特集・逝ける映画人を偲んで 1997

In Memory of the Film Figures We Lost in 1997

●上映スケジュール: Y＝萬屋錦之介選集、M＝三船敏郎選集、K＝勝新太郎選集

　日本映画に多大な貢献をし、惜しまれつつ亡くなられた映画人をその代表作で追悼する本企画は、昨年9月以来の開催となりますが、わたしたちはこの間にも残念ながら多くのかけがえのない日本映画の才能を失うにいたりました。

　とりわけ、三船敏郎、勝新太郎、萬屋錦之介という戦後を代表する大スターの早すぎる死が、わが国映画界のみならず、国民の広い層に、大きな悲しみをもって迎えられたことは記憶に新しいところです。この3人が果たした巨大な業績に鑑みて、本特集では特別に3つの選集枠を設け、その生前の輝かしい姿を偲ぶことといたしました。

　全体として、1997年1月1日から12月31日のあいだに逝去された方々へのオマージュとなる今回の上映は、65作品を64番組に構成して、上記の各氏をはじめそれぞれに一時代を画した36人の映画人の業績を回顧・顕彰するものです。

　縁りの方々のみならず、広く映画ファンの皆様のご来場をお待ち申し上げます。

A-1	8／25（火）3:00pm

君の名は

（127分・35mm・白黒）
菊田一夫のラジオドラマを大船メロドラマの名手、大庭秀雄が映画化し大ヒットとなった。大空襲の夜、数寄屋橋で出会った氏家真知子＝岸恵子と後宮春樹＝佐田啓二の悲恋物語。一年後に再会した時、女は人妻となっていた。

'53（松竹）(監)【大庭秀雄】(原)菊田一夫(脚)柳井隆雄(撮)斎藤毅(美)熊谷正雄(音) 古関祐而(出)佐田啓二、岸惠子、淡島千景、川喜多雄二、市川春代、月丘夢路、小林トシ子、笠智衆、淡路惠子、野添ひとみ、望月優子

A-2	8／26（水）3:00pm

君の名は第2部

（120分・35mm・白黒）
真知子を忘れるために北海道へ渡った春樹だが、彼に好意を寄せるアイヌの娘が現れた。真知子の結婚生活は破綻し離婚を決意、春樹を訪ねて北海道へ向かう。その巡り会いも束の間、夫の同居請求が二人を隔てるのだった。

'53（松竹）(監)【大庭秀雄】(原)菊田一夫(脚)柳井隆雄(撮)斎藤毅(美)浜田辰雄(音) 古関祐而(出)佐田啓二、岸惠子、淡島千景、小林トシ子、川喜多雄二、市川春代、月丘夢路、磯野秋雄、日守新一、北原三枝

A-3	8／27（木）3:00pm

君の名は第3部

（124分・35mm・白黒）
婚家から逃れて雲仙のホテルで働く真知子に求愛者が現れる。相手が春樹以外ならば離婚に応じるという夫の言葉に迷う真知子。春樹は欧州に旅立っていった。ついに病に倒れる真知子、危篤の報に帰国する春樹だったが…。

'54（松竹）(監)【大庭秀雄】(原)菊田一夫(脚)柳井隆雄(撮)斎藤毅(美)浜田辰雄(音) 古関祐而(出)佐田啓二、岸惠子、淡島千景、小林トシ子、紙京子、三橋達也、川喜多雄二、笠智衆、大坂志郎、野添ひとみ、月丘夢路

A-4	8／25（火）6:30pm

黒い画集あるサラリーマンの証言

（95分・35mm・白黒）
ある殺人事件で証人となった男が、自らの浮気を隠すために偽証し、その嘘が思わぬ結果を招いていく。村木忍による美術は、堀川弘通の緻密に計算された演出と中井朝一の陰影の濃い映像とを、繊細な厚みで支えている。

'60（東宝）(美)【村木忍】(出)【西村晃】（刑事奥平）、【三津田健】（岡崎） (監)堀川弘通(原)松本清張(脚)橋本忍(撮)中井朝一(音)池野成(出)小林桂樹、原知佐子、平田昭彦

A-5	8／26（水）6:30pm

東海道四谷怪談

（77分・35mm・カラー）
鶴屋南北の原作を中川信夫が絢爛たる様式美で映画化した、新東宝怪談映画の傑作。キャメラマン西本正は本作の大胆なロー・キーについて、「（当時の）カラーとしての限界以下のライティングで撮った」と証言している。

'59（新東宝）(撮)【西本正】(監)中川信夫(原)鶴屋南北(脚)大貫正義、石川義寛(美) 黒沢治安(音)渡辺宙明(出)天知茂、北沢典子、若杉嘉津子、江見俊太郎、中村竜三郎、池内淳子、大友純、林寛、浅野進治郎、芝田新、花岡菊子

A-6	8／27（木）6:30pm

伊那節仁義［改題］

（67分・35mm・白黒）
戦時中のヒット作「伊那の勘太郎」を戦後公開時に改題した短縮版。人気芸者から歌手に転じた市丸は、小唄の勝太郎とともに「市勝時代」を築き、映画にも度々出演したが「恋の市丸」（1933）等の主演作は現在残っていない。

'43（東宝）(出)【市丸】（蔦屋のお市）(監)瀧澤英輔(原)(脚)三村伸太郎、八住利雄(撮)安本淳(美)安倍輝明(音)伊藤昇(出)長谷川一夫、山田五十鈴、竹久千恵子、黒川彌太郎、汐見洋、丸山定夫、清川荘司、鬼頭善一郎

A-7	8／28（金）3:00pm

春爛漫狸祭

（75分・35mm・白黒）
大映お得意の時代劇ミュージカル「狸御殿シリーズ」の中でも、当時の流行風俗を反映して、洋風のダンスやジャズ音楽を大胆に導入した一本。後に東映時代劇で活躍する喜多川千鶴が、美貌の若殿を優雅に演じた。

'48（大映）(出)【喜多川千鶴】（狸吉郎）(監)(脚)木村恵吾(撮)牧田成正(美)上里義三(音)服部良一(出)草笛美子、明日待子、曉照子、笠置シヅ子、日高澄子、三原純子、二葉あき子、杉狂児、楠木繁夫、坊屋三郎、山茶花究

A-8	8／28（金）6:30pm

ふるさと

（106分・35mm・カラー）
ダム建設で湖底に沈もうとしている岐阜県徳山村の自然の中で、痴呆症が進行する老人と少年が心を通わせる。針生正男は、神山征二郎とコンビを組んでそのデビュー作「鯉のいる村」以来の多くの作品で音楽を担当した。

'83（こぶしプロ）(音)【針生正男】(監)(脚)神山征二郎(原)平方浩介(撮)南文憲(美) 小川富美夫(出)加藤嘉、長門裕之、樫山文枝、浅井晋、前田吟、樹木希林、花沢徳衛、草薙幸二郎、鈴木ヒロミツ、岡田奈々、篠田三郎

A-9	8／29（土）1:00pm

空の大怪獣ラドン

（82分・35mm・カラー）
「勝利の日まで」（1945）を実質的な第1作として、田中友幸は生涯に約220 本の映画をプロデュースした。本作は「東宝怪獣映画初のカラー作品」で「わが国のSF映画中、ベスト・ワンにおくべき秀作」（石上三登志）。

'56（東宝）(製)【田中友幸】(監)本多猪四郎(原)黒沼健(脚)村田武雄、木村武(撮) 芦田勇(美)北辰雄(音)伊福部昭(出)佐原健二、白川由美、小堀明男、平田昭彦、村上冬樹、中田康子、山田巳之助、田島義文、水の也清美

A-10	8／29（土）4:00pm

歌舞伎十八番鳴神美女と怪龍

（100分・35mm・白黒）
龍神を封じ込めた鳴神上人の法力を断ち切り、雨を降らせようとする絶間姫の活躍を描いた狂言「鳴神」を題材に、吉村公三郎が東映で撮った数少ない作品。歌舞伎界に新風を吹き込んだ前進座の創立25周年記念映画でもある。

'55（東映）(製)【糸屋壽雄】、山田典吾、大森康正(監)吉村公三郎(脚)新藤兼人 (撮)宮島義勇(美)丸茂孝(音)伊福部昭(出)東千代之介、乙羽信子、河原崎長十郎、日高澄子

A-11	9／1（火）3:00pm

晩菊

（101分・35mm・白黒）
成瀬が好んだ林芙美子原作による「女性映画」の一篇。金にしか興味のない元芸者に扮した杉村春子の演技は、同じ芸者上がりを演じた沢村貞子、細川ちか子、望月優子らとの競演のなかでも一頭地を抜くリアルさである。

'54（東宝）(撮)【玉井正夫】(出)【杉村春子】（倉橋きん）(監)成瀬巳喜男(原) 林芙美子(脚)田中澄江、井手俊郎(美)中古智(音)齋藤一郎(出)沢村貞子、細川ちか子、望月優子、上原謙、小泉博、有馬稲子、見明凡太朗、沢村宗之助

A-12	9／1（火）6:30pm

流れる

（116分・35mm・白黒）
各々に人格、境遇、序列を異にする芸者たちの立居振舞の妙は、成瀬演出の真骨頂であり、日本映画史を代表する大女優たちの面目躍如である。杉村春子の天才によって、「晩菊」の脚色チームが磨きこんだ台詞が映える。

'56（東宝）(撮)【玉井正夫】(出)【杉村春子】（芸妓染香）(監)成瀬巳喜男(原) 幸田文(脚)田中澄江、井手俊郎(美)中古智(音)齋藤一郎(出)田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、岡田茉莉子、栗島すみ子、中北千枝子、賀原夏子

A-13	9／2（水）3:00pm

母

（101分・35mm・白黒）
障害を持つ子供を抱えた戦争未亡人とその母がたどる愛と苦難の物語で、広島に長期ロケを敢行して製作された。杉村春子は出身地広島の方言を存分に活かして、同郷の新藤兼人が書いた台詞に、より真実味を加えている。

'63（近代映画協会）(製)【絲屋寿雄】(出)【杉村春子】（芳枝）(監)(脚)(美)新藤兼人(製)能登節雄、湊保、松浦栄策(撮)黒田清巳(音)林光(出)乙羽信子、殿山泰司、高橋幸治、頭師佳孝、宮口精二、佐藤慶、加藤武

A-14	9／2（水）6:30pm

恋の片道切符

（82分・35mm・白黒）
松竹ヌーヴェル・ヴァーグ三羽烏のモダニスト篠田監督のデビュー作。ロカビリー・ブームの世相と風俗を背景に、ニール・セダカのヒット曲のタイトルを冠し、小坂一也や平尾昌章（昌晃）の人気歌手を中心にした青春物語。

'60（松竹）(出)【小坂一也】（白井健二）(監)(脚)篠田正浩(撮)小杉正雄(美)梅田千代夫(音)池田正義、海老原啓一郎(出)牧紀子、鳳八千代、平尾昌章、永井達郎、佐竹明夫、日比野惠子、富永ユキ、柴田葉子、小瀬朗、林洋介

A-15	9／3（木）3:00pm

不良番長

（89分・35mm・カラー）
主演の梅宮辰夫とともに、デビュー間もない野田幸男の評価を一躍高からしめた「不良番長シリーズ」の第1作。恐喝も朝飯前の極悪不良グループ「カポネ団」が、仲間を殺されつつも暴力団に喰らいつく様を力強く描写した。

'68（東映）(監)【野田幸男】(脚)松本功、山本英明(撮)山沢義一(美)藤田博(音) 八木正生(出)梅宮辰夫、南原宏治、夏珠美、石山健二郎、谷隼人、保高正信、城アキラ、克美しげる、小野川公三郎、大原麗子、渡辺文雄、丹波哲郎

A-16	9／3（木）6:30pm

0課の女赤い手錠

（88分・35mm・カラー）
「不良番長シリーズ」が終了した後も、野田幸男は東映アクションの担い手として活躍する。中でも非情の女性刑事を主人公とするこの映画は、豪快な演出とハード・アクションの迫力によって瞠目すべき秀作となった。

'74（東映）(監)【野田幸男】(原)篠原とおる(脚)神波史男、松田寛夫(撮)中島芳男(美)桑名忠之(音)菊池俊輔(出)杉本美樹、郷■治、丹波哲郎、室田日出男、荒木一郎、三原葉子、岸ひろみ、小原秀明、戸浦六宏

A-17	9／4（金）3:00pm

僞大学生

（94分・35mm・白黒）
学生運動のただ中に迷い込んだ偽学生をめぐって組織内に巻き起こるスパイ容疑、監禁、偽証。この年に大映の新人俳優としてデビューした伊丹十三（当時　 27歳）は冷徹な学生運動のリーダーを強烈な存在感で演じている。

'60（大映）(音)【黛敏郎】(出)【伊丹一三［十三］】（空谷）、【三津田健】（大学総長）(監)増村保造(原)大江健三郎(脚)白坂依志夫(撮)村井博(美) 渡辺竹三郎(音)芥川也寸志(出)若尾文子、藤巻潤、ジェリー藤尾、船越英二、三田村元、友田輝、大辻伺郎

A-18	9／4（金）6:30pm

マルサの女2

（127分・35mm・カラー）
大ヒットした前作「マルサの女」の続篇となる伊丹十三作品で、宗教法人を隠れ蓑にした脱税の実態を探って巨悪と闘う、国税局査察官「マルサの亮子」の活躍を描く。その後10年の日本を予言した映画とも言い得るだろう。

'88（伊丹プロ）(監)(脚)【伊丹十三】(撮)前田米造(美)中村州志(音)本多俊之(出) 宮本信子、津川雅彦、丹波哲郎、大地康雄、桜金造、益岡徹、上田耕一、きたろう、不破万作、笠智衆、三國連太郎

A-19	9／5（土）1:00pm

わが恋せし乙女

（75分・35mm・白黒）
実の兄妹として育てられたものの、いつしか娘に恋心を抱くようになった青年。しかし妹は村の青年を慕っていることを知り、その幸せを願って身を引くという物語が、大自然を舞台に詩情豊かに描かれている。

'46（松竹）(出)【原保美】（甚吉）(監)(脚)木下惠介(撮)楠田浩之(美)小島基司(音) 木下忠司(出)井川邦子、増田順二、東山千栄子、勝見庸太郎、山路義人、大塚紀男、大塚正義、河野正昭、小泉光弥、稲川忠一、杉山繁三

A-20	9／5（土）4:00pm

ピカドン

（9分・16mm・カラー）
昭和20年8月6日朝、戦時下の、しかし平穏な日常の広島を原爆が襲う。木下蓮三の名を国際的に知らしめた短篇アニメーション。

'79（スタジオ・ロータス＝林大三郎＝山川紀夫）(監)【木下蓮三】(脚)動画木下小夜子(撮)磯部覚、稲谷昭一郎(音)小六礼次郎、平野謙一郎

スタジオは大騒ぎ

（48分・35mm・白黒）
大映の若手スター総出演によるスタジオ紹介映画。脚本の読み合わせやオープンセット撮影の様子を見せる他、ラストには歌合戦も用意されており、当時の大映東京撮影所の雰囲気を伝える作品としても貴重である。

'56（大映）(監)【水野洽】(脚)北田一郎(撮)宗川信夫(美)下河原友雄(音)大久保徳二郎(出)菅原謙二、若尾文子、北原義郎、山本富士子、船越英二、川上康子、市川和子、浜口喜博、入江洋佑、品川隆二、八潮悠子、川口浩

A-21	9／29（火）3:00pm

ニッポン無責任時代

（86分・35mm・カラー）
スイスイと出世街道を登ってゆくお調子者の男。植木等らクレージーキャッツを主演に、古澤憲吾は勢いある演出で東宝のサラリーマン喜劇を塗り変えた。その勢いはやがて「日本一の男シリーズ」にも引き継がれてゆく。

'62（東宝）(監)【古澤憲吾】(脚)田波靖男、松木ひろし(撮)斎藤孝雄(美)小川一男(音)神津善行(出)植木等、ハナ肇、田崎潤、藤山陽子、峰健二、松村達雄、由利徹、久慈あさみ、清水元、重山規子、中島そのみ、団令子

A-22	9／29（火）6:30pm

若い季節

（87分・35mm・カラー）
新開発された「飲むクリーム」の販売をめぐって巻き起こる化粧品メーカーの先手争い。古澤憲吾が「ニッポン無責任時代」の大ヒットに続いて監督した、 NHKの人気テレビ番組の映画化で、続篇も製作された。

'62（東宝）(監)【古沢憲吾】(原)(脚)小野田勇(脚)田波靖男(撮)飯村正(美)小川一男(音)中村八大、宮川泰(出)淡路恵子、松村達雄、平田昭彦、有島一郎、ハナ肇、植木等、犬塚弘、桜井千里、安田伸、石橋エータロー

A-23	9／30（水）3:00pm

育ちざかり

（89分・35mm・カラー）
恋に目覚めた多感な少女のひと夏にわたる心のゆれを明るく綴った青春映画。新人・内藤洋子のイメージ・アップを計ったこの企画で、山田順彦は製作、脚本（小寺朝のペン・ネームで執筆）の双方にまたがるデビューを飾った。

'67（東宝）(製)【山田順彦】(脚)【小寺朝】(美)【村木忍】(監)森谷司郎(撮)山田一夫(音)佐藤勝(出)内藤洋子、三宅邦子、十朱幸代、小山田宗徳、村松英子、中村伸郎、黒沢年男、江原達怡、高橋厚子、松田光弘、春川ますみ

A-24	9／30（水）6:30pm

ガキ帝国

（115分・35mm・カラー）
1967年の大阪で、不良グループとの熾烈な乱闘を繰り返す少年三人組。その一人ケンに扮してデビューした在日コリアン趙方豪は、躍動感のある演技で物語に活力を与え、80年代の日本映画にとって新鮮なキャラクターとなった。

'81（ATG＝プレイガイドジャーナル社）(出)【趙方豪】（ケン）(監)(原)井筒和幸(脚)西岡琢也(撮)牧逸郎(音)山本公成(出)島田紳助、松本竜介、升毅、上岡龍太郎、玉野井徹、中浩二、永田憲一、篠田純、山本孝史、藤田佳昭

A-25	10／1（木）3:00pm

女を忘れろ

（98分・35mm・白黒）
有望なプロ・ボクサーとしての過去をひきずるバーのドラマーが、少女を悪徳建築業者から救うために身を捧げる。諜報機関の一員として旅立つ主人公と少女が公衆電話を介して永遠の別離を演じる有名なラスト・シーンが生まれた。

'59（日活）(脚)【山崎巖】(撮)【姫田真佐久】(監)(脚)舛田利雄(原)藤原審爾(美) 坂口武玄(音)真鍋理一郎(出)小林旭、浅丘ルリ子、南田洋子、金子信雄、牧真介、高野由美、安部徹、弘松三郎、柳瀬志郎、青木富夫、神山勝

A-26	10／1（木）6:30pm

渡り鳥いつまた帰る

（79分・35mm・カラー）
日活アクションの全盛期を担った脚本家・山崎巌による代表的シリーズの第3 作。日本軍によって隠匿された貴金属が眠る佐渡の鉱山を舞台に、キャラクターたちの配置や造形にも自在なヴァリエーションが施されている。

'60（日活）(脚)【山崎巌】、大川久男(監)斎藤武市(原)原健太郎(撮)高村倉太郎(美) 坂口武玄(音)小杉太一郎(出)小林旭、宍戸錠、浅丘ルリ子、南田洋子、中原早苗、金子信雄、川地民夫、島津雅彦、内田良平、楠侑子、高品格

A-27	10／3（土）12：30pm

花と龍青雲篇愛憎篇怒濤篇

（168分・35mm・カラー）
火野葦平による同名の仁侠小説を初めて完全映画化した大作。独特の仰角やフィクスによるロング・テイクで知られる加藤泰の円熟した映像美学を支えているのは、松竹における後期加藤作品で撮影を担当した丸山恵司。

'73（松竹）(撮)【丸山恵司】(監)(脚)加藤泰(原)火野葦平(脚)三村晴彦、野村芳太郎(美)芳野尹孝(音)鏑木創(出)渡哲也、香山美子、笠智衆、伴淳三郎、石坂浩二、竹脇無我

A-28	10／3（土）4:00pm

江戸川乱歩の陰獣

（118分・35mm・カラー）
謎の小説家大江春泥から届く一連の脅迫状が、奇怪な連続殺人事件を呼び起こす。「喜劇・旅行シリーズ」など良質の松竹コメディを担った丸山恵司は、この作品独特の絢爛たる映像世界においてもその力を柔軟に発揮した。

'77（松竹）(撮)【丸山恵司】(監)(脚)加藤泰(原)江戸川乱歩(脚)仲倉重郎(美)梅田千代夫(音)鏑木創(出)あおい輝彦、香山美子、若山富三郎、大友柳太郎、川津祐介、田口久美、倍賞美津子、中山仁、仲谷昇、野際陽子、加賀まり子、尾藤イサオ

A-29	10／20（火）3:00pm

赤い殺意

（150分・35mm・白黒）
自他ともに愚鈍と思われていた平凡な主婦が、強盗に入った余命いくばくもない青年に関係を迫られることにより、心身ともに自己を主張するにいたる。今村の人間凝視の主題を肉体化した撮影術と春川の熱演がみもの。

'64（日活）(撮)【姫田真佐久】(音)【黛敏郎】(出)【西村晃】（貞子の夫吏一） (監)(脚)今村昌平(原)藤原審爾(脚)長谷部慶次(美)中村公彦(出)春川ますみ、露口茂、楠侑子、赤木蘭子、北林谷栄、北村和夫、小沢昭一、宮口精二、加藤嘉

A-30	10／20（火）6：30pm

一条さゆり濡れた欲情

（69分・35mm・カラー）
ストリッパーたちの生き様を、赤裸々に、また愛情溢れる視線で描く神代辰巳の代表作の一つ。姫田真左久は「神代組では、いままでの僕の持っていた構図を、いい意味で崩せた」（「キャメラマン魂」）と述壊している。

'72（日活）(撮)【姫田真左久】(出)【一条さゆり】（一条さゆり）(監)(脚)神代辰巳(美)土屋伊豆夫(音)世田ノボル(出)白川和子、伊佐山ひろ子、絵沢萠子、粟津號、高橋明

A-31	10／21（水）3:00pm

三等重役

（98分・35mm・白黒）
源氏鷄太のサラリーマン小説の映画化。後に東宝のドル箱となる「社長シリーズ」の原型となった本作は、戦前の日活でキャリアを積んだ春原政久の東宝での初作品である。後の社長役森繁久彌が、ここでは人事課長を演じている。

'52（東宝）(監)【春原政久】(撮)【玉井正夫】(原)源氏鷄太(脚)山本嘉次郎、井手俊郎(美)北川恵司(音)松井八郎(出)河村黎吉、小林桂樹、森繁久彌、越路吹雪、関千恵子、藤間紫、島秋子、澤村貞子、小川虎之助、井上大助

A-32	10／21（水）6:30pm

フランキー・ブーチャンのあゝ軍艦旗

（74分・35mm・白黒）
ジャズ・ドラマーとして有名だったフランキー堺は、「牛乳屋フランキー」や「幕末太陽傳」で喜劇俳優として注目された。名コンビの市村俊幸とともに新米水兵に扮し、訓練中のドタバタ騒動を描いた喜劇作品。

'57（日活）(監)【春原政久】(撮)【姫田真左久】(原)梶野悳三(脚)柳沢類寿(美) 小池一美(音)馬渡誠一(出)フランキー堺、市村俊幸、小沢昭一、小林重四郎、大泉滉、光沢でんすけ

A-33	10／22（木）3:00pm

悪人志願

（83分・35mm・白黒）
松竹ヌーヴェル・ヴァーグ台頭のなかで生まれた田村孟唯一の監督作品。　　社の内外で批判的な論調にさらされたこの映画について、当時大島渚は「何年経ってもこの作品の価値は減じない。一層光彩を増すであろう」と記した。

'60（松竹）(監)(脚)【田村孟】(脚)成田孝雄(撮)舎川芳次(美)森田郷平(音)真鍋理一郎(出)炎加世子、渡辺文雄、津川雅彦、月丘昌美、三島雅夫、佐藤慶、加藤武、石井伊吉、近藤準、田中晋二、浜村純、左卜全

A-34	10／22（木）6:30pm

帰って来たヨッパライ

（80分・35mm・カラー）
大島渚や田村孟を中心とする創造社が、アングラ・ソングでヒットを放ったフォーク・クルセダーズとともに、浜辺で服をすり替えられた三人の学生の不条理な逃亡劇を作り上げている。

'68（創造社）(脚)【田村孟】、佐々木守(監)(脚)大島渚(脚)(出)足立正生(撮)吉田康弘(美)戸田重昌(音)林光(出)加藤和彦、北山修、端田宜彦、佐藤慶、緑魔子、渡辺文雄、小松方正、殿山泰司、車大善、上野堯

A-35	10／23（金）3:00pm

おトラさんのお化け騒動

（59分・35mm・白黒）
西川辰美の人気漫画がTVドラマ化され、同じ主演で映画化されたシリーズ6 作品の第4作。一家の騒動を男勝りのお手伝いさんが次々と解決してゆく映画の原案は、主演の金語楼が有崎勉のペンネームで書いている。

'58（東京映画）(脚)【新井一】(撮)【伊東英男】(監)小田基義(原)有崎勉(美)島康平(音)神津善行(出)柳家金語楼、有島一郎、水の也清美、川田孝子、日吉としやす

A-36	10／23（金）6:30pm

雲の上団五郎一座

（84分・35mm・カラー）
初演で大好評を博した舞台喜劇の映画化作品。地方回りのしがない一座が、舞台同様のヘマをおかしつつ旅公演を続け、その珍演珍芸が人気を得るまでを描く。当時の代表的喜劇人が多数出演、劇中劇の彼らの芸が見物。

'62（宝塚映画）(脚)【新井一】(監)青柳信雄(原)菊田一夫(脚)長瀬喜伴(撮)鈴木 ■(美)北猛夫、北辰雄(音)松井八郎(出)フランキー堺、水谷良重、榎本健一、三木のり平、八波むと志、丘寵児、早崎文司、古川保夫、和気成一、森川信

A-37	11／17（火）3:00pm

飢餓海峡

（183分・35mm・白黒）
戦後日本の精神的飢餓状態を描いた水上文学の映画化。脚本、演出、演技力の見事な結実を示したこの作品では、「東映W106方式」といわれる16ミリのブローアップやネガ像の大胆な採用が心情描写に効果を挙げている。

'65（東映）(撮)【仲沢半次郎】(監)内田吐夢(原)水上勉(脚)鈴木尚之(美)森幹男(音) 富田勲(出)三国連太郎、左幸子、三井弘次、加藤嘉、沢村貞子、藤田進、風見章子、亀石征一郎、曽根秀介、安藤三男、高倉健、伴淳三郎

A-38	11／17（火）6:30pm

女囚701号さそり

'72（東映）(撮)【仲沢半次郎】(監)伊藤俊也(原)篠原とおる(脚)神波史男、松田寛夫(美)桑名忠之(音)菊地俊輔(出)梶芽衣子、扇ひろ子、横山リエ、渡辺やよい、三原葉子、根岸明美、夏八木勲、渡辺文雄

A-39	11／18（水）3:00pm

非行少年陽の出の叫び

（82分・35mm・白黒）
少年院を出た若者をめぐる暴力と性と、そして世代間の軋轢の物語であり、来るべき70年代に「青春映画」の代名詞となっていく藤田敏八が、67年に藤田繁夫の名で発表した記念すべき監督デビュー作として貴重である。

'67（日活）(監)(脚)【藤田繁夫】［【敏八】］(音)【黛敏郎】(脚)埴谷淳(撮)鈴木達夫(出)平田重四郎、根岸一正、伊藤純男、長浜哲平、矢竹真一、大浜詩郎、久米明、佐々木すみ江、三条泰子、林春枝、久万里由香、肉倉正男、信欣三

A-40	11／18（水）6:30pm

赤ちょうちん

（93分・35mm・カラー）
70年代の藤田敏八映画の中でも、「フォーク・ソング（かぐや姫）」、「同棲」といった当時の風俗を色濃く含み込んだ代表的なヒット作品。秋吉久美子もまた、そうした時代を象徴する女優として輝いている。

'74（日活）(監)【藤田敏八】(脚)中島丈博、桃井章(撮)萩原憲治(美)山本陽一(音) 石川鷹彦(出)高岡健二、秋吉久美子、長門裕之、河原崎長一郎、石橋正次、横山リエ、山科ゆり、中原早苗、悠木千帆、三戸部スエ

A-41	11／19（木）3:00pm

十八歳、海へ

（110分・　mm・カラー）
「心中ごっこ」という“タナトスのゲーム”をきっかけに、若い男女のひと夏の出会いと別れを描く。「（森下愛子ら）若者は藤田にかかるとなぜ感性をきらめかすのか、いつもながら不思議な作家である」（斎藤正治）。

'79（にっかつ）(監)【藤田敏八】(脚)【田村孟】、渡辺千明(原)中上健次(撮)安藤庄平(美)徳田博(音)チト河内(出)森下愛子、永島敏行、島村佳江、下條アトム、小林薫、鈴木瑞穂、小沢栄太郎、深水三章、堀永子、八木景子

A-42	11／19（木）6:30pm

がめつい奴は損をする

（59分・35mm・白黒）
喜劇に力を注いだニュー東映が、旅回り芸人から東京に本拠を定めたエネルギッシュな役者石井均を主演にした一本で、相棒役の戸塚睦夫も石井の舞台時代からの仲間である。大映の《母もの》でも知られた小石栄一の晩年の作品。

'61（ニュー東映）(出)【石井均】（百江均一）(監)小石栄一(原)谷崎洋(脚)山村英司(撮)林七郎(美)中村修一郎(音)飯田三郎(出)戸塚睦夫、中村是好、不忍郷子、小宮光江、久保菜穂子、春丘典子、山東昭子、光岡早苗

A-43	11／20（金）3:00pm

われに撃つ用意あり

（106分・35mm・カラー）
新宿裏社会を舞台に、元全共闘活動家たちが悪徳暴力団に銃撃戦を挑む若松孝二作品。キャメラマンの伊東英男は60年代より多くの低予算映画につき、若松監督の右腕として活躍した他、大島渚監督の「愛のコリーダ」でも知られる。

'90（松竹＝若松プロ）(撮)【伊東英男】、田中一成(監)若松孝二(原)佐々木譲(脚) 丸内敏治(音)梅津和時(出)原田芳雄、桃井かおり、呂■菱、蟹江敬三、松田ケイジ、室田日出男、石橋蓮司、山口美也子萬屋錦之介選集

Y-1	10／9（金）3:00pm

新諸国物語笛吹童子第一部・第二部・完結篇

（145分・35mm・白黒）
NHKの人気ラジオ・ドラマの映画化。1954年3月に東映と専属契約を結んだ、梨園出身の萬屋錦之介（中村錦之助）が、満月城の城主の子、笛の名手、菊丸に扮して活躍した大ヒット作品。彼のスターへの第一歩となった。

'54（東映）(出)【中村錦之助】（菊丸）(監)萩原遼(原)北村壽夫(脚)小川正(撮) 三木滋人(美)鈴木孝俊(音)福田蘭童(出)東千代之介、大友柳太朗、月形龍之介、田代百合子、清川莊司、松浦築枝、楠本健二

Y-2	10／9（金）6:30pm

青春航路海の若人

（94分・35mm・白黒）
時代劇の大スター、萬屋錦之介。その彼の珍しい現代劇作品で、亡父の遺志を継ごうとする商船学校の学生を演じている。生来の映画ファンであった錦之介の映画界入りの契機となった、昭和の歌姫「美空ひばり」との共演作でもある。

'55（東映）(出)【中村錦之助】（山里英一郎）(監)瑞穂春海(脚)舟橋和郎(撮)佐藤三郎(美)森幹夫(音)木下忠司(出)美空ひばり、英百合子、高木二朗、川口節子、南原伸二

Y-3	10／10（土・祝）12:30pm

冷飯とおさんとちゃん

（178分・35mm・カラー）
山本周五郎の原作を鈴木尚之が脚本化し、錦之介が師と仰ぐ監督の一人、田坂具隆が腕をふるったオムニバス作品。錦之介は部屋住みの若侍、忘れられない女をもつ職人、時流に遅れた父親に扮して、芸域の広さを見せている。

'65（東映）(出)【中村錦之助】（柴山大四郎】、【参太】、【重吉）(監)田坂具隆(原)山本周五郎(脚)鈴木尚之(撮)飯村雅彦(美)鈴木孝俊(音)佐藤勝(出)三田佳子、森光子、新珠三千代、三木のり平、大坂志郎、小沢昭一、千秋実

Y-4	10／10（土・祝）4:00pm

一心太助天下の一大事

（91分・35mm・カラー）
新進監督、沢島忠の大胆でスピ－ディ－な演出が、青春期の錦之介その人のエネルギ－と呼応し、新機軸の時代劇として好評を博した作品。長いキャリアをもつ月形龍之介の大久保彦左衛門が作品に重心を与えている。

'58（東映）(出)【中村錦之助】（一心太助、徳川家光）(監)沢島忠(脚)鷹沢和善(撮)坪井誠(美)鈴木孝俊(音)鈴木静一(出)中原ひとみ、桜町弘子、丘さとみ、月形龍之介、山形勲、進藤英太郎、原健策、加賀邦男、清川荘司

Y-5	10／13（火）3:00pm

清水港の名物男遠州森の石松

（98分・35mm・カラー）
次郎長一家の名物男、慌て者だが気前のよい森の石松を錦之介が、軽快な演技で小気味よく見せている。石松が次郎長の代参をする、ご存知「金比羅代参」の場を描く。最後に石松の片目が開くところがマキノ演出でもある。

'58（東映）(出)【中村錦之助】（森の石松）(監)マキノ雅弘(原)村上元三(脚)観世光太(撮)三村明(美)川島泰三(音)鈴木静一(出)東千代之介、中村賀津雄、志村喬、長谷川裕見子

Y-6	10／13（火）6:30pm

関の彌太ッぺ

（84分・35mm・カラー）
股旅渡世の十年の歳月を、陽と陰の演技で見事に演じ分けた錦之介。垣根越しにむくげの花を配し、意地と情けの葛藤を叙情あふれる演出でまとめあげた山下耕作。長谷川伸原作の世界を描いた股旅映画の傑作の一つ。

'63（東映）(出)【中村錦之助】（関の彌太郎）(監)山下耕作(原)長谷川伸(脚)成沢昌茂(撮)古谷伸(美)桂長四郎(音)木下忠司(出)十朱幸代、岩崎加根子、鳳八千代、安部徹、武内亨、木村功、大坂志郎、月形龍之介

Y-7	10／14（水）3:00pm

真剣勝負

（75分・35mm・カラー）
今や錦之介その人と一体化した観のある「宮本武蔵」。その五部作を監督した内田吐夢が、脚本に伊藤大輔を得て挑戦した特別篇である。内田、伊藤の両巨匠は錦之介の恩師であり、彼はまさに正統派時代劇の申し子であった。

'71（東宝）(出)【中村錦之助】（宮本武蔵）(監)内田吐夢(原)吉川英治(脚)伊藤大輔(撮)黒田徳三(美)中古智(音)小杉太一郎(出)三国連太郎、沖山秀子、田中浩、岩本弘司、当銀長太郎、木村博人、伊藤信明、上西弘次三船敏郎選集

M-1	11／6（金）3:00pm

ジャコ萬と鉄

（90分・35mm・白黒）
黒澤明と共に「世界のミフネ」の始まりを作った、谷口千吉監督の代表作の一つ。北海道の鰊漁場に生きる無法者ジャコ萬（月形龍之介）と網元の息子鉄（三船敏郎）の対立を核に、エネルギッシュな男の世界が展開する。

'49（49年プロ）(製)【田中友幸】(出)【三船敏郎】（鉄）(監)(脚)谷口千吉(原) 梶野悳三(脚)黒沢明(撮)瀬川順一(美)北辰雄(音)伊福部昭(出)月形龍之介、濱田百合子、久我美子、進藤英太郎、英百合子、藤原釜足、清川虹子

M-2	11／6（金）6:30pm

価値ある男 Animas Trujano

（100分・35mm・白黒）
三船にとって初の海外主演作品となったメキシコ映画で、荒くれ農夫が改心していく様を描く人情譚（原作は「ラ・マヨルドミーヤ」）。名手ガブリエル・フィゲロアの撮影が評価され、作品はアカデミー外国語映画賞候補にもなった。

'61メキシコ(出)【三船敏郎】（アニマス・トルハーノ）(監)(製)(脚)イスマエル・ロドリゲス(原)R・B・リバス(脚)V・オローナ(撮)G・フィゲロア(美)E・フィッツジェラルド(音)R・ラビスタ(出)C・ドミンゲス、F・シルベストレ、A・アギラール、T・ロマイ

M-3	11／7（土）12:30pm

天国と地獄

（143分・35mm・パートカラー）
世を恨む知能犯と社会的成功者の間に起きた誘拐事件という題材は、黒澤映画の世界にあって、「ドストエフスキー的な深み」（トム・ミルン）に達するものとなった。三船は叩上げの社長を重厚に迫力をもって演じた。

'63（黒澤プロ＝東宝）(製)【田中友幸】(出)【三船敏郎】（権藤金吾）(監)(脚) 黒澤明(原)エド・マクベイン(製)(脚)菊島隆三(脚)小国英雄、久板栄二郎(撮)中井朝一(美)村木与四郎(音)佐藤勝(出)仲代達矢、香川京子、山崎努、三橋達也

M-4	11／7（土）4:00pm

或る剣豪の生涯

（111分・35mm・カラー）
有名な「シラノ・ド・ベルジュラック」の物語を時代劇に翻案した稲垣浩作品。三船は、ロクサーヌ＝司葉子、美男クリスチャン＝宝田明を相手にシラノを演じている。逞しくも美しい大スターの「醜男」ぶりが珍しい。

'59（東宝）(製)【田中友幸】(出)【三船敏郎】（駒木兵八郎）(監)(脚)稲垣浩(撮) 山田一夫(美)伊藤熹朔(音)伊福部昭(出)司葉子、宝田明、河津清三郎、藤原釜足、三好栄子、淡路恵子、平田昭彦、笈川武夫、中北千枝子、南道郎

M-5	11／10（火）3:00pm

赤ひげ

（185分・35mm・白黒）
「医は仁術」を実践する小石川養生所の医師“赤ひげ”の物語。三船にとって 2度目のベネチア映画祭男優賞をもたらしたこの作品は、同時に黒澤映画への最後の出演となった。

'65（黒澤プロ＝東宝）(製)【田中友幸】(出)【三船敏郎】（新出去定）、【杉村春子】（娼家の女将）、【西村晃】（家老）、【三津田健】（まさえの父）(監)(脚) 黒澤明(原)山本周五郎(製)(脚)菊島隆三(脚)井手雅人、小国英雄(撮)中井朝一、斎藤孝雄(美)村木与四郎(音)佐藤勝(出)加山雄三、山崎努、団令子

M-6	11／10（火）6:30pm

日本海大海戦

（128分・35mm・カラー）
バルチック艦隊を破り、日露戦争の勝利を決定づけた日本海海戦をクライマックスにした戦記ドラマ。東郷平八郎を演じた三船は、乃木希典を演じた笠智衆と鮮やかな対照を示している。東宝「8・15シリーズ」の一篇。

'69（東宝）(製)【田中友幸】(出)【三船敏郎】（東郷平八郎）、【三津田健】（山県有朋）(監)丸山誠二(脚)八住利雄(撮)村井博(美)北猛夫(音)佐藤勝(出)加山雄三、仲代達矢、松本幸四郎、笠智衆、辰巳柳太郎、黒沢年男、藤田進

M-7	11／11（水）3:00pm

本覺坊遺文千利休

（107分・35mm・カラー）
千利休（三船）の死後、その謎を追う愛弟子本覺坊は織田有楽斎（萬屋）らとの出会いの内に師の本心を知る。70年代以降、往年のスターを活かす邦画が減る中で、この熊井啓作品は両雄にとって晩年の重要作となった。

'89（西友）(出)【三船敏郎】（千利休）、【萬屋錦之介】（織田有楽斎）(監) 熊井啓(原)井上靖(脚)依田義賢(撮)栃沢正夫(美)木村威夫(音)松村禎三(出)奥田瑛二、加藤剛、芦田伸介、東野英治郎、内藤武敏、上條恒彦勝新太郎選集

K-1	11／26（木）3:00pm

不知火檢校

（91分・35mm・白黒）
盲目の針灸師が悪行をかさねながら、出世していく姿を描いたピカレスク時代劇。勝新太郎が欲望を剥きだしに生きていく杉の市に扮して、独自の個性を発揮、出世作とした。悪の輝きがスタ－勝新の光源の一つでもあった。

'60（大映）(出)【勝新太郎】（杉の市）(監)森一生(原)宇野信夫(脚)犬塚稔(撮) 相坂操一(美)太田誠一(音)斉藤一郎(出)中村玉緒、近藤美恵子、丹羽又三郎、鶴見丈二、倉田マユミ、安部徹、伊沢一郎、荒木忍

K-2	11／26（木）6:30pm

みだれ髪

（95分・35mm・カラー）
泉鏡花の原作を衣笠貞之助が映画化した新派もの。勝新太郎はヒロイン山本富士子を一途に愛する職人愛吉を演じている。甘さの残る役柄だが、長唄の杵屋の家に生まれた勝にとってこの種の遊芸の世界は身近なものでもあった。

'61（大映）(出)【勝新太郎】（愛吉）、【西村晃】（伝六）(監)(脚)衣笠貞之助 (原)泉鏡花(撮)渡辺公夫(美)柴田篤二(音)斎藤一郎(出)山本富士子、川崎敬三、中村伸郎、北林谷栄、角梨枝子、見明凡太郎、殿山泰司、花布辰男

K-3	11／27（金）3:00pm

続惡名

（94分・35mm・カラー）
八尾の朝吉＝勝新太郎、モートルの貞＝田宮二郎の名コンビがくり拡げる痛快活劇。監督田中徳三、脚本依田義賢、撮影宮川一夫は溝口組のスタッフであり、随所に往年の大映京都撮影所の力量がうかがえる一篇である。

'61（大映）(出)【勝新太郎】（朝吉）(監)田中徳三(原)今東光(脚)依田義賢(撮) 宮川一夫(美)内藤昭(音)鏑木創(出)田宮二郎、中村玉緒、水谷良重、中村雁治郎、浪花千栄子、浦路洋子、長谷川季子、藤原礼子、南都雄二

K-4	11／27（金）6:30pm

座頭市血笑旅

（87分・35mm・カラー）
盲目の坊主で居合斬りの達人、「座頭市」は勝新太郎という強烈な個性が生みだしたス－パ－・ヒ－ローであった。本作は三隅研次の演出が冴えるその第8 作。殺された女の子供を抱えて旅を続ける市に殺し屋が襲いかかる。

'64（大映）(出)【勝新太郎】（座頭市）(監)三隅研次(脚)星川清司、吉田哲郎、松村正温(撮)牧浦地志(美)内藤昭(音)伊福部昭(出)高千穂ひづる、金子信雄、加藤嘉、天王寺虎之助、北城寿太郎、毛利郁子、石黒達也、伊達三郎

K-5	11／28（土）1:00pm

兵隊やくざ

（102分・35mm・白黒）
「座頭市」「悪名」と並ぶ勝新太郎のヒット・シリ－ズ。元やくざで型破りの陸軍二等兵、大宮＝勝とインテリ上等兵、有田＝田村高廣。増村保造のエネルギッシュな演出の下、この対照的なコンビが軍を舞台に大暴れする。

'65（大映）(出)【勝新太郎】（大宮貴三郎）(監)増村保造(原)有馬頼義(脚)菊島隆三(撮)小林節雄(美)下河原友雄(音)山本直純(出)田村高廣、淡路恵子、滝瑛子、山茶花究、北城寿太郎、早川雄三、内田朝雄、成田三樹夫

K-6	11／28（土）4:00pm

やくざ絶唱

（94分・35mm・カラー）
やくざの兄、勝新太郎が惜しみない愛を注ぐのは異母妹の大谷直子。彼女に近づく男は力づくで排除するが、妹に拒否された勝は敵のボスを殺し自ら死地を求める。近親相姦のテ－マに大きく踏みこんだ増村保造の意欲作。

'70（大映）(出)【勝新太郎】（立松実）(監)増村保造(原)黒岩重吾(脚)池田一朗(撮) 小林節夫(美)矢野友久(音)林光(出)大谷直子、田村正和、川津祐介、太地喜和子、荒木道子、青山良彦、平泉征、加藤嘉、早川雄三、内田朝雄

K-7	12／1（火）3:00pm

顔役

（98分・35mm・カラー）
勝新太郎の第一回監督作品。物語は刑事ものだが、その表現は商業映画の枠を越える、実験精神に溢れていた。一代の役者、勝新太郎ならではの観察とアイデアにもとづく、大胆で繊細な映像描写はむしろ今日的ですらある。

'71（勝プロ）(監)(脚)(出)【勝新太郎】（立花良太）(脚)菊島隆三(撮)牧浦地志(美) 西岡善信(音)村井邦彦(出)山崎努、太地喜和子、藤岡琢也、伴淳三郎、山形勲、前田吟、大滝秀治、織本順吉、若山富三郎、横山リエ、蟹江敬三

■(監)＝監督・演出　　(製)＝製作・企画・プロデューサー　　(原)＝原作・原案　　(脚)＝脚本・脚色　　(撮)＝撮影　　(美)＝美術　　(音)＝音楽　　(出) ＝出演

■【　】の人名は今回の上映で追悼する方です（出演者の場合、カッコ内は映画中の役名です）。

■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。