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フィルムセンター開館40周年記念①
発掘された映画たち2010

The 40th Anniversary of National Film Center Part 1
Cinema: Lost and Found 2010
2010.5.11-5.27
作品詳細
A-2 5/11(火) 7:00pm 5/21(金) 3:00pm  
戦前の記録映画・小型映画特集
(計83分)


小鷺の蕃殖 千葉縣新浜御獵場に於て 昭和六年五月撮影
(9分・16fps・35mm・白黒・無声)

財団法人山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)から2009年に寄贈されたフィルムの1本で、(現)宮内庁新浜鴨場(千葉県市川市)に生息するコサギの産卵から巣立ちまでの様子を記録した作品(原版は16mm反転プリント)。戦前の同研究所内に設置されていた「ヤマシナ映画部」は鳥類の記録映画を精力的に制作しており、日本における鳥類研究の貴重な映像資料といえる。

'31(ヤマシナ映画部)

夏祭
(8分・18fps・35mm・カラー・無声)

1937年に開催された京都の祇園祭と大阪の天神祭の様子を記録したカラー作品で、原版は16mmのコダクローム・フィルム。73年前の人々の熱気が生々しく伝わってくる。神戸市の会社員であった桝田和三郎(1896-1978)が1930年代に撮影した9.5mmと16mmのコレクションの1本で、御子息の桝田輝郎氏から寄贈いただいた。

'37(撮)桝田和三郎

カムイ 熊神
(4分・16fps・35mm・カラー・無声)

陶芸家として知られる川喜田久太夫(半泥子)の長男として生まれ、1930年代にアマチュア映画作家として数多くのホーム・ムービーや記録映画を制作した川喜田壮太郎(1894-1972)。石水博物館(三重県津市)が管理していたそのフィルム一式が、2008年に寄贈された(寄贈者:川喜田淑氏)。本作は1938年に北海道・白老を訪れた壮太郎が、アイヌ民族のイオマンテ(熊送り)の儀式を撮影したもので、この時代のアイヌ民族のカラー映像として貴重なものである(原版はレギュラー8)。なお、フィルムセンターの展示室では、壮太郎制作の『あこがれ』[スタジオF版] (1935年)も随時上映しているので御覧いただきたい。

'38(監)川喜田壮太郎

大正十一年九月二十二日 故寺島豊次郎氏 告別式 及 経歴
(11分・16fps・35mm・染色・無声)

1890年代にニューヨークの大学で学び、帰国後は鉄道局の技師として勤務するかたわら、民間の発明家として活躍した寺島豊次郎の功績をたたえる一種の伝記映画で、寺島氏の没後に関係者によって制作された珍しい作品。ご遺族の寺島美智子氏から寄贈いただいた35mmの可燃性染色プリントから復元した。

'22(撮)小宮山熊次郎

白耳義(ベルギー)國ニ於ケル亜麻ノ耕作ト製線ノ實況
(25分・15fps・35mm・染色・無声・不完全)

ベルギーにおける亜麻(リネン)の近代的な栽培方法を、日本人技師による長期ロケによって丹念に記録した作品。帝国製麻株式会社(現・帝国繊維)の技師が1927年から1928年に掛けて撮影したものであるが、上映するのは日本商会という製作会社が1935年に編集した版。現存する可燃性オリジナル・ネガと上映用プリントはそれぞれ欠落があったが、ふたつの素材から今回「最長版」を作成して上映する。

'35(日本商会)

紅葉狩[デジタル復元版]
(6分・16fps・35mm・白黒・無声)

日本人が撮影した現存する最古の映像。日活から寄贈された可燃性デュープ・ネガが2009年に映画フィルムとして初めて国の重要文化財に指定された。今回は全篇のデジタル復元を試み、現時点で最良の映像で御覧いただく(復元:IMAGICA、IMAGICAウェスト)。

1899(撮)柴田常吉(出)九代目市川團十郎、五代目尾上菊五郎、二代目尾上丑之助

攝政宮殿下活動寫眞展覧會御台覧実況
(3分・16fps・35mm・白黒・無声・不完全)

1921年12月8日、摂政宮(後の昭和天皇)が、湯島聖堂内の「東京博物館」において開催中の「活動写真展覧会」を視察した際の記録映画。摂政宮が博物館に到着し、展示物を視察される様子が映し出される。1960年代にアメリカ議会図書館から里帰りした「返還映画」の1本であるが、今回は『史劇 楠公訣別』とセットにして上映する。

'21

史劇 楠公訣別
(17分・16fps・35mm・白黒・無声)

『攝政宮殿下活動寫眞展覧會御台覧実況』と対になる作品で、展示物を視察された摂政宮が、その後、屋外で日活の時代劇スター・尾上松之助一派による「櫻井の別れ」の実演をご覧になる様子が記録されている。2005年に日活から寄贈された可燃性オリジナル・ネガに対して、2010年3月に国の重要文化財指定の答申がなされた(上映するのは不燃化したプリント)。

'21

『史劇 楠公訣別』重要文化財指定へ
文化審議会が3月19日、フィルムセンター所蔵の『史劇 楠公訣別』(35mm可燃性オリジナル・ネガフィルム、1,053フィート15コマ)を重要文化財に指定するよう、文部科学大臣に答申しました。昨年の『紅葉狩』に続き映画フィルムとしては2度目の重要文化財指定となるもので、これからの映画保存運動にも大きな弾みがつくことが期待されます。

※映画フィルムの重要文化財指定に関するページはこちら

5月11日(火)7:00pmの回は上映後に板倉史明(フィルムセンター研究員)による解説(約20分)があります。

■(監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (構)=構成 (撮)=撮影 (美)=美術・舞台装置 (編)=編集 (音)=音楽 (出)=出演 (解)=解説・ナレーション
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The National Museum of Modern Art, Tokyo