督の『忠次旅日記』(1927年)の特別上映会が開かれる。

1993年 5月31日 国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)に正会員として加盟。
1994年 8月 文化庁(文化部芸術課)が、映画芸術振興に関する調査研究協力者会議を設け、報告書「映画芸術振興方策の充実について」をとりまとめる。この中で、フィルムセンターが我が国の映画芸術振興の拠点としての機能を十分発揮できるようにしていく必要があることが強調される。
10月31日

1991年1月10日に着手したフィルムセンター新営工事が完了。12月7日に竣工式を行う。

12月22日

映画生誕百年祭実行委員会・朝日新聞社との共催で、無声映画に生演奏を付した上映会「サイレント・ルネサンス」を開催(~27日、於有楽町朝日ホール)。翌年からは新装開館したフィルムセンター大ホールにて、無声映画に弁士伴奏を付けて上映する企画シリーズ「シネマの冒険 闇と音楽」を開始する。

1995年 5月12日 フィルムセンターを新たに開館(現 国立映画アーカイブ本館)。映写ホールと映写室には、海外の先進アーカイブに倣い、映写速度を細かく変えられる映写機や、スクリーンの画面比を自由に変えられるバリアブルマスクが導入される。7階展示室においては映画関連資料の展示とともに、写真・デザイン作品の展示も行うこととなった。また前日の5月11日には開館式を挙行した。
5月

上映・展示・図書室の情報を掲載した「NFCカレンダー」(月単位で刊行)および広報・研究機関誌「NFCニューズレター」(隔月刊)を創刊。

1996年 4月 日本映画に外国語字幕を付けて国際映画祭への出品に協力する新規事業「国際映画祭出品協力事業」を開始(~2002年)。
5月23日

御園京平(月村吉治)氏より、貴重な無声映画時代のポスター多数を含む映画ポスター3,182点の寄贈を受ける。

  業務用の所蔵品データベース「National Film Center Database」(NFCD)が開発され、運用を開始する。2005年にはウェブ環境に移行。
1997年 12月10日 新規事業「映画製作専門家養成講座」を開始。2005年までに計8回が開催される。
1999年 11月2日 天皇皇后両陛下が日本映画名作鑑賞会「新藤兼人の世界」をご鑑賞のため、行幸啓された。
2000年 3月17日 ロシアのゴスフィルモフォンドで発見された戦前の日本映画の収蔵を開始。平成16年度までに347本が里帰りを果たす。
3月30日

相模原分館のフィルム保存庫の改築を行い、ビネガー・シンドローム専用室が竣工した。

2001年 3月14日 日本劇映画のフィルム・コレクション4,325本(3,153作品)のデータを採録した『フィルムセンター所蔵目録 日本劇映画2000』を刊行。
3月30日

東映株式会社よりスチル写真のガラス乾板33,777点を含む映画関連資料114,809点の寄贈を受ける。

4月1日

東京国立近代美術館が独立行政法人国立美術館の一機関となり、フィルムセンターもその一組織となる。

2002年 1月16日 東京国立近代美術館のリニューアルオープンに伴い、これまでフィルムセンター7階展示室で行われていた写真・デザイン作品の展示を本館で行うこととなる。
7月30日

児童・生徒を対象とした新規教育普及事業「こども映画館」を開始する。

11月27日

展示室が映画関連資料専用のスペースとして再開室。所蔵資料約360点を展示する「展覧会 映画遺産」を開催(~2003年10月19日)。

2003年 4月24日 「映画振興に関する懇談会」において、「これからの日本映画の振興について~日本映画の再生のために~(提言)」が取りまとめられ、その中でフィルムセンターの美術館からの独立が掲げられる。
5月27日

「発掘された映画たち2003」を開催し、その中で前年に発見され、フィルムセンターが初めてデジタル復元を試みた伊藤大輔監督の『斬人斬馬剣』(1929年)が上映される。

7月9日

「NFCメールマガジン」を創刊。

2004年 1月6日 文化庁次長のもとに、「フィルムセンターの在り方に関する検討会」が設置される。
9月

「フィルムセンターの在り方に関する検討会」において、「フィルムセンターの独立について(審議のまとめ)」が取りまとめられる。

2005年 5月19日 戦前の常設館プログラム15,249点、スチル写真34,570点などを含む故・御園京平(月村吉治)氏旧蔵映画関係資料の寄贈を受ける。
2006年 3月25日 日本劇映画のフィルム・コレクションを網羅した「所蔵映画検索システム」をホームページ上で公開。
5月5日

小ホールで所蔵作品の上映を行う「京橋映画小劇場」を開始。最初の企画は「映画の教室2006」。

11月11日

衣笠貞之助監督の生涯資料116,217点(反町茂雄旧蔵品)の寄贈を日本放送協会放送文化研究所より受ける。

2007年 4月7日 国際フィルムアーカイブ連盟との共催で、フィルムセンターにおいて「第63回国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)東京会議2007」が開催される。
7月

文化庁(文化財部美術学芸課)と共同で「近代歴史資料緊急調査(映像フィルム・映画関係分野)」を実施。

2008年 2月26日 常設展及び企画展の高校生及び18歳未満の観覧料金を無料とする(4月4日実施)。
10月26日

ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」記念特別イベントの第1回となる「失われた無声映画再現公演企画 甦る『新版大岡政談』」を開催。

2009年 5月30日 フィルムセンター主幹・岡島尚志が国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)の会長に就任(~2011年)。
7月10日

フィルムセンターが所蔵する現存最古の日本映画『紅葉狩』(柴田常吉撮影、1899年)の35mm可燃性デュープネガが、映画フィルムとして初めて重要文化財に指定される。

10月13日

溝口健二作品の美術デッサンを含む映画美術監督水谷浩の旧蔵資料7,356点が寄贈される。

2010年 1月3日 フィルムセンターが平成20年に共同して実施した『羅生門』(黒澤明監督、1950年)のデジタル復元が全米映画批評家協会賞を受賞。
6月29日

フィルムセンター所蔵の『史劇 楠公訣別』(1921年)の35mm可燃性オリジナルネガが、重要文化財に指定される。

7月

日本映画・テレビ美術監督協会と連携して、フィルムセンター初の資料デジタル化事業となる「日本映画美術遺産プロジェクト」を開始(~2015年)。

8月31日

全国各地で映画資料を所蔵している機関の情報をまとめた初のブックレット「全国映画資料館録2010」を編集・刊行。

2011年 2月8日 新常設展「NFCコレクションでみる 日本映画の歴史」とともに展示室をリニューアル。ジュニア向けのセルフガイドも発行。
3月1日

平成21年度補正予算で認められた映画保存に関する特別事業費によって新たに収集した日本映画をお披露目する上映会「よみがえる日本映画」第1弾を開催。2014年までに計7回の上映会を行った。

3月30日

相模原分館に増築棟を竣工。これに伴い、既存棟と増築棟の呼称を「映画保存棟Ⅰ」「映画保存棟Ⅱ」と定める。

6月27日

フィルムセンター所蔵の『小林富次郎葬儀』(1910年)の35mm可燃性オリジナルネガ及び上映用ポジが、重要文化財に指定される。

10月24日

300点近くの映画資料をフィルムセンターに寄贈した香川京子氏が、映画保存に功のあった映画人に贈られるFIAF賞を受賞。

2013年 4月26日 所蔵ノンフィルム資料の画像をホームページ上で公開する「NFCデジタル展示室」を開設。
2014年 3月28日 相模原分館に重要文化財映画フィルム等を専用に保管する「映画保存棟Ⅲ」を竣工。
3月

京橋の映写施設・機器及び相模原分館映写ホールにおける映写機器を更新し、デジタルシネマシステムを導入。

10月

文化庁の美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業に採択された「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業」(通称BDCプロジェクト)を開始。

2016年 1月31日

「全国映画資料館録2015」を編集・刊行。

10月7日

第35回ポルデノーネ無声映画祭において、岡島尚志がジャン・ミトリ賞を受賞。

2017年 1月26日,27日 BDCプロジェクトの一環として「映画におけるデジタル保存と活用のためのシンポジウム」を開催。
2月22日

BDCプロジェクトの一環として、国立情報学研究所との共同によりコレクション公開サイト「日本アニメーション映画クラシックス」を公開。

10月7日

ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」記念特別イベントにおいて、フィルムセンターとして初めて70mm上映(『デルス・ウザーラ』)を実施。

2018年 4月1日 独立行政法人国立美術館の6番目の館「国立映画アーカイブ」として設立。

 

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国立映画アーカイブ先付け映像『Archive of Lights』
作者 山村浩二
(ロゴ:作者 鈴木一誌)